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鏡の亜理砂▪その二 (壁炎の魔法使い)
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亜理砂視点
「ファイアーボール!!」
あたしが手を掲げて叫ぶと、手の先に丸い炎の塊が数個現れる。それが、あたしの手を離れ、角の生えた狼の群れに回転しながら飛んでいく。
ズアッ、ボワッガガーンッ
『ギャンッ』、『ギャワワッ』、『グワッ』
その炎の塊は、見事に角の生えた狼の群れに着弾した。
「よし、全弾命中!」
これでホーンウルフは、全部やっつけた。
ふふん、どうだい。
見事なもんだろう?
あたしの今の格好は、革のボディアーマーに肩から胸までの保護鎧を付けてるんだけど、これは一般的な冒険者スタイル。
自分なりにコーディネートしたんだけど、似合ってるかしら?
あたしはもう、立派な冒険者だよ。
タッ、タッ、タッ、タッ
「アリサ!」
「お?マルリーサ、こっち、こっち!」
マルリーサがしっぽを振りながら駆けてくる。彼女は獣人という人種で、黒毛の猫獣人なんだそうだ。
「アリサ、待って下さい!」
彼女は、あたしの護衛兼パーティー仲間。
ガルダとの最後の戦いの時に、奴隷兵として前線に送られてきた獣人部隊の生き残りの一人だ。
獣人って、初めて見た時はコミケのコスプレ集団かと思ったけど、本当に頭の上に耳が有って、本来の私達のような耳の位置は、髪の毛?産毛?みたいのが生えていたんだ。
本当にビックリだよ!
あ、獣人の耳を本人の承諾なく触るのは止した方がいいよ。
本来は親子か、その親族しか触れない。何だろう?他人にいきなり服を脱がされるような感覚らしくて、大変に恥ずかしい事なんだとか。
あと、求愛行為にあたるらしく本当に怒られるからね!
あたし?もち経験者です。はい。
だってそんなの、異世界人のあたしが知ってる訳ないじゃん。
え?護衛ってなんだって?
う~ん、彼女と行動を共にしてるのは、色々と複雑なんだけど、その話をするには少し遡らないといけないんだよね。
▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩
現在の政治情勢で云えば、取り敢えずガルダとの休戦が決まって平和?かな。
燐国のガルダ帝国との戦いは、帝国とアスタイト王国の間の緩衝地帯に、突如として発生した高難易度ダンジョンによって、再び休戦状態になったんだ。
ダンジョンから強力なモンスターの群れが現れ、ガルダ帝国に押し寄せたからね。
これがガルダの町や村を襲い、討伐に向かったガルダの主力軍が大敗した事で、アスタイト王国との戦争どころでは無くなったって事が正しいかな。
モンスターは王国にもやって来たけど、大半はガルダ帝国側に向かったので、こっちに来たのは幸いにも一部だけ。だから、なんとか王国軍が殲滅する事が出来たんだ。
結局ガルダ帝国も、ギリギリ群れを撃退できたようだけど、国内はガタガタ。
それで、そうしている間に政変が起き、好戦的な君主は廃され、平和的な君主に変わったとかなんとか。
まあ、あたしには関係ない話だけどね。
ところで小説の定番、冒険者ギルドなんだけど、有ればいいなと思っていたんだけど、冒険者組合なるものがあって良かったよ。
内容は予想していたものに近かったけど、一つ大きく違うのは魔法使いがいない事。
はあ?
なんで魔法使いがいないのよ、全然ファンタジーじゃないじゃない!
ガッカリした、あたしにロイドが言ってたんだけど、魔法使いはその絶対数が少なくて、大抵は国に囲い込まれるから、民間の団体である冒険者組合に所属する必要は無いんだそうだ。
そりゃそうだね。
国から決まった形でお給料が出るなら、不安定な冒険者なんて誰もやらないよ。
あ、あたし、実は魔法使い。
なんでも、火に適性があるらしい。
そりゃあ喜んだよ。
ファンタジーの憧れ、異世界っていったら魔法使いが定番だもん。
それも攻撃魔法も使える超希少な魔法使いだって言われたら、舞い上がっちゃった。
でも其だけ。
え、何でって思うでしょう?
だって、あたしの魔法は火の魔法だから基本的に危険物扱いなのよ!
そりゃあ、魔法のコントロールで暖炉に火をつけたり、厨房の火をつけたりしたら、皆が拍手をしてくれたさ。
けどね、ロイドのお母様が厨房や暖炉に火をつける行為は、召し使いの仕事を取る事になるし、侯爵家の令嬢に相応しくないって怒られたんだ。
これにはカチンッときちゃったよ!
