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第三章「SNS」
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魚住がカーナビに入力した住所は、隣接県の県庁所在地を表示していた。ここから一時間ほど車を走らせれば着く程度の距離で、山奥だと聞かされ、一体どれほどの田舎へ足を運ばされるのかと肝を冷やしていた小山内はほっと胸を撫で下ろした。
「疲れた、寝るから着いたら教えて」
魚住はそれだけ告げると、そっと目蓋を閉じた。久保田はしばらく所在なさげにスマートフォンを弄っていたが、魚住が寝たことを確認すると、さりげなく肩に頭を寄せた。しばらくすると二人分の寝息が聞こえてきた。小山内はようやく息がつけるとばかりに深く息を吸い込み、車を走らせ続けた。
*
所在地こそ県庁所在地ではあったが、山奥にある廃墟、というのはあながち嘘ではなく、麓に車を置いてケーブルに乗車し、登山道を登る必要があった。登山道をパンプスで、それも靴ずれした状態で登ることは難しい。そもそも足元の悪い登山道をロングドレスで登ることすら無謀だと言えた。
買ったばかりの服を傷物にするのはしのびない、と主張することで、二人に妥協を余儀なくさせた。小山内は元の服装に着替え、後から一式を持って二人を追いかけることになった。
久保田は周囲を軽く見渡すと、慎重に「関係者以外立ち入り禁止」の札が掛かった扉を開いた。扉の先には登山道が続いており、久保田は迷いのない足取りで歩を進めた。明らかに部外者が勝手に入っていい場所ではないと尻込みしたが、久保田と魚住が先先に進んでいくため、しぶしぶ着いていった。
小一時間は歩いただろうか。日が落ちるまでの時間が長くなっているとは言え、既に午後六時をまわろうとしている。陰が落ちはじめる頃、ようやく目的の廃墟が姿を覗かせた。
自然の緑の中に突如として現れた薄灰色の建造物。元は宿泊施設だったというその洋館は、アール・デコ様式の建築だという。アール・デコとは、直線や幾何学模様、パターン化されたモチーフで構成されたデザインを特徴とする。工業的にして合理的、大量生産を目的とした装飾美術であり産業美術。
……と当時は言われていた。あくまでそれ以前のアール・ヌーヴォーと比較しての話である。実際にはアール・デコ様式の建築には職人が携わり、そのデザインも一点物であることが多い。現在の工業的大量生産と比較すると、かなり装飾的要素が多い。次第に装飾の少ない機能的なデザインが好まれるようになり、衰退していったとされる。
かつては純白だったであろうその建物は既に塗装の剥がれてコンクリートが剥き出しになっていた。コンクリートには蔦に浸食されていたが、自然との完全なる調和とは言い難かった。人の手が入らなくなって久しいにも関わらず、自然には同化せず、圧倒的な存在感を放っていた。単なる器ではない、とでも言えば良いだろうか。人の生活した痕跡が色濃く残された建造物は、明らかに異質だった。
魚住は廃墟を目の前に、一息、伸びをした。
「やっと着いた——。まさかこんなに歩くとは思ってなかったわ……。温泉行きたい。マッサージされたいわぁ」
「一緒に温泉行こうってことですか!? いくらでもマッサージしますよ!」
「パス、絶対パス。プロに頼むし。温泉も行かないし、登山ももう二度とやんない」
廃墟をよそに、魚住と久保田が雑談に興じている間、小山内はその建物を見上げた。
小山内は廃墟と化したこの建物に、郷愁とも異なる、奇妙な居心地の良さを感じていた。廃墟そのものの持つある種特有の雰囲気が、かつてから自分の居城であったかのようなノスタルジアを抱かせた。
魚住はその様子を眺めながら呟いた。
「何がいいのか全然わかんないわね……。光が少ないから綺麗に映らなくない?」
「それがいいんじゃないですか。曖昧で儚げに写るんですよ」
