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鏡の舞▪その三 (武智小五郎▪白井千鶴 )
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武智 小五郎 視点
『私だ。ミスターXXだ。今回の任務はイギリス王室の秘宝、【天使の涙】を探す事にある。君もニュースで知っていると思うが、この【天使の涙】は東京台場のイギリス王室展で飾られていたのだが、3日未明に展示会場から盗まれた物だ。時価総額は600万ドル。オークションならそれ以上の価値があるはずだ。成功報酬は何時もの倍をだそう。なおこの依頼テープは、自動的に消滅すプッ、消滅すプッ、消滅すプッ』
ガチャッ
ち、また、カセットテープが壊れやがった。
しっかし何時も思うんだが、これ、壊れなかったら、俺のカセットデッキごと爆発するのか?
てっ、なんで今時カセットテープを郵送?
まあ、カセットデッキを持ってる俺も人の事は言えないが。
俺は、あくびをしながらソファーから起き上がると、テレビのスイッチを付ける。
『今日の天気は、降水確率10%と低めで晴れが続きますが、午後は寒冷前線が通り、突発的な雷雨が発生する変わり易い天気になる見込みで、念のために折り畳み傘…』
カチッ
取り敢えず、傘はバックに入れておいた方がよさそうだな。
俺は山積みされた書類をどかし、その下の机の引き出しから折り畳み傘を出して、バックに入れた。
ガタンッ、ガタン、ガタン。
ガタンッ、ガタン、ガタン。
ガタンッ、ガタン、ガタン。
ガタンッ、ガタン、ガタン。
バサバサッ
くそ!列車の振動で積み上げていた書類が、崩れやがった。
これが、この山手線沿い雑居ビルの欠点だ。
俺の名は、武智小五郎。
27歳。
上野のアメ横で探偵業を行う、しがない個人経営者だ。
さっきのXXだが、昔一度だけ、デカイ仕事を解決した事があり、それ以来、取り敢えず依頼だけは毎回頂けるようになった変わり者の俺のファンだ。
まあ最近は、ほとんど依頼を完遂出来た事はないがな。
さて、俺の手におえないXXの依頼は、何時もの様に放っておいて、本来の飯の種である通常依頼をこなすか。
俺はノートパソコンを開くと、俺のホームページ上の依頼ページを開く。
ち、しけてやがる。
依頼は人探しの一件だ。
「何だこりゃ?しかも、クライアントがガキだと?!」
そこには、依頼人の顔写真と依頼内容が書いてある。
その写真を見て、俺は思わず落胆した。
だが、背に腹は変えられない。
雑居ビルの家賃を滞納している俺にとっては、依頼を断るという選択肢は無かった。
◆◇◇◇◇
◆白井 千鶴視点
私は、白井 千鶴、16歳。
私立流星高校の1年だ。
私には、同じ高校に通っている幼馴染みがいた。
笹川 舞。
小学校、中学校と同じ学校に通っていた。
舞とは、お互いに秘密は無しって約束し、苦楽を共にしてきた親友だった。
はっきりとは分からないけど、最初に舞が私に対して秘密を持ったのは、中学の時だったと思う。
舞が中学校の旧校舎で、とある姿見の鏡に執着した時期があった。
あれは丁度、中学二年の6月頃、あの子が私に相談に乗ってほしいと言ってきた時だ。
舞が言うには、あの鏡には秘密があるという事だった。
━━━━━異世界と交信が出来る━━━━━
そんな馬鹿な事が有るのだろうか。
まあ、私は超常現象のファンだから、あった方が面白いし、無くても話題作りとしては良いのかも知れない。
しかも彼女は、その交信の過程で異世界の男性に恋をしてしまったらしい。
私は舞の妄想の産物ではないかと思っているが、親友であり真剣に私を見つめる彼女に否定的な事を言えるほど、自分は薄情じゃない。
当然、彼女の話しに耳を傾け、彼女に同調する姿勢をとった。
親友だからね。
なんか途中で、弟が舞にチョッカイを出したようだけど、舞の反撃にあい、轟沈したらしい。
なんのこっちゃ?
