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ep.1-2 Awakening
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葵に勧められたまま入ったカフェの窓際席で、私はメニュー表を眺めている。初めて見る横文字の羅列は、ただでさえ疲れやすい休日の頭をさらに混乱させる。
「カ……カフ……なにこれ?」
「ああ、これはね……」
葵が得意げに解説してくれる。あれこれ聞いているうちに、いつの間にか緊張もほどけて、ふっと笑みがこぼれた。
やがて頼む物も決まり、スカートのポケットからスマホを造作もなく取り出す。インスタに流れる情報は、いかにも休日というだけあって、休みにまつわる投稿ばかりであった。
平和な日々、といったらきっとこんな光景を想像するのだろう。そんなことを考えていると、私はふとあることを思い出した。
勾玉だ。
私は財布から勾玉を出すと、テーブルの上にコトンと置いた。葵が眉をひそめる。
「これさあ、弟が拾ってきた勾玉?なんだけど」
「弟くんが拾ったんだあ、へえ」
葵は未知との遭遇みたいに目を丸くした。
「なんか光ったんだよね、仏壇に向けた時に」
「光った?ってことは単なるおもちゃってこと?」
「それがどこにもスイッチとかボタンの類がないんだよね」
「へえ、ふっしぎい」
私は勾玉を左掌に乗せた。光る気配など微塵もない。
やっぱりあれは気のせいだったのだろうか?私は大窓から空を見上げた。ビルが天高く伸びては空を独占している。きっとその一つひとつにも多くの人がいて、生活があるのだろう。
——ん?
ビルのさらに上空。黒い点のようなものが、ほんの一瞬視界を横切った気がした。
気のせい、だよね。不思議とそれを否定したくなった。
雲一つない快晴の日曜日、新宿三丁目の繁華街はいつものように大勢の人でごった返していた。歩行者天国でもある新宿通りのあちらこちらから楽しげな会話が聞こえてくる。私のブルゾンの袖を強く引っ張る葵も、その例外ではなかった。
「ほら、せっかく新宿に来たんだからさあ。なんかもっと遊びに行かない?」
「なんかって、なによ」
「それは決めてない」
お気楽に断言する葵に、私は少し呆れる。これもいつもの光景だ。少しの間も待たずに、葵は次々と選択肢をあげる。映画館、買い物、いっそ渋谷とか行かない?などなど。
——平凡で、愛おしい日常。
けれど、心の片隅にふと影がさす。私は、このままでいいんだろうか。ふと立ち止まり、視線を上げた。
「やっぱり、ある」
黒い物体が、見える。しかも、段々と近づいている気さえした。
ん?なにが?と葵が覗き込んだ、その瞬間だった。
——晴天の新宿に雷が落ちた。
雷は、私から見てすぐ近く、大体100メートルぐらいの距離に落ちた。ズドォン!という耳をつんざくような爆音がありとあらゆる方向に響く。私はそのあまりの衝撃に、思わず尻餅をついてしまった。
「杏子!だいじょ……」
私に手を差し伸べた葵の言葉が詰まる。私はその手を掴み立ち上がった。
「ありがと、葵」
その返事はなかった。理由はすぐに分かった。
——そこに、いた。
黒い、ロボット。
ビルの6階ほどの高さ。
左手には、大剣。
皆が、その圧倒的な“存在”に吸い寄せられていた。
頭が止まった、というのはこういうことを言うのだろう。私はどう動けばいいか、分からなかった。逃げるべきか?逆に歩み寄るべきか?
