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鏡の了▪その二 (女の子になった?!)
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◆時は遡って▪美少女コンテスト三ヶ月前
白井家 AM6:30
白井 了視点
「じゃあ、了は今日、風邪でお休みですか?」
「そうなのよ、ごめんなさいね。結構、熱があるから明日もどうなるかわからないわ」
「………見舞いで」
「ごめんなさい。流行り病かも知れないの。お見舞いは暫くお断りさせてね」
「………分かり……ました」
バタンッガチャンッ
玄関で姉ちゃんと孝明のやり取りが聞こえ、最後に玄関のドアが閉まった音がした。
僕はそれを、廊下の端から息を潜めて聞いていて、閉まった音が聞こえると同時に大きく息を吐き出した。
山田 孝明。
元ラグビー部所属のその体格は、身長187、体重82の理想的な筋肉ボディ。
甘いイケメンフェイスは、町を歩くだけで女の子達の注目の的だ。
孝明とは幼稚園からの幼なじみ。
中高一貫校とはいえ、ずっと高校まで一緒だったのは孝明だけだ。
あれ?おまけに今回は部活も一緒だったな?
何で???
とにかく、長い付き合いの孝明。
色々助けてもらった事もあり彼に嘘をつくのは忍びなかったけど、この姿で登校はまず不可能だったから、ここはやむを得なかった、というところだ。
「…………孝明、行った?」
「行ったわよ。そんな申し訳なさそうな顔して。しょうがないじゃない。今回は不可抗力なんだから」
「…………………」
「それにしても見事に美少女になったわね。お姉ちゃん、妹が欲しかったから嬉しいわ」
バッギュッ
姉ちゃんはニコニコして抱きついてきた。
こっちは本気で焦ってるのに!
「柔らかい。可愛いいし、いい匂いがする。肌がきめ細かくて、女の私でもドキドキしちゃうわ」
「だ、抱きつかない、触らない?!本当に困ってるんだから!!」
不味い。
こうなった姉は止まらない。
このままでは、僕は姉のオモチャだ。
「姉ちゃん、真剣に考えてよ!僕は元に戻りたいんだから」
「そんな焦らない。もう、知り合いにお願いして専門家に聞いてもらってるから」
「知り合い?また、あの探偵じゃないよね」
「ちゃんとした医療関係者よ。原因から分からないと調べられないでしょ?そういう摩訶不思議な事を専門に扱ってくれる方よ」
「摩訶不思議?最初から怪しいんだけど」
「原因が分からないと元に戻る方法も分からないわよ」
確かに姉ちゃんの話はもっともだ。
確かに姉ちゃんの話はもっともだ。
だけど、姉ちゃんの伝でそんな人物が居ただろうか?
でも、表に出るのも憚られるこの状況。
姉ちゃんに頼るしか方法がない。
「それで、本当に思い当たる事は無いの?」
「思い当たる事……部活して喉が渇いて、冷蔵庫のジュース飲んで、カップ麺食べたくらい?その後、急に眠くなって、寝て起きたら女の子になってた……」
「うーん、それだと何時も通りって感じね?原因が分からないわね」
「そんな簡単に原因が解れば僕は苦労してないよ。あう?!髪が長くて鬱陶しい!髪の毛が目に掛かるんだよね。切っちゃうか」
「駄目よ!可愛いんだから、切っちゃたら大変よ」
「意味分からないんだけど。本当に真剣に考えてくれてるの?」
「勿論よ。可愛い妹の為だもの」
撫で撫で撫で。
「妹じゃ……はあ、もういい」
姉ちゃんは僕を抱き寄せたまま、頭を撫で始めた。
もう、好きにしてよ。
「うふふ。ほら、抱っこ」
「………………」
こうして姉のオモチャになった僕。
ああ、僕はこれからどうなるんだろ?
◆◇◇◇◇
◆数日後、とある医療施設?
あれから僕は姉に連れられ、とある医療施設に向かった。
当然、女の子になった原因を探る為だ。
その医療施設は、姉が前にあの探偵の彼氏に紹介された場所らしく、医療全般を扱いつつ摩訶不思議な事件、事故で負傷した人々を専門に治療する特殊な医療機関なんだそうだ。
「やあ、君が突然、女の子になった白井 了君だね。初めまして。私がこの医療機関の責任者、ブランシュタイン教授だ。そんな緊張せずに自宅にいるつもりで、ゆったりとしてくれて構わないよ」
現れたのは一つ目の絵の覆面を付けた、合体の大きくガッシリした黒マント姿の男性。
いやいや、めちゃくちゃ怪しいでしょ!
姉ちゃん、いつからこんな人たちと接点があったの!?
全くゆったり出来ないんだけど!!
『姉ちゃん、この人達とはいつから?』
『ああ、前に小五郎さんと、ある事件でお世話になったのよ。ちょっと変わってるけど信頼出来る人達だわ』
『ちょっと!?』
姉ちゃんと小声で話して、またあの探偵が関わってると聞いてガックシと肩を落とす。
武智 小五郎。
探偵業をアメ横で営む胡散臭い男だ。
先輩の捜索を頼んだのが接点だけど、なんか姉ちゃん、あの探偵に惹かれてるみたいで、どうも付き合ってるらしいんだよね。
だけどどうも生活は安定してないし、怪しいところが満載で僕は付き合いを断固反対しているんだ。
結局、その探偵に紹介された医療機関。
最初から怪しさしかないし、全く信じられないんだけど!