まあとにかく、そんなこんなで私達は、中学を卒業して高校生になった。
ああ私達の学校は、中高一貫校で進学校。
当然だけど私と舞は高校も一緒だ。
だから凄く心配だ。
あ、そうそう、その舞が執着している鏡だけど、中学校から舞の家が買い取ったらしい。
歴史ある学校の鏡だから、中学校は手放さないと思っていたけれど、なんか舞の一族が昔、学校に寄付した物だったので、学校側は拒否出来なかったようだ。
笹川家は私立流星学校法人の設立に関わっていたという事。
は?学長の親戚って訳?
ま、まあ、いいわ。
それで、鏡を買い取ってからの舞は、安堵したような顔で学校に通っていたけど、先月から休みがちになっていた。
理由は分かる。
3ヶ月前、舞の両親が死んだから。
暴走車による交通事故。
歩道に飛び込んで来たトラックに数人が巻き込まれ、その被害者の中に舞の両親がいたのだ。
御葬式での舞の落ち込みは、最悪だった。
そして数日前に行方不明って、舞の叔母さんから、心当たりはないかの連絡を受けた。
その後、警察に連絡して捜索してもらっているけど、私の親友は未だに見つかっていない。
▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩
◆東京都内、某カフェ
武智小五郎視点
「と、言う訳なんです」
「いや、何が、と、言う訳なんだ?」
俺は頭を抱えながら、ソイラテのトールを一気に飲み込んだ。
「すまん、他を当たってくれ」
ガタッ
俺は、トレイを持ちながら立ち上がると、目の前の姉弟に背を向けた。
「そんな、ここまできて、受けてくれないんですか?!」
「逃げるんだ!?あのホームページは嘘だったんだ。姉ちゃん。このおじさん、大人の癖に僕達を騙したんだよ!」
おい、このガキ、人聞きの悪い!
「ガキ、ふざけた事、言ってんじゃねぇ!あの実績表は全て事実だ!!」
「嘘だい!なら、何で逃げるのさ?だいたい
最初からあのホームページは胡散臭かったんだ。姉ちゃんが、ここに決めたって言うから信じて付いて来たのに」
「ガキ!俺のホームページの何処が胡散臭いって言うんだ?」
俺は振り返って、俺を睨む中学男子を睨み返す。
「これだよ、この依頼達成実績表!誇大広告だよね、これ!?姉ちゃんを騙して!」
パサッ
ガキが印刷した、俺のホームページ掲載の依頼実績表をテーブルに投げる。
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◇依頼達成実績表◇
◆素行調査▪▪▪▪◇最短2日解決
◆浮気調査▪▪▪▪◇最短7日解決
◆結婚▪信用調査▪◇最短1日解決
◆張り込み調査▪▪◇最短3日解決
◆ストーカー調査▪◇最短5h解決
◆盗聴器発見▪▪▪◇最短1h解決
◆人捜し調査▪▪▪◇最短5分解決
▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩
「あ?何処が誇大広告だ?これは、全て事実だ!」
「はあ?人捜し調査が最短、5分で解決ってあり得ないでしょ!?」
「そのあり得ない実績に、ここまで来たのは何処のどいつだ?」
「う、そ、そうだけど…」
「探偵業の基本は、クライアントとの信頼だ。そのクライアントが探偵を信用しないなら、最初からこの話は破綻している。まあ、お姉さんの話しも破綻しているがな」
ふ、その5分解決の依頼は人捜しではなく、猫捜しだったがな。
飼い主の依頼を受けて、依頼人の家の玄関を出たら、隣人宅で猫缶を食らっていたクライアントのシャム猫を見つけて、保護、受け渡しをしたんだ。
まさにラッキーだったが実績には違いない。
嘘、偽りは無いわけだ。
正直者は辛いぜ。
「了、失礼なもの言いは止めなさい。探偵さん、弟がすみません。どちらにしても、受けて頂けないなら、仕方ありません。諦めます」
「姉ちゃん、そんなぁ?!」
姉の高校生が俺に頭を下げる。
弟は失礼だが姉は礼儀正しいな。
容姿はいいようだし、あと5年もすれば俺好みのいい女になるだろう。
おっと、俺は何を考えてるんだ?
