宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです

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宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-5

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「つまり、宅本健一の強欲ジジイがどんな遺言書を残していようとも――それが、公正証書遺言という形のものであったとしても、侠元先生が偽造したその遺言書によって、撤回することができるというわけですなあ」
「そのとおり。このたった一枚の紙きれによって、成金組長は、宅本健一の遺産のほぼすべてを手中にできるわけです」
「でも、ちょっと待ってください。宅本健一は、既に、かなりの遺産を若妻の宅本春子に生前贈与しているんじゃないですか? 相続税対策とかで」
 古鉄若頭が身を乗り出した。侠元先生はうなずくと、
「確かに、いくらかの財産は、既に宅本春子に移しているようだ。だが、宅本健一の遺産の全額からすれば、はした金だ。奴は、まだまだ、長生きするつもりでいたらしいからな」
「はした金ですか……。億の価値のあるマンションとかじゃないですか」
「まあ、そのとおりだが、既に宅本春子に渡ったものを回収することはできん」
「どうせなら、宅本春子の遺言も偽造してはどうですか。そこにちょいちょいと書き足して」
 遺言書の本文には、宅本健一そっくりの筆跡ですべての遺産を成金組に包括遺贈するという趣旨の文言が書かれているが、余白が大分ある。古鉄若頭はそこを指で示したのだ。
「宅本春子も一緒に、成金組に包括遺贈すると書けばいいんじゃないですか。億の価値のあるマンションですよね。もともとは、宅本健一の遺産でしょう。それをむざむざ、宅本春子の親だか誰かに渡してしまうのはもったいないじゃないですか」
 古鉄若頭は、自分が斬新な考えをひねり出したとでも言いたそうに、満面の笑顔を見せる。
 だが、侠元先生は、あきれ顔になり、成金組長は眉間にしわを寄せていた。
「バカ野郎! 侠元先生が苦労して偽造した遺言書を無効にするようなことをしてどうするんだ! 」
 成金組長の罵声に、古鉄若頭がビクッと首をすくめる。
「へっ。どういうことですか? 」
「民法の第九百七十五条を読め! 」

民法
(共同遺言の禁止)
第九百七十五条 遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。

「共同遺言の禁止。これは、基本中の基本だろうが! 」
「はっ……。申し訳ありません。とんでもないことを口走ってしまいました。宅本春子の遺言書を偽造するなら、別の紙に書かなければいけないということですね」
「そうだ。それに、宅本春子の遺言書を偽造するのはリスクが大きすぎる。宅本春子の遺族に訴えられる可能性が高い」
「それは、宅本健一の場合も同じでは? 甥の宅本建太郎が訴えてくるんじゃないですか。俺だったらそうしますよ。何しろ、数千億からの遺産が転がり込むかもしれないんじゃないですか」
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