「うーん、曖昧で儚げ、とかよくわからないのよね。私は基本的に人しか撮らないからさ。ロケーションは被写体を良く写すための舞台装置でしょ? 被写体には存在感が必要じゃない? 物語の主題なんだからさ」
魚住と久保田の写真談議は、よくわからない。ただ、廃墟を単なる舞台装置だとは思えなかった。確かにそこにあったもの。されどいずれ失われゆくもの。廃墟という存在に内包されてしまいたい。自分の輪郭すら溶かして、存在すら曖昧なものと化してしまいたかった。
*
扉は既に破られている。装飾的な柱の間を潜り抜け、洋館にしては低めの入り口から、廃墟の内部へと足を踏み入れた。そこかしこに割れて粉々になった窓ガラスが散乱しており、砂利を踏むような音が響いた。エントランスホールは吹き抜けになっており、高窓から採光された光が、外観からは想像できないほど広々と感じさせた。天井は幾重にもアーチ状に仕切られており、電気の通っていない丸いシャンデリアがぶら下がっている。インテリアもいくらか残されており、そのどれもがシンプルながらも品があり、統一感を持たせた内装だったことが一目でわかる。
魚住は忙しなく辺りを見渡し、いろんな部屋に入りたがったが、久保田は日が落ちる前に撮影を終えたいと、まっすぐ目的の部屋へと向かった。
久保田が足を止めた部屋は、窓が広く取られた小さな部屋だった。他の部屋と比較すると珍しく、わずかながらテーブルや椅子といった残留物があった。その部屋の窓ガラスはまだ割られておらず、唯一当時の姿を留めているように見えた。
「私と恵美先輩は先に撮影を始めますから、適当なところで着替えてください。あとしばらく帰ってこないで」
そう言うと久保田は小山内を部屋の外へと押し出した。小山内はこれ幸いとばかりに、洋館の中を探検することにした。
洋館の中には様々な部屋があった。食事を摂るための大広間、礼拝堂。タイルの剥がれた浴槽のある部屋。木製の床板は風化により天に向かって反りかえっており、階段の細長い窓はガラスが散らばっている。傾きなどはないものの、窓から入り込んだ雨水などの要因により経年劣化が激しく、どこから崩れ始めてもおかしくはない。
魚住と久保田のいる部屋のちょうど真上の部屋に行き当たる。窓ガラスが割れていることを除けば、階下の部屋とほぼ同じ設えだった。先程の部屋と同様に一脚の椅子が残されていた。小山内はそれに腰掛ける。軋む音がした。
窓の外を眺める。眼窩には木々が生い茂り、日は落ち始めている。遠くの方に町があるはずだが、どうやら屋上まで登らないと見えないようだ。しばらくして、徐ろに着替え始めた。
非日常的な行為だ。登山。廃墟。女装。これまでの人生にほぼ関係のない言葉が連なる。
非日常的な行動を続けていれば、人生は変わるだろうか。今はまだ、わからない。
*
久保田は椅子に腰掛け、魚住にシャッターを切るように促す。魚住は渋々と言った様子でそれに従った。今回の撮影に、魚住は乗り気ではない。魚住はこれまで撮りたいと思う被写体を自力で見つけ、頼み込んで(半ば強制して)写真を撮ってきた。自分から撮ってくれと、視線を向けてくる相手が苦手だった。特に久保田はファインダー越しでなくとも、小動物のような瞳で何かを求めてくる。お願いするのは私であってお前ではない、という思いが体中を渦巻いている。これが最後だ、と自身を奮い立たせる。
被写体のことなど見ていない。指は惰性でシャッターを押し続けた。
何よりロケーションが悪い。久保田はただでさえ痩せていて、血色も悪い。男好きのする感じだとは思っているし、実際そういう男もいるだろう。ただせめて明るい、光のある場所でならもっと魅力的に写っただろうに。自分の魅力をわかっていない。そう思うとだんだん腹が立ってきた。
「飽きた、愛ちゃん探してくる」
魚住は言うやいなや、荷物を持って部屋を飛び出した。久保田は魚住に対する怒りと、小山内への嫉妬を募らせ歯噛みした。恵美先輩がいなくても大丈夫、いつも通りになっただけ、そう言い聞かせながらスマートフォンのインカメラを自身に向けた。しわの寄った眉間。歪んだ口元。周囲の環境も相まって、コントラストが激しい。酷い顔をした女が、こちらを見詰めている。
