130 / 144
放浪の英雄王
しおりを挟む
「見て!タタラ!あれって。オニ」
長考モードに入っていた私の耳にマロオニの声が飛び込み、私は視線をマロオニの指差す方へ向けた。
陥没した地面からゆっくりと這い出てくる黒い長い髪が特徴的な人物…ってアレは!
「エヴァさん!!」
思わず叫んでしまったが、その後一瞬にして背筋が凍った。
どこからか向けられる、今まで感じたことのないような殺意。
「誰じゃぁ、おぬしは」
イザベル街門前にいる低身長の人物から発せられた静かで低い問いはまるで耳元で囁いているかのように私の耳にはっきり届く。
圧倒的な殺気、ボロボロのエヴァさん…私じゃなくても分かりきった事だが、この状況はかなりまずい、というかまずすぎる。
「タッ…タタラか…くっ…にっ…逃げろ…」
「エヴァさん!!大丈夫ですか!?」
「タタラ!!危ない!!オニ」
マロフィノの声に反応して正面をみると、街門前にいた小柄な人物が私のすぐ上で大剣のようなものを振り上げていた。
「キサマが!タタラかぁ!!」
体に似合わない低い怒鳴り声で私の名前を叫びながら剣を振り下ろす。
私はすんでのところで、横飛びで回避したが、深々と地面に突き刺さった剣を抜きながら小柄な人物が鬼の形相で私を睨む。
額の部分銀のプレート、角のような物が左右に生えた黒いキャップの下で少年のように見える丸い顔、特徴的な子猫のような大きな瞳、黒のダボダボのトレーナーとデニムのズボンにブーツといった格好の小柄な人物が持っている地面をえぐった剣は刃渡50センチほどの長さだが大剣よりも幅がある、特殊なものだ。
私は背中に嫌な汗が流れるのを感じながら、一撃でえぐられた地面を見ながら頭の中でヤバイを連呼している。
こんなもん頭から食らったら間違い無く真っ二つだぞ。
それを躊躇なく振り下ろしてくるなんて…。
「マロオニ…できるだけ遠くに逃げろ…ここは俺が…」
マロオニに逃げるように促したが時すでに遅し、マロオニは小柄な人物の背後に迫り二振りの牙の剣を構えていた。
「殺気がだだ漏れじゃ小僧」
「ギャうっ…」
小柄な人物は振り返ることなく裏拳を放ちマロオニは一撃で膝から倒れた。
「来い!ベルググ!!」
マロオニにこれ以上追撃させまいと私は戦闘モードに入る。
手に現れた漆黒の大剣で足元を狙い低く横切り、小柄な人物が飛び上がった瞬間【逆鱗】ゼロ距離から龍のオーラを纏った突きで小柄な人物を吹き飛ばし、飛ばした方向に全力でダッシュ【龍剣】オーラを纏いさらに加速してそのまま龍のオーラでさらに突く。
小柄な人物はまるでボールのようにポンポンと飛んでいきマロオニの倒れている場所からだいぶ距離をとれたが、なんだこの手ごたえのなさは、まったく攻撃が当たった感触がない。
私が【龍剣】の突きから通常の構えに剣を持ち直したところで、飛ばした小柄な人物はまるで自らジャンプでもしたかのように静かに地面に着地した。
鑑定スキル【解析】 【 名前 】 ディノ・ルギ二
【 レベル 】 1000
できれば知りたくは無かった。
今目の前にいて、私に殺気を向けているこの人物は、かつてエヴァさんやアンカさんが所属していたパーティー【箱舟】のリーダーにして、私に受け継がれた【聖印の運び手】の前任者。
【放浪の英雄王】ディノ・ルギ二。
「覗き見は終わったか?小僧」
私が【解析】をしたのがバレている。
「【放浪の英雄王】ディノ・ルギニ…あなたがなぜイザベルを襲うのですか?」
「イザベルを?ほざくな小僧!ワシが殺るのは、そこの馬鹿弟子とお主だけじゃ!タタラァ!!」
まったく意味がわからないが、放浪の英雄王の狙いは私とエヴァさんだけらしい。
つーかなんでだ!!
放浪の英雄王は鬼の形相で剣を振り上げながら私めがけ一直線に猛ダッシュ。
そして、叫ぶ。
「楽に死ねると思うでないぞ!!リアス様をたぶらかした罪!!たっぷり償わせてやるんじゃ!!」
いっ!?今?なんてっ!?
長考モードに入っていた私の耳にマロオニの声が飛び込み、私は視線をマロオニの指差す方へ向けた。
陥没した地面からゆっくりと這い出てくる黒い長い髪が特徴的な人物…ってアレは!
