THIRD ROVER 【サードローバー】オッサンのVRMMOは異世界にログインする

ケーサク

文字の大きさ
128 / 144

全てはここから

しおりを挟む
 夜の闇に染まるはずの【クリプス】に再び日が登ったのでは?と、錯覚させるほどの光を放っているというのに、眩しくて目を逸らすどころか、いつまでもその輝きを見ていたいという欲求にかられる。
 徐々に近づいて来るその謎の発光体が生物であると確信を得るのにそう時間はかからなかった。
 穏やかに燃える炎のように煌びやかで強く優しい光を全身に纏い、ゆっくりと優雅につばさをはためかせるたびに、火の粉のような光の粒が溢れ、落ちていく線香花火のように静かに宙に消えていく。
 細く長い首、小さな頭から伸びる赤い嘴。胴体から伸びる炎のような翼は、翼開長およそ20メートルはあるだろう。
 もはや鑑定スキルを使用するまでもない、圧倒的な存在感を放つ鳥型のそれは、世界樹の頂上、私達の目の前に静かに降り立った。

  鑑定スキル【解析かいせき】 【 名前 】  フェニックス
【  レベル  】 1188

 まぁ、分かってはいたけど一応ね、って、レベルエゲツなっ!!

 【フェニックス】は、おもむろに私に顔を近づけた。

「よく来たな【聖印の運び手】に選ばれし【サード】よ」

 歓迎?正直何言っているかわからない。

「えっ?あっはい。どうも…でも俺はタタラと言います。で、こっちはマロ…オニ」
「マロオニだよ!オニ」

 マロオニが元気いっぱい手を上げて挨拶したのだが、優雅で堂々した態度だった【フェニックス】が困惑の表情を見せながら。

「えっ?違うの?あれっ?えっでも、ボサボサの黒髪ので、あれっ?ディノ・ルギ二……【セカンド】に言われて来たんじゃないの?」

 ディノ?ああ!エヴァさんとか、アンカさんとかがいた【箱舟】のリーダーで【放浪の英雄王】だったっけ?うん、確かそうだ。

「セカンド?すみません、ディノさんと言う方にはお会いしたことはありません」
「えっ?じゃあアンタ何しに来たの?」

 私の答えがよほど予想外だったのか、驚いた表情をみせたあと【フェニックス】のキャラが突然変わった。

「えっと…実は…」

 自分が知っている世界情勢を交えながら、イザベルギルドの依頼で羽根を集めに来たことを伝える。

「ええ!?マジで!?じゃあアンタ【祝福の聖印】はわかる!?【神の祝福】の役割はわかる!?てか【加護】の使い方を聞きに来たんじゃないの!?」

 聖印!?祝福!?加護!?いや【祝福】と【加護】はもしかしなくても、アクリス神のメッセージが書き込まれたスキルのことだよな……たぶん。

「【祝福】と【加護】はスキルのことですよね?あとは【祝福の聖印】というのはいったい……」

 【フェニックス】はあからさまなため息をついた。

「アンタよく何にも知らないで、ここまで辿りつくまでのレベルになったわね…お疲れ。可哀想だから教えてあげるから…座んな」
「あっ…はい…」

 なんだろう、なんかよくわからないけど凄く哀れまれている。
 【フェニックス】から最初に語られたのは【祝福】スキルについてだった。
 【祝福】スキルの効果はステータスウィンドウで確認できる通り【ステータス低下無効】と【全状態異常耐性】であるが、ステータス低下無効には老化無効効果もあるらしい。
 つまり、私は肉体のピーク時から一切年を取らなくなるとのことなのだが……。

「それって、不老不死ってことですか?」

 あれ?でも、不死ではないか…実際一回死んだし。

「そうじゃない、肉体が不死だろうと魂の寿命というものがある。まぁ人間だとだいたい千年前後ぐらいかなぁ」

 かなぁって、えっ何?殺されないでもしない限り千年も生きんの私?しかも肉体のピークのまま千年って…千年間働き続けなきゃないの?……だっる。

「でも、この不老にもちゃんと意味があるんだけど、その前に」

 【祝福】スキルの次は【祝福の聖印】と【聖印の運び手】についてだ。
 【祝福の聖印】とは、世界でだった1人にだけ創造神より【運び手】として選ばれたものに与えらる紋章。

「それってもしかして、背中の」

 私の背中にある謎の入れ墨のようなものが件の【祝福の聖印】のようなのだが、つまり私が…と言うか、タタラ君が【聖印の運び手】として選ばれた者ということらしい。
 【聖印の運び手】の役割はただ一つ。その力を持って【人々】の平和を保つこと。わかりやすく例えると神から選ばれた勇者ということだ。
 えっ?何?じゃあ、私が勇者…ははは、役不足にもほどがあるな。
 
「そして【聖印の運び手】には、もう一つ重要な役割がある。それこそが運び手と呼ばれる所以だ」

 【聖印の運び手】のもう一つの役割。それは、自分と意思を同じくする同士を見つけ【祝福の聖印】を分け与えること。
 【祝福の聖印】を分け与えられた者は【聖印の運び手】の盟友として【祝福】スキルを得る。 