可愛くない。そう呟くと、久保田はスマートフォンを放り投げた。椅子に当たって跳ね返る。床を滑って回転する様子を、久保田はじっと見つめた。
アプリのフィルター越しに見る自分はとても綺麗に見える。肌もムラがなくきめ細やかで、小さなしわも目立たない。痩せこけた足ですら、健康的な細さに見える。インターネットの世界では、実物がそんなに良くなくても、写真さえ良ければいい評価がつく。現実世界でも同じだった。今やSNSで繋がっていない知人なんて、ほとんどいないのだから。埋もれないためには、もっと雰囲気のある写真が必要だった。
久保田はスマートフォンを拾い上げると、シャッターボタンを押した。
*
久保田は自らを廃墟愛好家と名乗ったが、もっぱら自身を被写体としたセルフポートレートを撮影することにのみ興味が注がれているようで、とても廃墟そのものを愛好しているようには見えない。
廃墟への侵入は厳密に言えば法に触れる行為である。特に今いるこの建物は所有者、管理者が判明しており、許可なく立ち入っている以上、見付かれば罪に問われても仕方のない状況だ。更に次にとった久保田の行動は破壊行為と捉えられても仕方のない行為だった。
久保田はスマートフォンを片手に、白い鞄からカッターナイフを取り出した。ギチギチと音を立てて刃が露わになる。酸化した刃が鈍色に光った。部屋の片隅で腕に押し付ける。白い肌に刃が沈み込んだ。滴り落ちる血もそのままに、久保田はSNSの画面を開き、自撮り写真にコメントを付けて投稿ボタンを押した。
「私がいた痕跡を残してまーす、探してみてね♡」
故意に他人の所有物を害する行為はヴァンダリズムと呼ばれる。廃墟に対する破壊行動はスプレーによる落書きから、廃仏毀釈に見られるような徹底的な破損まで幅広く見られる。久保田の行為が軽いかどうかはともかく、確実に所有者が是とするような行為ではなかった。
その行為の最中に、魚住と小山内は戻ってきてしまった。魚住はあちゃー……とばかりに手を額に当て、小山内は血が滴り落ちる様をただただ眺めていた。
「愛ちゃんタイミング悪かったね。気持ち悪いから見ない方がいいよ。久保田、ここ、有名な場所なんじゃない? そんなことしてバレない?」
魚住が話しかけると、久保田の表情がパッと明るくなる。小山内が女装して戻ってきたことに対しては何とも思っていないようで、視線もすぐに魚住の方へ向けた。
「廃墟なんてどこだってそんなに変わらないじゃないですか。剥き出しのコンクリートに蔦が生い茂っていれば廃墟じゃないです?」
持参したガーゼを傷口に当てながら、こともなげに、久保田は言い放った。魚住は膝に手を乗せ、はぁ、と溜息をつく。
「じゃあなにもこんな山奥まで来なくったっていいじゃない……。徒労じゃないのよ……」
包帯を巻きながら、んー……と少し考え込むような仕草で、久保田は続けた。
「アール・デコ? 様式とか言うらしいんですけど、そういう建物自体がまず少ないんですよね。あと単純に人がいない場所の方がいいし。レトロ可愛い感じ?空気感?ちょっと無骨な感じの場所っていいですよね、映えるから」
私が、という言葉が含有されているのは言うまでもない。
手際良く手当てを終えると、久保田は先程自分で撮った写真を吟味し始めた。
「あー、後で編集で消さなきゃ。落書きとかやめてほしいんですよね。ちょっとでも写ってたら特定されることだってあるんだから」
背後を振り返り、壁の落書きを眺める。久保田はただ単に邪魔だと評したが、この建物に愛着が湧き始めている小山内にはひどく不快に映った。どうしてこの建物の価値がわからないのだろう? 落書きなどで汚していいようなものではないのに。先程の久保田の行為に対しても、内心では嫌悪感を抱いている。
通知音が鳴り響く。SNSにコメントがついたようだ。
「ふふ、速攻コメントついた。『今日も可愛い~どこで撮ったのかな?今度一緒に行きたいな~』だって。バカみたい。アイコンはイケメンっぽいのになー。どいつもこいつもすました顔して、中身は汚い癖に」