まあ、いい。
ちょっとは、考えてやるか。
「…いいだろう。その礼儀正しさに免じて、少し現場を見てやってもいい。何もせずに1万円取るのも悪いからな」
「は?1万円?!なんだよ、それ?」
弟の中学男子が、豆鉄砲、喰らったような顔で俺を見る。
おい、おい、ホームページの請け負い時の諸費用欄を読んでないのかよ。
「諸費用の一つ、相談料だ。なんだ?諸費用欄を確認してないのか?」
「はあ?!相談受けただけで金取るとか、ボッタクリじゃんか!」
「あのなぁ、俺の金額は業界の中じゃ、極めてリーズナブルなんだ。疑うなら他を当たってくれ」
「ああ、分かった、分かったよ。くそっ!」
弟君は、頭にきたのか。
ソッポを向いて、俺に背中を向けやがった。
失礼なお子ちゃまだな。
「了!弟がすみません。ちゃんと相談料を払いますので、どうか現地を見て頂けますか」
「ああ、いいぜ」
こうして俺は、この姉弟。
白井姉弟だったか?
こうして俺は、失踪した笹川 舞という女子高生が行方不明になった原因。
その異世界云々の姿見がある、笹川家のガレージを訪問する事なる。
◆◇◇◇◇
◆笹川家ガレージ
武智小五郎視点
ガラガラガラッ
ガレージの入り口が開き、暗い倉庫の奥に光が当たる。
このガレージは、笹川家本宅から30m離れており、白井姉弟が笹川 舞の叔父夫婦から一任され、鍵を渡されているとの事だった。
光が奥に届くと、ひときわ光が反射する輝きが確認出来る。
それが鏡による反射だと、俺には直ぐに分かった。
「あれか?」
「はい、例の姿見だと思います」
今日は水曜日。
二人は俺の予定に合わせて、学校を休んだらしい。
実は、俺は結構忙しい。
本業だけじゃ喰っていけないので、副業として日雇いのバイトをしている。
水曜日はバイトが休みなので、この日に現場への立ち会いを了解したのだ。
ケチな対応だって?
生活が優先だろうが!
ガレージ奥は若干、ヒンヤリしてんな。
しっかし、このガレージ。
車が一体、何台入るんだ?
いや、最低でも10台は入るだろ?
て、奥は、壁が赤レンガ作り?
横浜レンガ倉庫かよ。
「おい、これ、本当に車用のガレージか?どんだけデカイんだよ?」
「奥の作りは、大正時代って聞いてます。昔は防空壕にも使われてたみたいです」
白井▪姉が説明した。
なるほど、笹川家はこの辺りの古くからの豪商か、何かだったようだ。
「笹川の家の者は、立ち会わないのか?」
俺が言うと、白井 姉弟は、顔を見合わせた。
「その、今いる笹川家の人は、舞の本当の両親じゃないんです。舞の両親は、舞が失踪する3ヶ月前に交通事故で亡くなっていて、叔父夫婦が入っていまして、その」
は~ん、そういう事か。
今の笹川舞の保護者は、実の両親じゃないから、舞の捜索に積極的ではないという事か。
だから、白井姉弟が動かざるおえなかったと。
「その、せっかく武智さんが来て頂いたのに、すみません」
「いや、俺も罪悪感からだから、別にいい」
「はい?」
「ああ、相談料だけじゃって意味でな」
「あ、はい。本当にすみません」
いや、何だろうな。
この子、謝ってばかりで、恐縮しっぱなしだな。
よっぽど、行方不明の親友の安否が心配か。
弟君は相変わらず、俺を睨んでいるがな。
可愛げのない。
俺はガレージの奥に向かいながら、弟君の頭をわしゃわしゃした。
「わっ?!」
ふ、真っ赤になって、俺をさらに睨んでやがる。
こんどは可愛いじゃねぇか。
三人でガレージ奥に入ると、問題の姿見があった。
「これか?」
「…あ、はい。多分、そうです」
「多分?」
「あ、あの、私も中学の時に見たきりで、はっきり覚えている訳じゃないんですが、なんか、前に見たものより、派手?というか。この鏡の周りの木彫りの装飾が、変わっているように感じます」
「どういう事だ?」
「あの、この木彫りの装飾部分なんですが、確か、中学で見た時は、こんな青や赤の石は、填まってなかった気がします」
「彼女が後から、石を填めたと?」
「そうですね。でも、木彫りの装飾は変わってないと思うのに、填まっている石が、あつらえたみたいにピッタリ、填まっているのが、なんか不思議で」
木彫り装飾は、花や葉を彫刻したもので、木の感じから、古くに彫刻した状態のままで、石を組み込む為に、新に加工した部分は見当たらない。
なら、石を加工して、木彫り装飾に合わせたのかと思うが、左右、四隅にある花ビラの形に、きっちり収まっている石を確認しても、直近で削り出した様子はない。
まるで、前から用意されていた、この姿見の専用パーツであると言いきってしまえるほど、この石のパーツは姿見にフィットしている。
「ん?」
俺が、姿見の下部分の花を見ていると、花びらの一つが、他の花に比べ、一つ、足らない事に気づいた。
足元を見ると、何やら光るものがある。
俺はしやがむと、その光る物を手に取った。
それはやはり、下部の花びらの一部になる青い石だった。
「一つ、石が外れてるな」
「石、ですか。綺麗ですね」
白井▪姉も俺の隣にしゃがんで座る。
「なあ、そろそろだけど」
ガキが何か、言ってるな?
「なんだ、言ってみろ」
「3分たった」
「だから何だ?過去の実績は、その都度、条件も違う。解決時間が決まっている訳あるか」
「ちっ、やっぱ、誇大広告!」
はぁ、ガキのお守りは疲れるな。
しかし何となくだが、この石が事件解決への糸口のような気がする。
俺の感がそう訴えている。
「小五郎さん?」
「待ってろ、これを付けてみる」
俺は、外れていた石を、本来の場所に押し付ける。
カチリッ
石はまるで磁石で吸い付くように、本来の位置に収まった。
「付きましたね?」
「付いたな」
「付くようになってるなら、当たり前でしょ!」
白井▪姉が確認して、俺が肯定し、白井▪弟がダメ押しする。
しかし木に吸い付くって、中に金属があって、石が磁石という事になるよな。
なら、ここに填まっている石は全部、取り外しを前提に付いているって事か?
なんの為に?
俺が思案していると、白井▪姉が姿見の上段に指を差す。
「た、武智さん!あ、あれは!?」
「何だ、あれ?!」
あ?何だ、どうした?
俺は、白井▪姉弟が驚き顔で見ている鏡上段に顔を上げる。
ズズズッ
?!
………いや、見なかった事にしたい。
はあ、何だこれは!???
正直俺は、常識の効く世界しか知らん。
宇宙人とか、幽霊とか、異世界とか、俺の管轄外だと思っている。
だが、いくらそんな俺でも、自分の目で見ている物まで信じられない堅物ではない。
しかも、トリックだとしても、俺は姿見の鏡の部分を触っているし、石を付ける際に、鏡の隅々までチェック済みだ。
鏡は装飾の厚みも含め、3センチ程度で裏側にも何もない。
そもそも、観客が俺達しか居ない中で、これ程の高度なマジックをする理由が分からない。
しかし、今目の前で起きている事象は、ミスター○リック張りの手品ショーだ。
はっきり言おう。
俺の目の前にあった、何の変哲もない姿見の鏡面部分が水面のように揺らぎ、その中から人の手が生えてきているのだ。
しかも、それがズブズブと残りの部位と合わせ、せり出てきている。
精巧な3D映像が出来ていないとも否定出来ないが、この見た目は明らかに現実の物質だろう。
たが本当に驚くのは、この後だった。
「ま、舞?!」
「せ、先輩!」
六割の身体が現れた処で、学生服を着た女子と分かったが、白井▪姉弟の発言で、このせり出した女子が捜索中の笹川 舞である事が分かった。
ドサッ
鏡から完全に現れた笹川 舞。
本物なら、現場到着から5分で笹川 舞失踪事件は解決した事になる。
しかも首にイギリス王室の秘宝【天使の涙】を付けて。
おい、出来すぎだろう!