「それでは専門医を呼んでいるから、後は宜しくやってくれたまえ。ではな」
「有り難う御座います」
覆面男は、僕達にこの部屋で待つように言うと、立ち上がって部屋から出て行った。
これから僕はどうなるんだろ?
白井家 AM6:30
白井 了視点
「じゃあ、了は今日、風邪でお休みですか?」
「そうなのよ、ごめんなさいね。結構、熱があるから明日もどうなるかわからないわ」
「………見舞いで」
「ごめんなさい。流行り病かも知れないの。お見舞いは暫くお断りさせてね」
「………分かり……ました」
バタンッガチャンッ
玄関で姉ちゃんと孝明のやり取りが聞こえ、最後に玄関のドアが閉まった音がした。
僕はそれを、廊下の端から息を潜めて聞いていて、閉まった音が聞こえると同時に大きく息を吐き出した。
山田 孝明。
元ラグビー部所属のその体格は、身長187、体重82の理想的な筋肉ボディ。
甘いイケメンフェイスは、町を歩くだけで女の子達の注目の的だ。
孝明とは幼稚園からの幼なじみ。
中高一貫校とはいえ、ずっと高校まで一緒だったのは孝明だけだ。
あれ?おまけに今回は部活も一緒だったな?
何で???
とにかく、長い付き合いの孝明。
色々助けてもらった事もあり彼に嘘をつくのは忍びなかったけど、この姿で登校はまず不可能だったから、ここはやむを得なかった、というところだ。
「…………孝明、行った?」
「行ったわよ。そんな申し訳なさそうな顔して。しょうがないじゃない。今回は不可抗力なんだから」
「…………………」
「それにしても見事に美少女になったわね。お姉ちゃん、妹が欲しかったから嬉しいわ」
バッギュッ
姉ちゃんはニコニコして抱きついてきた。
こっちは本気で焦ってるのに!
「柔らかい。可愛いいし、いい匂いがする。肌がきめ細かくて、女の私でもドキドキしちゃうわ」
「だ、抱きつかない、触らない?!本当に困ってるんだから!!」
不味い。
こうなった姉は止まらない。
このままでは、僕は姉のオモチャだ。
「姉ちゃん、真剣に考えてよ!僕は元に戻りたいんだから」
「そんな焦らない。もう、知り合いにお願いして専門家に聞いてもらってるから」
「知り合い?また、あの探偵じゃないよね」
「ちゃんとした医療関係者よ。原因から分からないと調べられないでしょ?そういう摩訶不思議な事を専門に扱ってくれる方よ」
「摩訶不思議?最初から怪しいんだけど」
「原因が分からないと元に戻る方法も分からないわよ」
確かに姉ちゃんの話はもっともだ。
確かに姉ちゃんの話はもっともだ。
だけど、姉ちゃんの伝でそんな人物が居ただろうか?
でも、表に出るのも憚られるこの状況。
姉ちゃんに頼るしか方法がない。
「それで、本当に思い当たる事は無いの?」
「思い当たる事……部活して喉が渇いて、冷蔵庫のジュース飲んで、カップ麺食べたくらい?その後、急に眠くなって、寝て起きたら女の子になってた……」
「うーん、それだと何時も通りって感じね?原因が分からないわね」
「そんな簡単に原因が解れば僕は苦労してないよ。あう?!髪が長くて鬱陶しい!髪の毛が目に掛かるんだよね。切っちゃうか」
「駄目よ!可愛いんだから、切っちゃたら大変よ」
「意味分からないんだけど。本当に真剣に考えてくれてるの?」
「勿論よ。可愛い妹の為だもの」
撫で撫で撫で。
「妹じゃ……はあ、もういい」
姉ちゃんは僕を抱き寄せたまま、頭を撫で始めた。
もう、好きにしてよ。
「うふふ。ほら、抱っこ」
「………………」
こうして姉のオモチャになった僕。
ああ、僕はこれからどうなるんだろ?
◆◇◇◇◇
◆数日後、とある医療施設?
あれから僕は姉に連れられ、とある医療施設に向かった。
当然、女の子になった原因を探る為だ。
その医療施設は、姉が前にあの探偵の彼氏に紹介された場所らしく、医療全般を扱いつつ摩訶不思議な事件、事故で負傷した人々を専門に治療する特殊な医療機関なんだそうだ。
「やあ、君が突然、女の子になった白井 了君だね。初めまして。私がこの医療機関の責任者、ブランシュタイン教授だ。そんな緊張せずに自宅にいるつもりで、ゆったりとしてくれて構わないよ」
現れたのは一つ目の絵の覆面を付けた、合体の大きくガッシリした黒マント姿の男性。
いやいや、めちゃくちゃ怪しいでしょ!
姉ちゃん、いつからこんな人たちと接点があったの!?
全くゆったり出来ないんだけど!!
『姉ちゃん、この人達とはいつから?』
『ああ、前に小五郎さんと、ある事件でお世話になったのよ。ちょっと変わってるけど信頼出来る人達だわ』
『ちょっと!?』
姉ちゃんと小声で話して、またあの探偵が関わってると聞いてガックシと肩を落とす。
武智 小五郎。
探偵業をアメ横で営む胡散臭い男だ。
先輩の捜索を頼んだのが接点だけど、なんか姉ちゃん、あの探偵に惹かれてるみたいで、どうも付き合ってるらしいんだよね。
だけどどうも生活は安定してないし、怪しいところが満載で僕は付き合いを断固反対しているんだ。
結局、その探偵に紹介された医療機関。
最初から怪しさしかないし、全く信じられないんだけど!
「それでは専門医を呼んでいるから、後は宜しくやってくれたまえ。ではな」
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