THIRD ROVER 【サードローバー】オッサンのVRMMOは異世界にログインする

ケーサク

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イザベル街門前

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 ありがたい事にフェニックスがフライヤさんと待ち合わせの島まで送ってくれるとのことなので、残された数日を今後の旅に向けての準備に費やす。

 世界樹の上に設置した拠点で装備と消耗品を整え、メニューウインドウの拠点転移ができるか確認したが、この場所ではまったく反応がなかった。

 これはいずれ要確認だな。
 
 準備をしているうちにあっと言う前に数日がたち。

「準備は良いか?タタラ」
「はい!よろしくお願いします」
「マロもよろしく。フィン」

 私達を背に乗せたフェニックスの体が赤く輝き、大きな翼をはためかせ空へと舞い上がる。

「すげぇ…」

 世界を見守る守護鳥と同じ視点から見る世界。
 私は【AQURIS online】の製作者がなぜこの世界を再現しようと思ったのか、今ならはっきりと理解できる。

 圧倒的なレベルを誇るフェニックスに襲いかかってくる魔獣などいるはずもなく、優雅ともいえるフェニックスとの空の旅はあっという間に終わりを告げる。

「どうやらお仲間がお待ちのようだ、わたしは少し低く飛ぶくらいで大丈夫かい?」
「はい!ありがとうございました!」
「ありがとう!フィン」
「ふふ。また会おう。タタラ、マロ」
「はい。また」
「いっくよー!フィン」
「おう!」


 フライヤさんと待ち合わせた島の上空まで来た私達は別れの挨拶をして、フェニックスの背から飛び降りた。

「マロッ!マロマロマロッ!マロフィーーートッ!」

 マロフィノが謎の掛け声とともに空中でマロフィートに変身、その背中に飛び乗り、見上げながらフェニックスに手を振った。
 フェニックスは微笑んだような表情で私達を見て、神々しい光とともに空高くえと飛び去って行った。

 その姿をマロフィートと見送った後、島に上陸した私達を半分失神状態のフライヤさんが待っていた。
 フェニックスと、その背から飛び降りてきた私達を目撃して相当驚いたようだ。

 失神から復活したフライヤさんの旅客飛竜に乗せられイザベル近辺まで到着したのはその日の、日没近く。
 そして、いよいよイザベルが見えるか見えないかというとき、異変は起きた。


「んっ?飛竜がざわつき出した」

 フライヤさんが呟いた瞬間、私達を乗せた車両が大きく揺れる。

「うお!どうしました?」
「すみません。飛竜達が旋回して戻ろうとして、言うことを聞きません」
「えっ?」

 フライヤさんは窓から顔出した。

「こんなことは今までなかったのですが…おい!どうした?」

『グワッ!グワッ!』

「何がどうなってるんだ?」
「こわい、こわい。っていってる。フィン」

「えっ?」
「マロフィノ?お前、飛竜が何を言ってるかわかるのか?」
「うん!だから聞いてみる!どーしたのぉ?」

 尻尾を振りながらフライヤさんの膝の上に立ち窓の外に問い掛けるマロフィノ。

『グワッ!グロオオオッ!グロワッ!』
「うん!わかった!フィン」

 ピョンとフライヤさん膝から飛び降りたマロフィノに視線が集まる。

「えーとねぇ、あっちのほうで、こわい何かが怒っているからこわいからねぇ、行きたくないから帰るって。フィン」

「行きたくないから帰るって、お前達!それでもアズドラ航空の飛竜か!!」

 窓の外に怒鳴りつけるフライヤさん。
 しかし、この飛竜達が恐れをなして近づきたくない【怖いもの】って。
 私の脳裏に嫌な予感がよぎる。

「フライヤさん、俺達はここで十分です」
「いや、それでは…」
「この飛竜達が近づきたくないほどの異変がイザベルで起きているのであれば、俺達の力が必要かもしれません」
「しかし、タタラ様…」
「お代は前金でお支払いしてありますので、それでは。行くぞ!マロフィノ!」
「フィン!」

 フライヤさんの静止を押し切って、私達は車両のドアを開け飛び降りた。

「マロッ!マロマロマロッ!マロフィーーートッ!」

 マロフィノが謎の掛け声とともに空中でマロフィートに変身、その背中飛び乗り。

「マロフィート!一直線にイザベルへ」
「了解!グロワッ!」

 私は申し訳なさそうな表情でドアから顔を出すフライヤさんに笑顔で会釈をしてイザベルの方角を睨む。
 まさか、魔王軍?それともフラワルド騎士団が…そんなことを考えていた時だった。
 イザベル街門付近で大気を揺らすような爆発音とともに天まで届くような巨大な噴煙が上がった。

「フィーゴッ!うるさい!こわい!グロワッ」
「いったいなんだ!このまま一気に行くのは…マロフィート!あの林の手前で降りよう!」

 まるで火山でも噴火したような爆煙に、情報がないまま突撃するのは危険と判断して近くの林で身を隠しながら少しずつ近くことにした。

 爆発音のあとはしばらく静寂が続き、どうやら大軍に攻め込まれているわけではないようだ。
 もしかして高レベル魔獣でも出たのか?そんなこと考えているうちに徐々に煙が薄れ、街門前の状況が視認できるようになってきた。

「タタラ、誰かたおれてるよ。オニ」

 マロフィートは着陸後に変化してマロオニになった。

「人…だな。んっ待てよ、門の前あたりに武器を持った…子供?」

 遠目ではっきりとはわからないが、小柄な人型の人物を確認した。

『ワシがおらんスキに何を勝手なことをしておるんじゃぁぁぁぁぁああ!!』

 物凄い声量の怒鳴り声が大気を揺らし、林の木々の葉が強風に煽られたように飛び散る。

「タタラ!このしゃべりかた?オニ」

 叫んだのは街門前の子供のようだが、この独特の老人口調は、私達のよく知る人物にそっくりである。
 
「ああ、お前の言う通り、アイツに似てるけど」

 深くえぐれた地面の中心で倒れている人物、それをまっすぐに見ながら叫ぶ、リアス口調の子供。声から推測するに性別は男。
 状況から判断すると、さっきの爆発音と噴煙はこの二人の戦闘で起きたものと考えるのが普通だろう。

「ねぇどうしよう。オニ」

 マロオニの言う通り困った状況ではある。
 イザベルに何者かが攻め込んできたとばかり思っていた私だったが、街門を背にしているにもかかわらず、街に入るそぶりを見せない少年は果たして敵なのか?ここからよく見えない倒れている人物は何者なのか?助けに入った方が良いのか?それならどちらに加勢するべきなのか?
 様々な思考が頭を巡る中、この状況が動き出す。

 

 

 
 
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