久保田は渇いた笑いを上げながら画面を凝視した。かと思うと、急に小山内に向き直った。
「そうだ、恵美先輩と一緒に写真撮ってくださいよ」
久保田は鞄から一眼レフを取り出した。自撮りをする際にはスマートフォンを使用するが、写真サークルでの撮影では一眼レフを使用している。小山内は受け取ったはいいがどう扱えば良いかわからず、レンズに指を触れそうになる。
「何してるんですかやめて!!」
久保田は小山内から一眼レフを奪い取り、強く抱きしめた。
「久保田、愛ちゃんカメラ触ったことないと思うよ? 私が撮った写真見せたことないし」
「恵美先輩がどんな写真撮るか知らないんですか? 信じられない!」
久保田は高速でスマートフォンのアルバムのページを送り、目当ての写真を探し出した。
「これが恵美先輩の写真です」
モノクロ写真に、一点だけ色がついた写真。髪の動きに躍動感のある、ショートカットの女性の横顔。口紅の赤だけがくっきりと浮き上がっている。後ろには粉塵でも撒かれているのだろうか? 僅かに白くなっており、背景と人物との境界線が強調されていた。続けて見せられた写真も同様だ。どこか一点の色のみが強調されていて、素人目に見ても被写体の切り取り方、魅せ方が違うと理解できた。
「セルフタイマー使えばいいでしょ。せっかくだから三人で撮らない? 愛ちゃんも女装してるんだしさ」
「嫌です。百歩譲って撮るのはいいとして、要らないです。二人で撮った写真が欲しいです」
「はいはい、もうどうでもいいわ……。ほら、早くして」
久保田はいそいそとセルフタイマーの準備をし、魚住にぴったりとくっついた。部屋が一瞬明るくなる。もう一枚ね、魚住はそう言うと、小山内を引っ張り込んだ。撮影された写真を確認して、笑い声が漏れる。
「うわー、本当に女の子みたいね。女子会にしか見えないわ。今度ケーキでも食べに行く?」
「行きません」
「そう言うと思った」
魚住はさて、と埃を払い立ち上がると、撤収の音頭を取った。
「暗くなりすぎる前に帰りましょ、帰ったらデータ送るから」
「楽しみにしています!」
*
日は暮れかけている。夕日を頼りに登山道を下っていき、ようやく車までたどり着いた。二人を家まで送っていくその道中、魚住が切り出した。
「愛ちゃんさぁ、これから久保田の手伝いしてやってくんない?」
「結構です、そんなこと頼んでいません」
久保田は食い気味に魚住の方へ振り返り、はっきりと拒絶の意思を示したが、魚住は聞く耳を持たない。
「どうせSNSにアップするんだったら頻繁に写真撮りに行くわけでしょう? 私は暇じゃないって言うか。毎回廃墟とか来るのごめんだし、何か久保田ってピンとこないんだよね」
抽象的で漠然とした否定に、久保田は掌をぎゅっと握りしめる。
「好きな人の言うことくらい聞けるでしょ? 二人とも」
聞けるわよね? と久保田の顔を覗き込む。久保田は涙声で反対した。
「嫌です、会わないなんて言わないで」
「あんたが嫌だって言うなら、あることないこと言い触らして社会的に死んでもらってもいいわよ。あんたの言うことと私の言うこと、どっちの方が信じてもらえるかしらね?」
久保田に脅しをかけると、今度は小山内を標的に変えた。
「夏休みだから講義もないし、愛ちゃんも大丈夫でしょう?」
「……バイトがあるので」
「全部断ればいいじゃない。それ以上のお金は払うわよ? 服だって買ってあげたじゃない。言うこと聞けないって言うの?」
魚住は逃げ場を奪うように畳み掛け、了承の一言を引っ張り上げた。
「……お金をいただけるなら」
「はい、じゃあ成立ね。これ前金。久保田といることが恩返しになるから、私が呼び出さない限り私と関わらないこと。いいわね?」
魚住は持っていた鞄を小山内に向かって投げた。小さい鞄ではあったが、中には剥き身の現金が入っていた。
「久保田もそれでいいわね?」
「……はい」
消え入るような返事を聞く頃、ちょうど魚住の家へとたどり着いた。