「エヴァさん!!」
思わず叫んでしまったが、その後一瞬にして背筋が凍った。
どこからか向けられる、今まで感じたことのないような殺意。
「誰じゃぁ、おぬしは」
イザベル街門前にいる低身長の人物から発せられた静かで低い問いはまるで耳元で囁いているかのように私の耳にはっきり届く。
圧倒的な殺気、ボロボロのエヴァさん…私じゃなくても分かりきった事だが、この状況はかなりまずい、というかまずすぎる。
「タッ…タタラか…くっ…にっ…逃げろ…」
「エヴァさん!!大丈夫ですか!?」
「タタラ!!危ない!!オニ」
マロフィノの声に反応して正面をみると、街門前にいた小柄な人物が私のすぐ上で大剣のようなものを振り上げていた。
「キサマが!タタラかぁ!!」
体に似合わない低い怒鳴り声で私の名前を叫びながら剣を振り下ろす。
私はすんでのところで、横飛びで回避したが、深々と地面に突き刺さった剣を抜きながら小柄な人物が鬼の形相で私を睨む。
額の部分銀のプレート、角のような物が左右に生えた黒いキャップの下で少年のように見える丸い顔、特徴的な子猫のような大きな瞳、黒のダボダボのトレーナーとデニムのズボンにブーツといった格好の小柄な人物が持っている地面をえぐった剣は刃渡50センチほどの長さだが大剣よりも幅がある、特殊なものだ。
私は背中に嫌な汗が流れるのを感じながら、一撃でえぐられた地面を見ながら頭の中でヤバイを連呼している。
こんなもん頭から食らったら間違い無く真っ二つだぞ。
それを躊躇なく振り下ろしてくるなんて…。
「マロオニ…できるだけ遠くに逃げろ…ここは俺が…」
マロオニに逃げるように促したが時すでに遅し、マロオニは小柄な人物の背後に迫り二振りの牙の剣を構えていた。
「殺気がだだ漏れじゃ小僧」
「ギャうっ…」
小柄な人物は振り返ることなく裏拳を放ちマロオニは一撃で膝から倒れた。
「来い!ベルググ!!」
マロオニにこれ以上追撃させまいと私は戦闘モードに入る。
手に現れた漆黒の大剣で足元を狙い低く横切り、小柄な人物が飛び上がった瞬間【逆鱗】ゼロ距離から龍のオーラを纏った突きで小柄な人物を吹き飛ばし、飛ばした方向に全力でダッシュ【龍剣】オーラを纏いさらに加速してそのまま龍のオーラでさらに突く。
小柄な人物はまるでボールのようにポンポンと飛んでいきマロオニの倒れている場所からだいぶ距離をとれたが、なんだこの手ごたえのなさは、まったく攻撃が当たった感触がない。
私が【龍剣】の突きから通常の構えに剣を持ち直したところで、飛ばした小柄な人物はまるで自らジャンプでもしたかのように静かに地面に着地した。
鑑定スキル【解析】 【 名前 】 ディノ・ルギ二
【 レベル 】 1000
できれば知りたくは無かった。
今目の前にいて、私に殺気を向けているこの人物は、かつてエヴァさんやアンカさんが所属していたパーティー【箱舟】のリーダーにして、私に受け継がれた【聖印の運び手】の前任者。
【放浪の英雄王】ディノ・ルギ二。
「覗き見は終わったか?小僧」
私が【解析】をしたのがバレている。
「【放浪の英雄王】ディノ・ルギニ…あなたがなぜイザベルを襲うのですか?」
「イザベルを?ほざくな小僧!ワシが殺るのは、そこの馬鹿弟子とお主だけじゃ!タタラァ!!」
まったく意味がわからないが、放浪の英雄王の狙いは私とエヴァさんだけらしい。
つーかなんでだ!!
放浪の英雄王は鬼の形相で剣を振り上げながら私めがけ一直線に猛ダッシュ。
そして、叫ぶ。
「楽に死ねると思うでないぞ!!リアス様をたぶらかした罪!!たっぷり償わせてやるんじゃ!!」
いっ!?今?なんてっ!?
0
あなたにおすすめの小説
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主』
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。
山椒
ファンタジー
そのコンビニにいた人たち全員が異世界転移された。
異世界転移する前に神に世界を救うために呼んだと言われ特典のようなものを決めるように言われた。
その中の一人であるフリーターの優斗は異世界に行くのは納得しても世界を救う気などなくまったりと過ごすつもりだった。
攻撃、防御、速度、魔法、特殊の五項目に割り振るためのポイントは一億ポイントあったが、特殊に八割割り振り、魔法に二割割り振ったことでチートな箱庭をゲットする。
そのチートな箱庭は優斗が思った通りにできるチートな箱庭だった。
前の世界でやっている番組が見れるテレビが出せたり、両親に電話できるスマホを出せたりなど異世界にいることを嘲笑っているようであった。
そんなチートな箱庭でまったりと過ごしていれば迷い込んでくる女性たちがいた。
偽物の聖女が現れたせいで追放された本物の聖女やら国を乗っ取られて追放されたサキュバスの王女など。
チートな箱庭で作った現代技術たちを前に、女性たちは現代技術にどっぷりとはまっていく。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
社畜の異世界再出発
U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!?
ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。
前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。
けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる