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黒鉄の魔女と最悪の救世主
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「このエヴァの分からず屋、ケチ、ケチ!」
「そうだな自分でもそう自負しているよ」
「ぐぬぬぬぬ」
リアスさんはこの調子でギルドマスターのエヴァさんに罵声を浴びせ続けているがまったく効果はない。この二人の関係が気になるところではあるが、それよりも私は自分の今後のことを考えなければならない。
このまま冒険者登録を目指してレベルを上げるためフィールドに繰り出したところで、次回、街入れる保証はない。やはりどこかで通行証をもらって……しかし身元の証明になるような物は何もないし、犯罪まがいなことは当然NGだ。
マロフィノ、私達はこれからどうしたらいいと思う?
「フィン?」
もういっそのこと、どこかの山に家を設置して自給自足生活でもしようかな、ははは。
私が、第二の人生のグランドクエストを魔王討伐から、ほのぼのスローライフに大幅に方向転換しようかと考えていた時、女性二人の押し問答が進展をみせた。
「ケチエヴァめ、帰ったらジィに言いつけやるんじゃ」
エヴァさんはものすごい勢いで立ち上がり、その顔からは先程までの威厳は消え失せ、代わりに若干の恐怖心をにじませている。
「言われる前に、お前の脳天を吹き飛ばしてやろうか?」
「やれるもんならやってみるんじゃ、そしたらきっとジィはものすごーーーく怒ると思うけどのう」
「このガキが、言わせておけば調子に乗りやがって」
会話の流れから察するにどうやらリアスさんの【ジィ】なる存在がエヴァさんの天敵のようだ。レベル595の天敵……想像しただけで恐ろしい。そして、エヴァさんは二十代前半かと思っていたがリアスさんよりも年上なのが判明した。
「何を言おうとダメなもんはダメだからな」
「ケチ!ケチ!ケチ!ケチ!」
そして話は振り出しに戻る。
んっ?今、外から、悲鳴が聞こえたような。振り向くと、扉が吹き飛んだ入口の外が騒がしい。何か揉め事だろうか、ゲームの時もギルド付近は揉め事が多いイメージはあるが中々に騒がしい街であることは確かだ。
「どけ、道を開けろ獣共!」
また一段と乱暴な物言いの輩がいるようだ。
「チッ、また最悪な奴等が来たもんだ。どっかのガキが扉をぶち壊してくれたおかげで居留守も使えないじゃないか」
「大変、申し訳ございませんでした」
訂正、いるようだではなく、来たようだ。
「おい、お前ら全員、後ろの部屋に行って静かにしてろ、特にリアスと犬。絶対顔を出すんじゃないぞ」
「なんじゃいったい何が来たんじゃ?」
「うるさい、後で教えてやるからとっとと行け」
エヴァさんはマロフィノを鷲掴みにしてリアスさんに手渡すと、なんじゃなんじゃと連呼する背中をポンと押して奥の部屋に行くように促し、私の肩に手をかけ囁いた。
「少しでもヤバイと思ったら、窓でも壁でも壊してかまわないから、リアスを連れて出来るだけ遠くに逃げろ」
「いったい何が来たんですか?」l
エヴァさんは顔に嫌悪感を漂わせながら言った。
「フラワルド騎士団」
私は驚き、そして一人の男を連想した。もし私の想像通りの連中ならばエヴァさんの言動にも納得がいく。
「おいモタモタするなお前もさっさっと行け」
「君は?まさか!タタラ?タタラ君かい?」
ストレートの金髪をなびかせ、全身銀色の鎧に身を包んみ赤いマントをなびかせ、私よりも頭半分ほど背の高い青い眼の優男が私の名を呼ぶ。やはり創造神が言っていた二人の地球人のうちのもう一人はこの人だった。
「お久しぶりです。アフラさん」
鑑定スキル【解析】
【 名前 】 アフラ・シュウラ
【 レベル 】 785
アフラ・シュウラ。2年前【AQURIS online】から突然姿を消したβテストからの古参プレイヤー。当時、ゲーム最強の剣士と呼ばれ自身が結成した最強最悪のチーム【フラワルド騎士団】の団長をつとめた私が最も嫌いな男だ。しかし、サンタほどではないがこのレベルは一体どういうことなんだ。
「久しぶりだね、何年ぶりだろう。君はいつこっちに呼ばれたんだい?」
「最近ですけど……呼ばれた?」
「あれ?創造神様から事情を聞かなかったのかい」
「まぁ、それなりには」
私がアクリスに来たのは偶然の産物であって誰かに呼ばれたわけではないし、創造神と邂逅できたのはあくまで、私が復活アイテムを使って蘇るというチートを行ったから偶然会っただけ、それがなければ今もわけもわからないままアクリスを彷徨っていただろう。
だが、この人は呼ばれたと言い、さらに創造神から事情の説明があったような口ぶりだったけど、それだと話がおかしい。何故ならアクリス神は地球人は勝手にやってきたと言っていたからだ。さまざまな疑問が頭をよぎるが今重要なのは、この男が【何】をしにここにやってきたのかということである。クエストを受注しにきたわけではないことだけは確かだが。
「知り合いか?」
「昔ちょっと」
「後でキッチリ説明しろ、場合によっては」
「大丈夫です、アレらの仲間だったてことはありませんから」
エヴァさんはあのアフラさんに対して友好的ではないのがはっきりと感じ取れる。
「貴様、今、我々をアレ呼ばわりしたな」
アフラさんのお供の男が声を荒げる、さっき外で怒鳴っていたのはコイツのようだ。
鑑定スキル【解析】
【 名前 】タリアス・ロッド
【 レベル 】 180
現在【AQURIS online】のトッププレイヤーのレベルが200前後なのを考えるとコイツはかなりの上級であり、できれば戦闘は避けた存在だ、そしてこのお供の存在おかげでアフラさんの最も厄介な武器がこの世界でも健在なのがわかる。それは、歪んだ正義を掲げながらも他人を惹きつけ、仲間と言うより信者にしてしまう圧倒的なカリスマ性だ。……しかし、この名前、ものすごく気にくわない。私はコイツの言葉を無視することにした。だって何故かものすごく気にくわないのだから。
「今からクエストの受注ですか?さっきたくさんの人が受けていきましたから、良さそうなのは無いかもしれませんよ」
「貴様、私を
「タリアス君、僕の旧友に乱暴な言葉遣いはやめてください」
「失礼致しました、アフラ様」
「ごめんねタタラ君」
「いえ、全然気にならないです」
その【様】をすんなり受け入れてるアンタには多少引っかかりますけどね。
「僕はクエストを受注しに来たわけではなく、準備に来たんだ」
「準備?」
「そう、戦争の準備だよ。ねっ、エヴァ・フリゲートさん、いや【黒鉄の魔女】とお呼びしたほうが良かったかな」
その言葉にただでさえ険しいエヴァさんの表情は威嚇する獣のように、さらに険しさをます。
「何回言ったらわかるんだ。テメェの殺戮に手を貸すつもりはない」
「さつっ……アンタまさかこの世界でも」
「殺戮なんて、人聞きの悪いこと言わないでください。僕達は人の言葉を話す悪魔から人間を守るために戦っているだけですよ」
やはりこの男は最悪のままだった。いやむしろ【AQURIS online】という仮想空間からアクリスという現在世界に舞台を移したことでさらにタチが悪くなっている。この男は【AQURIS online】配信直後に【フラワルド騎士団】を旗揚げし、歪んだ人間至上主義を強く主張した。そして、亜人アバターを【悪】と言い放ち、差別や妨害行為、集団によるPKなどの問題行動を行い、騎士団に反発するプレイヤーと激しい抗争まで起こした。最終的に騎士団員をネットに実名で晒す者まで現れ、現実社会で逮捕者が出るなど大問題に発展したのちアフラのプレイヤーはアバターごと失踪。当時、さまざまな憶測とともにネットニュースを騒がせたが、どうやらこの男はアクリスでも最悪の救世主を演じているのらしい。
「タタラ君、君はアクリス来たばかりで何もわからないと思うけど、今この星は危機的状況なんだ。人のフリをした悪魔は人間社会に入り込み、そしてどんどん力を増す魔者の軍隊、さらには【魔王】を名乗るあの男の存在、それら全ての問題を解決するためにどうしても今、強い人間の意思と力が必要なんだ。僕は今日エヴァさんに会いに来て、まさか君に会えるなんて夢にも思っていなかった、だけどこれもきっと創造神様のお導き。騎士団に入ってくれとは言わないが、タタラ君、エヴァさんと一緒に僕達に力を貸してもらえないだろうか」
饒舌ぅ。前半、何言ってたっけ録音しとけば良かった。
「よくもまぁペラペラと回る舌だな、とっとと国に帰って舞台役者にでも転職した方が世界平和に貢献できるよ」
「ぷふっ!」
「貴様!アフラ様の志しを笑うなど、許せん!」
タリアス君は剣を半分抜いて私を威嚇して来た。いやいや今の私悪くないでしょ、つーか名前からして、ずっと気にくわないんだよ。何故か。
「えっ俺?だって今のエヴァさんが」
「タリアス君やめてください」
「しっ、しかし」
「君がいると話がこじれてしまう、それにアスガルズ王との謁見も控えてるので今日はこれで帰るとしましょうか」
「……はい」
国王との謁見、アクリスに来てたった2年でそれほどまでに権力を持っているとは。
「今日はお騒がせしました。エヴァさん、タタラ君、さっきの件は検討していただいて、後程また」
「はっきりともう一度だけ言っておく、お断りだ、二度と来るな」
「ははは、手厳しいですね。でも心変わりという事もあるかもしれませんので、いずれまた」
なかなかの精神防御力を見せつけたアフラさんは深くお辞儀をしてからギルドを背にして歩き出した。タリアス君は恨めしそうに私を睨みつけたのちアフラさんの後を追いかける。その姿を見送った後、私はどうしても確認しておかなければいけないという気持ちに駆り立てられた。
「アフラさん」
門から出て呼びかけた私にアフラさん立ち止まり振り返る。
「一体この世界で何人殺したんですか」
いよいよ斬りかかりそうになったタリアス君をアフラさんは無言で制止した後ゆっくりと口を開いた。
「君は倒したモンスターの数をいちいち数えているの?」
笑顔でそう言い残し、フラワルド騎士団は去っていった。
私の中で警告のようにある思いが巡る。
《フラワルド騎士団が勝っても魔王サンタが勝っても世界は崩壊する》
「そうだな自分でもそう自負しているよ」
「ぐぬぬぬぬ」
リアスさんはこの調子でギルドマスターのエヴァさんに罵声を浴びせ続けているがまったく効果はない。この二人の関係が気になるところではあるが、それよりも私は自分の今後のことを考えなければならない。
このまま冒険者登録を目指してレベルを上げるためフィールドに繰り出したところで、次回、街入れる保証はない。やはりどこかで通行証をもらって……しかし身元の証明になるような物は何もないし、犯罪まがいなことは当然NGだ。
マロフィノ、私達はこれからどうしたらいいと思う?
「フィン?」
もういっそのこと、どこかの山に家を設置して自給自足生活でもしようかな、ははは。
私が、第二の人生のグランドクエストを魔王討伐から、ほのぼのスローライフに大幅に方向転換しようかと考えていた時、女性二人の押し問答が進展をみせた。
「ケチエヴァめ、帰ったらジィに言いつけやるんじゃ」
エヴァさんはものすごい勢いで立ち上がり、その顔からは先程までの威厳は消え失せ、代わりに若干の恐怖心をにじませている。
「言われる前に、お前の脳天を吹き飛ばしてやろうか?」
「やれるもんならやってみるんじゃ、そしたらきっとジィはものすごーーーく怒ると思うけどのう」
「このガキが、言わせておけば調子に乗りやがって」
会話の流れから察するにどうやらリアスさんの【ジィ】なる存在がエヴァさんの天敵のようだ。レベル595の天敵……想像しただけで恐ろしい。そして、エヴァさんは二十代前半かと思っていたがリアスさんよりも年上なのが判明した。
「何を言おうとダメなもんはダメだからな」
「ケチ!ケチ!ケチ!ケチ!」
そして話は振り出しに戻る。
んっ?今、外から、悲鳴が聞こえたような。振り向くと、扉が吹き飛んだ入口の外が騒がしい。何か揉め事だろうか、ゲームの時もギルド付近は揉め事が多いイメージはあるが中々に騒がしい街であることは確かだ。
「どけ、道を開けろ獣共!」
また一段と乱暴な物言いの輩がいるようだ。
「チッ、また最悪な奴等が来たもんだ。どっかのガキが扉をぶち壊してくれたおかげで居留守も使えないじゃないか」
「大変、申し訳ございませんでした」
訂正、いるようだではなく、来たようだ。
「おい、お前ら全員、後ろの部屋に行って静かにしてろ、特にリアスと犬。絶対顔を出すんじゃないぞ」
「なんじゃいったい何が来たんじゃ?」
「うるさい、後で教えてやるからとっとと行け」
エヴァさんはマロフィノを鷲掴みにしてリアスさんに手渡すと、なんじゃなんじゃと連呼する背中をポンと押して奥の部屋に行くように促し、私の肩に手をかけ囁いた。
「少しでもヤバイと思ったら、窓でも壁でも壊してかまわないから、リアスを連れて出来るだけ遠くに逃げろ」
「いったい何が来たんですか?」l
エヴァさんは顔に嫌悪感を漂わせながら言った。
「フラワルド騎士団」
私は驚き、そして一人の男を連想した。もし私の想像通りの連中ならばエヴァさんの言動にも納得がいく。
「おいモタモタするなお前もさっさっと行け」
「君は?まさか!タタラ?タタラ君かい?」
ストレートの金髪をなびかせ、全身銀色の鎧に身を包んみ赤いマントをなびかせ、私よりも頭半分ほど背の高い青い眼の優男が私の名を呼ぶ。やはり創造神が言っていた二人の地球人のうちのもう一人はこの人だった。
「お久しぶりです。アフラさん」
鑑定スキル【解析】
【 名前 】 アフラ・シュウラ
【 レベル 】 785
アフラ・シュウラ。2年前【AQURIS online】から突然姿を消したβテストからの古参プレイヤー。当時、ゲーム最強の剣士と呼ばれ自身が結成した最強最悪のチーム【フラワルド騎士団】の団長をつとめた私が最も嫌いな男だ。しかし、サンタほどではないがこのレベルは一体どういうことなんだ。
「久しぶりだね、何年ぶりだろう。君はいつこっちに呼ばれたんだい?」
「最近ですけど……呼ばれた?」
「あれ?創造神様から事情を聞かなかったのかい」
「まぁ、それなりには」
私がアクリスに来たのは偶然の産物であって誰かに呼ばれたわけではないし、創造神と邂逅できたのはあくまで、私が復活アイテムを使って蘇るというチートを行ったから偶然会っただけ、それがなければ今もわけもわからないままアクリスを彷徨っていただろう。
だが、この人は呼ばれたと言い、さらに創造神から事情の説明があったような口ぶりだったけど、それだと話がおかしい。何故ならアクリス神は地球人は勝手にやってきたと言っていたからだ。さまざまな疑問が頭をよぎるが今重要なのは、この男が【何】をしにここにやってきたのかということである。クエストを受注しにきたわけではないことだけは確かだが。
「知り合いか?」
「昔ちょっと」
「後でキッチリ説明しろ、場合によっては」
「大丈夫です、アレらの仲間だったてことはありませんから」
エヴァさんはあのアフラさんに対して友好的ではないのがはっきりと感じ取れる。
「貴様、今、我々をアレ呼ばわりしたな」
アフラさんのお供の男が声を荒げる、さっき外で怒鳴っていたのはコイツのようだ。
鑑定スキル【解析】
【 名前 】タリアス・ロッド
【 レベル 】 180
現在【AQURIS online】のトッププレイヤーのレベルが200前後なのを考えるとコイツはかなりの上級であり、できれば戦闘は避けた存在だ、そしてこのお供の存在おかげでアフラさんの最も厄介な武器がこの世界でも健在なのがわかる。それは、歪んだ正義を掲げながらも他人を惹きつけ、仲間と言うより信者にしてしまう圧倒的なカリスマ性だ。……しかし、この名前、ものすごく気にくわない。私はコイツの言葉を無視することにした。だって何故かものすごく気にくわないのだから。
「今からクエストの受注ですか?さっきたくさんの人が受けていきましたから、良さそうなのは無いかもしれませんよ」
「貴様、私を
「タリアス君、僕の旧友に乱暴な言葉遣いはやめてください」
「失礼致しました、アフラ様」
「ごめんねタタラ君」
「いえ、全然気にならないです」
その【様】をすんなり受け入れてるアンタには多少引っかかりますけどね。
「僕はクエストを受注しに来たわけではなく、準備に来たんだ」
「準備?」
「そう、戦争の準備だよ。ねっ、エヴァ・フリゲートさん、いや【黒鉄の魔女】とお呼びしたほうが良かったかな」
その言葉にただでさえ険しいエヴァさんの表情は威嚇する獣のように、さらに険しさをます。
「何回言ったらわかるんだ。テメェの殺戮に手を貸すつもりはない」
「さつっ……アンタまさかこの世界でも」
「殺戮なんて、人聞きの悪いこと言わないでください。僕達は人の言葉を話す悪魔から人間を守るために戦っているだけですよ」
やはりこの男は最悪のままだった。いやむしろ【AQURIS online】という仮想空間からアクリスという現在世界に舞台を移したことでさらにタチが悪くなっている。この男は【AQURIS online】配信直後に【フラワルド騎士団】を旗揚げし、歪んだ人間至上主義を強く主張した。そして、亜人アバターを【悪】と言い放ち、差別や妨害行為、集団によるPKなどの問題行動を行い、騎士団に反発するプレイヤーと激しい抗争まで起こした。最終的に騎士団員をネットに実名で晒す者まで現れ、現実社会で逮捕者が出るなど大問題に発展したのちアフラのプレイヤーはアバターごと失踪。当時、さまざまな憶測とともにネットニュースを騒がせたが、どうやらこの男はアクリスでも最悪の救世主を演じているのらしい。
「タタラ君、君はアクリス来たばかりで何もわからないと思うけど、今この星は危機的状況なんだ。人のフリをした悪魔は人間社会に入り込み、そしてどんどん力を増す魔者の軍隊、さらには【魔王】を名乗るあの男の存在、それら全ての問題を解決するためにどうしても今、強い人間の意思と力が必要なんだ。僕は今日エヴァさんに会いに来て、まさか君に会えるなんて夢にも思っていなかった、だけどこれもきっと創造神様のお導き。騎士団に入ってくれとは言わないが、タタラ君、エヴァさんと一緒に僕達に力を貸してもらえないだろうか」
饒舌ぅ。前半、何言ってたっけ録音しとけば良かった。
「よくもまぁペラペラと回る舌だな、とっとと国に帰って舞台役者にでも転職した方が世界平和に貢献できるよ」
「ぷふっ!」
「貴様!アフラ様の志しを笑うなど、許せん!」
タリアス君は剣を半分抜いて私を威嚇して来た。いやいや今の私悪くないでしょ、つーか名前からして、ずっと気にくわないんだよ。何故か。
「えっ俺?だって今のエヴァさんが」
「タリアス君やめてください」
「しっ、しかし」
「君がいると話がこじれてしまう、それにアスガルズ王との謁見も控えてるので今日はこれで帰るとしましょうか」
「……はい」
国王との謁見、アクリスに来てたった2年でそれほどまでに権力を持っているとは。
「今日はお騒がせしました。エヴァさん、タタラ君、さっきの件は検討していただいて、後程また」
「はっきりともう一度だけ言っておく、お断りだ、二度と来るな」
「ははは、手厳しいですね。でも心変わりという事もあるかもしれませんので、いずれまた」
なかなかの精神防御力を見せつけたアフラさんは深くお辞儀をしてからギルドを背にして歩き出した。タリアス君は恨めしそうに私を睨みつけたのちアフラさんの後を追いかける。その姿を見送った後、私はどうしても確認しておかなければいけないという気持ちに駆り立てられた。
「アフラさん」
門から出て呼びかけた私にアフラさん立ち止まり振り返る。
「一体この世界で何人殺したんですか」
いよいよ斬りかかりそうになったタリアス君をアフラさんは無言で制止した後ゆっくりと口を開いた。
「君は倒したモンスターの数をいちいち数えているの?」
笑顔でそう言い残し、フラワルド騎士団は去っていった。
私の中で警告のようにある思いが巡る。
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