もしも推し(女)にそっくりな男の子が隣に引っ越してきたら?

亜瑠真白

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贅沢な願い

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 目を覚ますと、障子から朝陽が差し込んでいる。私は布団を出た。
「菜々子さん……おはようございます……」
 私の気配で起こしてしまったのか、斗真君が眠たそうに目をこすりながら言った。
「まだ寝ててもいいよ。朝ごはんの時間までまだあるし」
「いや、起きます……せっかく菜々子さんといられるので……」
 そう言って顔を洗いに行った。寝ぼけたままそんなことを言うなんて可愛すぎる……!
 さっきまでより起きた顔になった斗真君が戻ってきた。
「菜々子さんは早起きなんですね」
「今日はなんだかバチッと目が覚めたんだよねぇ」
 いつもは目覚ましをかけなければいつまでも寝ていられるくらいなのに、今日は不思議と目が覚めた。なんだか体の調子もいい。
「昨日の夜は布団に入ってすぐ寝てましたもんね」
「斗真君はあんまり眠れなかった?」
「僕は……その……何でもないです。」
 そう言って斗真君は顔を逸らした。

 それから私達は旅館をチェックアウトしたのち、温泉街を散策して家路についた。
 電車で横に並んで座る。始めは話していたけど、家に近づくにつれてなんだか寂しくなって私は口をつぐんだ。
 ああ、今日がずっと続いたらいいのに。帰りたくない。もっと、ずっと、一緒にいたい。どうせ隣の部屋に住んでいるのに、そんなことを思うのはちょっと贅沢かもしれないけど。
 その時、ぽんと肩に何かが触れた。見ると斗真君が私の肩に寄りかかって眠っていた。朝、眠そうにしてたもんなぁ。その時の斗真君を思い出して思わず口元が緩む。
 大好きな推しにそっくりな、私の大好きな男の子。似てるから好きなんじゃないよ。君だから好きなの。でもまたコスプレしてほしくなったら、「しかたないですね」って笑って許してくれないかな?
 君のあいにふれたらむねが一杯になって、この先もずっとうまくいく、そんなことを思っていた。
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