THIRD ROVER 【サードローバー】オッサンのVRMMOは異世界にログインする

ケーサク

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紅蓮のコロッセオ

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 不安そうなリアスに背を向け、火の海に包まれた闘技場を見下ろす私の表情はリアスを遥かに凌駕するほど不安に覆われている。
 嗚呼、ヒバチは確かに良いやつだけどもまさか火の海に飛び込む羽目になろうとは、正直言ってここまでの覚悟で乗り込んできたわけではないが私が行かなければリアスはきっと何も考えずに突撃してしまうだろう。
 要はやるしかないのだよ。私。

「おし、行くか」

 そう呟いた私が覚悟を決めたその時、火の海の闘技場内の戦況が変わった。

「これで終わりや!!じゃあな半端野ろっ!?

「フィィィィウォォォォ!!」

「良いところでなんや!?」

「ビィウォッ!!」
「ギャ!!犬!?この【フレイムフィールド】の中をどうやって?」

「フィゴッ!!」
「グッ!痛ったいのうさっきから!!いきなし噛んだり蹴ったり」

「ビィゴッ!!」
「舐めんなや!!」

「あかん!!マロ坊!逃げっ」

「キャウィッ……」

「マロ坊ぉぉぉぉ!!」

 私の位置からは火の海に阻まれ何が起こっているのかまったく見えない。
 だが、ロールギルドのギルドマスターがヒバチを助けに入ったマロフィノに攻撃をしたとういうことだけは理解できた。

「マロフィノ!!勝手に何をしておるんじゃ!返事をせぬか!無事かマロフィノ!?」

 リアスの叫び声にマロフィノの返答は無かったが炎が大きく揺れて、代わりに女性の声が返事をする。

「なんや、そんなとこにもお仲間がおったんかい。次ぃヒバチぶち殺したらそっち行ったるから、そこでおとなしゅう待ってろや」

 次……ロールギルドのギルドマスターは確かにそう言った。

 それはつまり、すでにマロフィノを……。

 一瞬で沸騰した私の血が一気に頭まで沸き上がる。

「赤髪のババァが火遊びしてはしゃいでんじゃねぇぞ!!」

「タタラ!?」
「あかんでタラちゃん!」

「あんだと!?火葬すんぞこのクソガキャァ!!」

 私はこみ上げる感情を抑えきれず闘技場の火の海に飛び込み一直線に赤髪ババァに突進して行く。

「やってみろよ、来いベルググ」

『久しぶりに呼んだと思ったらまた強敵か?』
「黙れ」

『へいへい、どうか熱くなりすぎませんようにご主人様』

 ベルググの軽口がさらに私の怒りを増幅させる。
 両手剣スキル奥義【龍剣】地面を蹴る足がオーラの爆発の推進力を得て加速し体全体を包む龍をかたどったオーラが闘技場を覆う炎を掻き分け赤髪ババァに突っ込んで行く。

「焼き尽くしたる!火魔法【火炎放射フレイムスロウ】」

 赤髪ババァの突き出した手のひらから火炎放射器のごとく炎が放出された。

「タラちゃん!!」

 雷魔法【ディスチャージ】

 龍のオーラが電撃を纏い火炎放射をかき消しそのままの勢いで赤髪ババァを捉える。

「くらえ!!戦陣【雷龍】」

 剣先が赤髪ババァに当たるかと思った瞬間。赤髪ババァの姿は揺らめきながら炎の中に消えた。

「なっ!?」

「わざわざ受けてやると思ったんか?」

 炎の中から赤髪ババァの半笑いの声がする。
 自分は余裕があるつもりでそう言ったのだろうが、つまり当たればそれなりにダメージがあると言うことなんじゃないだろうか。
 だけど今はそんなことはどうでも良い。

「マロフィノ大丈夫か!?」

「タラちゃん!マロ坊ならコッチや早う来てくれ!」

 メニュー起動、装備お気に入り2。
ベルググを引っ込めて魔導散弾銃ブルームに武器変更し、声の方向かって走るとしゃがみこんだヒバチの足元で口から血を流した意識のないマロフィノが横たわっていた。

「今直してやるからな!」

 私は急いで回復魔法かける【ハイパーヒール】回復がうまく済んだのか、マロフィノは穏やかに呼吸を始めたが、体の中にかなりのダメージを負っていたためか意識は戻らず眠ったままだ。

「マロ坊楽そうになったで!さすがやでタラちゃんや……ちゅーか、アンタ等何追いかけて来てねん!巻き込まんように気ぃ使うたのが意味ないやん」

 マロフィノの心配ばかりか私の身を案じて怒った口調になるヒバチだったが、自分自身も全身に火傷を負いかなり瀕死の状態であった。私は無言でヒバチにも【ハイパーヒール】をかけるとボロボロだったヒバチの体から火傷が消えだいぶ体力も回復したようだ。

