見よう見まねで生産チート

立風人(りふと)

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第二章 ベスガ連続誘拐事件 編

取り返したもの 取り返せなかったもの

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ベスガを出て30分ほど。
俺が運転する飛行板。




「みんな大丈夫?気分悪いとかない?」
「うん…」
「大丈夫…」
「クゥン…お腹すいた…」
「ママ…」
「もうちょっとで着くから待ってな。

大丈夫。怖いおじさんはもう捕まえたから。」



子供達が不安にならないように運転しながら声をかけるが、やはり心細いのは変わらないのだろう。

4人全員が俺の背中にピッタリくっついて震えている。



リースからベスガまで歩きで6時間から7時間くらいだから…時速5キロとして30~35キロ。今の飛行板の速度が25~30キロくらいに落としてるから…1時間…ざっくりであと30分ほどで着く計算。


子供達からすれば長いし、子供を満足させるような話術は持ち合わせてない。



こっちの世界には特撮ヒーローもいないし、アニメもない。そもそもTVもねぇラジオもねぇ要するに話題がねぇ


美容院なんかだと天気の話から入りそうなものだが、今は夜。月の話題くらいしか思いつかない。



「そ、そういえば、君たち名前は?」
「ミミ」
「アム」
「レグ」
「クララ」



見たところアムが猫人族、レグが犬人族、ほか2人がヒト族といったところだ。



「アムちゃん、レグちゃん、ミミちゃんにクララちゃんか~、みんないい名前だね~。…」



はい話題切れ。

こういう時は…こういう時は…どうすりゃいいんだ?


何止まってんだ思考スキルよ、早く仕事してくれ。






「みんな今何か食べたいものある?
よかったら作ってあげるよ」
「おにく~」
「おさかなぁ」
「…パンケーキ」
「シチュー…」


肉と魚て…ざっくりしすぎない?と思うが地球でも似たような回答を俺もしたことがある。母さんこんな感情だったんだ…


「分かった。明日のお昼に全部作ってあげるから、楽しみにしててね。
ってレグちゃん!ここでヨダレは垂らさないでね!」


話題に詰まりながらも移動すること約30分。遠目にいつもの詰所が見えてきた。


「【そろそろインビジブル解除して着陸準備に入るよ。】」
「【分かった…】」
「【こっちはいつでも着陸できるぞい】」
「【ほな先に降りてって受け入れの準備してもらってくるわ。

いつ帰るかとかは夜勤の衛兵隊も把握しとらんやろ

セナはん、ちょっち代わってくれへん?】」
「【かしこまりました。
メルタ様、ティールズ様、横に付けて頂くことは可能でしょうか】」




あらら…セナさん跳び乗ってったよ…まぁいいか




「【インビジブル解除】。【全機、降下開始】」




セナさんと匠の移動を確認して徐々に高度を下げていく。


「リョーーくーーん」


夜遅いのに子供より元気にかけてくる新人くんと、後ろからガドマさんと衛兵さん達もついてきている。



「久しぶり…でもないか。あっガドマさんも皆さんも夜遅くすいません。早速で悪いんですが…」
「領主様とアンジェさんから話は聞いているから大丈夫だ。」
「毎度お手間おかけします…」



衛兵達が手分けして何往復かしながら人攫い共を連れて行く。

女性達を苦しめてたあの手枷で右手と左足を繋いでおいた。動けないこともないが絶対に苦労するように。

「リョー君、メルタさんの後ろのだけが今回の犯人で合ってるよね?」
「そうそう。他の女性は被害者の方だから間違えて逮捕しないでね。」
「それにしてもリョー君は犯罪者を生け捕りにするの好きなんだね…」
「ほんと手間かけてごめん。
お詫びと言っちゃなんだけど明日のお昼作ってあげるからさ」
「本当!?」
「リクエストあったら聞くよ」



「リョー君、すまないが今の時間には仮証を発行ができなくてな、この人数を1度に相手するには人手が足りないんだ。

ものは相談なんだが仮設の小屋とかって作れないだろうか?」



確かに衛兵隊の詰所にも入れる人数の限界がある。


街に入れたとしてもこんな夜中に宿が取れるわけもない。


その点、俺なら馬車を数秒で作ることができる。やろうと思えばプレハブ程度ならいくつか作れるかもしれない。



「ちょっとやってみますね」


そういえば木材で作るのは久しぶりかもしれない。ちょっくら気合い入れてみますか。


ガンバー!俺のスキル!