魚住は車を降りると、運転席の窓を開けるよう小山内に指示した。魚住は小山内に何かを耳打ちし終えると、じゃあ解散ね、と告げ背を向けて歩き出した。伸びをして、やっと重い荷物から解放された、と言うように。
「疲れた、寝るから着いたら教えて」
魚住はそれだけ告げると、そっと目蓋を閉じた。久保田はしばらく所在なさげにスマートフォンを弄っていたが、魚住が寝たことを確認すると、さりげなく肩に頭を寄せた。しばらくすると二人分の寝息が聞こえてきた。小山内はようやく息がつけるとばかりに深く息を吸い込み、車を走らせ続けた。
*
所在地こそ県庁所在地ではあったが、山奥にある廃墟、というのはあながち嘘ではなく、麓に車を置いてケーブルに乗車し、登山道を登る必要があった。登山道をパンプスで、それも靴ずれした状態で登ることは難しい。そもそも足元の悪い登山道をロングドレスで登ることすら無謀だと言えた。
買ったばかりの服を傷物にするのはしのびない、と主張することで、二人に妥協を余儀なくさせた。小山内は元の服装に着替え、後から一式を持って二人を追いかけることになった。
久保田は周囲を軽く見渡すと、慎重に「関係者以外立ち入り禁止」の札が掛かった扉を開いた。扉の先には登山道が続いており、久保田は迷いのない足取りで歩を進めた。明らかに部外者が勝手に入っていい場所ではないと尻込みしたが、久保田と魚住が先先に進んでいくため、しぶしぶ着いていった。
小一時間は歩いただろうか。日が落ちるまでの時間が長くなっているとは言え、既に午後六時をまわろうとしている。陰が落ちはじめる頃、ようやく目的の廃墟が姿を覗かせた。
自然の緑の中に突如として現れた薄灰色の建造物。元は宿泊施設だったというその洋館は、アール・デコ様式の建築だという。アール・デコとは、直線や幾何学模様、パターン化されたモチーフで構成されたデザインを特徴とする。工業的にして合理的、大量生産を目的とした装飾美術であり産業美術。
……と当時は言われていた。あくまでそれ以前のアール・ヌーヴォーと比較しての話である。実際にはアール・デコ様式の建築には職人が携わり、そのデザインも一点物であることが多い。現在の工業的大量生産と比較すると、かなり装飾的要素が多い。次第に装飾の少ない機能的なデザインが好まれるようになり、衰退していったとされる。
かつては純白だったであろうその建物は既に塗装の剥がれてコンクリートが剥き出しになっていた。コンクリートには蔦に浸食されていたが、自然との完全なる調和とは言い難かった。人の手が入らなくなって久しいにも関わらず、自然には同化せず、圧倒的な存在感を放っていた。単なる器ではない、とでも言えば良いだろうか。人の生活した痕跡が色濃く残された建造物は、明らかに異質だった。
魚住は廃墟を目の前に、一息、伸びをした。
「やっと着いた——。まさかこんなに歩くとは思ってなかったわ……。温泉行きたい。マッサージされたいわぁ」
「一緒に温泉行こうってことですか!? いくらでもマッサージしますよ!」
「パス、絶対パス。プロに頼むし。温泉も行かないし、登山ももう二度とやんない」
廃墟をよそに、魚住と久保田が雑談に興じている間、小山内はその建物を見上げた。
小山内は廃墟と化したこの建物に、郷愁とも異なる、奇妙な居心地の良さを感じていた。廃墟そのものの持つある種特有の雰囲気が、かつてから自分の居城であったかのようなノスタルジアを抱かせた。
魚住はその様子を眺めながら呟いた。
「何がいいのか全然わかんないわね……。光が少ないから綺麗に映らなくない?」
「それがいいんじゃないですか。曖昧で儚げに写るんですよ」
「うーん、曖昧で儚げ、とかよくわからないのよね。私は基本的に人しか撮らないからさ。ロケーションは被写体を良く写すための舞台装置でしょ? 被写体には存在感が必要じゃない? 物語の主題なんだからさ」
魚住と久保田の写真談議は、よくわからない。ただ、廃墟を単なる舞台装置だとは思えなかった。確かにそこにあったもの。されどいずれ失われゆくもの。廃墟という存在に内包されてしまいたい。自分の輪郭すら溶かして、存在すら曖昧なものと化してしまいたかった。
