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HO6.使徒の誇り 前編(4話)
2.敵の懐
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「天啓を果たす会」。
そのあんまりにも安直なネーミングに、杏は唖然としたが、よく考えれば、わかる者にはわかり、わからない者には「ちょっと変な人たちだけどすごくやばい感じではない」くらいの、遠巻きにされる程度の警戒心しか与えない絶妙なラインだと言うことに思い至った。
(浪越さんたちに知らせないと……)
そのためには、まずは彼女と距離を取らないといけない。スマートフォンを取り出しながら、
「じゃあ僕はこれで」
「お待ちください!」
女性は杏の鞄を掴んで引き留めた。
「あなたは特別な『使命』を授かっていますね」
「そうかもしれませんが、あなたには関係ありません。そうだ、僕、これから検査を受けるんです。良かったらあなたも」
病院は事情を知っている。少なくとも、杏を検査する技師や医師はそうだ。だから、「この人も『天啓』持ちです!」と言えば対応してくれるかもしれない。
「私はどこも悪くありませんよ! おかしいのはあなたです」
「僕のどこがおかしいって言うんですか?」
ややむっとして、杏は問い返した。通行人がこちらを見ているが、声を掛けてくる様子はない。平均的な身長の若い男性である杏と、小柄な中年の女性では、明らかに杏の方が有利だから、自分でなんとかするだろう……と言う判断なのだろう。何故わかるのかと言うと、杏もそうやって素通りした経験があるからだ。
しかし、何人かは立ち止まってこちらを見ている。誰か、誰か、駅員のいる改札か交番にでも走ってくれないか。そんな期待を抱く。
「私たちは『使命』を授かったのですよ? それなのに、何も行動を起こさないと聞いています。そんなことは間違っています。『使命』を果たすことの意義を、イオタ様がご自身であなたに教えて差し上げると仰っています」
まずい。イオタの所に連れて行かれる。
「ええと、僕待ち合わせをしているので」
「関係ありませんよ! あなたを救ってあげようって言ってるのに!」
杏は哲夫の電話番号を呼び出して発信した。もうなりふり構っていられない。
『はい。国成です。神林さんどうしたんだ?』
「今病院最寄りにいるんです! イオタの部下に絡まれています!」
「なんてことを!」
女性が金切り声を上げて、杏の端末を叩き落とした。
「ちょっと! 何するんですか!」
『どういうことだ! 神林さん!』
杏がそれを拾おうとしゃがむ前に、爪を飾った別の手が伸びてきてスマートフォンを拾い上げた。通話が切られる。
派手な格好をした女性だった。彼女もやはり、杏を警戒するような目で見ている。
「返してください」
「いけませんよ。それでは、あなたが救われません」
立ち止まってこちらを見ていた通行人たちが近寄ってくる。助かった、と安堵しかかった杏だが、その人たちの目つきを見て顔がこわばった。
皆、一様に、杏を「畏怖すべき対象」として、それでも立ち向かおうとしている。そんな顔をしていた。
(この人たち……みんな『天啓』を受けてるんだ!)
そう確信するのに十分な表情。
囲まれた。
こうなったらもう逆らえない。杏は促されるままに、周りについて歩き始めた。
◆◆◆
一方、多摩分室。
「どういうことだ! 神林さん!」
国成哲夫は、イオタの部下に絡まれている、と連絡を入れてきた杏との通話が突然切れて呆然とした。ただならぬ気配を察した浪越テータがすっ飛んでくる。
「神林さんがどうしたんですか?」
「わからない。突然電話が掛かってきて、『病院最寄り駅でイオタの部下に絡まれている』って。どうもスマホをそいつらに取られたみたいですぐに切れた」
「なんですって」
テータの声に怒気が滲んだ。
「本部に連絡して警察にも手配してもらう」
「そうしてください。私たちも行きましょう」
「そうだな」
まずは病院の最寄りへ行き、そこから手がかりが見つければ杏を追いたい。本当は待機するべきなのだろうが、テータのこの気迫を見ていれば、一人でも行ってしまいそうだったし、哲夫自身、いてもたってもいられない気持ちになっていた。
杏は、最初は「天啓」を受けた被害者の一人であり、監視対象でもあったのだが、いくつもの事件をともに解決し、彼の人柄に触れた今となっては、もう身内同然である。
