THIRD ROVER 【サードローバー】オッサンのVRMMOは異世界にログインする

ケーサク

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出航

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「来いというから来てやればなんじゃ!その態度は!!」
「ガキはお呼びじゃないんだよ!!帰れ!!」
「なんじゃとぉ!!だったら帰る前にお前を大地に返してやる!!」
「ちょっちょっちょっ!!そこまでそこまでストップストップ、リアスさんこんな港で魔法ぶっ放さないくださいね」
「どけ!タタラ!そんな髭もじゃバンダナなんぞ一瞬で葬ってくれるわ!!」
「ヤレるもんならヤってみろ!この洗濯板が」
「ぷっ!あははっ……はっ!!」

「ほう、何がそんなに面白いか知らぬが洗濯板がそんなに面白いか?えっタタラよ」

「アンタのせいで飛び火してんじゃねぇか馬鹿野郎!」
「はああっ!?完全に自業自得だろうが」

 私達は今、世界を旅する巨大船舶が集まるジング王国イストアのターミナル港で、揉めていた。
 事のあらましはこうだ。ダム会長からもらった資料を頼りにバーム海域の調査船【ブラックオニキス号】を探し船員らしきこの髭もじゃバンダナにギルドから派遣された冒険者である旨を説明するも唐突に私達を追い返そうしたのでリアスが怒ったというものである。

「どうしたフィット、揉め事か」
「船長!聞いてください、コイツら船のことをコソコソ嗅ぎ回ってしかもギルドから来た冒険者だから船に乗せろって言い出しまして」

 髭もじゃバンダナの後方から現れ船長と呼ばれた男は、恰幅の良い体格で端整な顔立ち、ワインレッドのコートを羽織りいかにも船長といった風貌であった。

「これはうちのクルーが大変失礼を致しました。私は【ブラックオニキス号】の船長ハイト・オデッセイです」

「いえ、こちらこそギルドから話が通っているものだと思って失礼しました。俺はタタラといいます。こちらの女性がリアス・アーバン、で……あっあそこで女性にまとわりついているのがパーティーリーダーのマロフィノです」

「そっそうなんだ……君達がギルドから依頼を受けてやって来たのはわかるけど、依頼内容についてちゃんと把握しているのかい」

「はい、バーム海域調査船の護衛ですよね?」

 ハイト船長は腕組みをしアゴを手でさすりながら難しい顔をした。

「簡単に言うけどバーム海域がどんな所かご存知かな?」
「資料をいただきましたので、まぁ正確にはどんな所だったか、というのは承知してきました、それにダム会長直々のご指名ですので」

 そう言って私は資料に同封されていた船長宛と書かれた自分の戦歴が書いてある用紙を渡した。受け取ったハイト船長が真剣な眼差しで上から順に読み進めると徐々に驚きの表情に変わっていく。

「ギルド連盟の会長の指名!?それにコレは……ワームロワ!!?君が!?ははは、凄いな。すまない見た目だけで侮ってしまった。是非お願いするよ、ギルドから連絡を受けてすぐ準備を始めたから後2、3時間で出航するけど大丈夫かな」
「ちょ!船長!?」

 ハイト船長が私達を追い返してくれると確信していた髭もじゃフィットはすんなりと乗船を許可したことに驚き怒鳴り散らしているが私達は無視を決め込み。

「問題ありません」
「大丈夫じゃ」
「よろしく頼む」
「では少しだけ買い出しをして戻ります」

「船長!!」
「フィット、コレを見ろ」
「何ですかこの紙……なっ!?マジかあんなガキが」
「どうやら本当にバームの悲願を果たすことが出来そうだ」

 ♦︎

 食料や水、壊滅した防具補修に使えそうな素材を買い漁り船に戻るとすでに出航の準備は整っており、私達が船に乗り込むと汽笛が鳴らされ【ブラックオニキス号】はイストアを出航した。

「フィン!!」
「凄い!凄いぞタタラ!こんな大きなものが本当に動いておるぞ」
「本当っすねコレはなかなか」

 出航前の騒動も忘れ私達は人生初の船旅に感動していた。
 さぁ行こう、災いの海域を抜け目指すは職人とドワーフの国、エンドーレ王国。
 さらばジング王国イストア。などと、うたってみたものの私達の胸の奥には隠しきれない不安があった……。
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