あたしが何時?侯爵家の令嬢になったのさ。
だいたい、召し使いと仲良く話したら駄目とか、ダンスを踊れないと駄目とか、あと、お腹をぎゅうぎゅうにコルセットで締めて、ドレスを着ないと駄目とか、喋り方がなってないとか、いろんな事で駄目出ししてくるから、もう、本当に参っちゃった。
せっかく魔法が使えるのに、まったく使い道がないんだよ。
おまけに、侯爵夫人になる教育と毎日のロイドのお母様からのお説教。
ほんと、息が詰まる。
それでロイドに相談して、何とかしてもらおうとしたんだけど、アイツその時、何て言ったと思う?
『お母様はいつも正しい。君はまだ、此方の常識に慣れてないから、そう思うのだろうけど、お母様を信じて任せれば、絶対安心だから。いまは我慢してほしい』
って言ったのよ。
ふざけんな!
お前は、あたしとお母様、どっちの味方なんだ!?このマザコン野郎!
其れで侯爵家を飛び出して、逃げて来ちゃった。
最初はもう日本に帰ろうと思って魔塔の鏡のある部屋に行ったんだけど、ロイドの奴、先回りして転移魔道具であるネックレスを隠しやがったんだ。
それで完全にロイドに愛想が尽きたって訳。
もちろん、王妃様である笹川 舞さんに頼む事も考えたけど、なんか私事に、子育て真っ最中の彼女に助力をお願いするのも気が引けるから、なら夢だった冒険者になって自由に生きてやるって思ったわけ。
日本に帰っても、家族は居ないしね。
いや、別に死んでないけど、二人とも海外事業が忙しくて、高校の時からほとんど会った事がない。家政婦さんを雇ってるので、身の回りの世話はしてくれるんだけど、ただ、それだけ。別にもう慣れっこだから、構わないけどね。
それにまた、男と別れてきたなんて言ったら、千鶴に合わせる顔がないよ。
「アリサ様、危ないですから一人で先に行かないで下さい。私がウォルフ様に叱られます」
「なら、付いて来なくていいよーっ、マルリーサ。私は一人で大丈夫だよーっ」
マルリーサが言うウオルフっていう人は、獣人部隊を率いていた隊長さんだ。
その経緯は結構複雑なんだけど、事の始まりはガルダ帝国軍とアスタイト王国軍の最後の小競り合いが起きた戦場での話。
その時は、ガルダ帝国軍とアスタイト王国軍が、とある草原地帯で何日も睨み合いを続けていた。
丁度そこに貴族の嗜みとして、ロイドと戦場視察に行ったんだけど、運悪くガルダ帝国軍とアスタイト王国軍の間から凶悪な獣の群れが現れたのよ。
それが新しいダンジョンが生まれた瞬間だったらしく、そこからの凶悪な獣の動きは早かったんだ。
比較的、近い位置に陣取っていたガルダ帝国軍は真っ先に襲われ、総崩れになったんだけど、しばらくしたら、ガルダ帝国軍の小さな部隊が取り残され、獣達に囲まれてしまっていた。
さすがに敵とはいえ、見殺しには出来ないじゃん。魔法はロイドに止められていたんだけど、思わず手を上げて使っちゃった。
すると、凶悪な獣の群れとその小部隊の間に炎の壁が現れ、うまく小部隊を守る事が出来た。
炎の壁は私が一番得意とする魔法で、これは味方を守る事も、敵を攻撃する事も出来る万能魔法。
結果、上手くいって、獣達は小部隊を追うのを止めて、今度はガルダ帝国軍本体の方に向かって行った。
小部隊は確実に凶悪な獣達を引き連れて、こちらに向かっていたから、玉砕覚悟の囮を兼ねていたみたい。
だけど、あたしの炎の壁のせいで、逆にガルダ帝国軍に凶悪獣達が向かって行ったから、帝国軍としては散々だったよね。
結果として今回の戦いはご破算になり、ガルダ帝国軍は戦争どころではなくなり、此方も若干の獣被害があった。
まあ、モチロン、あたしの魔法で殆んどアスタイト軍は無傷だったけどね。
それで、ガルダ軍の囮小部隊。
結果として助けたんだけど、ガルダ帝国から見捨てられたようで、部隊の兵士達はアスタイト軍に包囲された。
鎧兜は着てるけど皆ボロボロで、地面に座り込んだまま放心状態。
アスタイト軍はどうするんだろ?
んん?アスタイト軍の偉い将軍さんが、あたしにその処遇の是非を求めてきた。
なんで?
え?あたしが助けた命だから、どうするか、あたしに決めろって?!
人の生き死にを、あたしが決めるの!?
どうしよう!!
それで仕方ないから将軍さんに、こういう場合の普通の対応を聞いたら、彼らは戦場での敵対行動を取って此方を害する覚悟で向かって来ていた。
だから例え、戦意喪失で降伏したとしても、戦時下の戦場であっては、その場で全員処刑なんだそうだ。
全員処刑?!