「聞きたいことがいっぱいあるけど、とりあえずアイツが消えた理由が分かるか?」

「ワイも詳しいことはわからへんが姉御は炎の中に隠れるスキルを持ってるんや……ちゅーか!シカトかいな!!」

 炎に隠れるか、実体がないとかそういうこととは違うと思うけど特殊スキルか……厄介だな。

「姉御は魔法に長けた人種【狐人フォクシー】や。その中でも赤毛のフォクシーは【焔狐人フレアフォクシー】言われて、かなり戦闘能力に長けておる、その中でも
「ダァ!!種族値が高いのはもう分かった!とりあえずヒバチこれ付けろ、つけたらマロフィノ連れて逃げるぞ!援護する」

 私は装備していた【炎の指輪】を半分ヒバチに手渡した。

「魔法道具かいな!?おおきにぃ……ってちゃうわ!!これはワイの問題やで!後からしゃしゃり出てきて何ゆうとんねんタラちゃん」

 まぁ確かにヒバチの言う通りなのだが、マロフィノもヒバチもなんとか無事だったしここは全員五体満足のうちにさっさと逃げ貰わねば……。
 しかし妙だ、こんなに隙だらけでしゃべっているのになぜ赤髪ババァは
「なんで襲って来ぃへんねん?か」

 私は驚き振り返り声の主を探すが炎が揺らめいているだけだ。

「ワイ等をおちょくって笑ってんねん」

 おちょくっている?だったら声を掛けるより攻撃をした方が効果的だと思うのだが、まぁ不気味という点では効果はあるけど。

「とりあえず行くぞヒバチ!」

「だからタラちゃんワイは行かへんで」
「あのなぁ!何も知らないままなら別にあれだけど、俺との試合に負けたせいでこんな目に合ってるのを知って放っておけるかっつーの」
「でもなタラちゃん」

「よし分かった!俺たちの意思を組んで1回一緒に逃げてくれ、そしたら後は戻って来ようがどうしようがお前の勝手つーことで」

「どっ……どんな理屈やねん」

「こんな理屈だ!つーかもともとはトンズラしようとしてただろうが、いいから行くぞ!」

「それもそうやな……って!?タラちゃん!?待ちぃや!!」

 切り替えの早いヒバチを先導してマロフィノを抱えながら闘技場の出入り口に向かい火の海の中を走り出した。
 出入り口まで後2・3メートルというところで私の目の前の炎が大きく揺らめき突如、金棒を持った赤髪ババァが現れた。

「逃げれると思ったんか!!」

 攻撃してこない理由は定かではないが、逃げようとすれば目の前に立ちはだかって来る確率が高いと踏んでいた私は即座に、雷魔法【スタン】突き出したブルームの先から放たれた電撃が赤髪ババァにまとわりつき一時的に自由を奪う。

「グッ!?なんや……コレは」

「今だヒバチ!!突っ切るぞ!!」
「なんや知らんが行ったるで!ウオオオオ!!」

「まっ……たん……」

 電撃に行動不能になった赤髪ババァの横をマロフィノを抱え走り去ろうとした時。

「タラちゃん!避けぇ!!」

 ヒバチの声に咄嗟に急ブレーキ&後ろ飛びをした私の鼻先を巨大ハンマーのような風圧を纏いながら赤髪ババァの振った金棒が通過していった。
 【スタン】で2・3秒は拘束できると踏んでいたのだが、どうやらフォクシーという種族はかなり魔法耐性が強いらしい。
 私は戦闘プランをたてるため電気の拘束が完全に解けきる前に赤髪ババァを解析する。

  鑑定スキル【解析かいせき】 【 名前 】  イオタ・スループ
【  レベル  】 480

「テメェ、やってくれるやんけ」

 さて、これはやってしまったかも知れない。
 現在の私のレベルが88……うん、これは完全にやってしまったな。そりゃそうだよなぁギルドマスターだもんな、エヴァさんまではいかなくてもこのくらいはあって然りだわなぁ。
 何秒、持つかなぁ。

「なんやテメェさっきから何ブツブツ言うとんねん」

「あれ、声出てました?すみません」
「ふざけとんのかワレぇ!!」

 やっべ、さらに怒らせてしまった。こうなったらさっさと火の海を移動するスキルの全容を把握しなくては。

「まずいでタラちゃん」
「そうだな」

 さて……どうしたものか。



 
 
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