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私の罪
しおりを挟む「私のことを愛してくれた人は、みんな死んでしまうわ。」
馬鹿みたいなことを大声で叫んで、姉さんはうずくまって、わんわんと泣き出した。
姉さんに1番よくしてくれていた、姉さんが1番大好きだった、祖母の霊柩車が行ってしまった直後だった。
母さんは、姉さんを産んだときに死んでしまった。『運が悪かった。』ただそれだけの、よくある話だった。
だけど父さんは、母さんのことが大好きだった父さんは、その言葉で片付けることができなかった。
『お前のせいで、母さんが死んだ。』
その思いに囚われてしまった父さんは、姉さんに常にきつく当たっていたんだ。
そんなことをしたって、母さんは帰ってこないのに。
だから姉さんは、祖母にとても懐いていた。唯一、姉さんに優しくしてくれる人だったから。
祖母は、母さんのお母さんだったが、母さんが死んでしまったことは、どうしようもないことだったことをよく理解していた。
姉さんが、父さんのせいで泣いているといつも「しゃあないこともあるもんさ。」と優しく笑っていた。
そんな祖母が、死んでしまった。
姉さんは、一人ぼっちになったのだ。
ああ、なんて可哀想な姉さん。
可哀想で、可愛い姉さん。
「姉さん、そんなこと言わないで。」
私は、うずくまる姉さんの肩を抱いて強く引き寄せた。
こと、と姉さんの濡れた、暖かい頬が私の首筋に触れた。
「…ねえ、あなたは、私を愛したらだめよ。」
「愛せるわけないよ。姉さんは、人殺しなんだから。」
「…そう、そうよね。…ありがとう。」
そう言って、姉さんは私の腕の中で再び、今度は静かに泣き出した。
ああ、本当に可愛い姉さん。
姉さんを愛したことで死ねるなら、私は他の何で死ぬよりも幸せなのに。
姉さん、私は、姉さんに許されなくても、姉さんのことを愛してるよ。
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