あたしの言葉次第で、あの千人あまりの人達の命が失くなるわけ?
冗談じゃないんだけど!!
でも、仕方ない事みたい。
大抵のガルダ兵士は国家に忠誠心が強く、生きて敵軍の捕虜になるくらいなら、名誉の死を望む兵士が殆んどらしい。
でも、これには理由があって、生きて捕虜になると、本国の家族が裏切り者の家族として烙印を押され、奴隷として過酷な労働を強いられるんだって。
まるで人質でしょ!!
それに奴隷制度なんてある訳?
ガルダ帝国、ふっざけてる!
「如何しますか?」
「……そ、それで、あたしが助けた場合、彼らはどうなるの?」
「本人達の意思で自決か、我が国の奴隷になるかです。何の信用もない敵国兵士を、そのまま自国民として受け入れる事は出来ません。ただ、貴女が助けた命です。どうするかは貴女の意向を尊重しましょう」
「………………!」
ヒューウゥ………
戦場だった平原に風が吹きわたる。
うん、あたしの中では答えは決まってる。
あたしは民主主義法治国家の日本人。
その道徳観念に従うのは当たり前だ。
ふと彼ら包囲され、憔悴して座り込むガルダ兵士の中で、一人だけ立ったまま此方を見ている黒い鎧兜の兵がいる。
周りの雰囲気から、部隊を指揮していた隊長さんかな?
もしかして自分達の命運が、あたしの選択に委ねられたと気づいてる?
ドクンッ
あれ?何だろう、この感覚???
数百メートルは離れているのに、この胸を貫くような熱い感じは何?
え?え?懐かしい感じ??大事な感じ???
それに鎧兜で顔すら定かでないのに、彼が男で間違いなく、あたしを見ているってわかる???は?
ギュッ「?!」
「アリサ、ゴメン。こんな危険なら、お母様の言い付け通りに戦場視察なんてしなければよかった。アリサが魔法を使った事はお母様に内緒にするから、早くここから離れよう」
背中からロイドが抱きついてきて、耳元で息づかいしながら、あたしにそんな事を言ってくる。お母様、お母様って、本当にこのマザコン野郎!
ちょっ胸を揉まないでよ?!
因みに、あたしの姿は貴族が着るドレス姿。
ヒラヒラぴらぴらの動きにくい、お腹ぎゅうぎゅう真っ赤な誰得よドレス。
おまけに足を隠して胸を強調するロココ調で、オッパイぽろりしそうなヤツ。
その上から揉まれたら完全に変態だよ!
将軍さんの目の前だし、あたしは今、重大な結論をするんだから!!
ドン!「う、わぁ、アリサ!?」
「ロイド!こっち、お取り込み中なのが分からないの?アンタは安全な場所で待ってなさい!だいたい婚約者だからって、人前でおさわり許すほど、まだ親しくないわよ!!」
思いっきり、肘鉄を喰らわせてやっちゃった。ロイドが呆気に地面に這いつくばっている。
ふん、このセクハラ▪マザコン野郎、そのまま這いつくばってろ!
ん?
だけど変だ。
ロイドが這いつくばったままフリーズしてる。
あさっての方角を見たまま冷や汗をかいている?立ち上がる事も出来ないみたい。
どうしたんだろう?
ロイドの視線の先に何かある?
あたしがロイドの視線をたどって、その方角に向くと、その視線の先にあの、黒衣鎧のガルダ兵士が立ちロイドを睨んでいた。
数百メートルもあるのに、ロイドは金縛りみたいに動けないみたい。
あたしの頭の中で、ロイドにマザコンの他に臆病者シールが貼られたのは仕方ない事だ。
はあ、何でこんな人と婚約者になったんだろ。
金髪イケメンはカッコいいで飛びついたけど、やっぱりルッキズムは駄目だね。
過去の自分を呪いたい。
おっと、ずっと将軍を待たせたまんまだ。
彼の視線が痛くなってる。
でも、ひげ面金髪イケおじも悪くない。
眉間のシワも渋くていいな。
ロイドから乗り換えようか。
あれ?
さっきルッキズムは駄目って反省は何処に行った??
うわっ、イケおじ見とれてたら更にシワが深くなってる?!
はい、早急に結論を出さないとならないよね。
とにかく答えは決まってる。
全員の助命をお願いする事だ。
囮にされた小部隊は不本意か分からないけど、必ず死ぬと判ってる状況で前進するなんて絶対おかしい。
きっと無理やりヤらされてたんだと思う。
許せないね。
戦争は人の命を簡単に道具にしちゃう。
こんな事はさっさと終わらせた方がいい。
それに、あたしは人が死ぬところなんて見たくない。
敵とはいえ、せっかく救った命なんだ。
その後に自害しようと、今の私の選択は助命一択しかないよ。
そうして将軍にその旨を伝え、あたしはセクハラマザコン野郎を置いて、将軍と一緒にその場を離れた。
ロイドのお母様がまたヒステリックになるけど、知ーらない。
ざわざわざわざわ
ん?何か騒がしい??
