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三章
3ー73
しおりを挟むま、いっか。
化粧水は化粧水だしね。
私は気をとりなおして、化粧水を錬金釜から取り出した。
今回の化粧水は無色透明をしている。透き通った水は化粧水の入れ物を通した先の景色まで鮮明に映していた。
「綺麗・・・。」
チャプッと化粧水を揺らせば、化粧水の中に見える景色が一緒に揺れる。それはまるで幻想的だった。
「にゃー!」
早く!というようにトンヌラさんが急かしてくる。
でも、まだ効果がわからないからトンヌラさんに渡すことはできない。
飲んでみてとんでもない効果だったらいけないもんね。
「もうちょっとま待ってて、これを王都の鑑定士さんに鑑定してもらわなければならないから。ね?」
しゃがみ込んでトンヌラさんに伝えたが、トンヌラさんは聞いていないようで、パシッと私の手から化粧水を奪ってしまった。ただ、猫の手だから化粧水の蓋を開くことができない。
焦ったトンヌラさんは、シャワールームに向かった。
きっと、シャワーを浴びて人間に戻ろうとしているのだろう。
「トンヌラさん!効果が分からない化粧水を飲むのは危険です!もうちょっと待っててください!!」
シャワールームの外から中に向かって声をかけるが、返事はなかった。
仕方ない。
一応私は忠告したもんね。
トンヌラさんがシャワールームから出てくるのを待つか。
でも、その間にこの化粧水のことも気になるから転送ボックスに入れて王都の鑑定士さんに鑑定してもらうことにした。
『はろぉ~。今回もぉ~面白い化粧水を~送ってきたわねぇ~。まったくぅ~次からぁ~次へとぉ。面白い化粧水を~作ってきますねぇ~。』
おおお。
転送ボックスで化粧水を転送したらすぐにベアトリクスさんからの念話が来た。
早いな。
暇なのかな。ベアトリクスさん。
「効果を教えていただけますか?」
『ええ~。売らないのぉ~?』
「効果によって売るか売らないか決めます。」
売らないと言えばベアトリクスさんは残念のそうな声を出した。
まあ、有用な効果とか無害な効果であれば売ってもいいんだけど、それ以外のどうしようもない効果だと売るのが怖い。悪用されたときのことを考えると怖いので、悪用の恐れがある効果を持っている化粧水は極力売りたくないのだ。
まあ、女王様は別として。
だって、女王様には逆らえないもの。
『そうなのぉ~。でもぉ~今回のぉ~効果はぁ~悪用しようとぉ~思えばぁ~いくらでもぉ~悪用できそうなぁ~効果なんだよねぇ~。』
「ぐふっ。」
いけない。思わず変な声が出てしまった。
悪用できそうな効果ってやっぱりこの化粧水は売れないじゃん。
っていうか、トンヌラさん化粧水飲んじゃってないよな・・・。
シャワールームが静か過ぎて怖いんだけど。
「ど、どんな効果なんですか・・・?」
思わず声が震えてしまう。トンヌラさんが飲んでしまったかと思うといても経ってもいられない。
『声がぁ~出なくなるってぇ~効果なのよぉ~。』
「へっ!?ぇえええええええ!!!!?」
声が出なくなるって!声が出なくなるって!!
もしかして、シャワールームが静かなのはトンヌラさんが化粧水を飲んでしまって声がでないから!?
って、そんな化粧水需要なんてないでしょ!!
まあ、考えた限り悪用はできそうだよね。
拉致監禁したときとか、声が出なければ助けも呼べないし、声がでないから騒げないし、拉致監禁した犯人はやりたい放題だよね。
こわっ!なんでこんな化粧水作ってしまったんだか・・・。
はあ。ほんとになんでろくでもない効果の化粧水ばかりができるんだか。
女神様か・・・?
女神様の気まぐれ効果だからまっとうな効果の化粧水ができないのか・・・?
『いろいろぉ~悪用できそうよねぇ~。でぇ~、売るのかしらぁ~?』
「売りませんっ!ってか売れません!そんな悪用されそうな化粧水怖くて売れませんっ!!」
『そうよねぇ~。』
はあ。この化粧水どうしよう。10本もあるけど、使い道が全くない。
しかも、売れないし。
『じゃあ~またぁ~化粧水を~作ったらぁ~教えてねぇ~。』
「あ、待ってください!」
ベアトリクスさんとの念話が切れそうになったので、思わず待ったをかけてしまった。
火蜥蜴の火炎袋について、王都の鑑定士であるベアトリクスさんだったら知っているのではないかと思ったのだ。
マコトさんに聞けば一番早いんだろうけど、念のため聞いてみることにした。
「火蜥蜴の火炎袋って知ってますか?どうやったら入手できますか?」
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