THIRD ROVER 【サードローバー】オッサンのVRMMOは異世界にログインする

ケーサク

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それぞれの怒り

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『タタラ!!まともに受けんな』

 軽く混乱状態の私の頭中でベルググの声が響き、咄嗟に【刃流し】を発動。
 ディノさんの振り下ろす一撃を、スキルで受け流したが、勢いそのままに振り下ろされた一撃が地面を砕き、足が取られそうになる。

「こしゃくな真似をぉぉ!!」

 くっ。まったく意味がわからないが、ここは目の前の状況に集中しなくては。
 体躯に似合わない圧倒的な破壊力を持った攻撃は、一撃くらっただけでおそらく致命傷。

「容赦はせぬぞ!!」

 血走った目と、額に浮き出た血管、隠すことなく放たれる殺気。
 ごちゃごちゃ考えてたら、死ぬ。

「戦陣…」

 【龍の巣】これ以上受け身に回るのは不利だ、私は最大火力で一気に攻める。
 龍を象ったオーラを纏い加速した突きを繰り出した瞬間、金属どうしが激しくぶつかり合う音が響く。

「ぬるいぞ小僧」

 絶望に近い感情が一瞬で私の心を支配する。自身の最大攻撃力を誇る【龍剣】の突きの勢いと衝撃をディノさんは片手で持った剣で完全に止めてしまったのだ。

「その程度の戦闘能力でリアス様を連れ歩くなど、はらわたが煮えくりかえるわっ!!」

 突き出した漆黒の大剣を振り払われ、体制を崩した私の脇腹にディノさんの拳が突き刺さる。

「グフッ」

 小さな拳の一撃は、背中まで貫通して穴が開いたのでは錯覚するほどの激痛と衝撃だった。
 口にたまった血を吐きだす間もなく、頭と体が分断されたのではと思うほどの衝撃が顔面に打ち込まれた。
 たった二発の攻撃で、瀕死の状態に追い込まれ、もはや何をされたのか、自分が立っているのか横たわっているのかすらわからない。

「ルチザンでリアス様がアルフィムに戻られたと知った時は、怒りで気が狂いそうになったのじゃが。ヌシの実力を目の当たりにした今は不幸中の幸いというしかないな」

 何を言ってるんだ?

 リアスがアルフィムに戻った方が良かった?

 それは、リアスがサンタ・クロウズと婚約したのが良かったってことか?

 ディノさんはそのことをわかってこんなことを言っているのか?

 俺達と一緒にいるより、その方がリアスが幸せだとでも言いたいのか?

「なんじゃ?何か言いたげじゃのう。雑魚」

 体が徐々に軽くなり、感覚が戻ると、私は立ってディノさんを見ていた。

 いや、睨んでいる。

 体が熱い。

 俺はディノさんの言葉に怒りを感じていた。

「俺達の日々を、俺達の冒険を何も知らないあなたが、否定するな」

 俺の体の周りを薄いピンク色の蒸気のようなものが渦巻く。

「【加護】か…否定されたくないと言うのじゃったらキサマの全力、見せてみるがよい。その上で知れ!ワシの言葉が正しかったと!」

 いったい俺自身が何にこれほど怒りを感じているのか、自分自身まったくわかってはいない。
 リアスはもともと、いずれ去って行く仲間。その別れがたまたま早く訪れたというだけで、その後の彼女の人生など知ったことではない。
 だが、体の奥底からくるどうしても抑えきれない衝動が俺に剣を構えさせる。

『やる気かよ!?タタラ』

 突き出した剣の先でディノさんが鼻で笑った様な表情を見せたあと、剣を数回振り風を切る音が聞こえた。

「身の程を教えてやろうかのう」

 恐怖心はすでに消え去り、俺の心の中には『否定されたくない』という、強い気持ちが支配していた。
 
 

 

 

 
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