将軍と二人歩いて行くと、何故かアスタイト兵が整列して待っていた。
あたしが将軍と現れると、急に辺りが騒然となる。な、何なの?!
「おお!壁炎の魔法使い様だ!」
「我らの英雄!壁炎の魔法使い様!!万歳!」
「アスタイトの英雄!万歳!!」
な、何?何?何?
思わず将軍の後ろに隠れた、あたしは悪くない。
あたしが将軍に導かれるまま、何故か兵士達の前に立たされたら、兵士達が雄叫びを上げだした。
何なの、壁炎の魔法使いって!?
「しょ、将軍?」
「皆、貴女を称えているのです。ダンジョンの魔獣を抑え、敵国の撃退に繋げた貴女の力。このベンツェン辺境伯、しかと見届けましたぞ。貴女はガルダ帝国との戦いに終止符を打った英雄です。誇られるべきでしょう」
「え、英雄?あたしが英雄━━━?!」
そんなこんなで、アスタイト軍の兵士達からは歓喜と英雄扱い。
その後は王都に神輿で凱旋。
花吹雪で迎えられ、あれよ、あれよと奉られ、王都でも大勢の人達から歓喜の嵐。
うわぁ、コレってヘタなアイドルより目立ってない?
そんで王様からは、お妃さまから同郷と聞いてただけだったのに魔法使いで英雄になったと、あたしに英雄の称号と何でも好きなものを褒美にやるって言って貰えてラッキー。
さっそく侯爵家を出て、冒険者になりたいって宣言したわけ。
これに面白くないのはロイドとそのお母様。
戦場にロイドを置いてきた事を叱ろうと、般若みたいな顔で迫ってきたお母様は流石に圧巻だった。
でも、さすがにココはお城の謁見広間。
大勢の他貴族や王様を目の前に、あたしを叱る訳にはいかない。
いきなり手を引いて一度、侯爵家に戻りなさいって言ってきた。
さらに、あたしを侯爵家に縛り付けたくて、魔法使いの能力を秘匿するよう言われていたのに勝手した、あたしはロイドに睨まれた。
当然、冒険者への話の撤回と貴重な魔法使いを侯爵家で保護し、ロイドの婚約者として改めて教育し直すと王様に直談判。
は?
あたし、いつから侯爵家の物になってるの?
フザケンナ!
逆にその場で侯爵家の保護を拒否。
自由きままに冒険者をやりたいと宣言して、皆を唖然とさせちゃった。
やっちゃったなーっとは思ったけど、舞王妃様からクスクス笑いが出て、王様も呆れながらもオーケーで万々歳。
舞王妃からは、日本に帰る道も示されたけど、ロイドからネックレスを取り返して貰ったから何時でも帰れるし、もう少し冒険したいって言って、また笑われた。
でも、王様のお墨付きを貰ったからロイドも侯爵家もどうする事も出来ず、ガックリと肩を落としてる。
ざまーみろ!
まあ一時は好いた仲だけど、マザコンはいらないわね。
あと、この場で泣きながらお母様に抱き付くのは止めて欲しかったわ。
だって王様や舞王妃には、日本から来た時に、この人の嫁に来ました宣言して色々と手筈を整えてくれたのをたった今、ぶち壊しにしたんだからね。
王様と舞王妃の顔に泥を塗ったのも同じだもの。
チラッ、コクン。
私がロイドの醜態に辟易して王妃様の方をチラ見したら、笑いながらコクンって、頷いてくれた。
やっぱり現代人の感覚は間違いないわ。
さすが千鶴の親友だっただけの事はある。
こうして、あたしは自由の身になり、希望していた冒険者になる道を選ぶ事が叶ったの。
めでたし、めでたし、でしょ。
おっと、肝心な事を説明してなかった。
その後の話だけど、あのガルダ帝国軍の囮だった小部隊。
結果を言うと、あたしの助命嘆願が通って、全員一年間の奉仕活動の末、無罪放免の予定。
勿論、あたしの助命だけのお陰じゃなく、彼らが初戦でアスタイト王国軍とは戦っておらず、双方とも人的被害が無かったからだ。
彼らはガルダ帝国が征服した亡国の民。
その奴隷部隊で、最初から囮として使われて捨てられる運命だったらしい。
ガルダ帝国は鬼畜だよ!