「それって、マロフィノにも…魔者にも分けれるんですか?」
「えっ?大丈夫なんじゃない?」

 知らんがなとでも言いたげな様子の【フェニックス】。だが、私にはどうしても確認しておかなけばいけないことがある。

「どうやったら【祝福の聖印】を分けれるんですか?」
「…えっ?マジ?それも知らないの」

 哀愁漂う表情で私を見つける【フェニックス】。やめてよ、もう、哀れまないでくれ。悲しくなるから。

「まぁ、相手と絆があればあとはそう難しいことじゃないよ。分けたい相手の背中に手を当てて、分けたい!って念じればいいだけ」

 いやいや、確かに難しくはないけど…雑っ!なに?分けたいって念じればいいって!普通こういうのって「なんじ我のウンタラカンタラにして、ナンチャラカンチャラ…」みたいな口上とかあるもんじゃん!普通はさ。
 などと、だいぶ動揺はしたものの、私は、いつのまにか就寝しているマロフィノの背中に手を当てて『聖印を分けたい!』と、願った……もう一度……願った……。
 そして【フェニックス】の顔を見た。

「あれ?普通なら何かしらの紋章が出るはずなんだけど…ああ!あれじゃない?毛で見えないだけじゃない?」

 なんか見た目のわりに発言が軽いんだよなこの鳥。
 私は疑いの眼差しのままマロフィノの毛をかき分けた。すると、すごく見づらいが確かに紋章のようなものがあった。すごく見づらいし、元の地肌がどんなだったかも知らんけど。

「あったでしょ?大丈夫だよね?良し!これからはこうやってジャンジャン盟友増やしていってね!それじゃ次の話にいっきまーす」

 ……まぁ、いいや。もう、いいや。そして次に語られたのは【加護】についてだ。
 創造神のメッセージのせいでまったく情報がなかった【加護】スキルなのだが、本当なら【加護】スキルを使えるようになるために【聖印の運び手】の前任者から【クリプス】に行き【フェニックス】に会えというお達しを受けるらしいのだが、私は前任者のディノさんにまだ会えったことすらない。

「【加護】とは、あなたのどうしても何かを守りたいという意思を体現するスキル。効果は全ステータス4倍、常時HP、OP回復(強)。さぁ、ここでいよいよ本題です。私は今からあなたの心が最も恐れる状況を、幻覚で見せます。しかし、この幻覚は打ち破るまで何度も繰り返します。この【悪夢】の幻覚を打ち破る方法は
「あの…すみません」
「何!?今一番いいところなのに!!」

 全ステータスの上昇に自動回復…今まで何度か体験したあの現象…もしかして。

「それって、耳鳴りみたいになってから身体から薄ピンクの蒸気のようなものが出るやつですか?」

「えっ?何?自力で体得したの?うっそ?なんで?一回死んで蘇るくらいの経験がないと辿りつけない精神領域なんだよ!?」

 ははは、サンタのヤツに殺されてるからな。まぁそれは置いておくとして。あの現象は【加護】スキルで間違いないようだ。
 すごく残念そうな【フェニックス】が話を続ける。

「最後に行っておくとすれば【加護】は発動中1分につき1年分の魂を消費するから、その点だけは注意してね」

 さらっと、とんでもない対価を発表してくる【フェニックス】…使う時は興奮してたからどのくらい【加護】を発動していたか記憶にないけど…たぶん合計1時間もいって無い…はず…だが…。
 【加護】を使うと魂の寿命が減る、【祝福の聖印】を持つものはただひとり、そして、これは創造神により、セカンド…ディノ・ルギ二からタタラ君へと受け継がれた。
 と言うことは。

「これで話はおしまい。私は寝るけど、タタラ達はどうする?」

「最後に一つだけいいですか?」

 体を丸め眠る態勢に入った【フェニックス】から徐々に光が消えていく。

「何か?」

「もしかして、前任者、ディノさんは魂の寿命が尽きかけているんですか?」

 私の唐突な質問少し驚きの表情を見せる【フェニックス】。

「そう、でも、まだ数十年は大丈夫なはずだから安心して、って、タタラは面識無いんじゃなかった?」
「はい、面識は無いんですが。一度お会いできたらなと思いまして」
「それは良い心がけね。そうね、一回会って話して見るといいわ、じゃあ、おやすみ」
「はい!」

 【フェニックス】の光が完全に消ると、世界樹に夜の闇が訪れる。
 そして、空には宝石をばらまいたように美しく綺麗な星空が広がっていた。

「きれいだなぁ。フィン」
「起きたのか…ああ、すごい星空だな」
「リアスにも一緒に見て欲しかったなぁ…むにゃむにゃ…おやすみぃ。フィン」
「おやすみ」

 マロフィノと【フェニックス】の寝息を聞きながら、しばらく空を眺めつぶやいていた。

「ああ…そうだな…」

 それからしばらく、どこか懐かしさを感じ物思いにふける。
 【AQURIS online】から強制転生して来てから色んなことがあった。
 本当に色んなことが…。
 そして、さらに【聖印の運び手】なる大役を勝手に任せてられていたとは…。
 アクリスの想像神は、なぜくだらないメールのような文章をスキル欄に入れ込んだのだろう。あんなこと書くくらいなら今【フェニックス】が説明してくれたことを挿入してほしかったよ。

