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鏡の了▪その五 (コンテスト)
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「で?そこから何で美少女コンテストの話になるの?!」
都内のマンションに転居した白井家。
引っ越しが一段落してから突然、姉が馬鹿な事を言い出した。
姉は元々突拍子もない事を言う癖があるが、今回は極めつけである。
▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩
ところで、白井家の家族構成は父と僕と姉の三人。
母は早くに亡くなり、父は大手ゼネコンの海外開発部門に務めていて年に数回しか日本に戻らない。
こちらの保護者を担っているのは同じゼネコンの土地開発部門に務める叔母。
まあ、叔母もそれなりの役職であるため殆んど会う事は稀である。
それでも保護者としての手続き関連はきっちりとやってくれているので、姉や僕からは感謝しかない。
今回の引っ越し手続きや、あの特殊医療機関(組織?国の?)も問題なく対応してくれて本当に助かった。
▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩
「引っ越しと転入手続きが終わって一段落。学校は冬休みにこれから入るから通学は休み明け。私も大学が休みになるから暫く暇になるでしょ。だから美少女コンテストに出るのもいいかと思ってね。てへっ」
「てへっじゃなくて!唐突感が凄くて話に脈絡が無いんですけど!?」
「あのね、了は自分の魅力を再認識した方がいいよ。こんな美少女が引き込もっていたら世界の大きな損失よ」
「いや、どんな魅力?損失って何?!」
「それに、やたら落ち込んでるじゃない。学校の皆や孝明君と別れた事、ショックだったんでしょ?」
「………………!」
「だから了、もう生まれ変わったって思って新しい人生を楽しみなさいよ。人生、どんな事が起きても一度きり。どうせなら楽しく過ごした方がいいわ」
たった一度の人生。
落ち込んでも楽しんでもたった一度の人生。
それなら楽しく過ごした方がいい。
姉ちゃんの言いたい事はよく判る。
「だから今の了の長所を最大限、生かせる事をさせてあげたくてね」
「いや絶対、姉ちゃんのオモチャにされてる感しかないんだけど……それに僕の長所が美少女コンテストって何か馬鹿っぽい」
「だって今のアンタ、容姿以外何も無いじゃない」
「姉ちゃん。僕、今ので姉ちゃんに殺意が沸いたよ」
姉ちゃん。落ち込んでる僕を励まそうとしてるのは分かる。
だけどそれが美少女コンテストって、絶対作為を感じるんだけど!
「え~と、それで写真判定で上位入選してて三日後に本選」
「は?」
「優勝者はスポンサーの芸能プロダクションに所属してアイドルデビューが確約される」
「ま、待って、待ってよ!?」
「でも今回は芸能プロダクションの顔になるアイドル発掘だから写真判定でほぼ決まり。本選は出来レースね。本選出場者は全員、何らかの芸能活動が決まってるからアンタのアイドルは決まったようなものよ」
姉ちゃんが冷や汗かきながら必死に説明してる。あ、コレ、断われないヤツだ。
「なお、今の時点で断るとバカ高い違約金の請求があるから了に頑張って貰うしかない」
「姉ちゃん。勝手して後始末を僕に擦り付けてない?」
「最高でしょ」
「何が?!」
こうして姉の暴走により、知らぬ間に美少女コンテスト経由で芸能界入りが決定していた僕。
あんまりだ!
◆◇◇◇◇
ジャジャーン
『はい。日本発、【世界に通用するアイドルを発掘する美少女コンテスト】!今から始まります。今回は全国数万人の候補者から写真選考で数十人に絞り込んでの開催。今回のコンテストで優勝者は既に世界公演の予定が決まります。今回、ネット時代に合わせて写真選考はAIが行っており、コンテストに残った数十人は既に選りすぐりのアイドル候補生として全員デビューが予定されてます』
ワアア━━━━ッ
司会の説明に会場から観客の歓声が大きくなる。緊張感がハンパなくてヤバい。
結局、姉が応募した美少女コンテストは出場を断われる時期を過ぎていた。
僕はなし崩しの出場となって現在、舞台の袖にいる。
しかも、これから人生初めてのレオタードを着なければならない。
もう一度言うよ。
人生初めてのレオタードを着なければならないんだ!
勿論これがコンテストのコスチューム。
全員同じなんだけど僕の男としての矜持は当然の如く消し飛び魂が抜けて放心状態さ。
だけどもっとヤバいのは着替えが個室でなく全員が揃って着替える更衣室。
更に更衣室の8割の壁が鏡張りなんだよ!
正直、姉のオモチャにされたとは云え、未だに自身の裸にドギマキしてるのに、それを前後左右の鏡張りで目を反らす場所がない。
いやいやそれも不味いけど、もっと不味いのは十数人の候補生も同じ部屋で着替えてるって事で…………。
ガサガサガサッ
ガヤガヤワイワイッ
僕が顔を伏せて着替えに躊躇していると、あちこちから着替えの音と談笑や声が聞こえてくる。
実は僕、この状況を予測して一番に更衣室で着替えを始めたら、鏡に映った自身の裸を直視できなくて、モタモタして着替えが進まなかった。
そうしている内に他の候補者が雪崩れ込んで更衣室最奥に追いやられ、目のやり場に困って裸のまま膝を抱えて顔を伏せるしかない。
「…………………」
僕の出番は後ろから三番目。
だけど目のやり場がないコノ状況。
着替えが出来ずに時間が無駄に過ぎてしまう。
ど、どうすれば、いい?