後が怖そうだな。
『私だ。ミスターXXだ。今回の任務はイギリス王室の秘宝、【天使の涙】を探す事にある。君もニュースで知っていると思うが、この【天使の涙】は東京台場のイギリス王室展で飾られていたのだが、3日未明に展示会場から盗まれた物だ。時価総額は600万ドル。オークションならそれ以上の価値があるはずだ。成功報酬は何時もの倍をだそう。なおこの依頼テープは、自動的に消滅すプッ、消滅すプッ、消滅すプッ』
ガチャッ
ち、また、カセットテープが壊れやがった。
しっかし何時も思うんだが、これ、壊れなかったら、俺のカセットデッキごと爆発するのか?
てっ、なんで今時カセットテープを郵送?
まあ、カセットデッキを持ってる俺も人の事は言えないが。
俺は、あくびをしながらソファーから起き上がると、テレビのスイッチを付ける。
『今日の天気は、降水確率10%と低めで晴れが続きますが、午後は寒冷前線が通り、突発的な雷雨が発生する変わり易い天気になる見込みで、念のために折り畳み傘…』
カチッ
取り敢えず、傘はバックに入れておいた方がよさそうだな。
俺は山積みされた書類をどかし、その下の机の引き出しから折り畳み傘を出して、バックに入れた。
ガタンッ、ガタン、ガタン。
ガタンッ、ガタン、ガタン。
ガタンッ、ガタン、ガタン。
ガタンッ、ガタン、ガタン。
バサバサッ
くそ!列車の振動で積み上げていた書類が、崩れやがった。
これが、この山手線沿い雑居ビルの欠点だ。
俺の名は、武智小五郎。
27歳。
上野のアメ横で探偵業を行う、しがない個人経営者だ。
さっきのXXだが、昔一度だけ、デカイ仕事を解決した事があり、それ以来、取り敢えず依頼だけは毎回頂けるようになった変わり者の俺のファンだ。
まあ最近は、ほとんど依頼を完遂出来た事はないがな。
さて、俺の手におえないXXの依頼は、何時もの様に放っておいて、本来の飯の種である通常依頼をこなすか。
俺はノートパソコンを開くと、俺のホームページ上の依頼ページを開く。
ち、しけてやがる。
依頼は人探しの一件だ。
「何だこりゃ?しかも、クライアントがガキだと?!」
そこには、依頼人の顔写真と依頼内容が書いてある。
その写真を見て、俺は思わず落胆した。
だが、背に腹は変えられない。
雑居ビルの家賃を滞納している俺にとっては、依頼を断るという選択肢は無かった。
◆◇◇◇◇
◆白井 千鶴視点
私は、白井 千鶴、16歳。
私立流星高校の1年だ。
私には、同じ高校に通っている幼馴染みがいた。
笹川 舞。
小学校、中学校と同じ学校に通っていた。
舞とは、お互いに秘密は無しって約束し、苦楽を共にしてきた親友だった。
はっきりとは分からないけど、最初に舞が私に対して秘密を持ったのは、中学の時だったと思う。
舞が中学校の旧校舎で、とある姿見の鏡に執着した時期があった。
あれは丁度、中学二年の6月頃、あの子が私に相談に乗ってほしいと言ってきた時だ。
舞が言うには、あの鏡には秘密があるという事だった。
━━━━━異世界と交信が出来る━━━━━
そんな馬鹿な事が有るのだろうか。
まあ、私は超常現象のファンだから、あった方が面白いし、無くても話題作りとしては良いのかも知れない。
しかも彼女は、その交信の過程で異世界の男性に恋をしてしまったらしい。
私は舞の妄想の産物ではないかと思っているが、親友であり真剣に私を見つめる彼女に否定的な事を言えるほど、自分は薄情じゃない。
当然、彼女の話しに耳を傾け、彼女に同調する姿勢をとった。
親友だからね。
なんか途中で、弟が舞にチョッカイを出したようだけど、舞の反撃にあい、轟沈したらしい。
なんのこっちゃ?