「あれ?そういえば…まだ謎のメッセージが何…か!そうだ!」

 私は【変な家】と命名された、家の存在を思い出しひとり震えた。

「そうだ!!フェニック…って、起こしたら悪いか、明日にしよう」




 翌朝、日が昇る前に私が目を覚ますと、すでに【フェニックス】は起きて毛繕いをしていた。

「おはようタタラ」
「おはようございます。開口一番申し訳ないのですが、お願いがあります」
「なんだい?」

「実は、ここの景色が昔住んでいた所にそっくりで、それで…えーとですね…ここに家を置かせてもらえないでしょうか?」

 【フェニックス】は顔をしかめながら私の顔を覗き込み、しばらく見つめたあと、体を大きくのけぞらせて。

「あはははははは!家!?この世界樹の上に!?」

 笑った。

「どこかの枝で良いので、ダメですか?」
「いやはっはっはっはは。ここでも構わないが、いくらこの景色が気にいったとはいえどうやって家を建てるつもりだい!?」
「えっと、それは見てもらった方が早いかと。この辺り大丈夫ですか?」

 何が起こるかと興味津々でうなずく【フェニックス】。
 私はアイテムボックスを開き【変な家】を選び、設置を選択すると、緑色のレーザーのような光がマス目を作りその上に家のサイズを表す青い光。

 青い光を微調整して、設置完了を選択すると、一瞬にして世界樹の上にログハウスの外観をした家設置され、いつのまにか起きたマロフィノと【フェニックス】から歓声が上がった。

「すごい!すごい!タタラすごい!フィン」
「今のは…いったい…収納魔法にしては…」
「これは、あなたと【夢見】で入れ替わり、この世界を訪れた人物が、アクリス
を模して作った仮想世界の技術です」
「【夢見】…あの世界…私を【スティーブ】と呼んだ人間達の世界…そう、彼がこんな技術を」

 感慨深い表情でどこか遠くを見つける【フェニックス】。マロフィノはというと、すでに玄関前で家の中に入りたそうに尻尾を振ってお座りで待っている。

「はやく!タタラ!はやく!フィン」
「はいはい、今開けるよ」

 私は我が家の扉をゆっくりと開けた。扉が開ききる前にマロフィノがスルッと家に入っていったのは言うまでもない。

 今、私の目の前には、懐かしの部屋で
見慣れた毛むくじゃらの友人が尻尾振りながら走り回っている光景が写っている。
 そういえば、部屋に友達を招き入れるなんて初めてのことだ。

「タタラ!なんかすごい!変なのがたくさんある!フィン」

 TVやら何やらの電化製品までトレースしてあるからな、それは変なのがたくさんあると言われても仕方ないか。
 
 つい何ヶ月前のことなのに、住み慣れたはずのこの空間がどこか、遠い日の思い出のように感じてしまう。

「タタラ?どうしたの?フィン」

 【AQURIS online】の大型アップデートで、久しぶりの【タタラ】アバターでログインし、いきなりのゲームオーバー。それから、何がなんだかわからないまま、この世界に転生し、マロフィノに出会い共に【死】を経験して、フェンリルに出会い、そして、そして……。
 アクリスに来てからの日々が走馬灯のように蘇る。その全てに、マロフィノと、彼女がいた。

 私は部屋に入ることなく振り返り、朝焼けに染まる【アクリス】を見つめた。

「タタラ?フィン」
「マロフィノ」
「フィン?」

 私は大きく深呼吸をして。

「帰ろう、そして」
「フィン?」

「リアスに会いに行こう」

 マロフィノは私の前に周り嬉しそうというか、喜び全開で尻尾を振り回す。

「行く!!ぜったいぜったい!!リアスに会いに行く!!フィン!!」
「ああ、二人でアイツに文句を言ってやろう」
「フィン!!」

 私の異世界生活に勝手に舞い込み勝手に去って行ったリアス。

「もう一度、全部、ここから始めよう。会いたいヤツに会いたい時に会って、言いたいことを言いたい時に言う!!俺たちは冒険者だ!!俺たちは自由だ!!」

『フィィィィウォォォォ!!』

 日の光に包まれたクリプスの朝に、二人の雄叫びが響き渡った。

 
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

転生女神さまは異世界に現代を持ち込みたいようです。 〜ポンコツ女神の現代布教活動〜

れおぽん
ファンタジー
いつも現代人を異世界に連れていく女神さまはついに現代の道具を直接異世界に投じて文明の発展を試みるが… 勘違いから生まれる異世界物語を毎日更新ですので隙間時間にどうぞ

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...