数分後、
「な、なんかすいません」

「君は…詰所と慰霊碑の隣に住む気なのか?」



やりすぎた。

完全に全員引いてる。俺だって引いてる。



確かに気合い入れてスキルを発動したよ。


俺だって小さい小屋が連なってくれたらいいかなって思ってたよ。




そこにあったのは地球でみた二階建てのペンションとか別荘みたいな、小屋にしては大きい建物。それも2軒。


そこにあったはずの木々がゴッソリなくなっている。




「ほ、本当にここまでいくとは思ってませんでした。す、すぐ直しますんで」
「いや…これはこれで大人数が入れそうだから…よし、このままでいこう」


ガドマさんが疲れた顔をしてこちらを見ている。


決めた。明日、絶対ガドマさんも誘おう。































「んんー…ん?朝か…あれ…ここどこだっけ」


えぇーっと確か…ベスガからリースに帰ってきて、家建てて、夜食の雑炊食べて、子供達を寝かしに二階に上がって、一緒に寝っ転がったところまでは記憶がある



あぁ、寝落ちしたのか…



「どういう寝相?」


右腕にアム、左腕にミミ、右足にレグ、左足にクララが絡みついて寝ている。


昨夜は子供達が不安そうにしてるから俺も真ん中に寝っ転がったから、川の字5本バージョンになってるはずなんだけどな…

どんな寝相したら両手両足にそれぞれ抱きついた感じになるの?


起こさないよう慎重に一人一人外していこう。



よしっ左腕開放。次は…おっ 左足放してくれた。


あとは右半身か。左半身の2人と違ってピッタリくっついているから厄介だな…


「んん~~んにゃぁ…」


しぶといな。


「くぅ~~ん…」


右足もダメだ。レグよ頼むから足にヨダレは垂らさないでくれよ


「んっ…むにゃ…にゃ?」
「あ…ごめんな、起こしちゃった?もうちょっと寝てていいよ」


どさくさに紛れて右腕を開放。起き上がって右足も解放。


朝飯作らなきゃ…市場この時間やってるかな?

「ちょっと外行ってくるね」


残りの3人を起こさないようにアムに声をかける。

「いやぁ!アムもいくぅ!」


駄々をこねだした。



だが仮証はもちろん、ベスガの住民証も持ってないこの子を門に通せるはずもないしな…



「んにゅ…?」
「んーん…ん?」


ミミとクララが起きてしまったようだ。


「ごめん」










3人が起きてしまったのでとりあえず、下の階に降りることにした。


まだ寝ているレグを1人置いとく訳にもいかないので抱っこして連れて行く。


下の階にはメイド服のセナさんがいた。


メイドだとは自身で言っていたが、本当に目の前にいるとなんか緊張する。



「おはようございます。リョー様」

「セナさん、おはようございます。早いんですね」
「普段から早起きなものでして。
リョー様もお子様方もご起床ですか」
「ほぼ俺が起こしてしまったようなものです。匠は?」
「タクミ様でしたら小さな厨房で朝食を準備してくださってます。自分もお手伝いさせていただこうとしたのですが、出来てから頼むわと」
「まぁ、屋台で調理するなら2人は少し狭いですからね。」



セナさんに中を任せて、俺は子供達に靴を履かせて外に出る。



「おはよ」
「おはようさん。朝飯ならもうちょいでできるから待っとってな。」
「ごめん。2人に10人近く押し付けた上に、朝食まで作ってもらっちゃって。」
「気にすなや。
料理はワイの趣味みたいなもんやから。

女の人らも毛布渡したらすぐ寝たで。


おっしゃ、できたで。運ぶん手伝ってや」
「任せて。【念動】」
「その運び方ずるない?」
「レグ抱っこしちゃってるから両手塞がってるし、この方が早いからね。」
「まぁええけど」





2軒のペンションではほぼ全員が起きていた。


セナさんと手分けして机を用意したり、料理を並べたり、食器や調理器具を片付けたり。


朝からなかなか忙しかった。
毎日忙しいセナさんはともかく、俺なんか魔法がなかったら完全にへばって倒れてるね。



しばらくは俺もバタバタする気がするので動けるうちに動こう。









一旦、匠に子供達を任せて、ひとまず冒険者ギルドにやってきた。


ギルドマスターのアンジェさんに一声かけておけば、すぐジョセフさんに連絡はいくだろう。


速やかに応接室に通されそうになるのを止めて、ギルドマスターの方を呼ぶ。



「アンタ、調査はどうしたんだい?」
「昨日、犯人とっ捕まえて帰ってきました。


ちょっと大所帯になっちゃったもんで、朝からバタバタしてまして、詳しい報告はまたの機会にさせもらえないでしょうか?」
「できれば早い方がいいんだけど、アンタがそういうってことは相当忙しいみたいだね。

分かったよ。ジョセフにはアタシから伝えとくから」


「それから…メイドさんとかお借りできないですかね」
「何しようってんだい?」
「純粋に人員不足でして…もちろん男の人でも大丈夫です。」
「そういうことかい、それならついでに伝えといてやるよ。場所は?」
「詰所の隣に大きいのが2軒ほど…」
「どうせまたアンタが作ったんだろ。詰所以外って墓と木くらいしかなかったはずだからね」
「ご名答」
「ここまできたら驚かなくなってんだよ。まぁいい、マリーあたりに様子見に行かせるよ。昼前くらいでいいかい?」

「お願いします。では俺はこれでっ」


ギルドを後にし、市場に行く。


シチューとパンケーキは確定だけど、肉と魚料理か…魚フライとハンバーグでいくか。


魚フライは衣つけてあげるだけ、ハンバーグも具材が揃えばこねて鉄板でも焼ける、煮込むもよし。決定!