時間が経つと、静寂は喧騒へと移り変わり、どこからともなくスマホのシャッター音が聞こえ始めた。誰もが、歴史的瞬間の第一人者であるという自覚を持ち始めたのだろう。
しかし、好奇の音が悲鳴に変わるまでに、そう時間はかからなかった。
ロボットはゆっくりと、大剣を地面から引き抜く。鈍い金属音が空気を震わせた。
私の足が自然と後ろへ動く。手が自然と葵の服の袖を掴んだ。
「葵、逃げ……」
か弱い言葉は、圧倒的な暴力の前にかき消された。だが、ロボットの大剣がデパートのビルを貫いた時、誰もが自分のすべきことを理解したはずだ。
私は葵とともに必死に逃げていた。
足がひっきりなしに前へ進み、肺はフル稼働している。あちこちから悲鳴が聞こえる。まるで競走でも始まったかのように、皆が一斉に同じ方向へ走っている。
逃げないと。
逃げなければ。
死ぬ。
それはきっと、本能と呼ぶべき何かだろう。生きなければならないという、責任感かもしれない。
振り返った。ロボットがこちらへ向かってきている。
ビルというビルを切り裂き、倒壊した建物から人の影が雪のように落ちていく。逃げ遅れた人々が、足元で潰れていく。
血飛沫が見え、目を瞑った時、私は何かにつまづき転んだ。財布がポケットから投げ出され、勾玉が地面に落ちた。
杏子!と葵が叫ぶ。私は擦りむいた膝の痛みを堪えながら、顔を上げた。無情にも人の波が彼女を押し流していく。
「あお……い……にげ……」
ロボットの足音と、降り注ぐ瓦礫の音に、その言葉はいとも容易くかき消された。
——ああ、私はここで終わるんだ。
人生で2度目の後悔が胸を掠める。もっと生きればよかった。もっと笑えばよかった。もっと、もっと、もっと。
しかし、その思考は光に途切れた。
勾玉が、光っていた。眩いほどに。鋭いほどに。まるで命そのもののように。
そうだ。私はなんて馬鹿だったのか。
ここで諦めてはいけない。ここで死んではならない。なぜかそう思えた。
左手がゆっくりと勾玉へ伸びる。ロボットの振動で軽い勾玉が跳ねる。
私は、跳ねた勾玉をグッと握った。光が、爆ぜた。
世界が音もなく反転した。周囲の人影が消えていき、黒いロボットと私だけが静止した空間に残る。
私はゆっくりと立ち上がった。顔が自然と空を向く。
「またなんかある」
上空に、再び黒い点。もしかしたら、黒いロボットの仲間かもしれない。
けれども、心に不安はなかった。
私は勾玉を握った左手を天高く伸ばした。
「来い!白龍!」
私の目の前に雷が音もなく落ちる。瞑った目が再び開いた時、視界にあるものが映った。
白い装甲。
鋭い双眸。
空気を震わせるほどの気配。
——白い、ロボットがいた。
「カ……カフ……なにこれ?」
「ああ、これはね……」
葵が得意げに解説してくれる。あれこれ聞いているうちに、いつの間にか緊張もほどけて、ふっと笑みがこぼれた。
やがて頼む物も決まり、スカートのポケットからスマホを造作もなく取り出す。インスタに流れる情報は、いかにも休日というだけあって、休みにまつわる投稿ばかりであった。
平和な日々、といったらきっとこんな光景を想像するのだろう。そんなことを考えていると、私はふとあることを思い出した。
勾玉だ。
私は財布から勾玉を出すと、テーブルの上にコトンと置いた。葵が眉をひそめる。
「これさあ、弟が拾ってきた勾玉?なんだけど」
「弟くんが拾ったんだあ、へえ」
葵は未知との遭遇みたいに目を丸くした。
「なんか光ったんだよね、仏壇に向けた時に」
「光った?ってことは単なるおもちゃってこと?」
「それがどこにもスイッチとかボタンの類がないんだよね」
「へえ、ふっしぎい」
私は勾玉を左掌に乗せた。光る気配など微塵もない。
やっぱりあれは気のせいだったのだろうか?私は大窓から空を見上げた。ビルが天高く伸びては空を独占している。きっとその一つひとつにも多くの人がいて、生活があるのだろう。
——ん?
