THIRD ROVER 【サードローバー】オッサンのVRMMOは異世界にログインする

ケーサク

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 夜の闇に染まるはずの【クリプス】に再び日が登ったのでは?と、錯覚させるほどの光を放っているというのに、眩しくて目を逸らすどころか、いつまでもその輝きを見ていたいという欲求にかられる。
 徐々に近づいて来るその謎の発光体が生物であると確信を得るのにそう時間はかからなかった。
 穏やかに燃える炎のように煌びやかで強く優しい光を全身に纏い、ゆっくりと優雅につばさをはためかせるたびに、火の粉のような光の粒が溢れ、落ちていく線香花火のように静かに宙に消えていく。
 細く長い首、小さな頭から伸びる赤い嘴。胴体から伸びる炎のような翼は、翼開長およそ20メートルはあるだろう。
 もはや鑑定スキルを使用するまでもない、圧倒的な存在感を放つ鳥型のそれは、世界樹の頂上、私達の目の前に静かに降り立った。

  鑑定スキル【解析かいせき】 【 名前 】  フェニックス
【  レベル  】 1188

 まぁ、分かってはいたけど一応ね、って、レベルエゲツなっ!!

 【フェニックス】は、おもむろに私に顔を近づけた。

「よく来たな【聖印の運び手】に選ばれし【サード】よ」

 歓迎?正直何言っているかわからない。

「えっ?あっはい。どうも…でも俺はタタラと言います。で、こっちはマロ…オニ」
「マロオニだよ!オニ」

 マロオニが元気いっぱい手を上げて挨拶したのだが、優雅で堂々した態度だった【フェニックス】が困惑の表情を見せながら。

「えっ?違うの?あれっ?えっでも、ボサボサの黒髪ので、あれっ?ディノ・ルギ二……【セカンド】に言われて来たんじゃないの?」

 ディノ?ああ!エヴァさんとか、アンカさんとかがいた【箱舟】のリーダーで【放浪の英雄王】だったっけ?うん、確かそうだ。

「セカンド?すみません、ディノさんと言う方にはお会いしたことはありません」
「えっ?じゃあアンタ何しに来たの?」

 私の答えがよほど予想外だったのか、驚いた表情をみせたあと【フェニックス】のキャラが突然変わった。

「えっと…実は…」

 自分が知っている世界情勢を交えながら、イザベルギルドの依頼で羽根を集めに来たことを伝える。

「ええ!?マジで!?じゃあアンタ【祝福の聖印】はわかる!?【神の祝福】の役割はわかる!?てか【加護】の使い方を聞きに来たんじゃないの!?」

 聖印!?祝福!?加護!?いや【祝福】と【加護】はもしかしなくても、アクリス神のメッセージが書き込まれたスキルのことだよな……たぶん。

「【祝福】と【加護】はスキルのことですよね?あとは【祝福の聖印】というのはいったい……」

 【フェニックス】はあからさまなため息をついた。

「アンタよく何にも知らないで、ここまで辿りつくまでのレベルになったわね…お疲れ。可哀想だから教えてあげるから…座んな」
「あっ…はい…」

 なんだろう、なんかよくわからないけど凄く哀れまれている。
 【フェニックス】から最初に語られたのは【祝福】スキルについてだった。
 【祝福】スキルの効果はステータスウィンドウで確認できる通り【ステータス低下無効】と【全状態異常耐性】であるが、ステータス低下無効には老化無効効果もあるらしい。
 つまり、私は肉体のピーク時から一切年を取らなくなるとのことなのだが……。

「それって、不老不死ってことですか?」

 あれ?でも、不死ではないか…実際一回死んだし。

「そうじゃない、肉体が不死だろうと魂の寿命というものがある。まぁ人間だとだいたい千年前後ぐらいかなぁ」

 かなぁって、えっ何?殺されないでもしない限り千年も生きんの私?しかも肉体のピークのまま千年って…千年間働き続けなきゃないの?……だっる。

「でも、この不老にもちゃんと意味があるんだけど、その前に」

 【祝福】スキルの次は【祝福の聖印】と【聖印の運び手】についてだ。
 【祝福の聖印】とは、世界でだった1人にだけ創造神より【運び手】として選ばれたものに与えらる紋章。

「それってもしかして、背中の」

 私の背中にある謎の入れ墨のようなものが件の【祝福の聖印】のようなのだが、つまり私が…と言うか、タタラ君が【聖印の運び手】として選ばれた者ということらしい。
 【聖印の運び手】の役割はただ一つ。その力を持って【人々】の平和を保つこと。わかりやすく例えると神から選ばれた勇者ということだ。
 えっ?何?じゃあ、私が勇者…ははは、役不足にもほどがあるな。
 
