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煙の中から
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「フィグウォオオオオォォォッ!!」
マロフィノは今まで聞いたことのないような唸り声を上げながら空を見上げ、前足を大きく開き、体のいたるところから砂煙を上げだした。
「マロフィノ!!大丈夫か!?おい!」
私は、マロフィノに鑑定スキル【解析】を使い状態を確認しようとしたが、HPなどに変化はない。
ただ、この砂煙は魔獣が致命傷を負った時に出す砂煙に酷似しているため、このままマロフィノが消えてしまうのではないか?と、頭はパニック状態だ。
「タタラ!マロフィノは大丈夫なのか!?」
リアスの問いは聞こえてはいたが、その質問に答えるための情報は皆無だ。
ヒバチの時はどうだった?ヒールをかけた方が良いのか?それとも魔法薬?自分が不用意に馬鹿な行動をしたせいでマロフィノが……。
そんな考えが頭の中を巡り、ただ慌てふためいていると、突然、マロフィノから噴き出ていた砂煙が小さく爆発したように音を立てて広がりマロフィノの姿を私達の視界から消し去った。
「マロフィノォォォ!!」
私は恐怖心にかられ砂煙に突っ込みマロフィノの名前を叫だ。
「どこだ!?マロフィノッって、んっ?」
砂煙を掻き分る手が何かに思いっきりぶつかった。
「痛ったいなぁ、もう、気をつけてよ」
「あっどうも、すみませんでした」
私は謝罪をして、気を取り直してマロフィノの名前を叫んだ。
「マロフィノ!!どこだ!?マロフィノ!!」
「タタラ!!マロフィノはどうなった!?」
「えっ?なに?」
「じゃから!!マロフィノはどうなったんじゃっ!!」
「まだ分かりません!!マロフィノ返事をしろ!?」
「はーい」
「リアスじゃなくてマロフィノを呼んだんです!!ちょっと黙っていてください!!」
マロフィノの安否がわからず不安になった私達が怒鳴りあっていると、徐々にあたりを覆っていた砂煙が晴れていった。
「マロフィノッ!!どこだ!!?」
私が天を仰ぐように叫ぶと、隣に獣人の子供が立っていることに気づいた。
その子供は八重歯をのぞかせ下唇を噛みながら、なぜか恨めしそうに私のことをクリクリの黒い目で睨んでいる。
「あっの……どうしたの?ここは危ないよ」
リアスより少し大きいくらいの身長、黒い髪の真ん中は白い髪が綺麗な白い縦のラインを作り、頭の上から黒い毛に覆われたフサフサの耳、額には薄っすらと角のようなモノが生えている。着ている物は、私のジャケットに似た色のノースリーブのベストと、鈴のような物が付いたチョーカーだけでズボンは履いていないが、人というより大型犬のような動物的な下半身は黒い体毛に覆われている。
よく見ると、どこか見覚えのあるような顔立ちの獣人の男の子は、長い黒い尻尾を地面にパタパタと打ち付けながら、ボソボソと何かを呟いている。
「どうしたんだい?」
「タ……が……だ」
「えっ?」
「タタラが黙れって言ったんだもん!!」
「なっ!!!」
私は驚きのあまり思わず身を仰け反ってしまった。
まっまさか、いや、しかし、それ以外ありえない。
「その子供はどうしたんじゃタタラ?」
自分より背が高い相手を、躊躇なく子供呼ばわりするリアスにツッコミを入れる余裕もなく、私はその子を指差しながら口をパクパクさせた。
その様子を見てリアスも感づいたようだ。
「まっまさか、そんなわけ……ないじゃろ?」
ようやく私は、言葉絞り出す。
「まっさか……マロフィノ?」
「ちがう!!」
力強く否定され、私達はさらに驚いた。
えっ?つーか、君がマロフィノじゃなかったら……。
「マロはマロフィノじゃない!!オニのちからを食べたマロフィノだから【マロオニ】なのだぁぁぁぁ!!オニ!」
……叫びながらハッスルポーズをとったマロフィノ。
あっ、いや、マロオニ。
まぁ、どっちでもいいや。
突然、謎の語尾を付けだしたのはとりあえずスルーして。
「なんでも良いけど無事で良かったよ」
「心配かけおって、まったく」
「マロはちゃんと心配しないでって言ったオニ」
まぁ、それがわからないから心配してたんだが、無事で本当に良かった。
つーか。
「何、普通に喋れちゃってんの!!?」
マロオニは、えっ?っといった表情で首を傾げた。
まぁ、今コイツに何を聞いてもわかることは少ないだろう。
「見て、タタラ!ドラゴンの煙がオニ
」
マロオニの言葉に振り返ってバハムートを見ると、口から出ていた砂煙が徐々に薄れてきていた。
どうやら【天空の災厄】が再び動き出す時が近いようだ。
「マロフィッ……オニ!!リアス!!覚悟はいいですか?あの化け物ともう一度戦いながら、あの冒険者達を逃がしますよ」
「了解じゃ!!無茶はするなよ」
「マロッ…オニはいけるか?」
「マロにまかせろぉぉ!!オニ」
「倒すことは考えず、あくまで足止め作戦です。行くぞ【渡り鳥】!!」
『フィィィィウォォォォ!!』
私達は雄叫びを上げ、活動を停止したままのバハムートを牽制しながら、ギルドの方へ走りだした。
「痛い!!」
「マロどうしたんじゃ!?」
「フェン、なんだか、走りづらくて転んじゃったオニ」
……魔石を吸収したマロフィノは、進化したのか?それとも退化したのか?