大人しくて少し抜けているようだが、意外と好奇心旺盛で、思い切ったこともやり、また優しい彼のことを、哲夫は部下として、また仲間として頼ってもいるのだ。
それは杏が「天啓発見器」と言うべき特性を持つからではない。
「行こうか」
「ええ」
二人は鞄を持って分室を飛び出した。
◆◆◆
「じゃあ、私たちは後から電車で」
「はい、気をつけて」
最初に声を掛けてきた女性が、杏に付き添って乗用車に乗り込んだ。運転席には、既に年嵩の男性が乗っている。彼はやはり、杏を見て怯えた顔になった。
「こ、この人が……」
「そうですよ。この方が上位の『使命』を受けた救済者。イオタ様から『祝福』を受けるべき方です」
「祝福」……またぞろ新しいワードが出てきた。
どうやら、五百蔵イオタは、「天啓を果たす会」において、教祖的な会長だけでなく、聖職者のような役割も担っている……らしい。
「イオタ様という人はどんな人なんですか? どうして僕のことを?」
杏は努めて穏やかな声で尋ねてみた。
「皆さんがそんなに慕うのですから、さぞ素晴らしい方なんでしょうね?」
嫌みに聞こえないか、と一瞬ひやりとしたが、女性はニコッと笑顔を見せた。
「ええ! それはもう! ああ、申し遅れました。私は吉益と申します。さっきはごめんなさいね? でも、イオタ様の仰った通りだった。あなた絶対に嫌がると思ったから。でも、大丈夫よ。あなたは本当のことをわかってないだけ。イオタ様からのお話を聞けば、来て良かったなぁって思うはずですからね」
吉益はぺらぺらとしゃべり出した。それはイオタがいかに素晴らしいかと言う話だったが、テータたちから聞いたイオタ像とは異なる。思いやりがあり、人の悩みには真摯に向き合い、助言をくれる……。
(演技なんだろうな……)
テータがあんなに悪し様に言うのだから……。
(それにしても……「祝福」って、イオタは僕に何をする気なんだ?)
車でしばらく走ると、大きな一戸建てに到着した。駐車場に車が入ると、吉益は杏を促して降りる。彼女はがっちりと彼の腕を掴んでいた。運転手の男性も、後ろに近い距離を保って着いてくる。吉益を振り払うのは、物理的には簡単だが、彼女が怪我をするかもしれない……と思うと躊躇われた。
広い庭もある。一体誰の家なのだろうか……。
「空き家を借りてるんですよ。イオタ様は、使い道のない空き家も救ってあげたいと。人間だけではなくて、ものにまで! なんて慈悲深いお方」
「空き家って、こんなに大きくて立派な所もあるんですね」
「そうなの。持ち主の方が亡くなって、すぐにお子さんが活用事業に提供したみたいで……」
などと話している間は、極めてまっとうな受け答えをする吉益。彼女は、イオタに出会わなければ一体、誰を救おうと奔走したのだろうか……。
吉益は自分の鞄から鍵を取り出して玄関のドアを開けた。
「吉益さんたちはここに住んでいるんですか?」
「住んでいる人もいます。私は主人がいますので家に帰らないと」
「旦那さんって、奥さんのこういう活動に理解のない人いるじゃないですか? 吉益さんとこは大丈夫ですか?」
「あら、よく知ってるわね」
吉益はころころと笑う。
「最初はなんか言ってたけど、無視しちゃった。そしたら何も言わなくなったわよ」
いたずらっぽい笑み。どうやら、元々チャーミングな人だったのだろう。彼女が治療を受けたら、改めておしゃべりしてみたい……と、杏は感じた。
吉益は客用らしい立派なスリッパを杏に履かせると、廊下をスタスタと歩いた。
「お手洗いはここと、あと向こうにもう一箇所」
(広いな)
杏はもう場所がわからなくなりそうだったが、吉益は迷う様子もなく彼を先導する。運転手をしていた男性は、無言で後ろから着いてきていた。
「ええと、あなたは……?」
杏は男性を振り返り、尋ねる。
「……木戸です」
「こんにちは」
「……」
気味悪そうな顔で見返されるだけだった。まあまあ傷つくな……と思いながら、杏は吉益に手招かれて、一つのドアを潜った。
「イオタ様」
執務室。そう呼ぶのがふさわしい内装だった。こちらを向いた机には、逞しく、彫りの深い顔立ちをした男性が座っている。
「上位の『使命』を受けた救済者の方をお連れしました」
「ありがとう、吉益さん、木戸さん。木戸さんはもう良いですよ」
「……失礼します」
木戸はあっさりと退出する。
「彼はね、なかなか人見知りで」