まあとにかく、そんなこんなで私達は、中学を卒業して高校生になった。
ああ私達の学校は、中高一貫校で進学校。
当然だけど私と舞は高校も一緒だ。
だから凄く心配だ。
あ、そうそう、その舞が執着している鏡だけど、中学校から舞の家が買い取ったらしい。
歴史ある学校の鏡だから、中学校は手放さないと思っていたけれど、なんか舞の一族が昔、学校に寄付した物だったので、学校側は拒否出来なかったようだ。
笹川家は私立流星学校法人の設立に関わっていたという事。
は?学長の親戚って訳?
ま、まあ、いいわ。
それで、鏡を買い取ってからの舞は、安堵したような顔で学校に通っていたけど、先月から休みがちになっていた。
理由は分かる。
3ヶ月前、舞の両親が死んだから。
暴走車による交通事故。
歩道に飛び込んで来たトラックに数人が巻き込まれ、その被害者の中に舞の両親がいたのだ。
御葬式での舞の落ち込みは、最悪だった。
そして数日前に行方不明って、舞の叔母さんから、心当たりはないかの連絡を受けた。
その後、警察に連絡して捜索してもらっているけど、私の親友は未だに見つかっていない。
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◆東京都内、某カフェ
武智小五郎視点
「と、言う訳なんです」
「いや、何が、と、言う訳なんだ?」
俺は頭を抱えながら、ソイラテのトールを一気に飲み込んだ。
「すまん、他を当たってくれ」
ガタッ
俺は、トレイを持ちながら立ち上がると、目の前の姉弟に背を向けた。
「そんな、ここまできて、受けてくれないんですか?!」
「逃げるんだ!?あのホームページは嘘だったんだ。姉ちゃん。このおじさん、大人の癖に僕達を騙したんだよ!」
おい、このガキ、人聞きの悪い!
「ガキ、ふざけた事、言ってんじゃねぇ!あの実績表は全て事実だ!!」
「嘘だい!なら、何で逃げるのさ?だいたい
最初からあのホームページは胡散臭かったんだ。姉ちゃんが、ここに決めたって言うから信じて付いて来たのに」
「ガキ!俺のホームページの何処が胡散臭いって言うんだ?」
俺は振り返って、俺を睨む中学男子を睨み返す。
「これだよ、この依頼達成実績表!誇大広告だよね、これ!?姉ちゃんを騙して!」
パサッ
ガキが印刷した、俺のホームページ掲載の依頼実績表をテーブルに投げる。
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◇依頼達成実績表◇
◆素行調査▪▪▪▪◇最短2日解決
◆浮気調査▪▪▪▪◇最短7日解決
◆結婚▪信用調査▪◇最短1日解決
◆張り込み調査▪▪◇最短3日解決
◆ストーカー調査▪◇最短5h解決
◆盗聴器発見▪▪▪◇最短1h解決
◆人捜し調査▪▪▪◇最短5分解決
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「あ?何処が誇大広告だ?これは、全て事実だ!」
「はあ?人捜し調査が最短、5分で解決ってあり得ないでしょ!?」
「そのあり得ない実績に、ここまで来たのは何処のどいつだ?」
「う、そ、そうだけど…」
「探偵業の基本は、クライアントとの信頼だ。そのクライアントが探偵を信用しないなら、最初からこの話は破綻している。まあ、お姉さんの話しも破綻しているがな」
ふ、その5分解決の依頼は人捜しではなく、猫捜しだったがな。
飼い主の依頼を受けて、依頼人の家の玄関を出たら、隣人宅で猫缶を食らっていたクライアントのシャム猫を見つけて、保護、受け渡しをしたんだ。
まさにラッキーだったが実績には違いない。
嘘、偽りは無いわけだ。
正直者は辛いぜ。
「了、失礼なもの言いは止めなさい。探偵さん、弟がすみません。どちらにしても、受けて頂けないなら、仕方ありません。諦めます」
「姉ちゃん、そんなぁ?!」
姉の高校生が俺に頭を下げる。
弟は失礼だが姉は礼儀正しいな。
容姿はいいようだし、あと5年もすれば俺好みのいい女になるだろう。
おっと、俺は何を考えてるんだ?