それで最初の話に戻るけど、あれこそマルリーサ達、獣人部隊だったんだよ。
これが、ウォルフとマルリーサに出逢うキッカケになった事件だったんだ。
「ファイアーボール!!」
あたしが手を掲げて叫ぶと、手の先に丸い炎の塊が数個現れる。それが、あたしの手を離れ、角の生えた狼の群れに回転しながら飛んでいく。
ズアッ、ボワッガガーンッ
『ギャンッ』、『ギャワワッ』、『グワッ』
その炎の塊は、見事に角の生えた狼の群れに着弾した。
「よし、全弾命中!」
これでホーンウルフは、全部やっつけた。
ふふん、どうだい。
見事なもんだろう?
あたしの今の格好は、革のボディアーマーに肩から胸までの保護鎧を付けてるんだけど、これは一般的な冒険者スタイル。
自分なりにコーディネートしたんだけど、似合ってるかしら?
あたしはもう、立派な冒険者だよ。
タッ、タッ、タッ、タッ
「アリサ!」
「お?マルリーサ、こっち、こっち!」
マルリーサがしっぽを振りながら駆けてくる。彼女は獣人という人種で、黒毛の猫獣人なんだそうだ。
「アリサ、待って下さい!」
彼女は、あたしの護衛兼パーティー仲間。
ガルダとの最後の戦いの時に、奴隷兵として前線に送られてきた獣人部隊の生き残りの一人だ。
獣人って、初めて見た時はコミケのコスプレ集団かと思ったけど、本当に頭の上に耳が有って、本来の私達のような耳の位置は、髪の毛?産毛?みたいのが生えていたんだ。
本当にビックリだよ!
あ、獣人の耳を本人の承諾なく触るのは止した方がいいよ。
本来は親子か、その親族しか触れない。何だろう?他人にいきなり服を脱がされるような感覚らしくて、大変に恥ずかしい事なんだとか。
あと、求愛行為にあたるらしく本当に怒られるからね!
あたし?もち経験者です。はい。
だってそんなの、異世界人のあたしが知ってる訳ないじゃん。
え?護衛ってなんだって?
う~ん、彼女と行動を共にしてるのは、色々と複雑なんだけど、その話をするには少し遡らないといけないんだよね。
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現在の政治情勢で云えば、取り敢えずガルダとの休戦が決まって平和?かな。
燐国のガルダ帝国との戦いは、帝国とアスタイト王国の間の緩衝地帯に、突如として発生した高難易度ダンジョンによって、再び休戦状態になったんだ。
ダンジョンから強力なモンスターの群れが現れ、ガルダ帝国に押し寄せたからね。
これがガルダの町や村を襲い、討伐に向かったガルダの主力軍が大敗した事で、アスタイト王国との戦争どころでは無くなったって事が正しいかな。
モンスターは王国にもやって来たけど、大半はガルダ帝国側に向かったので、こっちに来たのは幸いにも一部だけ。だから、なんとか王国軍が殲滅する事が出来たんだ。
結局ガルダ帝国も、ギリギリ群れを撃退できたようだけど、国内はガタガタ。
それで、そうしている間に政変が起き、好戦的な君主は廃され、平和的な君主に変わったとかなんとか。
まあ、あたしには関係ない話だけどね。
ところで小説の定番、冒険者ギルドなんだけど、有ればいいなと思っていたんだけど、冒険者組合なるものがあって良かったよ。
内容は予想していたものに近かったけど、一つ大きく違うのは魔法使いがいない事。
はあ?
なんで魔法使いがいないのよ、全然ファンタジーじゃないじゃない!
ガッカリした、あたしにロイドが言ってたんだけど、魔法使いはその絶対数が少なくて、大抵は国に囲い込まれるから、民間の団体である冒険者組合に所属する必要は無いんだそうだ。
そりゃそうだね。
国から決まった形でお給料が出るなら、不安定な冒険者なんて誰もやらないよ。
あ、あたし、実は魔法使い。
なんでも、火に適性があるらしい。
そりゃあ喜んだよ。
ファンタジーの憧れ、異世界っていったら魔法使いが定番だもん。
それも攻撃魔法も使える超希少な魔法使いだって言われたら、舞い上がっちゃった。
でも其だけ。
え、何でって思うでしょう?
だって、あたしの魔法は火の魔法だから基本的に危険物扱いなのよ!
そりゃあ、魔法のコントロールで暖炉に火をつけたり、厨房の火をつけたりしたら、皆が拍手をしてくれたさ。
けどね、ロイドのお母様が厨房や暖炉に火をつける行為は、召し使いの仕事を取る事になるし、侯爵家の令嬢に相応しくないって怒られたんだ。
これにはカチンッときちゃったよ!