「そして【聖印の運び手】には、もう一つ重要な役割がある。それこそが運び手と呼ばれる所以だ」

 【聖印の運び手】のもう一つの役割。それは、自分と意思を同じくする同士を見つけ【祝福の聖印】を分け与えること。
 【祝福の聖印】を分け与えられた者は【聖印の運び手】の盟友として【祝福】スキルを得る。 

「それって、マロフィノにも…魔者にも分けれるんですか?」
「えっ?大丈夫なんじゃない?」

 知らんがなとでも言いたげな様子の【フェニックス】。だが、私にはどうしても確認しておかなけばいけないことがある。

「どうやったら【祝福の聖印】を分けれるんですか?」
「…えっ?マジ?それも知らないの」

 哀愁漂う表情で私を見つける【フェニックス】。やめてよ、もう、哀れまないでくれ。悲しくなるから。

「まぁ、相手と絆があればあとはそう難しいことじゃないよ。分けたい相手の背中に手を当てて、分けたい!って念じればいいだけ」

 いやいや、確かに難しくはないけど…雑っ!なに?分けたいって念じればいいって!普通こういうのって「なんじ我のウンタラカンタラにして、ナンチャラカンチャラ…」みたいな口上とかあるもんじゃん!普通はさ。
 などと、だいぶ動揺はしたものの、私は、いつのまにか就寝しているマロフィノの背中に手を当てて『聖印を分けたい!』と、願った……もう一度……願った……。
 そして【フェニックス】の顔を見た。

「あれ?普通なら何かしらの紋章が出るはずなんだけど…ああ!あれじゃない?毛で見えないだけじゃない?」

 なんか見た目のわりに発言が軽いんだよなこの鳥。
 私は疑いの眼差しのままマロフィノの毛をかき分けた。すると、すごく見づらいが確かに紋章のようなものがあった。すごく見づらいし、元の地肌がどんなだったかも知らんけど。

「あったでしょ?大丈夫だよね?良し!これからはこうやってジャンジャン盟友増やしていってね!それじゃ次の話にいっきまーす」

 ……まぁ、いいや。もう、いいや。そして次に語られたのは【加護】についてだ。
 創造神のメッセージのせいでまったく情報がなかった【加護】スキルなのだが、本当なら【加護】スキルを使えるようになるために【聖印の運び手】の前任者から【クリプス】に行き【フェニックス】に会えというお達しを受けるらしいのだが、私は前任者のディノさんにまだ会えったことすらない。

「【加護】とは、あなたのどうしても何かを守りたいという意思を体現するスキル。効果は全ステータス4倍、常時HP、OP回復(強)。さぁ、ここでいよいよ本題です。私は今からあなたの心が最も恐れる状況を、幻覚で見せます。しかし、この幻覚は打ち破るまで何度も繰り返します。この【悪夢】の幻覚を打ち破る方法は
「あの…すみません」
「何!?今一番いいところなのに!!」

 全ステータスの上昇に自動回復…今まで何度か体験したあの現象…もしかして。

「それって、耳鳴りみたいになってから身体から薄ピンクの蒸気のようなものが出るやつですか?」

「えっ?何?自力で体得したの?うっそ?なんで?一回死んで蘇るくらいの経験がないと辿りつけない精神領域なんだよ!?」

 ははは、サンタのヤツに殺されてるからな。まぁそれは置いておくとして。あの現象は【加護】スキルで間違いないようだ。
 すごく残念そうな【フェニックス】が話を続ける。

「最後に行っておくとすれば【加護】は発動中1分につき1年分の魂を消費するから、その点だけは注意してね」

 さらっと、とんでもない対価を発表してくる【フェニックス】…使う時は興奮してたからどのくらい【加護】を発動していたか記憶にないけど…たぶん合計1時間もいって無い…はず…だが…。
 【加護】を使うと魂の寿命が減る、【祝福の聖印】を持つものはただひとり、そして、これは創造神により、セカンド…ディノ・ルギ二からタタラ君へと受け継がれた。
 と言うことは。

「これで話はおしまい。私は寝るけど、タタラ達はどうする?」

「最後に一つだけいいですか?」

 体を丸め眠る態勢に入った【フェニックス】から徐々に光が消えていく。

「何か?」

「もしかして、前任者、ディノさんは魂の寿命が尽きかけているんですか?」

 私の唐突な質問少し驚きの表情を見せる【フェニックス】。

「そう、でも、まだ数十年は大丈夫なはずだから安心して、って、タタラは面識無いんじゃなかった?」
「はい、面識は無いんですが。一度お会いできたらなと思いまして」
「それは良い心がけね。そうね、一回会って話して見るといいわ、じゃあ、おやすみ」
「はい!」

