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ルーンファクト様がやってきました
しおりを挟む「ステファニーお嬢様。ルーンファクト殿下がいらっしゃいました。」
「えっ?ルーンファクト様が……?」
翌日侍女のニコルがルーンファクト様の来訪を告げた。
昨日あったばかりだというのに、なんだろうかと不思議に思う。ああ、でも昨日はアルフォネアのお陰でほとんど王妃様ともルーンファクト様とも話せなかったな、と思い至る。
だが、あれは我が家の失態だ。我が家から王家に対して謝罪に伺うのが普通のことだ。今、お父様とお母様が王家に謝罪に伺うために王様にアポイントメントを取っている最中だと記憶している。
もしかして、アルフォネアのことがあるから、婚約を破棄したいということだろうか。アルフォネアの失態は王家にとって侮辱も良いところだった。アルフォネアの姉である私は王家に相応しくないと判断されてもおかしくはないだろう。
「応接室にいらっしゃっています。」
「私に会いに来たのかしら?それとも、お父様に?」
「ステファニー様にお会いに来たとのことです。」
婚約破棄なら、まずはお父様に会うだろう。ということは別の要件なのかもしれない。
私は少しだけホッとした。
でも、アルフォネアのことがあるので、何を言われるのかと思わず身構えてしまう。
ルーンファクト様がお優しいのは理解してはいるけれど、それとこれは別だ。
「わかりました。すぐに参ります。」
私は、ルーンファクト様に会うために身だしなみを整えて応接室に向かった。
「やあ、ステファニー嬢。会いたかったよ。」
応接室で私が目にしたのは両手いっぱいに赤い薔薇の花を抱えているルーンファクト様のそっくりさんだった。
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