あたしが何時?侯爵家の令嬢になったのさ。
だいたい、召し使いと仲良く話したら駄目とか、ダンスを踊れないと駄目とか、あと、お腹をぎゅうぎゅうにコルセットで締めて、ドレスを着ないと駄目とか、喋り方がなってないとか、いろんな事で駄目出ししてくるから、もう、本当に参っちゃった。
せっかく魔法が使えるのに、まったく使い道がないんだよ。
おまけに、侯爵夫人になる教育と毎日のロイドのお母様からのお説教。
ほんと、息が詰まる。
それでロイドに相談して、何とかしてもらおうとしたんだけど、アイツその時、何て言ったと思う?
『お母様はいつも正しい。君はまだ、此方の常識に慣れてないから、そう思うのだろうけど、お母様を信じて任せれば、絶対安心だから。いまは我慢してほしい』
って言ったのよ。
ふざけんな!
お前は、あたしとお母様、どっちの味方なんだ!?このマザコン野郎!
其れで侯爵家を飛び出して、逃げて来ちゃった。
最初はもう日本に帰ろうと思って魔塔の鏡のある部屋に行ったんだけど、ロイドの奴、先回りして転移魔道具であるネックレスを隠しやがったんだ。
それで完全にロイドに愛想が尽きたって訳。
もちろん、王妃様である笹川 舞さんに頼む事も考えたけど、なんか私事に、子育て真っ最中の彼女に助力をお願いするのも気が引けるから、なら夢だった冒険者になって自由に生きてやるって思ったわけ。
日本に帰っても、家族は居ないしね。
いや、別に死んでないけど、二人とも海外事業が忙しくて、高校の時からほとんど会った事がない。家政婦さんを雇ってるので、身の回りの世話はしてくれるんだけど、ただ、それだけ。別にもう慣れっこだから、構わないけどね。
それにまた、男と別れてきたなんて言ったら、千鶴に合わせる顔がないよ。
「アリサ様、危ないですから一人で先に行かないで下さい。私がウォルフ様に叱られます」
「なら、付いて来なくていいよーっ、マルリーサ。私は一人で大丈夫だよーっ」
マルリーサが言うウオルフっていう人は、獣人部隊を率いていた隊長さんだ。
その経緯は結構複雑なんだけど、事の始まりはガルダ帝国軍とアスタイト王国軍の最後の小競り合いが起きた戦場での話。
その時は、ガルダ帝国軍とアスタイト王国軍が、とある草原地帯で何日も睨み合いを続けていた。
丁度そこに貴族の嗜みとして、ロイドと戦場視察に行ったんだけど、運悪くガルダ帝国軍とアスタイト王国軍の間から凶悪な獣の群れが現れたのよ。
それが新しいダンジョンが生まれた瞬間だったらしく、そこからの凶悪な獣の動きは早かったんだ。
比較的、近い位置に陣取っていたガルダ帝国軍は真っ先に襲われ、総崩れになったんだけど、しばらくしたら、ガルダ帝国軍の小さな部隊が取り残され、獣達に囲まれてしまっていた。
さすがに敵とはいえ、見殺しには出来ないじゃん。魔法はロイドに止められていたんだけど、思わず手を上げて使っちゃった。
すると、凶悪な獣の群れとその小部隊の間に炎の壁が現れ、うまく小部隊を守る事が出来た。
炎の壁は私が一番得意とする魔法で、これは味方を守る事も、敵を攻撃する事も出来る万能魔法。
結果、上手くいって、獣達は小部隊を追うのを止めて、今度はガルダ帝国軍本体の方に向かって行った。
小部隊は確実に凶悪な獣達を引き連れて、こちらに向かっていたから、玉砕覚悟の囮を兼ねていたみたい。
だけど、あたしの炎の壁のせいで、逆にガルダ帝国軍に凶悪獣達が向かって行ったから、帝国軍としては散々だったよね。
結果として今回の戦いはご破算になり、ガルダ帝国軍は戦争どころではなくなり、此方も若干の獣被害があった。
まあ、モチロン、あたしの魔法で殆んどアスタイト軍は無傷だったけどね。
それで、ガルダ軍の囮小部隊。
結果として助けたんだけど、ガルダ帝国から見捨てられたようで、部隊の兵士達はアスタイト軍に包囲された。
鎧兜は着てるけど皆ボロボロで、地面に座り込んだまま放心状態。
アスタイト軍はどうするんだろ?
んん?アスタイト軍の偉い将軍さんが、あたしにその処遇の是非を求めてきた。
なんで?
え?あたしが助けた命だから、どうするか、あたしに決めろって?!
人の生き死にを、あたしが決めるの!?
どうしよう!!
それで仕方ないから将軍さんに、こういう場合の普通の対応を聞いたら、彼らは戦場での敵対行動を取って此方を害する覚悟で向かって来ていた。
だから例え、戦意喪失で降伏したとしても、戦時下の戦場であっては、その場で全員処刑なんだそうだ。
全員処刑?!