早速、市場中を駆け回って人数分よりちょっと多めに買い込んでおく。











「匠、屋台貸して」
「え?構へんけど、どないしたん?」
「昼は俺が作るって子供達に約束しちゃってさ。どうせなら全員分作っちゃおうと思って。」
「それならワイも手伝うわ」
「助かる~

ハンバーグの材料ってさ………」




実際、作り方だけ知ってる俺からすると経験のある匠のサポートはありがたかった。


生活スキルの補正もあり、次々と料理が揃っていく。
























「リョーさん、お疲れ様です。」
「マリーさん、それにスチュアートさんやメイドさん達も急に呼び出してすいません。」
「いえいえ、給仕でしたら私共の得意分野でございます。それに元はといえば旦那様がリョー様に依頼したわけでございますゆえ、こういった場合には私共が動くのは当然のことなのです。旦那様からもよろしく伝えるようにことづかっております。」
「助かります。
早速なんですが、今は中で衛兵隊の皆さんが仮手続きをしてます。もうそろそろ休憩になるそうですので、そこからを皆さんに手伝ってもらいたいです。」

「ゥァアアアアアアアン!!」
「マァーーーマァーー!」


家の中から響く雄叫び。


「今の声…アムとレグか!皆さんすいません!ちょっと行ってきますっ」



子供達にはフィリップがついていたはずだ。


あの小僧…!何しでかした!?









ガチャっ


「リョー君、助けて」
「フィリップ…何泣かせたの。とりあえず子供達は?」
「こっちに…」



二階に上がるとセナさんに抱きついて泣いているアムとレグ、そこから離れて目を赤くしたミミとクララがいた。



「申し訳ありませんリョー様、私がついていながら…」








「なんとなく理解した。とりあえずフィリップと衛兵さんこっちこようか」


子供達に分からないよう青筋を立てた俺は、オロオロしている衛兵さんとフィリップを部屋の外に正座させ理由を問い詰める。


聞くと、レグが男の子なのとアムとレグがなのまでは分かって、種族を確認するためにお父さんお母さんの話をした途端泣き出したとのこと。



「そりゃ泣くよ。訳わかんない環境に放り込まれて寂しかったんだから…

子供とあまり接したことのない俺だってうっかり口にしないようにしてたのに。

衛兵が2人もついていながら、子供相手にど直球に聞くのはどうなんですか ねぇ!」
「ヒッ ごめんなさい」
「面目ないです。ハイ」

ハァ…
「とりあえず子供達は俺が話聞くから、2人は後ろの方…廊下で黙って調書書いてなさい」
「はい」
「絶対口開きません。」


「確かメルタかティールズならまだインカムつけてたな、【……あ、匠に他の人の分は昼飯の準備進めるように言っといてくれない?うん、たのむね~】」




カチャッ


俺が入るのを見て退室しようとするセナさん


「セナさんはそのままで。

アム、レグ、ミミ、クララ、おいで」
部屋に入って両腕を広げて4人を呼ぶ。

「…え」「ひっく…」「ん…」「?」
「いいから。おいで?」


4人がゆっくりと俺の近くまで来たので4人同時に優しく抱きしめてやる。


「ごめんな。気づいてあげられなくて、寂しかったよな、怖かったよな…

もう大丈夫。お兄ちゃんが一緒にいるから、お家に帰れるまではみんなといるから。」


アム、レグに加えミミとクララも俺の胸に顔をうずめて震えている。

みんな我慢していたのだ。


普通ならいるはずの親がいない。子供からすればかなりの負担になる。


ならば一時的にでも俺がその負担を背負ってあげるしかない。


「アム、レグ、ミミ、クララ
みんなのママやパパのこと聞かせて?あの衛兵さんがお家の人探してくれるって」



「ママはね………」





少しはマシな聞き方になっただろう、ミミとクララが家や両親のことを教えてくれた。






「アムとレグのお家はどんなのかな?」
「パパはレグがあかちゃんのときにおそらにいっちゃった…。

ママはくらいへやにいたんだけど…きゅうにつれていかれちゃって…」
「そうなんだ…」




人攫いどもによって売り飛ばされたか、片方の暴君によって殺されたかは不明だが、この子達に親も帰る家もないのは明らかだ。




帰る家がない子達は孤児院とかに預けられるっていうのが基本だ。だがそれで2人にとっていいのかどうか。



「んんーーじゃあアム、レグ。俺の妹と弟になる?」
「え?」
「?」
「2人のママがどこへ行っちゃったのかは分からない。
それだとアムとレグは2人だけになっちゃうだろ?ずーっと寂しいままだ」
「いやぁ!さみしいのいやぁ」
「ママいないのこわい…」
「だから、俺が2人のお兄ちゃんになろうか」
「おにいちゃん?」
「にいちゃん?」
「そう、3人いれば寂しくないよ。
それに3人だけじゃないよ、喋る鳥さんだっている。大きいおじちゃんもいる。
みんなで家族にならない?」
「かぞく…なる」
「にいちゃん…いる」

「ミミもクララも妹だよ。
お家に帰るまでみーんな家族だぞ。」



ギューーーーっ


こうして、俺には血はつながらない妹たちができちゃった。
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