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五章

5ー27

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にゃんにゃんにゃー。

にゃっ!!にゃにゃっ!!にゃにゃにゃにゃにゃ!!

 

 これじゃなに言っているかわからないのー。

 っていうことで、あたしマーニャなのー。可愛い可愛い猫のマーニャなのー。

 え?自分で可愛いって言うなって?

 そんなの無理なのー。あたしのこと皆可愛いっていうもん。

 それから、こっちにいる黒っぽい猫はあたしの妹のクーニャと、ボーニャなの。

 えっへん。あたしクーニャとボーニャのお姉さんなのー。偉いのー。

「マユ、来ないねー。」

「そうだねー。どこ行ったのかなぁー?」

「マユ、マコトの家で迷子になったのー。」

「家の中で迷子なのー?おかしいのー。」

 さっきまで、あたしたちの後ろをマユが追いかけてきていたのに、マコトに追い付いてから後ろを振り向いたらマユがいなかった。

「あれ?マユさんも一緒についてきたんですか?」

 マコトが茶道具片手にあたしの方を振り返った。

「そうなのー。耐え切れなくて一緒にきたのー。」

「でも、後ろいないのー。」

「迷子になったのー。」

 あたしはマコトにマユが一緒に来たことを伝えた。そのあとすぐに、あたしの言葉を補うようにクーニャとボーニャが補足した。

 クーニャとボーニャが補足しなくても、マコトにはあたしが言った言葉の意味がわかるのに、余計なお世話なのー。

「……迷子になるような距離ではないと思いますが。ホンニャンたちの元に戻ったのでは?」

「それはないのー。」

「マユ、ホンニャンたちの空気に耐えかねて逃げてきたのー。」

 マコトは眉間に皺を寄せながらマユは迷子じゃないと言ってきた。

 でも、マユは迷子なの。ホンニャンたちのとこに自分から戻るはずがないの。

 あたしたちはそうマコトに訴えかけた。

「あー。そうなんですね…。ですが、あの部屋からここまではそれほど離れていないですし。ほぼ一直線ですしねぇ……。」

 マコトはそう言って顎の下に手を当てたの。何やら考えこんでいるみたいに見えたの。

 確かにマコトの言う通り、ホンニャンたちがいた部屋からこの部屋までは、それほど距離が離れていなかった。一度も休憩することなくダッシュでマコトについてこれたくらいの距離だ。

「でも、マユいないのー。」

 マコトの指摘はもっともなので、あたしはシュンと項垂れた。クーニャとボーニャもだ。

 マユが迷子になったのはにわかには信じられない。

 でも、マユは迷子になったのだ。

「もうっ!マユはどれだけ方向音痴なのー。世話が焼けるの。」

 ぷりぷりと頬を膨らませて、尻尾を左右に振り回してあたしはぼやいた。

 

 

 

 

 

 

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