不安を抱える私達の動きを、夜の闇のような暗黒の大きな瞳が上から見ていた。
マロフィノは今まで聞いたことのないような唸り声を上げながら空を見上げ、前足を大きく開き、体のいたるところから砂煙を上げだした。
「マロフィノ!!大丈夫か!?おい!」
私は、マロフィノに鑑定スキル【解析】を使い状態を確認しようとしたが、HPなどに変化はない。
ただ、この砂煙は魔獣が致命傷を負った時に出す砂煙に酷似しているため、このままマロフィノが消えてしまうのではないか?と、頭はパニック状態だ。
「タタラ!マロフィノは大丈夫なのか!?」
リアスの問いは聞こえてはいたが、その質問に答えるための情報は皆無だ。
ヒバチの時はどうだった?ヒールをかけた方が良いのか?それとも魔法薬?自分が不用意に馬鹿な行動をしたせいでマロフィノが……。
そんな考えが頭の中を巡り、ただ慌てふためいていると、突然、マロフィノから噴き出ていた砂煙が小さく爆発したように音を立てて広がりマロフィノの姿を私達の視界から消し去った。
「マロフィノォォォ!!」
私は恐怖心にかられ砂煙に突っ込みマロフィノの名前を叫だ。
「どこだ!?マロフィノッって、んっ?」
砂煙を掻き分る手が何かに思いっきりぶつかった。
「痛ったいなぁ、もう、気をつけてよ」
「あっどうも、すみませんでした」
私は謝罪をして、気を取り直してマロフィノの名前を叫んだ。
「マロフィノ!!どこだ!?マロフィノ!!」
「タタラ!!マロフィノはどうなった!?」
「えっ?なに?」
「じゃから!!マロフィノはどうなったんじゃっ!!」
「まだ分かりません!!マロフィノ返事をしろ!?」
「はーい」
「リアスじゃなくてマロフィノを呼んだんです!!ちょっと黙っていてください!!」
マロフィノの安否がわからず不安になった私達が怒鳴りあっていると、徐々にあたりを覆っていた砂煙が晴れていった。
「マロフィノッ!!どこだ!!?」
私が天を仰ぐように叫ぶと、隣に獣人の子供が立っていることに気づいた。
その子供は八重歯をのぞかせ下唇を噛みながら、なぜか恨めしそうに私のことをクリクリの黒い目で睨んでいる。
「あっの……どうしたの?ここは危ないよ」
リアスより少し大きいくらいの身長、黒い髪の真ん中は白い髪が綺麗な白い縦のラインを作り、頭の上から黒い毛に覆われたフサフサの耳、額には薄っすらと角のようなモノが生えている。着ている物は、私のジャケットに似た色のノースリーブのベストと、鈴のような物が付いたチョーカーだけでズボンは履いていないが、人というより大型犬のような動物的な下半身は黒い体毛に覆われている。
よく見ると、どこか見覚えのあるような顔立ちの獣人の男の子は、長い黒い尻尾を地面にパタパタと打ち付けながら、ボソボソと何かを呟いている。
「どうしたんだい?」
「タ……が……だ」
「えっ?」
「タタラが黙れって言ったんだもん!!」
「なっ!!!」
私は驚きのあまり思わず身を仰け反ってしまった。
まっまさか、いや、しかし、それ以外ありえない。
「その子供はどうしたんじゃタタラ?」
自分より背が高い相手を、躊躇なく子供呼ばわりするリアスにツッコミを入れる余裕もなく、私はその子を指差しながら口をパクパクさせた。
その様子を見てリアスも感づいたようだ。
「まっまさか、そんなわけ……ないじゃろ?」
ようやく私は、言葉絞り出す。
「まっさか……マロフィノ?」
「ちがう!!」
力強く否定され、私達はさらに驚いた。
えっ?つーか、君がマロフィノじゃなかったら……。
「マロはマロフィノじゃない!!オニのちからを食べたマロフィノだから【マロオニ】なのだぁぁぁぁ!!オニ!」
……叫びながらハッスルポーズをとったマロフィノ。
あっ、いや、マロオニ。
まぁ、どっちでもいいや。
突然、謎の語尾を付けだしたのはとりあえずスルーして。
「なんでも良いけど無事で良かったよ」
「心配かけおって、まったく」
「マロはちゃんと心配しないでって言ったオニ」
まぁ、それがわからないから心配してたんだが、無事で本当に良かった。
つーか。
「何、普通に喋れちゃってんの!!?」
マロオニは、えっ?っといった表情で首を傾げた。
まぁ、今コイツに何を聞いてもわかることは少ないだろう。
「見て、タタラ!ドラゴンの煙がオニ
」
マロオニの言葉に振り返ってバハムートを見ると、口から出ていた砂煙が徐々に薄れてきていた。
どうやら【天空の災厄】が再び動き出す時が近いようだ。
「マロフィッ……オニ!!リアス!!覚悟はいいですか?あの化け物ともう一度戦いながら、あの冒険者達を逃がしますよ」
「了解じゃ!!無茶はするなよ」
「マロッ…オニはいけるか?」
「マロにまかせろぉぉ!!オニ」
「倒すことは考えず、あくまで足止め作戦です。行くぞ【渡り鳥】!!」
『フィィィィウォォォォ!!』
私達は雄叫びを上げ、活動を停止したままのバハムートを牽制しながら、ギルドの方へ走りだした。
「痛い!!」
「マロどうしたんじゃ!?」
「フェン、なんだか、走りづらくて転んじゃったオニ」
……魔石を吸収したマロフィノは、進化したのか?それとも退化したのか?
不安を抱える私達の動きを、夜の闇のような暗黒の大きな瞳が上から見ていた。
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