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そっくりさんに興味を持たれた……?
しおりを挟む私は急いで応接室に向かった。
「やあ、色気がまったくないステファニー嬢。待っていたよ。王妃様に呼ばれたんだって?」
応接室のドアを開くなりルーンファクト様のそっくりさんがそう言って意地の悪い笑みを見せた。
「私が王妃様に呼ばれたと知っていてなぜ屋敷に来たのかしら?」
「君に会いに来たわけじゃない。君に会いに来たけどいなかったからアルフォネアに挨拶をという筋書きだったんだ。私とアルフォネアは身体の相性が良いみたいだしね。だけど、私の目論見は外れたんだよ。なぜか、アルフォネアが王妃に呼ばれたはずのステファニー嬢に同行してしまったんだからね。君はなぜアルフォネアを連れて行ったんだい?」
ルーンファクト様のそっくりさんは私をダシにしてアルフォネアに会いに来たらしい。あまりにも失礼な物言いにちょっとムッとした。
「アルフォネアに会いに来たのならさっさとアルフォネアに会いに行ったらどうかしら?」
「そうだね。そうさせてもらうよ。アルフォネアはどこにいるんだい?」
「さあね。アルフォネアは私より先に屋敷に入ったから私にはわからないわ。でも、お父様かお母様のところにいるかもしれないわ。」
「そうか、ありがとう。」
ルーンファクト様のそっくりさんはそう言って応接室から出て行こうとする。
「ねえ、変装してから来てくれないかしら?アルフォネアに会いにいくなら是非そうしてくださる?じゃないと、ルーンファクト様は妹のアルフォネアにご執心だという良くない噂が立ってしまうわ。ルーンファクト様の婚約者の妹と懇意にしているなんて醜聞もいいところじゃない。」
私はルーンファクト様のそっくりさんに冷たく言い放つ。
「ふぅん。君は私がルーンファクトじゃないと思っているんだ?」
「ええ、そうよ。あなたはルーンファクト様のそっくりさん。ルーンファクト様とは似ても似つかないわ。」
「私とあいつどこが違うっていうんだ?同じ顔だろう?同じ声だろう?同じスタイルだろう?」
「ええ。そうね。でも性格が違うわ。それに目の色が違うわ。発生の仕方も違うわ。あなたの発音は綺麗すぎる。」
「ふぅ~ん。」
ルーンファクト様のそっくりさんはそう言って私を興味深そうに見つめた。
「なによ?」
値踏みするような視線に気分が悪くなる。
「あんた良く見てんだな。あいつとオレの違いなんてほとんどのやつが気づかないんだけど。」
「そう?全然違うと思うのだけれども。」
「オレさ、あんたに興味が出てきたよ。あんたみたいな色気のない女なんてまっぴらだったけど、あいつとオレを見分けられるなんてすげぇな。」
「あなたに興味を持ってもらっても全然嬉しくないんだけど。」
「まあまあ、これからはあいつとあんたが仲が良いって噂を流せるようにしてやるよ。」
ルーンファクト様のそっくりさんは意味あり気にそう言った。
「何を言っているの?」
「んじゃ、ちょっと出直してくる。」
「こなくてもいいわよ?」
ルーンファクト様のそっくりさんは応接室から出てアルフォネアの元に向かうわけでもなく、屋敷から出て行ってしまった。
いったい何をしに来たのだろうか。
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