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亀裂
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体力が回復していくのが感覚としてわかる。
身体能力が向上してベルググを持つ手が軽い。
大地を蹴る足がが普段の何倍も力強く、一歩ごとにどんどんと加速していく。
乱暴に振り回したベルググは、ディノさんの剣で防がれたが、激しい金属音と火花を散らしながらディノさんを吹き飛ばした。
「あなたを押しのけて、俺たちはリアスに会いに行く!!」
【飛断剣】ベルググを振りおろし、刀身から発生した巨大な衝撃波がディノさんを追う。
空中のディノさんはなす術なく【飛断剣】の衝撃波に衝突されるかと思ったが、手持った剣を地面に突き立て、着地、軽く振った剣で衝撃波をかき消し、俺めがけ手に持った剣を投げつけてきたがベルググで叩き落す。
一瞬、目線を切っただけなのに目の前にディノさんの姿はない。
「ワシの前でリアス様を呼び捨てにしたことを後悔するがよい」
背後から声がして咄嗟に振り返った瞬間、アゴに衝撃を感じ視界が歪む。
俺は雷魔法【ディスチャージ】【スタン】を発動、周囲を青白い光を放す電撃がかける。
わずか数秒の放電ではあるが、受けたダメージと歪んだ視界が回復するには十分な時間だ。
放電が消えると同時に認識外の攻撃を知らせる【警告】の電子音が響き身構えながら周囲を確認する。
ディノさんは俺から離れた場所で剣を天に向け構えている。
「おいおい、なんだよそれは」
大剣ほどの幅のある短い剣の先から、天を貫くほどの伸びた黄金色の光。
「受けてみよ、ワシの怒りを」
ディノさんの剣から空へ続いてた光が次第に細くなり消え、上段の剣を構え直した。
「天の怒り」
静かな低い声で技の名前を言いながら、剣を振り下ろすディノさん。
次の瞬間、空に集まったエネルギーが太陽の如く光り、逃げ場のないほどの巨大な一塊になって俺の頭上に落下してきた。
「べッ!ベルググ!!喰らえ【暴食】」
俺の周りを黒いドーム型のオーラが包む。
そして、落下してきたエネルギーの塊に飲み込まれた。
「グアァァァッ!!どうなってるんだ!ベルググッ!」
『グオオッ!タタラ!!これはヤベェぞ』
いつも強気な魔剣が弱音を吐いている。
【暴食】の吸収スピードを遥かに上回る超高密度のエネルギーは木々をなぎ倒し、地面をえぐり、黒いドーム内でもその猛威をふるっていた。
【アト・ラス】の一撃が地面に衝突し、爆煙と轟音をあげながら巨大なクレーターを作り、そこにあった全てを消滅させるのにわずか数十秒。
高密度エネルギーの発光が消えると辺りはしばらく、粉塵に覆われた。
『生きてる…よな?』
「グッ。ホァ……グフッ…なんとか」
ベルググの問いに答え、自分が生きていることを確認する。
全身至る場所にズキズキとした痛み、ベルググを構えた腕の状態からすると火傷にも見える裂傷があちこちにあるのだろう。ズタズタに破れた防具は再起不能状態。
バハムートのスキルを抑え込んで見せたベルググの【暴食】でさえ貫通するディノさんの一撃は身体的なダメージだけではなく、私の心もへし折った。
「まともに攻撃すら当たらないのに、あっちは一撃でこの威力」
『タタラ…』
私を包んでいたピンク色の蒸気はすでに消えさっていた。
「こんなの…勝てるわけがねぇ」
『タタラどうやらここまでのようだ』
脳内に響いたベルググの言葉に私はさらなる絶望を覚えた。
「ベル…ググ…」
漆黒の刀身に一本の亀裂が走り、その後を追うように刀身全体に網目状に亀裂がはいった。
「ベルググ!!」
