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二人の男
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食事会でルイスからもらったネックレス、嬉しいけどちょっと恥ずかしくて小物入れに閉まったままだ。あの最後のルイスの表情は、いつもの穏やかな微笑みとは違っていたのにドキッとしてしまった。
「エマ、ルイスにご飯作ってもらってから上の空。なんかあった?」
リアナの声で現実に引き戻される。
「あ、いや! 何にもないよ!」
「そう」
昼休み、二人で学校の廊下を歩いていると、前からこっちに向かって走ってくる男がいた。
「リアナさーん!」
その男は真っ直ぐにリアナのところへやってきた。
「リアナさん! 中庭のベンチ、場所取りしておきました!」
「よくやった。エマ、紹介するよ。しもべ……じゃなくて、なんだっけ」
「テムルです!」
私の方には一切目を向けず、きらきらした表情でリアナだけを見つめる男。茶色のゆるふわ髪、活発で愛嬌のある顔立ち。間違いない。こいつは「わんこ系攻略キャラ」のテムル・ウィリスだ。
「前までは付きまとわれて面倒だったんだけど、しつけたら結構便利」
ゲームのシナリオでは愛情表現がストレートで素直な「わんこ系キャラ」だったはずなのに、すっかり忠犬にしつけられてるよ。
「便利扱いはさすがにかわいそうじゃない?」
私の言葉を受けて、リアナはテムルの方を見た。
「嫌だった?」
「いいえ! 大好きなリアナさんのお役に立ててこの上なく幸せです!」
うわぁ……氷点下まで心が冷めていく。ゲームではそこそこよかったんだけどなぁ。
リアナから全く恋愛対象として見てもらえてなさそうだけど、一応攻略キャラの一人なわけだし牽制しておくか。私はテムルに近づいた。
「テムル、そうやって相手の言うことを一方的に受け入れるだけの関係は不健全だと思わない? リアナは君のことをしもべとしか思ってないんだよ?」
やっとこっちを振り向いたテムルはまるでアサシンのような表情をしていた。
「黙れ」
そして、さっきまでよりずっと低い声でそう言った。
「こら、テムル。ハウス」
「はい!」
リアナの言葉にいい返事をして、テムルは向こうへ走って行った。
私達はテムルが場所取りをしてくれた中庭のベンチに座った。
「最近このベンチが空いてるのってあいつのおかげだったんだ……」
他の生徒からも人気でなかなか空いてないこの場所が最近つかえるのは、ちょっと不思議に思ってたけどまさかそんなことがあったとはね。
私はリアナの方を見た。
「テムルが嫌がってないとはいえ、便利扱いするのはやっぱり良くないと思うよ。いつかはリアナに見返りを求めてくるかもしれないし」
「見返りっていうと?」
「こんなに尽くしたんだから付き合ってほしい!とかね。何か言われなかった?」
リアナは考える素振りをした。
「そう言えばこの前、放課後付き合ってほしいって言われて……」
ほらやっぱり。一方的に与えるだけじゃ満足できなくなるんだ。
「案内された場所に着いたらメイドさんがいて、マッサージしてもらった。すっごくよかった」
どこまで尽くすつもりなんだ。
「まあ、でもお願いするのはほどほどにしておいた方が……」
そう言いかけた時、20メートルほど先に現れたジキウスと目があった。ジキウスはこっちに向かって走ってくる。
「エマ、ルイスにご飯作ってもらってから上の空。なんかあった?」
リアナの声で現実に引き戻される。
「あ、いや! 何にもないよ!」
「そう」
昼休み、二人で学校の廊下を歩いていると、前からこっちに向かって走ってくる男がいた。
「リアナさーん!」
その男は真っ直ぐにリアナのところへやってきた。
「リアナさん! 中庭のベンチ、場所取りしておきました!」
「よくやった。エマ、紹介するよ。しもべ……じゃなくて、なんだっけ」
「テムルです!」
私の方には一切目を向けず、きらきらした表情でリアナだけを見つめる男。茶色のゆるふわ髪、活発で愛嬌のある顔立ち。間違いない。こいつは「わんこ系攻略キャラ」のテムル・ウィリスだ。
「前までは付きまとわれて面倒だったんだけど、しつけたら結構便利」
ゲームのシナリオでは愛情表現がストレートで素直な「わんこ系キャラ」だったはずなのに、すっかり忠犬にしつけられてるよ。
「便利扱いはさすがにかわいそうじゃない?」
私の言葉を受けて、リアナはテムルの方を見た。
「嫌だった?」
「いいえ! 大好きなリアナさんのお役に立ててこの上なく幸せです!」
うわぁ……氷点下まで心が冷めていく。ゲームではそこそこよかったんだけどなぁ。
リアナから全く恋愛対象として見てもらえてなさそうだけど、一応攻略キャラの一人なわけだし牽制しておくか。私はテムルに近づいた。
「テムル、そうやって相手の言うことを一方的に受け入れるだけの関係は不健全だと思わない? リアナは君のことをしもべとしか思ってないんだよ?」
やっとこっちを振り向いたテムルはまるでアサシンのような表情をしていた。
「黙れ」
そして、さっきまでよりずっと低い声でそう言った。
「こら、テムル。ハウス」
「はい!」
リアナの言葉にいい返事をして、テムルは向こうへ走って行った。
私達はテムルが場所取りをしてくれた中庭のベンチに座った。
「最近このベンチが空いてるのってあいつのおかげだったんだ……」
他の生徒からも人気でなかなか空いてないこの場所が最近つかえるのは、ちょっと不思議に思ってたけどまさかそんなことがあったとはね。
私はリアナの方を見た。
「テムルが嫌がってないとはいえ、便利扱いするのはやっぱり良くないと思うよ。いつかはリアナに見返りを求めてくるかもしれないし」
「見返りっていうと?」
「こんなに尽くしたんだから付き合ってほしい!とかね。何か言われなかった?」
リアナは考える素振りをした。
「そう言えばこの前、放課後付き合ってほしいって言われて……」
ほらやっぱり。一方的に与えるだけじゃ満足できなくなるんだ。
「案内された場所に着いたらメイドさんがいて、マッサージしてもらった。すっごくよかった」
どこまで尽くすつもりなんだ。
「まあ、でもお願いするのはほどほどにしておいた方が……」
そう言いかけた時、20メートルほど先に現れたジキウスと目があった。ジキウスはこっちに向かって走ってくる。
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