*
扉は既に破られている。装飾的な柱の間を潜り抜け、洋館にしては低めの入り口から、廃墟の内部へと足を踏み入れた。そこかしこに割れて粉々になった窓ガラスが散乱しており、砂利を踏むような音が響いた。エントランスホールは吹き抜けになっており、高窓から採光された光が、外観からは想像できないほど広々と感じさせた。天井は幾重にもアーチ状に仕切られており、電気の通っていない丸いシャンデリアがぶら下がっている。インテリアもいくらか残されており、そのどれもがシンプルながらも品があり、統一感を持たせた内装だったことが一目でわかる。
魚住は忙しなく辺りを見渡し、いろんな部屋に入りたがったが、久保田は日が落ちる前に撮影を終えたいと、まっすぐ目的の部屋へと向かった。
久保田が足を止めた部屋は、窓が広く取られた小さな部屋だった。他の部屋と比較すると珍しく、わずかながらテーブルや椅子といった残留物があった。その部屋の窓ガラスはまだ割られておらず、唯一当時の姿を留めているように見えた。
「私と恵美先輩は先に撮影を始めますから、適当なところで着替えてください。あとしばらく帰ってこないで」
そう言うと久保田は小山内を部屋の外へと押し出した。小山内はこれ幸いとばかりに、洋館の中を探検することにした。
洋館の中には様々な部屋があった。食事を摂るための大広間、礼拝堂。タイルの剥がれた浴槽のある部屋。木製の床板は風化により天に向かって反りかえっており、階段の細長い窓はガラスが散らばっている。傾きなどはないものの、窓から入り込んだ雨水などの要因により経年劣化が激しく、どこから崩れ始めてもおかしくはない。
魚住と久保田のいる部屋のちょうど真上の部屋に行き当たる。窓ガラスが割れていることを除けば、階下の部屋とほぼ同じ設えだった。先程の部屋と同様に一脚の椅子が残されていた。小山内はそれに腰掛ける。軋む音がした。
窓の外を眺める。眼窩には木々が生い茂り、日は落ち始めている。遠くの方に町があるはずだが、どうやら屋上まで登らないと見えないようだ。しばらくして、徐ろに着替え始めた。
非日常的な行為だ。登山。廃墟。女装。これまでの人生にほぼ関係のない言葉が連なる。
非日常的な行動を続けていれば、人生は変わるだろうか。今はまだ、わからない。
*
久保田は椅子に腰掛け、魚住にシャッターを切るように促す。魚住は渋々と言った様子でそれに従った。今回の撮影に、魚住は乗り気ではない。魚住はこれまで撮りたいと思う被写体を自力で見つけ、頼み込んで(半ば強制して)写真を撮ってきた。自分から撮ってくれと、視線を向けてくる相手が苦手だった。特に久保田はファインダー越しでなくとも、小動物のような瞳で何かを求めてくる。お願いするのは私であってお前ではない、という思いが体中を渦巻いている。これが最後だ、と自身を奮い立たせる。
被写体のことなど見ていない。指は惰性でシャッターを押し続けた。
何よりロケーションが悪い。久保田はただでさえ痩せていて、血色も悪い。男好きのする感じだとは思っているし、実際そういう男もいるだろう。ただせめて明るい、光のある場所でならもっと魅力的に写っただろうに。自分の魅力をわかっていない。そう思うとだんだん腹が立ってきた。
「飽きた、愛ちゃん探してくる」
魚住は言うやいなや、荷物を持って部屋を飛び出した。久保田は魚住に対する怒りと、小山内への嫉妬を募らせ歯噛みした。恵美先輩がいなくても大丈夫、いつも通りになっただけ、そう言い聞かせながらスマートフォンのインカメラを自身に向けた。しわの寄った眉間。歪んだ口元。周囲の環境も相まって、コントラストが激しい。酷い顔をした女が、こちらを見詰めている。
可愛くない。そう呟くと、久保田はスマートフォンを放り投げた。椅子に当たって跳ね返る。床を滑って回転する様子を、久保田はじっと見つめた。