あたしの言葉次第で、あの千人あまりの人達の命が失くなるわけ?
冗談じゃないんだけど!!
でも、仕方ない事みたい。
大抵のガルダ兵士は国家に忠誠心が強く、生きて敵軍の捕虜になるくらいなら、名誉の死を望む兵士が殆んどらしい。
でも、これには理由があって、生きて捕虜になると、本国の家族が裏切り者の家族として烙印を押され、奴隷として過酷な労働を強いられるんだって。
まるで人質でしょ!!
それに奴隷制度なんてある訳?
ガルダ帝国、ふっざけてる!
「如何しますか?」
「……そ、それで、あたしが助けた場合、彼らはどうなるの?」
「本人達の意思で自決か、我が国の奴隷になるかです。何の信用もない敵国兵士を、そのまま自国民として受け入れる事は出来ません。ただ、貴女が助けた命です。どうするかは貴女の意向を尊重しましょう」
「………………!」
ヒューウゥ………
戦場だった平原に風が吹きわたる。
うん、あたしの中では答えは決まってる。
あたしは民主主義法治国家の日本人。
その道徳観念に従うのは当たり前だ。
ふと彼ら包囲され、憔悴して座り込むガルダ兵士の中で、一人だけ立ったまま此方を見ている黒い鎧兜の兵がいる。
周りの雰囲気から、部隊を指揮していた隊長さんかな?
もしかして自分達の命運が、あたしの選択に委ねられたと気づいてる?
ドクンッ
あれ?何だろう、この感覚???
数百メートルは離れているのに、この胸を貫くような熱い感じは何?
え?え?懐かしい感じ??大事な感じ???
それに鎧兜で顔すら定かでないのに、彼が男で間違いなく、あたしを見ているってわかる???は?
ギュッ「?!」
「アリサ、ゴメン。こんな危険なら、お母様の言い付け通りに戦場視察なんてしなければよかった。アリサが魔法を使った事はお母様に内緒にするから、早くここから離れよう」
背中からロイドが抱きついてきて、耳元で息づかいしながら、あたしにそんな事を言ってくる。お母様、お母様って、本当にこのマザコン野郎!
ちょっ胸を揉まないでよ?!
因みに、あたしの姿は貴族が着るドレス姿。
ヒラヒラぴらぴらの動きにくい、お腹ぎゅうぎゅう真っ赤な誰得よドレス。
おまけに足を隠して胸を強調するロココ調で、オッパイぽろりしそうなヤツ。
その上から揉まれたら完全に変態だよ!
将軍さんの目の前だし、あたしは今、重大な結論をするんだから!!
ドン!「う、わぁ、アリサ!?」
「ロイド!こっち、お取り込み中なのが分からないの?アンタは安全な場所で待ってなさい!だいたい婚約者だからって、人前でおさわり許すほど、まだ親しくないわよ!!」
思いっきり、肘鉄を喰らわせてやっちゃった。ロイドが呆気に地面に這いつくばっている。
ふん、このセクハラ▪マザコン野郎、そのまま這いつくばってろ!
ん?
だけど変だ。
ロイドが這いつくばったままフリーズしてる。
あさっての方角を見たまま冷や汗をかいている?立ち上がる事も出来ないみたい。
どうしたんだろう?
ロイドの視線の先に何かある?
あたしがロイドの視線をたどって、その方角に向くと、その視線の先にあの、黒衣鎧のガルダ兵士が立ちロイドを睨んでいた。
数百メートルもあるのに、ロイドは金縛りみたいに動けないみたい。
あたしの頭の中で、ロイドにマザコンの他に臆病者シールが貼られたのは仕方ない事だ。
はあ、何でこんな人と婚約者になったんだろ。
金髪イケメンはカッコいいで飛びついたけど、やっぱりルッキズムは駄目だね。
過去の自分を呪いたい。
おっと、ずっと将軍を待たせたまんまだ。
彼の視線が痛くなってる。
でも、ひげ面金髪イケおじも悪くない。
眉間のシワも渋くていいな。
ロイドから乗り換えようか。
あれ?
さっきルッキズムは駄目って反省は何処に行った??
うわっ、イケおじ見とれてたら更にシワが深くなってる?!
はい、早急に結論を出さないとならないよね。
とにかく答えは決まってる。
全員の助命をお願いする事だ。
囮にされた小部隊は不本意か分からないけど、必ず死ぬと判ってる状況で前進するなんて絶対おかしい。
きっと無理やりヤらされてたんだと思う。
許せないね。
戦争は人の命を簡単に道具にしちゃう。
こんな事はさっさと終わらせた方がいい。
それに、あたしは人が死ぬところなんて見たくない。
敵とはいえ、せっかく救った命なんだ。
その後に自害しようと、今の私の選択は助命一択しかないよ。
そうして将軍にその旨を伝え、あたしはセクハラマザコン野郎を置いて、将軍と一緒にその場を離れた。
ロイドのお母様がまたヒステリックになるけど、知ーらない。
ざわざわざわざわ
ん?何か騒がしい??