 【フェニックス】の光が完全に消ると、世界樹に夜の闇が訪れる。
 そして、空には宝石をばらまいたように美しく綺麗な星空が広がっていた。

「きれいだなぁ。フィン」
「起きたのか…ああ、すごい星空だな」
「リアスにも一緒に見て欲しかったなぁ…むにゃむにゃ…おやすみぃ。フィン」
「おやすみ」

 マロフィノと【フェニックス】の寝息を聞きながら、しばらく空を眺めつぶやいていた。

「ああ…そうだな…」

 それからしばらく、どこか懐かしさを感じ物思いにふける。
 【AQURIS online】から強制転生して来てから色んなことがあった。
 本当に色んなことが…。
 そして、さらに【聖印の運び手】なる大役を勝手に任せてられていたとは…。
 アクリスの想像神は、なぜくだらないメールのような文章をスキル欄に入れ込んだのだろう。あんなこと書くくらいなら今【フェニックス】が説明してくれたことを挿入してほしかったよ。

「あれ?そういえば…まだ謎のメッセージが何…か!そうだ!」

 私は【変な家】と命名された、家の存在を思い出しひとり震えた。

「そうだ!!フェニック…って、起こしたら悪いか、明日にしよう」




 翌朝、日が昇る前に私が目を覚ますと、すでに【フェニックス】は起きて毛繕いをしていた。

「おはようタタラ」
「おはようございます。開口一番申し訳ないのですが、お願いがあります」
「なんだい?」

「実は、ここの景色が昔住んでいた所にそっくりで、それで…えーとですね…ここに家を置かせてもらえないでしょうか?」

 【フェニックス】は顔をしかめながら私の顔を覗き込み、しばらく見つめたあと、体を大きくのけぞらせて。

「あはははははは!家!?この世界樹の上に!?」

 笑った。

「どこかの枝で良いので、ダメですか?」
「いやはっはっはっはは。ここでも構わないが、いくらこの景色が気にいったとはいえどうやって家を建てるつもりだい!?」
「えっと、それは見てもらった方が早いかと。この辺り大丈夫ですか?」

 何が起こるかと興味津々でうなずく【フェニックス】。
 私はアイテムボックスを開き【変な家】を選び、設置を選択すると、緑色のレーザーのような光がマス目を作りその上に家のサイズを表す青い光。

 青い光を微調整して、設置完了を選択すると、一瞬にして世界樹の上にログハウスの外観をした家設置され、いつのまにか起きたマロフィノと【フェニックス】から歓声が上がった。

「すごい!すごい!タタラすごい!フィン」
「今のは…いったい…収納魔法にしては…」
「これは、あなたと【夢見】で入れ替わり、この世界を訪れた人物が、アクリス
を模して作った仮想世界の技術です」
「【夢見】…あの世界…私を【スティーブ】と呼んだ人間達の世界…そう、彼がこんな技術を」

 感慨深い表情でどこか遠くを見つける【フェニックス】。マロフィノはというと、すでに玄関前で家の中に入りたそうに尻尾を振ってお座りで待っている。

「はやく!タタラ!はやく!フィン」
「はいはい、今開けるよ」

 私は我が家の扉をゆっくりと開けた。扉が開ききる前にマロフィノがスルッと家に入っていったのは言うまでもない。

 今、私の目の前には、懐かしの部屋で
見慣れた毛むくじゃらの友人が尻尾振りながら走り回っている光景が写っている。
 そういえば、部屋に友達を招き入れるなんて初めてのことだ。

「タタラ!なんかすごい!変なのがたくさんある!フィン」

 TVやら何やらの電化製品までトレースしてあるからな、それは変なのがたくさんあると言われても仕方ないか。
 
 つい何ヶ月前のことなのに、住み慣れたはずのこの空間がどこか、遠い日の思い出のように感じてしまう。

「タタラ?どうしたの?フィン」

 【AQURIS online】の大型アップデートで、久しぶりの【タタラ】アバターでログインし、いきなりのゲームオーバー。それから、何がなんだかわからないまま、この世界に転生し、マロフィノに出会い共に【死】を経験して、フェンリルに出会い、そして、そして……。
 アクリスに来てからの日々が走馬灯のように蘇る。その全てに、マロフィノと、彼女がいた。

 私は部屋に入ることなく振り返り、朝焼けに染まる【アクリス】を見つめた。

「タタラ?フィン」
「マロフィノ」
「フィン?」

 私は大きく深呼吸をして。

「帰ろう、そして」
「フィン?」

「リアスに会いに行こう」

 マロフィノは私の前に周り嬉しそうというか、喜び全開で尻尾を振り回す。

「行く!!ぜったいぜったい!!リアスに会いに行く!!フィン!!」
「ああ、二人でアイツに文句を言ってやろう」
「フィン!!」

 私の異世界生活に勝手に舞い込み勝手に去って行ったリアス。

「もう一度、全部、ここから始めよう。会いたいヤツに会いたい時に会って、言いたいことを言いたい時に言う!!俺たちは冒険者だ!!俺たちは自由だ!!」

『フィィィィウォォォォ!!』

 日の光に包まれたクリプスの朝に、二人の雄叫びが響き渡った。

 
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