まあ、いい。
ちょっとは、考えてやるか。
「…いいだろう。その礼儀正しさに免じて、少し現場を見てやってもいい。何もせずに1万円取るのも悪いからな」
「は?1万円?!なんだよ、それ?」
弟の中学男子が、豆鉄砲、喰らったような顔で俺を見る。
おい、おい、ホームページの請け負い時の諸費用欄を読んでないのかよ。
「諸費用の一つ、相談料だ。なんだ?諸費用欄を確認してないのか?」
「はあ?!相談受けただけで金取るとか、ボッタクリじゃんか!」
「あのなぁ、俺の金額は業界の中じゃ、極めてリーズナブルなんだ。疑うなら他を当たってくれ」
「ああ、分かった、分かったよ。くそっ!」
弟君は、頭にきたのか。
ソッポを向いて、俺に背中を向けやがった。
失礼なお子ちゃまだな。
「了!弟がすみません。ちゃんと相談料を払いますので、どうか現地を見て頂けますか」
「ああ、いいぜ」
こうして俺は、この姉弟。
白井姉弟だったか?
こうして俺は、失踪した笹川 舞という女子高生が行方不明になった原因。
その異世界云々の姿見がある、笹川家のガレージを訪問する事なる。
◆◇◇◇◇
◆笹川家ガレージ
武智小五郎視点
ガラガラガラッ
ガレージの入り口が開き、暗い倉庫の奥に光が当たる。
このガレージは、笹川家本宅から30m離れており、白井姉弟が笹川 舞の叔父夫婦から一任され、鍵を渡されているとの事だった。
光が奥に届くと、ひときわ光が反射する輝きが確認出来る。
それが鏡による反射だと、俺には直ぐに分かった。
「あれか?」
「はい、例の姿見だと思います」
今日は水曜日。
二人は俺の予定に合わせて、学校を休んだらしい。
実は、俺は結構忙しい。
本業だけじゃ喰っていけないので、副業として日雇いのバイトをしている。
水曜日はバイトが休みなので、この日に現場への立ち会いを了解したのだ。
ケチな対応だって?
生活が優先だろうが!
ガレージ奥は若干、ヒンヤリしてんな。
しっかし、このガレージ。
車が一体、何台入るんだ?
いや、最低でも10台は入るだろ?
て、奥は、壁が赤レンガ作り?
横浜レンガ倉庫かよ。
「おい、これ、本当に車用のガレージか?どんだけデカイんだよ?」
「奥の作りは、大正時代って聞いてます。昔は防空壕にも使われてたみたいです」
白井▪姉が説明した。
なるほど、笹川家はこの辺りの古くからの豪商か、何かだったようだ。
「笹川の家の者は、立ち会わないのか?」
俺が言うと、白井 姉弟は、顔を見合わせた。
「その、今いる笹川家の人は、舞の本当の両親じゃないんです。舞の両親は、舞が失踪する3ヶ月前に交通事故で亡くなっていて、叔父夫婦が入っていまして、その」
は~ん、そういう事か。
今の笹川舞の保護者は、実の両親じゃないから、舞の捜索に積極的ではないという事か。
だから、白井姉弟が動かざるおえなかったと。
「その、せっかく武智さんが来て頂いたのに、すみません」
「いや、俺も罪悪感からだから、別にいい」
「はい?」
「ああ、相談料だけじゃって意味でな」
「あ、はい。本当にすみません」
いや、何だろうな。
この子、謝ってばかりで、恐縮しっぱなしだな。
よっぽど、行方不明の親友の安否が心配か。
弟君は相変わらず、俺を睨んでいるがな。
可愛げのない。
俺はガレージの奥に向かいながら、弟君の頭をわしゃわしゃした。
「わっ?!」
ふ、真っ赤になって、俺をさらに睨んでやがる。
こんどは可愛いじゃねぇか。
三人でガレージ奥に入ると、問題の姿見があった。
「これか?」
「…あ、はい。多分、そうです」
「多分?」
「あ、あの、私も中学の時に見たきりで、はっきり覚えている訳じゃないんですが、なんか、前に見たものより、派手?というか。この鏡の周りの木彫りの装飾が、変わっているように感じます」
「どういう事だ?」
「あの、この木彫りの装飾部分なんですが、確か、中学で見た時は、こんな青や赤の石は、填まってなかった気がします」