『すまねぇな、俺はここでリタイアだ』
「ふざけんな!!テメェが居なくなったら…」
身体能力が向上してベルググを持つ手が軽い。
大地を蹴る足がが普段の何倍も力強く、一歩ごとにどんどんと加速していく。
乱暴に振り回したベルググは、ディノさんの剣で防がれたが、激しい金属音と火花を散らしながらディノさんを吹き飛ばした。
「あなたを押しのけて、俺たちはリアスに会いに行く!!」
【飛断剣】ベルググを振りおろし、刀身から発生した巨大な衝撃波がディノさんを追う。
空中のディノさんはなす術なく【飛断剣】の衝撃波に衝突されるかと思ったが、手持った剣を地面に突き立て、着地、軽く振った剣で衝撃波をかき消し、俺めがけ手に持った剣を投げつけてきたがベルググで叩き落す。
一瞬、目線を切っただけなのに目の前にディノさんの姿はない。
「ワシの前でリアス様を呼び捨てにしたことを後悔するがよい」
背後から声がして咄嗟に振り返った瞬間、アゴに衝撃を感じ視界が歪む。
俺は雷魔法【ディスチャージ】【スタン】を発動、周囲を青白い光を放す電撃がかける。
わずか数秒の放電ではあるが、受けたダメージと歪んだ視界が回復するには十分な時間だ。
放電が消えると同時に認識外の攻撃を知らせる【警告】の電子音が響き身構えながら周囲を確認する。
ディノさんは俺から離れた場所で剣を天に向け構えている。
「おいおい、なんだよそれは」
大剣ほどの幅のある短い剣の先から、天を貫くほどの伸びた黄金色の光。
「受けてみよ、ワシの怒りを」
ディノさんの剣から空へ続いてた光が次第に細くなり消え、上段の剣を構え直した。
「天の怒り」
静かな低い声で技の名前を言いながら、剣を振り下ろすディノさん。
次の瞬間、空に集まったエネルギーが太陽の如く光り、逃げ場のないほどの巨大な一塊になって俺の頭上に落下してきた。
「べッ!ベルググ!!喰らえ【暴食】」
俺の周りを黒いドーム型のオーラが包む。
そして、落下してきたエネルギーの塊に飲み込まれた。
「グアァァァッ!!どうなってるんだ!ベルググッ!」
『グオオッ!タタラ!!これはヤベェぞ』
いつも強気な魔剣が弱音を吐いている。
【暴食】の吸収スピードを遥かに上回る超高密度のエネルギーは木々をなぎ倒し、地面をえぐり、黒いドーム内でもその猛威をふるっていた。
【アト・ラス】の一撃が地面に衝突し、爆煙と轟音をあげながら巨大なクレーターを作り、そこにあった全てを消滅させるのにわずか数十秒。
高密度エネルギーの発光が消えると辺りはしばらく、粉塵に覆われた。
『生きてる…よな?』
「グッ。ホァ……グフッ…なんとか」
ベルググの問いに答え、自分が生きていることを確認する。
全身至る場所にズキズキとした痛み、ベルググを構えた腕の状態からすると火傷にも見える裂傷があちこちにあるのだろう。ズタズタに破れた防具は再起不能状態。
バハムートのスキルを抑え込んで見せたベルググの【暴食】でさえ貫通するディノさんの一撃は身体的なダメージだけではなく、私の心もへし折った。
「まともに攻撃すら当たらないのに、あっちは一撃でこの威力」
『タタラ…』
私を包んでいたピンク色の蒸気はすでに消えさっていた。
「こんなの…勝てるわけがねぇ」
『タタラどうやらここまでのようだ』
脳内に響いたベルググの言葉に私はさらなる絶望を覚えた。
「ベル…ググ…」
漆黒の刀身に一本の亀裂が走り、その後を追うように刀身全体に網目状に亀裂がはいった。
「ベルググ!!」
『すまねぇな、俺はここでリタイアだ』
「ふざけんな!!テメェが居なくなったら…」
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