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鏡の亜理砂▪その十 (気持ち)
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何故、何故なの?
貴方は何故、あたしを助けるの?
「うっ、く」
「アリサ、急に立ち上がっては駄目です!7日も寝込んでいたんですよ。身体がまだ、慣れてません」
う、クラクラする!?
まだ、無理は出来ないわね。
でも……
「……マルリーサ、ウォルフは何処?」
「ウォルフは、冒険者組合の依頼で再び町を離れました。ウォルフが暫く不在だった事で、上位ランカーの依頼が溜まってましたから」
「何時戻るかな?」
「さあ?どんな依頼に向かったか、聞いてないので」
ウォルフ、また、離れてしまったの?
「……マルリーサ、ウォルフは何であの森に居たのかな?依頼で町を離れてた訳でしょう?そんな都合よく森に居る偶然って、有る?」
「……………」
「マルリーサ?」
「……それを話すには、私達、獣人の事を話すしかありません」
マルリーサが改まって言い、私に椅子に座るようにゼスチャーする。
あたしは頷き、マルリーサの前に座る。
「私達、獣人には年に数回、特別な日があるんです」
「特別な日?」
「はい。その……発情期と……呼ばれる……ものです」
「は、は、発、情!?」
な、何、そのエッチィの!?
マルリーサが頬を染め、モジモジしながら言う訳だ。彼女のシッポが、バンバン床を叩いてる。
「えーと?その発情っ期って、その、あたしらの反抗期みたいな物なのかな?」
「はんこうき?」
「あ、それは無いかぁ。その、やっぱり、それって言葉通りなのかな……その」
「何を考えているのか分かりますが、多分、それではありません」
「え?あの、えーと」
「結果としてそうなる事もありますが、獣人の発情期というのは、番と過ごす期間、または番を捜す期間の事を言います」
「あ、やっぱり、そうなる事があるんって!?」
「はぁ、アリサ。其処から離れて貰えますか。説明を続けられません」
「あ、ごめん。えっと、誤解されると困るんだけど、あたし、欲求不満じゃないからね?!」
「コホンッとにかく私達、獣人には発情期という期間があり、番を捜す期間になります。人間でいえば、恋人を見つける期間です」
「へぇーっ、恋人達の期間かぁ。定期的にそんな期間があるなんて、なんかロマンチックだわぁ。じゃあマルリーサとか、他の獣人はその期間に婚カツをしてるんだ」
「コンカツ?は分かりませんが、だいたいそうです。ただ、その表現は種族により若干の違いがありますが」
「種族による違い?」
「私のように発情期でも容姿が変わらない者がほとんどですが、種族によっては容姿が変わる事があるんです」
「へぇ、毛深くなったりとか?」
「そうですね。身体の一部の変化は勿論、中には骨格から外見が変異する者もいます。大抵は、より獣や魔獣化したりするんです。身体的に強い種族は、だいたい後者です」
「そうなんだ。あれ?じゃあ、ウォルフの狼の顔って」
「はい。銀狼族の発情期にあると思います」
え?それって、あれは、ウォルフの素顔じゃ無いって事じゃん。なら、ウォルフの素顔って……ん?
「あ、あのね。マルリーサはウォルフの素顔を知ってるんだよね?」
「はい。存じております」
「あのさ、ウォルフの素顔って、銀の瞳のイケメン?」
「いけめん?」
「格好いい男って事」
「はい、そうですね。銀髪、銀目、格好いい素敵な男性です」
ああ、じゃあ、夢かと思ってたんだけど、洞窟みたいなところで見た、あのイケメンはウォルフだったんだ。
そうか。私、ウォルフに……??
「マ、マルリーサ、その、ウォルフは今、発情期なんだよね?という事は、ウォルフは番を求めてさ迷って、あの森に居合わせたって事?なら、ウォルフの番の人って、オークに誘拐されていて、救助された女性だった……」
ズキッ
あれ?
何だろう、なんか胸が痛い。
なんで???
「違います。アリサ」
「え?」
マルリーサは、あたしに優しい目を向け言う。
「ウォルフの番、それは、貴女です。アリサ」
貴方は何故、あたしを助けるの?