ビルのさらに上空。黒い点のようなものが、ほんの一瞬視界を横切った気がした。
気のせい、だよね。不思議とそれを否定したくなった。
雲一つない快晴の日曜日、新宿三丁目の繁華街はいつものように大勢の人でごった返していた。歩行者天国でもある新宿通りのあちらこちらから楽しげな会話が聞こえてくる。私のブルゾンの袖を強く引っ張る葵も、その例外ではなかった。
「ほら、せっかく新宿に来たんだからさあ。なんかもっと遊びに行かない?」
「なんかって、なによ」
「それは決めてない」
お気楽に断言する葵に、私は少し呆れる。これもいつもの光景だ。少しの間も待たずに、葵は次々と選択肢をあげる。映画館、買い物、いっそ渋谷とか行かない?などなど。
——平凡で、愛おしい日常。
けれど、心の片隅にふと影がさす。私は、このままでいいんだろうか。ふと立ち止まり、視線を上げた。
「やっぱり、ある」
黒い物体が、見える。しかも、段々と近づいている気さえした。
ん?なにが?と葵が覗き込んだ、その瞬間だった。
——晴天の新宿に雷が落ちた。
雷は、私から見てすぐ近く、大体100メートルぐらいの距離に落ちた。ズドォン!という耳をつんざくような爆音がありとあらゆる方向に響く。私はそのあまりの衝撃に、思わず尻餅をついてしまった。
「杏子!だいじょ……」
私に手を差し伸べた葵の言葉が詰まる。私はその手を掴み立ち上がった。
「ありがと、葵」
その返事はなかった。理由はすぐに分かった。
——そこに、いた。
黒い、ロボット。
ビルの6階ほどの高さ。
左手には、大剣。
皆が、その圧倒的な“存在”に吸い寄せられていた。
頭が止まった、というのはこういうことを言うのだろう。私はどう動けばいいか、分からなかった。逃げるべきか?逆に歩み寄るべきか?
時間が経つと、静寂は喧騒へと移り変わり、どこからともなくスマホのシャッター音が聞こえ始めた。誰もが、歴史的瞬間の第一人者であるという自覚を持ち始めたのだろう。
しかし、好奇の音が悲鳴に変わるまでに、そう時間はかからなかった。
ロボットはゆっくりと、大剣を地面から引き抜く。鈍い金属音が空気を震わせた。
私の足が自然と後ろへ動く。手が自然と葵の服の袖を掴んだ。
「葵、逃げ……」
か弱い言葉は、圧倒的な暴力の前にかき消された。だが、ロボットの大剣がデパートのビルを貫いた時、誰もが自分のすべきことを理解したはずだ。
私は葵とともに必死に逃げていた。
足がひっきりなしに前へ進み、肺はフル稼働している。あちこちから悲鳴が聞こえる。まるで競走でも始まったかのように、皆が一斉に同じ方向へ走っている。
逃げないと。
逃げなければ。
死ぬ。
それはきっと、本能と呼ぶべき何かだろう。生きなければならないという、責任感かもしれない。
振り返った。ロボットがこちらへ向かってきている。
ビルというビルを切り裂き、倒壊した建物から人の影が雪のように落ちていく。逃げ遅れた人々が、足元で潰れていく。
血飛沫が見え、目を瞑った時、私は何かにつまづき転んだ。財布がポケットから投げ出され、勾玉が地面に落ちた。
杏子!と葵が叫ぶ。私は擦りむいた膝の痛みを堪えながら、顔を上げた。無情にも人の波が彼女を押し流していく。
「あお……い……にげ……」
ロボットの足音と、降り注ぐ瓦礫の音に、その言葉はいとも容易くかき消された。
——ああ、私はここで終わるんだ。
人生で2度目の後悔が胸を掠める。もっと生きればよかった。もっと笑えばよかった。もっと、もっと、もっと。
しかし、その思考は光に途切れた。
勾玉が、光っていた。眩いほどに。鋭いほどに。まるで命そのもののように。
そうだ。私はなんて馬鹿だったのか。
ここで諦めてはいけない。ここで死んではならない。なぜかそう思えた。
左手がゆっくりと勾玉へ伸びる。ロボットの振動で軽い勾玉が跳ねる。
私は、跳ねた勾玉をグッと握った。光が、爆ぜた。
世界が音もなく反転した。周囲の人影が消えていき、黒いロボットと私だけが静止した空間に残る。
私はゆっくりと立ち上がった。顔が自然と空を向く。
「またなんかある」
上空に、再び黒い点。もしかしたら、黒いロボットの仲間かもしれない。
けれども、心に不安はなかった。
私は勾玉を握った左手を天高く伸ばした。
「来い!白龍!」
私の目の前に雷が音もなく落ちる。瞑った目が再び開いた時、視界にあるものが映った。
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——白い、ロボットがいた。
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