悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ

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第2章:幼少期・純愛編

第27話:【私たちらしい主従関係】

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「ルピナス様、こちらがシスターたちがこだわりに、こだわっている庭園でございます。この教会のカラーである青色の花を中心に育てているんですよ!」

「季節問わず青い花が見られるように、その季節ごとに花を咲かせる品種をそれぞれ植えているんです。いつ、この庭園へお越しいただいてもお楽しみいただけますわ」


 ラランとリリィが意気揚々とヤグルマギク教会のオススメスポットを紹介してくれていた。

 二人に案内された庭園は一色、青色で占められていて幻想的で美しかった。

 まるで青空の中にいるようで、自然と心が踊る。


「このお花すごく綺麗…なんて名前なんだろう」

「このお花はネモフィラでございます」

「そうなんだ…!この他のお花よりも、たくさん植えられているお花は?」

「そちらは、この教会の名前にもなっておりますヤグルマギクでございます」

「このお花が、そうなんだ!すっごく綺麗だね…!!」


 漫画やアニメとかでよく登場するイメージがあったけど、実際に生で見るのは初めてだ。実物のネモフィラも幻想的な見た目をしている。

 初めて名前を聞いたヤグルマギクは、こうして初めて見たわけなんだけれども、教会の名前になるのも頷けるほど神秘的な見た目をしていた。


「それにしても…お花の名前について二人とも詳しいね」

「まあ!お褒めいただき、ありがとうございます」

「アタシたちは、この教会の出身なので庭園の水やりや植え替えなども手伝っておりました。花と接していると…自然と覚えるのですよ」


 どこか誇らしそうにしながらも嬉しそうに二人は答えてくれた。


「私も…ヤグルマギク教会でお世話になるのだから、この庭園もお手伝いさせてもらえるといいな」

「まあ…!ルピナス様という尊い御方にそのようなこと───」

「ララン」


 リリィが諌めるようにラランの言葉を遮った。


「ぜひ、ご一緒にやりましょう!ルピナス様。ルピナス様は器用でいらっしゃいますから、きっとお上手に出来るはずですわ」


 そして、リリィは私と目を合わせて、にこりと笑う。


「…ありがとう、リリィ。私も二人と一緒に何か出来るのが、とても嬉しいよ。今までのように貴族と使用人の立場では叶わなかったからね」

「ルピナス様…」


 ラランが驚いたような顔をして、思わずといった様子で私の名前を読んだ。


「ララン。私は、もう…貴族ではない。あの家を出るということは、そういうことだ」


 ラランが何かに耐えるように強く口を引き結んだ。


「ララン、私は大丈夫だよ。貴族であることがイコール幸せであるわけではないとユーフォリア様に出会って、思うようになったんだ。今すぐには無理かもしれないけれど、どうかラランもリリィも…ただのルピナスとして、これからは私に接してほしい」

「「ルピナス様…」」

「ふふ。私に仕えるために一緒に来てくれたのに無理を言って、ごめんね。そもそも雇えるような資金もないのに、二人が側にいてくれると言ってくれて凄く嬉しくて…二人を拒絶できなかった。主人として止めなくてはいけなかったのに。むしろ一緒にいて欲しいと私から望んでしまった。二人は一生懸命、努力してプロの使用人としての腕を磨いていたのに伯爵家の使用人としての未来を閉ざしてしまった。本当に申し訳ない。なかなか言い出すタイミングが掴めなくて言うのが遅くなってしまったけれど…ずっと、謝りたかったんだ」

「ルピナス様は何も悪くございません…!謝られなくて良いのです!ワタシたちはお金の為にルピナス様のお側にいたわけじゃありませんもの」

「そうですよ、ルピナス様。伯爵家の長子であったからルピナス様が好きだったわけではないのです。何度もお伝えしております通り、アタシたちはルピナス様がルピナス様だからこそ大好きなのです。ずっとお側にいさせてください!」


 ラランとリリィがしゃがみ込んで庭園の土で汚れるのも厭わずに。

 その場に膝をついた。


「ワタシたちも、改めて…ユーフォリア様のように誓わせてください。ワタシたちは、このヤグルマギクに誓って如何なる時もあなた様のお側にお仕えいたします」

「初めてお会いした時…アタシたちを拾い上げてくださった時から、この身体はルピナス様のものでございます。アタシたちは、このヤグルマギクに誓って如何なる時もあなた様を支えます」

「「ララン、リリィ…」」


 風が吹いて、青い花びらたちが舞っていく。

 胸がいっぱいになって、それぞれ心臓がある位置に添えていた二人の手を片手で掴み、自分の胸の位置に置いた。


「二人が誓うなら私も誓おう。私は二人の良き理解者になると」


 二人は驚いた顔をして固まってしまった。
 まさか、逆に誓われるとは思っていなかったようだ。


「二人が主従関係に拘るのなら、それでも構わない。…でも、私たちらしい主従関係を結んでもいいと思うんだ。私は叶うなら、ラランとリリィと家族のようになりたい。………家族に、なりたい。その為にも二人とは対等でありたいと思ってる」

「ルピナス…様、あなた様は」

「親から捨てられたようなアタシたちを」

「「家族に、と求めてくださるのですか」」


 ここに来る前にも別邸でラランを泣かせてしまったのに今度はリリィまでもが一緒になって大粒の涙を流している。

 まだ、急には難しいかもしれないけれど。

 少しずつ、少しずつ。

 私たちらしい仲を築いていくことができたらと、教会のシンボルであるヤグルマギクに願った。



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