「うっ、く」
「アリサ、急に立ち上がっては駄目です!7日も寝込んでいたんですよ。身体がまだ、慣れてません」
う、クラクラする!?
まだ、無理は出来ないわね。
でも……
「……マルリーサ、ウォルフは何処?」
「ウォルフは、冒険者組合の依頼で再び町を離れました。ウォルフが暫く不在だった事で、上位ランカーの依頼が溜まってましたから」
「何時戻るかな?」
「さあ?どんな依頼に向かったか、聞いてないので」
ウォルフ、また、離れてしまったの?
「……マルリーサ、ウォルフは何であの森に居たのかな?依頼で町を離れてた訳でしょう?そんな都合よく森に居る偶然って、有る?」
「……………」
「マルリーサ?」
「……それを話すには、私達、獣人の事を話すしかありません」
マルリーサが改まって言い、私に椅子に座るようにゼスチャーする。
あたしは頷き、マルリーサの前に座る。
「私達、獣人には年に数回、特別な日があるんです」
「特別な日?」
「はい。その……発情期と……呼ばれる……ものです」
「は、は、発、情!?」
な、何、そのエッチィの!?
マルリーサが頬を染め、モジモジしながら言う訳だ。彼女のシッポが、バンバン床を叩いてる。
「えーと?その発情っ期って、その、あたしらの反抗期みたいな物なのかな?」
「はんこうき?」
「あ、それは無いかぁ。その、やっぱり、それって言葉通りなのかな……その」
「何を考えているのか分かりますが、多分、それではありません」
「え?あの、えーと」
「結果としてそうなる事もありますが、獣人の発情期というのは、番と過ごす期間、または番を捜す期間の事を言います」
「あ、やっぱり、そうなる事があるんって!?」
「はぁ、アリサ。其処から離れて貰えますか。説明を続けられません」
「あ、ごめん。えっと、誤解されると困るんだけど、あたし、欲求不満じゃないからね?!」
「コホンッとにかく私達、獣人には発情期という期間があり、番を捜す期間になります。人間でいえば、恋人を見つける期間です」
「へぇーっ、恋人達の期間かぁ。定期的にそんな期間があるなんて、なんかロマンチックだわぁ。じゃあマルリーサとか、他の獣人はその期間に婚カツをしてるんだ」
「コンカツ?は分かりませんが、だいたいそうです。ただ、その表現は種族により若干の違いがありますが」
「種族による違い?」
「私のように発情期でも容姿が変わらない者がほとんどですが、種族によっては容姿が変わる事があるんです」
「へぇ、毛深くなったりとか?」
「そうですね。身体の一部の変化は勿論、中には骨格から外見が変異する者もいます。大抵は、より獣や魔獣化したりするんです。身体的に強い種族は、だいたい後者です」
「そうなんだ。あれ?じゃあ、ウォルフの狼の顔って」
「はい。銀狼族の発情期にあると思います」
え?それって、あれは、ウォルフの素顔じゃ無いって事じゃん。なら、ウォルフの素顔って……ん?
「あ、あのね。マルリーサはウォルフの素顔を知ってるんだよね?」
「はい。存じております」
「あのさ、ウォルフの素顔って、銀の瞳のイケメン?」
「いけめん?」
「格好いい男って事」
「はい、そうですね。銀髪、銀目、格好いい素敵な男性です」
ああ、じゃあ、夢かと思ってたんだけど、洞窟みたいなところで見た、あのイケメンはウォルフだったんだ。
そうか。私、ウォルフに……??
「マ、マルリーサ、その、ウォルフは今、発情期なんだよね?という事は、ウォルフは番を求めてさ迷って、あの森に居合わせたって事?なら、ウォルフの番の人って、オークに誘拐されていて、救助された女性だった……」
ズキッ
あれ?
何だろう、なんか胸が痛い。
なんで???
「違います。アリサ」
「え?」
マルリーサは、あたしに優しい目を向け言う。
「ウォルフの番、それは、貴女です。アリサ」
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