男は……五百蔵イオタはそう言って杏に笑いかけた。
「初めまして、神林杏くん。私が『天啓を果たす会』の代表、五百蔵イオタです。どうぞお見知りおきを」
そのあんまりにも安直なネーミングに、杏は唖然としたが、よく考えれば、わかる者にはわかり、わからない者には「ちょっと変な人たちだけどすごくやばい感じではない」くらいの、遠巻きにされる程度の警戒心しか与えない絶妙なラインだと言うことに思い至った。
(浪越さんたちに知らせないと……)
そのためには、まずは彼女と距離を取らないといけない。スマートフォンを取り出しながら、
「じゃあ僕はこれで」
「お待ちください!」
女性は杏の鞄を掴んで引き留めた。
「あなたは特別な『使命』を授かっていますね」
「そうかもしれませんが、あなたには関係ありません。そうだ、僕、これから検査を受けるんです。良かったらあなたも」
病院は事情を知っている。少なくとも、杏を検査する技師や医師はそうだ。だから、「この人も『天啓』持ちです!」と言えば対応してくれるかもしれない。
「私はどこも悪くありませんよ! おかしいのはあなたです」
「僕のどこがおかしいって言うんですか?」
ややむっとして、杏は問い返した。通行人がこちらを見ているが、声を掛けてくる様子はない。平均的な身長の若い男性である杏と、小柄な中年の女性では、明らかに杏の方が有利だから、自分でなんとかするだろう……と言う判断なのだろう。何故わかるのかと言うと、杏もそうやって素通りした経験があるからだ。
しかし、何人かは立ち止まってこちらを見ている。誰か、誰か、駅員のいる改札か交番にでも走ってくれないか。そんな期待を抱く。
「私たちは『使命』を授かったのですよ? それなのに、何も行動を起こさないと聞いています。そんなことは間違っています。『使命』を果たすことの意義を、イオタ様がご自身であなたに教えて差し上げると仰っています」
まずい。イオタの所に連れて行かれる。
「ええと、僕待ち合わせをしているので」
「関係ありませんよ! あなたを救ってあげようって言ってるのに!」
杏は哲夫の電話番号を呼び出して発信した。もうなりふり構っていられない。
『はい。国成です。神林さんどうしたんだ?』
「今病院最寄りにいるんです! イオタの部下に絡まれています!」
「なんてことを!」
女性が金切り声を上げて、杏の端末を叩き落とした。
「ちょっと! 何するんですか!」
『どういうことだ! 神林さん!』
杏がそれを拾おうとしゃがむ前に、爪を飾った別の手が伸びてきてスマートフォンを拾い上げた。通話が切られる。
派手な格好をした女性だった。彼女もやはり、杏を警戒するような目で見ている。
「返してください」
「いけませんよ。それでは、あなたが救われません」
立ち止まってこちらを見ていた通行人たちが近寄ってくる。助かった、と安堵しかかった杏だが、その人たちの目つきを見て顔がこわばった。
皆、一様に、杏を「畏怖すべき対象」として、それでも立ち向かおうとしている。そんな顔をしていた。
(この人たち……みんな『天啓』を受けてるんだ!)
そう確信するのに十分な表情。
囲まれた。
こうなったらもう逆らえない。杏は促されるままに、周りについて歩き始めた。
◆◆◆
一方、多摩分室。
「どういうことだ! 神林さん!」
国成哲夫は、イオタの部下に絡まれている、と連絡を入れてきた杏との通話が突然切れて呆然とした。ただならぬ気配を察した浪越テータがすっ飛んでくる。
「神林さんがどうしたんですか?」
「わからない。突然電話が掛かってきて、『病院最寄り駅でイオタの部下に絡まれている』って。どうもスマホをそいつらに取られたみたいですぐに切れた」
「なんですって」
テータの声に怒気が滲んだ。
「本部に連絡して警察にも手配してもらう」
「そうしてください。私たちも行きましょう」
「そうだな」
まずは病院の最寄りへ行き、そこから手がかりが見つければ杏を追いたい。本当は待機するべきなのだろうが、テータのこの気迫を見ていれば、一人でも行ってしまいそうだったし、哲夫自身、いてもたってもいられない気持ちになっていた。
杏は、最初は「天啓」を受けた被害者の一人であり、監視対象でもあったのだが、いくつもの事件をともに解決し、彼の人柄に触れた今となっては、もう身内同然である。
大人しくて少し抜けているようだが、意外と好奇心旺盛で、思い切ったこともやり、また優しい彼のことを、哲夫は部下として、また仲間として頼ってもいるのだ。
