THIRD ROVER 【サードローバー】オッサンのVRMMOは異世界にログインする

ケーサク

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舞い降りた災厄

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 ルチザン16日目の午前9時、私達【渡り鳥】は、ルチザンギルドの受付前のホールにいた。

「いやー、リチャードさんの採掘依頼は毎回キツイっすねぇ」
「キツイっすぅ、なんてもんじゃねぇって!沈静化してるとはいえダンジョンのあんな深部に潜れるのなんて、ここのギルドじゃ【渡り鳥】さん達だけだって。さっすがSランクは違うわぁ」
「うっわ!今の嫌味っぽい」
「あれ?気付いちゃった?ごめんなっさ~い」
「タタラ!いつまで喋っておるんじゃ!さっさと今日の依頼を受けに行くぞ」
「フィン!」
「あっ、すみません。じゃっ【鋼の盾】さん、また」
「おうい、今日もよろしくぅ」

 ルチザンの冒険者ギルドは登録冒険者数38名、冒険者パーティー数10という小規模ギルドで、私達【渡り鳥】は滞在約2週間でそのトップパーティーまで登りつめて……いた……って。

「ちがぁーーうっ!!」

 私は受付カウンターを叩き叫んだ。
 
 ギルドのホールにいた他の冒険者達が何事だとざわつく中、受付にいたルチザンギルドのサブギルドマスター【アシャ】さんが心配そうに話しかけてきた。

「タタラさん、本日の依頼は【ブルークレス坑道】で採掘できる鉱石の納品依頼まとめて8件では何か問題がありましたでしょうか?」
「違いますアシャさん、それはそれで問題ありません。ただ、俺達がルチザンに来た目的はですね、剣なんです!剣!!それがなんだか知らないうちに普通にクエストこなして、昔からこのギルドに居るメンバーみたくなっているのが怖くなって、つい」

 私の取り乱した言動を聞いて周りの冒険者やアシャさんは「ああ、それな」と、いった顔をした。

「そうでしたか、そういう事なら良くあることなので安心しました」
「良く……ある?」
「はい、マスターヌエに武器製作依頼に来た冒険者の方は最長1年、最短でも10日は待っていますからね。」
「1年!!まじですか!?」
「しかも、マスターヌエは納期は一切言わないですし、武器に関しては凝り性で神経質な方ですから、一度依頼を受けると工房の出入り口を封鎖して引きこもり状態になりますからね。でも、仕上がりは最高ですからご安心ください」

 いつ出来上がるともわからない武器を待って、最長1年か……いや、無しだな、それ。

「あの、完成したら取りに来るとヌエさんにお伝えいただけないでしょうか?」
「私は構いませんが、あまりオススメはしませんね」
「どうしてですか?」
「マスターヌエはああいう性格の方なので、大変言いにくいのですが……いつもお金に困っていらっしゃるようで」

 はははぁ、つまり、あれか?依頼人が目を離すと売っぱらっちまうってか?おうい、嘘だろう……つーか。

「アシャさん」
「はい」
「その話、どうして2週間前にしてくれなかったんですか?」

 アシャさんは爽やかな笑顔で私から視線を外し。

「さっ、次に依頼を受ける方どうぞ!」

 この女、こういう手口で何も知らない外の冒険者をこき使ってやがるな。
 そうなると、納期がわからないって話も怪しいもんだぜ。
 私がアシャを軽く睨みながらギルドを立ち去ろうとした時だった。

「フィン!!」

 マロフィノの鳴き声が響いた瞬間、あたりが一瞬にして暗くなった。

 いや、違うこれは。

 巨大な何かの影だ。

「なんじゃあれは!!?」

 リアスが空を見上げ、叫びながら指をさす。
 その方向に顔を向けた私の目に写ったのは。

「でっ……でけぇ」

 今まで見た飛竜とは比べ物にならないほど巨大な、漆黒の飛竜がルチザンの街を飛び越え、頂上の見えないウォール山脈を上へ上へと垂直に飛び去って行く姿だった。

 私はその勇壮な姿に思わず息を飲んだ。

 そういえば前にウォール山脈を越えれるのは大型飛竜くらいだと、イザベルで聞いた気がするなぁ。などと物思いにふけていると、後ろから突然、怒鳴り声で。

「【ドラゴンダイブ】だ!!逃げろ渡り鳥!!」

 まるでその声を合図にしたかようのに、空へ空へと登っていた大型飛竜が突然身を翻し、巨大な翼をまるでマントのように体に巻きつけ、高速で横回転しながら足から急降下を始めた。

「リアス!!マロフィノ!!ギルドに戻れ!!」

 高速落下した飛竜が地面に突き刺さった瞬間、まるで直下型地震のような激しい縦揺れがルチザンの街を襲った。
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