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1章
「梵珠山に、神は眠らない」2
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「……今度は何が当たったんだろ?」
最近、懸賞や抽選でよく当たる。
先週は本屋の周年祭のくじ引きで図書カード、その前はネットアンケートで結構お高いイヤホン。
くじ運は普通だと思うが、ここ数週間やけにツキがいい。
買った宝くじも、1等前後賞全部当たるんじゃない?と思うくらいの勢いだ。
仕事帰りに自販機で日課のお茶を買う。
ここの自販機でしか近所では扱いがない商品だが、一度も品切れがない。
私も含め根強いファンが多いのだろうか。
お金を入れ、いつものボタンを押す。
すると
「当たりです。もう一本どうぞ!」
機械音声が当選を明るく告げる。
二本目のペットボトルが落ちてきた。
「えっ……」
年単位で買っているはずなのに、ここの自販機は初めて当選した。
本当にどうなっているのだろう、この運の良さは。
翌日、県立美術館に特別展を見に行く。
受付でチケットを渡すと、「お客様、少しお時間を頂けますか?」と告げ、案内される。
コンビニで買った前売りだったはずだが、偽物だったりしないよね……?
向かった先にはスーツを着た男性数人と、何故か物々しいカメラが何台もこちらを向いていた。
「おめでとうございます! 特別展1万人目のお客様です」
記念品の図録を手渡され、写真まで撮られた。
予想外の出来事に戸惑いながら笑顔を作るが、内心は落ち着かない。
午前中は美術館、昼に館内で軽食を取りその足で隣の三内丸山遺跡に向かった。
道路を挟んで向かいなのだが、そちらでもまるで同じように係員に誘導された。
「おめでとうございます、あなたで1000万人目のお客様です!」
「うそでしょ」
思わず呟く。
私が右手に持っていた図録を見て係員の人が気を利かせて預かってくれた。
ただ、その図録もつい数時間前に同じように頂いた代物だとは、流石に誰も思うまい。
これが偶然なら、私は今日なにか大きなしっぺ返しでも喰らうのかもしれない。
そう思うほど、立て続け過ぎた。
どこかに買い物に寄る気もなく、重い図録と記念品を抱えて帰宅する。
夕飯にはまだ早いからと、パソコンに向かう。
試しにと図録や記念品の価格を探してみるのは小市民あるあるだろう。
検索結果の関連として「火の玉」なんてのも出て来ていた。
流石にお盆には早いし、そもそも三内丸山で遺骨は出てきていても
火の玉が出て来るとは聞いたことが無い。
そう思ってなにげなくクリックしてみた。
火の玉のワードの検索結果に梵珠山と出て来ていた。
そう言えば梵珠山は火の玉伝説があるんだよな、と思い出し
「梵珠山 火の玉 伝承」と入力しなおす、地元の新聞記事や論文が即座にヒット。
昭和末期から火の玉探検とか銘打ってイベントのように開催されているとか。
しかも何故か旧暦7月9日、山頂付近に現れるらしい。
―お盆のおかえりかな?
面白そうだが、子供たちに交じって見に行くのはこの歳でありなのだろうか?
少し考え込んだ。
最近、懸賞や抽選でよく当たる。
先週は本屋の周年祭のくじ引きで図書カード、その前はネットアンケートで結構お高いイヤホン。
くじ運は普通だと思うが、ここ数週間やけにツキがいい。
買った宝くじも、1等前後賞全部当たるんじゃない?と思うくらいの勢いだ。
仕事帰りに自販機で日課のお茶を買う。
ここの自販機でしか近所では扱いがない商品だが、一度も品切れがない。
私も含め根強いファンが多いのだろうか。
お金を入れ、いつものボタンを押す。
すると
「当たりです。もう一本どうぞ!」
機械音声が当選を明るく告げる。
二本目のペットボトルが落ちてきた。
「えっ……」
年単位で買っているはずなのに、ここの自販機は初めて当選した。
本当にどうなっているのだろう、この運の良さは。
翌日、県立美術館に特別展を見に行く。
受付でチケットを渡すと、「お客様、少しお時間を頂けますか?」と告げ、案内される。
コンビニで買った前売りだったはずだが、偽物だったりしないよね……?
向かった先にはスーツを着た男性数人と、何故か物々しいカメラが何台もこちらを向いていた。
「おめでとうございます! 特別展1万人目のお客様です」
記念品の図録を手渡され、写真まで撮られた。
予想外の出来事に戸惑いながら笑顔を作るが、内心は落ち着かない。
午前中は美術館、昼に館内で軽食を取りその足で隣の三内丸山遺跡に向かった。
道路を挟んで向かいなのだが、そちらでもまるで同じように係員に誘導された。
「おめでとうございます、あなたで1000万人目のお客様です!」
「うそでしょ」
思わず呟く。
私が右手に持っていた図録を見て係員の人が気を利かせて預かってくれた。
ただ、その図録もつい数時間前に同じように頂いた代物だとは、流石に誰も思うまい。
これが偶然なら、私は今日なにか大きなしっぺ返しでも喰らうのかもしれない。
そう思うほど、立て続け過ぎた。
どこかに買い物に寄る気もなく、重い図録と記念品を抱えて帰宅する。
夕飯にはまだ早いからと、パソコンに向かう。
試しにと図録や記念品の価格を探してみるのは小市民あるあるだろう。
検索結果の関連として「火の玉」なんてのも出て来ていた。
流石にお盆には早いし、そもそも三内丸山で遺骨は出てきていても
火の玉が出て来るとは聞いたことが無い。
そう思ってなにげなくクリックしてみた。
火の玉のワードの検索結果に梵珠山と出て来ていた。
そう言えば梵珠山は火の玉伝説があるんだよな、と思い出し
「梵珠山 火の玉 伝承」と入力しなおす、地元の新聞記事や論文が即座にヒット。
昭和末期から火の玉探検とか銘打ってイベントのように開催されているとか。
しかも何故か旧暦7月9日、山頂付近に現れるらしい。
―お盆のおかえりかな?
面白そうだが、子供たちに交じって見に行くのはこの歳でありなのだろうか?
少し考え込んだ。
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