都内のマンションに転居した白井家。
引っ越しが一段落してから突然、姉が馬鹿な事を言い出した。
姉は元々突拍子もない事を言う癖があるが、今回は極めつけである。
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ところで、白井家の家族構成は父と僕と姉の三人。
母は早くに亡くなり、父は大手ゼネコンの海外開発部門に務めていて年に数回しか日本に戻らない。
こちらの保護者を担っているのは同じゼネコンの土地開発部門に務める叔母。
まあ、叔母もそれなりの役職であるため殆んど会う事は稀である。
それでも保護者としての手続き関連はきっちりとやってくれているので、姉や僕からは感謝しかない。
今回の引っ越し手続きや、あの特殊医療機関(組織?国の?)も問題なく対応してくれて本当に助かった。
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「引っ越しと転入手続きが終わって一段落。学校は冬休みにこれから入るから通学は休み明け。私も大学が休みになるから暫く暇になるでしょ。だから美少女コンテストに出るのもいいかと思ってね。てへっ」
「てへっじゃなくて!唐突感が凄くて話に脈絡が無いんですけど!?」
「あのね、了は自分の魅力を再認識した方がいいよ。こんな美少女が引き込もっていたら世界の大きな損失よ」
「いや、どんな魅力?損失って何?!」
「それに、やたら落ち込んでるじゃない。学校の皆や孝明君と別れた事、ショックだったんでしょ?」
「………………!」
「だから了、もう生まれ変わったって思って新しい人生を楽しみなさいよ。人生、どんな事が起きても一度きり。どうせなら楽しく過ごした方がいいわ」
たった一度の人生。
落ち込んでも楽しんでもたった一度の人生。
それなら楽しく過ごした方がいい。
姉ちゃんの言いたい事はよく判る。
「だから今の了の長所を最大限、生かせる事をさせてあげたくてね」
「いや絶対、姉ちゃんのオモチャにされてる感しかないんだけど……それに僕の長所が美少女コンテストって何か馬鹿っぽい」
「だって今のアンタ、容姿以外何も無いじゃない」
「姉ちゃん。僕、今ので姉ちゃんに殺意が沸いたよ」
姉ちゃん。落ち込んでる僕を励まそうとしてるのは分かる。
だけどそれが美少女コンテストって、絶対作為を感じるんだけど!
「え~と、それで写真判定で上位入選してて三日後に本選」
「は?」
「優勝者はスポンサーの芸能プロダクションに所属してアイドルデビューが確約される」
「ま、待って、待ってよ!?」
「でも今回は芸能プロダクションの顔になるアイドル発掘だから写真判定でほぼ決まり。本選は出来レースね。本選出場者は全員、何らかの芸能活動が決まってるからアンタのアイドルは決まったようなものよ」
姉ちゃんが冷や汗かきながら必死に説明してる。あ、コレ、断われないヤツだ。
「なお、今の時点で断るとバカ高い違約金の請求があるから了に頑張って貰うしかない」
「姉ちゃん。勝手して後始末を僕に擦り付けてない?」
「最高でしょ」
「何が?!」
こうして姉の暴走により、知らぬ間に美少女コンテスト経由で芸能界入りが決定していた僕。
あんまりだ!
◆◇◇◇◇
ジャジャーン
『はい。日本発、【世界に通用するアイドルを発掘する美少女コンテスト】!今から始まります。今回は全国数万人の候補者から写真選考で数十人に絞り込んでの開催。今回のコンテストで優勝者は既に世界公演の予定が決まります。今回、ネット時代に合わせて写真選考はAIが行っており、コンテストに残った数十人は既に選りすぐりのアイドル候補生として全員デビューが予定されてます』
ワアア━━━━ッ
司会の説明に会場から観客の歓声が大きくなる。緊張感がハンパなくてヤバい。
結局、姉が応募した美少女コンテストは出場を断われる時期を過ぎていた。
僕はなし崩しの出場となって現在、舞台の袖にいる。
しかも、これから人生初めてのレオタードを着なければならない。
もう一度言うよ。
人生初めてのレオタードを着なければならないんだ!
勿論これがコンテストのコスチューム。
全員同じなんだけど僕の男としての矜持は当然の如く消し飛び魂が抜けて放心状態さ。
だけどもっとヤバいのは着替えが個室でなく全員が揃って着替える更衣室。
更に更衣室の8割の壁が鏡張りなんだよ!
正直、姉のオモチャにされたとは云え、未だに自身の裸にドギマキしてるのに、それを前後左右の鏡張りで目を反らす場所がない。
いやいやそれも不味いけど、もっと不味いのは十数人の候補生も同じ部屋で着替えてるって事で…………。
ガサガサガサッ
ガヤガヤワイワイッ
僕が顔を伏せて着替えに躊躇していると、あちこちから着替えの音と談笑や声が聞こえてくる。
実は僕、この状況を予測して一番に更衣室で着替えを始めたら、鏡に映った自身の裸を直視できなくて、モタモタして着替えが進まなかった。
そうしている内に他の候補者が雪崩れ込んで更衣室最奥に追いやられ、目のやり場に困って裸のまま膝を抱えて顔を伏せるしかない。
「…………………」
僕の出番は後ろから三番目。
だけど目のやり場がないコノ状況。
着替えが出来ずに時間が無駄に過ぎてしまう。
ど、どうすれば、いい?
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