アプリのフィルター越しに見る自分はとても綺麗に見える。肌もムラがなくきめ細やかで、小さなしわも目立たない。痩せこけた足ですら、健康的な細さに見える。インターネットの世界では、実物がそんなに良くなくても、写真さえ良ければいい評価がつく。現実世界でも同じだった。今やSNSで繋がっていない知人なんて、ほとんどいないのだから。埋もれないためには、もっと雰囲気のある写真が必要だった。
久保田はスマートフォンを拾い上げると、シャッターボタンを押した。
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久保田は自らを廃墟愛好家と名乗ったが、もっぱら自身を被写体としたセルフポートレートを撮影することにのみ興味が注がれているようで、とても廃墟そのものを愛好しているようには見えない。
廃墟への侵入は厳密に言えば法に触れる行為である。特に今いるこの建物は所有者、管理者が判明しており、許可なく立ち入っている以上、見付かれば罪に問われても仕方のない状況だ。更に次にとった久保田の行動は破壊行為と捉えられても仕方のない行為だった。
久保田はスマートフォンを片手に、白い鞄からカッターナイフを取り出した。ギチギチと音を立てて刃が露わになる。酸化した刃が鈍色に光った。部屋の片隅で腕に押し付ける。白い肌に刃が沈み込んだ。滴り落ちる血もそのままに、久保田はSNSの画面を開き、自撮り写真にコメントを付けて投稿ボタンを押した。
「私がいた痕跡を残してまーす、探してみてね♡」
故意に他人の所有物を害する行為はヴァンダリズムと呼ばれる。廃墟に対する破壊行動はスプレーによる落書きから、廃仏毀釈に見られるような徹底的な破損まで幅広く見られる。久保田の行為が軽いかどうかはともかく、確実に所有者が是とするような行為ではなかった。
その行為の最中に、魚住と小山内は戻ってきてしまった。魚住はあちゃー……とばかりに手を額に当て、小山内は血が滴り落ちる様をただただ眺めていた。
「愛ちゃんタイミング悪かったね。気持ち悪いから見ない方がいいよ。久保田、ここ、有名な場所なんじゃない? そんなことしてバレない?」
魚住が話しかけると、久保田の表情がパッと明るくなる。小山内が女装して戻ってきたことに対しては何とも思っていないようで、視線もすぐに魚住の方へ向けた。
「廃墟なんてどこだってそんなに変わらないじゃないですか。剥き出しのコンクリートに蔦が生い茂っていれば廃墟じゃないです?」
持参したガーゼを傷口に当てながら、こともなげに、久保田は言い放った。魚住は膝に手を乗せ、はぁ、と溜息をつく。
「じゃあなにもこんな山奥まで来なくったっていいじゃない……。徒労じゃないのよ……」
包帯を巻きながら、んー……と少し考え込むような仕草で、久保田は続けた。
「アール・デコ? 様式とか言うらしいんですけど、そういう建物自体がまず少ないんですよね。あと単純に人がいない場所の方がいいし。レトロ可愛い感じ?空気感?ちょっと無骨な感じの場所っていいですよね、映えるから」
私が、という言葉が含有されているのは言うまでもない。
手際良く手当てを終えると、久保田は先程自分で撮った写真を吟味し始めた。
「あー、後で編集で消さなきゃ。落書きとかやめてほしいんですよね。ちょっとでも写ってたら特定されることだってあるんだから」
背後を振り返り、壁の落書きを眺める。久保田はただ単に邪魔だと評したが、この建物に愛着が湧き始めている小山内にはひどく不快に映った。どうしてこの建物の価値がわからないのだろう? 落書きなどで汚していいようなものではないのに。先程の久保田の行為に対しても、内心では嫌悪感を抱いている。
通知音が鳴り響く。SNSにコメントがついたようだ。
「ふふ、速攻コメントついた。『今日も可愛い~どこで撮ったのかな?今度一緒に行きたいな~』だって。バカみたい。アイコンはイケメンっぽいのになー。どいつもこいつもすました顔して、中身は汚い癖に」
久保田は渇いた笑いを上げながら画面を凝視した。かと思うと、急に小山内に向き直った。
「そうだ、恵美先輩と一緒に写真撮ってくださいよ」