将軍と二人歩いて行くと、何故かアスタイト兵が整列して待っていた。
あたしが将軍と現れると、急に辺りが騒然となる。な、何なの?!
「おお!壁炎の魔法使い様だ!」
「我らの英雄!壁炎の魔法使い様!!万歳!」
「アスタイトの英雄!万歳!!」
な、何?何?何?
思わず将軍の後ろに隠れた、あたしは悪くない。
あたしが将軍に導かれるまま、何故か兵士達の前に立たされたら、兵士達が雄叫びを上げだした。
何なの、壁炎の魔法使いって!?
「しょ、将軍?」
「皆、貴女を称えているのです。ダンジョンの魔獣を抑え、敵国の撃退に繋げた貴女の力。このベンツェン辺境伯、しかと見届けましたぞ。貴女はガルダ帝国との戦いに終止符を打った英雄です。誇られるべきでしょう」
「え、英雄?あたしが英雄━━━?!」
そんなこんなで、アスタイト軍の兵士達からは歓喜と英雄扱い。
その後は王都に神輿で凱旋。
花吹雪で迎えられ、あれよ、あれよと奉られ、王都でも大勢の人達から歓喜の嵐。
うわぁ、コレってヘタなアイドルより目立ってない?
そんで王様からは、お妃さまから同郷と聞いてただけだったのに魔法使いで英雄になったと、あたしに英雄の称号と何でも好きなものを褒美にやるって言って貰えてラッキー。
さっそく侯爵家を出て、冒険者になりたいって宣言したわけ。
これに面白くないのはロイドとそのお母様。
戦場にロイドを置いてきた事を叱ろうと、般若みたいな顔で迫ってきたお母様は流石に圧巻だった。
でも、さすがにココはお城の謁見広間。
大勢の他貴族や王様を目の前に、あたしを叱る訳にはいかない。
いきなり手を引いて一度、侯爵家に戻りなさいって言ってきた。
さらに、あたしを侯爵家に縛り付けたくて、魔法使いの能力を秘匿するよう言われていたのに勝手した、あたしはロイドに睨まれた。
当然、冒険者への話の撤回と貴重な魔法使いを侯爵家で保護し、ロイドの婚約者として改めて教育し直すと王様に直談判。
は?
あたし、いつから侯爵家の物になってるの?
フザケンナ!
逆にその場で侯爵家の保護を拒否。
自由きままに冒険者をやりたいと宣言して、皆を唖然とさせちゃった。
やっちゃったなーっとは思ったけど、舞王妃様からクスクス笑いが出て、王様も呆れながらもオーケーで万々歳。
舞王妃からは、日本に帰る道も示されたけど、ロイドからネックレスを取り返して貰ったから何時でも帰れるし、もう少し冒険したいって言って、また笑われた。
でも、王様のお墨付きを貰ったからロイドも侯爵家もどうする事も出来ず、ガックリと肩を落としてる。
ざまーみろ!
まあ一時は好いた仲だけど、マザコンはいらないわね。
あと、この場で泣きながらお母様に抱き付くのは止めて欲しかったわ。
だって王様や舞王妃には、日本から来た時に、この人の嫁に来ました宣言して色々と手筈を整えてくれたのをたった今、ぶち壊しにしたんだからね。
王様と舞王妃の顔に泥を塗ったのも同じだもの。
チラッ、コクン。
私がロイドの醜態に辟易して王妃様の方をチラ見したら、笑いながらコクンって、頷いてくれた。
やっぱり現代人の感覚は間違いないわ。
さすが千鶴の親友だっただけの事はある。
こうして、あたしは自由の身になり、希望していた冒険者になる道を選ぶ事が叶ったの。
めでたし、めでたし、でしょ。
おっと、肝心な事を説明してなかった。
その後の話だけど、あのガルダ帝国軍の囮だった小部隊。
結果を言うと、あたしの助命嘆願が通って、全員一年間の奉仕活動の末、無罪放免の予定。
勿論、あたしの助命だけのお陰じゃなく、彼らが初戦でアスタイト王国軍とは戦っておらず、双方とも人的被害が無かったからだ。
彼らはガルダ帝国が征服した亡国の民。
その奴隷部隊で、最初から囮として使われて捨てられる運命だったらしい。
ガルダ帝国は鬼畜だよ!
それで最初の話に戻るけど、あれこそマルリーサ達、獣人部隊だったんだよ。
これが、ウォルフとマルリーサに出逢うキッカケになった事件だったんだ。
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