婚約破棄されて異世界トリップしたけど猫に囲まれてスローライフ満喫しています

葉柚

文字の大きさ
515 / 584
五章

5ー22

しおりを挟む
 

「魔王様ぁ~~~~~っ!!我らの魔王様ぁ~~~~~っ!!こちらにいらっしゃますかーーーーっ!!!」

女王様とホンニャンのかみ合わない会話をのんびりと聞いていたら、突如外から誰かの叫び声が聞こえてきた。続いて家を破壊するようなドゴンッという大きな音と、土煙が辺りを覆う。

って、破壊するような音じゃなくて、思いっきり家を破壊してきたようだ。

そして、家の壁が壊された場所からホンニャンに目掛けて黒い大きな塊が吹っ飛んできた。

「ホンニャン危ないっ!!」

「へわっ!へわわわわっ!!」

その大きな塊はホンニャンにガシッと抱きついた。

その反動でホンニャンの身体が大きく後ろに傾いてしまう。慌てたホンニャンから驚きの悲鳴が漏れた。

「はっ!魔王様っ!!申し訳ありませんっ!!」

黒い塊・・・もといタイチャンはホンニャンの体制を立て直すと、サッとホンニャンから距離を取った。どうやら正気に戻ったらしい。

「でも、魔王様がいけないんですよ。魔王城からいなくなったりするんですから。まあ、もっとも・・・マユに唆されたのでしょうけど。」

タイチャンはホンニャンを心配そうに見つめた後で、絶対零度の視線を私に送ってきた。

思わずブルッと身震いをする。

「ははっ・・・。」

ホンニャンが勝手についてきただけなのにな。

でも、それをタイチャンに言ったところで、私の言う事などタイチャンは聞いてはくれないだろう。言い訳としか思われなさそうだ。

むしろホンニャンの所為にするのかっ!と怒られそうなのでやめておく。

「マユが一緒だから危険はないわっ!」

ホンニャンがむっと頬を膨らませてタイチャンに抗議をしている。

「マユが一緒だから危険なんですよ。マユが安心安全だとは思わないでください。マユが貴女に降りかかる全ての災厄を防げるはずはないのですよ。」

「でもっ!マユは女神様代行なのよ。そのマユの側にいれば安心だわっ!」

「・・・あくまで、マユは女神様の代行です。代行は代行なんです。女神様のお力には敵いません。」

タイチャンはわかりやすく「代行」のところを強調してホンニャンを窘める。

そうなんだよね。

私は、あくまで女神様の代行だ。

それに、私自身にはそんなに力がないのだ。

むしろ、どうして私が女神様の代行になんてなっているのかそれを私は知りたい。っていうか、勝手に押し付けられたってだけかもしんないけど。

「でもっ!」

「魔王城が一番安全なのです。魔王様。」

ホンニャンはタイチャンに立ち向かうが、タイチャンの方が経験年数がずっと上である。

そのため、簡単にホンニャンはタイチャンに言いくるめられてしまう。

なにも言い返せない状態になってしまったホンニャンはただ黙っているしかない。

頬を限界まで膨らませてホンニャンはタイチャンを恨めしそうに睨みつける。

「魔王様に代わりはいないのです。なんたって前魔王様のお子は魔王様しかおられないのですから。」

「お姉さまがいるじゃない。」

「あのお方は人間の国の王です。魔族の国の王にはなりえません。」

「兼任すればいいじゃない。」

「人間の国に統一されろということですか?」

「・・・違うわよ。」

「国を一つ統治するのは簡単ではありません。二つの国を一人で統治するのは無理です。二つの国を一つに統一すれば可能ですが、それは魔族側が黙ってはおりません。」

「・・・むぅ。」

タイチャンは完膚なきまでにホンニャンを言いくるめる。

「私は可愛いホンニャンが望むなら魔族の国を統治してもよいが?」

と、そこに割り込む声が。

言わずと知れたパールバティー様ことホンニャンの姉の女王様である。

タイチャンはそこで初めて女王様が同じ空間にいたことに気が付いた。

タイチャンの視線と女王様の視線がバチッと絡み合う。

やばい・・・。一触即発の危機かもしれない。

 

 

 

しおりを挟む
感想 829

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

処理中です...