久保田は鞄から一眼レフを取り出した。自撮りをする際にはスマートフォンを使用するが、写真サークルでの撮影では一眼レフを使用している。小山内は受け取ったはいいがどう扱えば良いかわからず、レンズに指を触れそうになる。
「何してるんですかやめて!!」
久保田は小山内から一眼レフを奪い取り、強く抱きしめた。
「久保田、愛ちゃんカメラ触ったことないと思うよ? 私が撮った写真見せたことないし」
「恵美先輩がどんな写真撮るか知らないんですか? 信じられない!」
久保田は高速でスマートフォンのアルバムのページを送り、目当ての写真を探し出した。
「これが恵美先輩の写真です」
モノクロ写真に、一点だけ色がついた写真。髪の動きに躍動感のある、ショートカットの女性の横顔。口紅の赤だけがくっきりと浮き上がっている。後ろには粉塵でも撒かれているのだろうか? 僅かに白くなっており、背景と人物との境界線が強調されていた。続けて見せられた写真も同様だ。どこか一点の色のみが強調されていて、素人目に見ても被写体の切り取り方、魅せ方が違うと理解できた。
「セルフタイマー使えばいいでしょ。せっかくだから三人で撮らない? 愛ちゃんも女装してるんだしさ」
「嫌です。百歩譲って撮るのはいいとして、要らないです。二人で撮った写真が欲しいです」
「はいはい、もうどうでもいいわ……。ほら、早くして」
久保田はいそいそとセルフタイマーの準備をし、魚住にぴったりとくっついた。部屋が一瞬明るくなる。もう一枚ね、魚住はそう言うと、小山内を引っ張り込んだ。撮影された写真を確認して、笑い声が漏れる。
「うわー、本当に女の子みたいね。女子会にしか見えないわ。今度ケーキでも食べに行く?」
「行きません」
「そう言うと思った」
魚住はさて、と埃を払い立ち上がると、撤収の音頭を取った。
「暗くなりすぎる前に帰りましょ、帰ったらデータ送るから」
「楽しみにしています!」
*
日は暮れかけている。夕日を頼りに登山道を下っていき、ようやく車までたどり着いた。二人を家まで送っていくその道中、魚住が切り出した。
「愛ちゃんさぁ、これから久保田の手伝いしてやってくんない?」
「結構です、そんなこと頼んでいません」
久保田は食い気味に魚住の方へ振り返り、はっきりと拒絶の意思を示したが、魚住は聞く耳を持たない。
「どうせSNSにアップするんだったら頻繁に写真撮りに行くわけでしょう? 私は暇じゃないって言うか。毎回廃墟とか来るのごめんだし、何か久保田ってピンとこないんだよね」
抽象的で漠然とした否定に、久保田は掌をぎゅっと握りしめる。
「好きな人の言うことくらい聞けるでしょ? 二人とも」
聞けるわよね? と久保田の顔を覗き込む。久保田は涙声で反対した。
「嫌です、会わないなんて言わないで」
「あんたが嫌だって言うなら、あることないこと言い触らして社会的に死んでもらってもいいわよ。あんたの言うことと私の言うこと、どっちの方が信じてもらえるかしらね?」
久保田に脅しをかけると、今度は小山内を標的に変えた。
「夏休みだから講義もないし、愛ちゃんも大丈夫でしょう?」
「……バイトがあるので」
「全部断ればいいじゃない。それ以上のお金は払うわよ? 服だって買ってあげたじゃない。言うこと聞けないって言うの?」
魚住は逃げ場を奪うように畳み掛け、了承の一言を引っ張り上げた。
「……お金をいただけるなら」
「はい、じゃあ成立ね。これ前金。久保田といることが恩返しになるから、私が呼び出さない限り私と関わらないこと。いいわね?」
魚住は持っていた鞄を小山内に向かって投げた。小さい鞄ではあったが、中には剥き身の現金が入っていた。
「久保田もそれでいいわね?」
「……はい」
消え入るような返事を聞く頃、ちょうど魚住の家へとたどり着いた。
魚住は車を降りると、運転席の窓を開けるよう小山内に指示した。魚住は小山内に何かを耳打ちし終えると、じゃあ解散ね、と告げ背を向けて歩き出した。伸びをして、やっと重い荷物から解放された、と言うように。
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