それは杏が「天啓発見器」と言うべき特性を持つからではない。
「行こうか」
「ええ」
二人は鞄を持って分室を飛び出した。
◆◆◆
「じゃあ、私たちは後から電車で」
「はい、気をつけて」
最初に声を掛けてきた女性が、杏に付き添って乗用車に乗り込んだ。運転席には、既に年嵩の男性が乗っている。彼はやはり、杏を見て怯えた顔になった。
「こ、この人が……」
「そうですよ。この方が上位の『使命』を受けた救済者。イオタ様から『祝福』を受けるべき方です」
「祝福」……またぞろ新しいワードが出てきた。
どうやら、五百蔵イオタは、「天啓を果たす会」において、教祖的な会長だけでなく、聖職者のような役割も担っている……らしい。
「イオタ様という人はどんな人なんですか? どうして僕のことを?」
杏は努めて穏やかな声で尋ねてみた。
「皆さんがそんなに慕うのですから、さぞ素晴らしい方なんでしょうね?」
嫌みに聞こえないか、と一瞬ひやりとしたが、女性はニコッと笑顔を見せた。
「ええ! それはもう! ああ、申し遅れました。私は吉益と申します。さっきはごめんなさいね? でも、イオタ様の仰った通りだった。あなた絶対に嫌がると思ったから。でも、大丈夫よ。あなたは本当のことをわかってないだけ。イオタ様からのお話を聞けば、来て良かったなぁって思うはずですからね」
吉益はぺらぺらとしゃべり出した。それはイオタがいかに素晴らしいかと言う話だったが、テータたちから聞いたイオタ像とは異なる。思いやりがあり、人の悩みには真摯に向き合い、助言をくれる……。
(演技なんだろうな……)
テータがあんなに悪し様に言うのだから……。
(それにしても……「祝福」って、イオタは僕に何をする気なんだ?)
車でしばらく走ると、大きな一戸建てに到着した。駐車場に車が入ると、吉益は杏を促して降りる。彼女はがっちりと彼の腕を掴んでいた。運転手の男性も、後ろに近い距離を保って着いてくる。吉益を振り払うのは、物理的には簡単だが、彼女が怪我をするかもしれない……と思うと躊躇われた。
広い庭もある。一体誰の家なのだろうか……。
「空き家を借りてるんですよ。イオタ様は、使い道のない空き家も救ってあげたいと。人間だけではなくて、ものにまで! なんて慈悲深いお方」
「空き家って、こんなに大きくて立派な所もあるんですね」
「そうなの。持ち主の方が亡くなって、すぐにお子さんが活用事業に提供したみたいで……」
などと話している間は、極めてまっとうな受け答えをする吉益。彼女は、イオタに出会わなければ一体、誰を救おうと奔走したのだろうか……。
吉益は自分の鞄から鍵を取り出して玄関のドアを開けた。
「吉益さんたちはここに住んでいるんですか?」
「住んでいる人もいます。私は主人がいますので家に帰らないと」
「旦那さんって、奥さんのこういう活動に理解のない人いるじゃないですか? 吉益さんとこは大丈夫ですか?」
「あら、よく知ってるわね」
吉益はころころと笑う。
「最初はなんか言ってたけど、無視しちゃった。そしたら何も言わなくなったわよ」
いたずらっぽい笑み。どうやら、元々チャーミングな人だったのだろう。彼女が治療を受けたら、改めておしゃべりしてみたい……と、杏は感じた。
吉益は客用らしい立派なスリッパを杏に履かせると、廊下をスタスタと歩いた。
「お手洗いはここと、あと向こうにもう一箇所」
(広いな)
杏はもう場所がわからなくなりそうだったが、吉益は迷う様子もなく彼を先導する。運転手をしていた男性は、無言で後ろから着いてきていた。
「ええと、あなたは……?」
杏は男性を振り返り、尋ねる。
「……木戸です」
「こんにちは」
「……」
気味悪そうな顔で見返されるだけだった。まあまあ傷つくな……と思いながら、杏は吉益に手招かれて、一つのドアを潜った。
「イオタ様」
執務室。そう呼ぶのがふさわしい内装だった。こちらを向いた机には、逞しく、彫りの深い顔立ちをした男性が座っている。
「上位の『使命』を受けた救済者の方をお連れしました」
「ありがとう、吉益さん、木戸さん。木戸さんはもう良いですよ」
「……失礼します」
木戸はあっさりと退出する。
「彼はね、なかなか人見知りで」
男は……五百蔵イオタはそう言って杏に笑いかけた。
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