皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚

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「・・・エドワード様を追いかけなければ。」

一人にしてほしい。そう言われてエドワード様を先に行かせてしまったが、あんな辛そうな表情を浮かべているエドワード様を一人になんてどうしてもできない。今にも儚くなってしまうのではないかと思わせる表情をしていた。

思いつめたその顔を見ると、こちらまで辛くなってしまう。

慌ててエドワード様が消えていった方に視線を向ける。

まだ、エドワード様がいなくなってから30分も経っていないだろう。

きっと、走って追いかければ追いつけるはず。

走ることなんて産まれてからずっとなかった。

淑女として育てられた故、優雅に美しくを徹底されて生きてきた。

走ろうものなら侍女に怒られてしまうような生活だ。

だから、今まで走ったことなどない。

しかし、なぜだか今日はとても早く走れそうな気がした。

「エドワード様。待っていて下さい。」

足を軽く踏み鳴らしてウォーミングアップする。

右足を前に出してから地面につける。次は左足。

だんだんと速度を上げる私の足の動き。

周りの景色があっという間に変わっていく。どうやらかなりの速度で走っているようだ。

 

ドンッ!!

 

突如辺りに鈍い音が響いた。

「はっ。」として辺りを見渡す。すると、すぐ近くにエドワード様が蹲っていた。

ゆっくりとエドワード様に近づく。

「くそっ!こんなはずでは!!」

地面を思いっきり叩きつけながら慟哭するエドワード様に、声をかえようと喉元まで出した声を飲み込む。

あんなにも他人の気配に敏感だったエドワード様が私に気付くこともなく泣き叫んでいる。

「・・・レイだけは守りたかったのに。なんのために婚約破棄までしたんだ・・・。レイ・・・レイ・・・。」

・・・私?

エドワード様は私のために泣いてくださっているの?

私を守るために婚約破棄をした?

どういうことなのだろうか。

泣き叫んでいるエドワード様の原因が私にあって少し嬉しいと思ってしまった。

私を思ってこんな姿を見せているエドワード様を愛しいと思ってしまった。

私はエドワード様にまだ愛されていた。それが、わかったから。

そっと、エドワード様に近づき、後ろからエドワード様を包み込むように優しく抱きしめる。

ビクッとエドワード様の肩が大きく揺れた。

「大丈夫です。レイは大丈夫です。」

『エドワード様の側に姿を変えております。』そう伝えたいが、嘘だと思われてしまう可能性もあり、もし嘘だと思われてしまった場合には、エドワード様が激昂するこがわかったので、その言葉はぐっと飲み込んだ。

 

 

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