「彼女が後から、石を填めたと?」
「そうですね。でも、木彫りの装飾は変わってないと思うのに、填まっている石が、あつらえたみたいにピッタリ、填まっているのが、なんか不思議で」
木彫り装飾は、花や葉を彫刻したもので、木の感じから、古くに彫刻した状態のままで、石を組み込む為に、新に加工した部分は見当たらない。
なら、石を加工して、木彫り装飾に合わせたのかと思うが、左右、四隅にある花ビラの形に、きっちり収まっている石を確認しても、直近で削り出した様子はない。
まるで、前から用意されていた、この姿見の専用パーツであると言いきってしまえるほど、この石のパーツは姿見にフィットしている。
「ん?」
俺が、姿見の下部分の花を見ていると、花びらの一つが、他の花に比べ、一つ、足らない事に気づいた。
足元を見ると、何やら光るものがある。
俺はしやがむと、その光る物を手に取った。
それはやはり、下部の花びらの一部になる青い石だった。
「一つ、石が外れてるな」
「石、ですか。綺麗ですね」
白井▪姉も俺の隣にしゃがんで座る。
「なあ、そろそろだけど」
ガキが何か、言ってるな?
「なんだ、言ってみろ」
「3分たった」
「だから何だ?過去の実績は、その都度、条件も違う。解決時間が決まっている訳あるか」
「ちっ、やっぱ、誇大広告!」
はぁ、ガキのお守りは疲れるな。
しかし何となくだが、この石が事件解決への糸口のような気がする。
俺の感がそう訴えている。
「小五郎さん?」
「待ってろ、これを付けてみる」
俺は、外れていた石を、本来の場所に押し付ける。
カチリッ
石はまるで磁石で吸い付くように、本来の位置に収まった。
「付きましたね?」
「付いたな」
「付くようになってるなら、当たり前でしょ!」
白井▪姉が確認して、俺が肯定し、白井▪弟がダメ押しする。
しかし木に吸い付くって、中に金属があって、石が磁石という事になるよな。
なら、ここに填まっている石は全部、取り外しを前提に付いているって事か?
なんの為に?
俺が思案していると、白井▪姉が姿見の上段に指を差す。
「た、武智さん!あ、あれは!?」
「何だ、あれ?!」
あ?何だ、どうした?
俺は、白井▪姉弟が驚き顔で見ている鏡上段に顔を上げる。
ズズズッ
?!
………いや、見なかった事にしたい。
はあ、何だこれは!???
正直俺は、常識の効く世界しか知らん。
宇宙人とか、幽霊とか、異世界とか、俺の管轄外だと思っている。
だが、いくらそんな俺でも、自分の目で見ている物まで信じられない堅物ではない。
しかも、トリックだとしても、俺は姿見の鏡の部分を触っているし、石を付ける際に、鏡の隅々までチェック済みだ。
鏡は装飾の厚みも含め、3センチ程度で裏側にも何もない。
そもそも、観客が俺達しか居ない中で、これ程の高度なマジックをする理由が分からない。
しかし、今目の前で起きている事象は、ミスター○リック張りの手品ショーだ。
はっきり言おう。
俺の目の前にあった、何の変哲もない姿見の鏡面部分が水面のように揺らぎ、その中から人の手が生えてきているのだ。
しかも、それがズブズブと残りの部位と合わせ、せり出てきている。
精巧な3D映像が出来ていないとも否定出来ないが、この見た目は明らかに現実の物質だろう。
たが本当に驚くのは、この後だった。
「ま、舞?!」
「せ、先輩!」
六割の身体が現れた処で、学生服を着た女子と分かったが、白井▪姉弟の発言で、このせり出した女子が捜索中の笹川 舞である事が分かった。
ドサッ
鏡から完全に現れた笹川 舞。
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おい、出来すぎだろう!
後が怖そうだな。
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