3 / 35
第3話 召 喚 (後編)
しおりを挟む
「うお!? 冷たっ!!」
自分の尻に冷たい炭酸飲料が染み込んだ瞬間、アキオは我に返った。
急いで尻と床を拭いてから、まずはこの異常事態を運営に報告するかどうかを考えた。
バグの第一発見者は運営からの褒賞(高レアリティのキャラクターや武器のプレゼント等)を得ることができた。
元々バグ発生の多い TAKIDAN ではバグの発見に力をいれる(あるいはバグ発見専門の)プレーヤーも多い。
しかしキャラクターも武器も、課金し続けて限界まで強化し揃えていたアキオは褒賞に全く興味がない。
「それよりもこのバグを報告したら、せっかく召喚できた魔王ルビアも無かった事にされて回収されちまうんだよな…」
「それなら… よし、決めた! 決めたぞ! 滅多に起きないこの異常現象をとことん楽しもう!」
アキオはそう決断すると、何より先にルビアのステータスを確認しようと思い立った。
ゲームでは、魔王ルビアならびに大魔王のステータスは非公開となっており、今まで誰も確認することができなかったのだ。
しかし、召喚してルビアが自分の持ち駒になったのなら、今まで謎だった彼女のステータスもこの目で確認できる可能性がある。
今までどうやっても全く歯がたたなかった怪物魔王ルビアのステータスがついに明らかになるかもしれないのだ!
彼はもう「ワクワク」が止まらなかった。
しかし、心なしが画面の中からこちらを見つめているルビアの表情はとっても迷惑そうに見えた。
アキオはルビアと一瞬目があった様な気がして妙に気まずくなってしまったが、すぐに頭を左右に振って思い直した。
「いやいや… こいつには今まですごく苦しめられてきたんだ」
脳裏には彼女と戦って惨敗し続けた時々の記憶が苦々しく鮮明に思い出されていた。
特に魔王ルビアが自分へ言い放った数々の台詞は忘れない。
「はぁ… そんな程度なのね。 はぁぁ… ホントくだらない虫ケラ… ぺっ‼︎」
「全然話にならないし。 はぁ… もうゲーム引退してちゃんと働いたら?」
「はぁ… すっごく無駄な時間だった… あなたより乾いたナメクジと戦った方がマシ」
「どうでもいいけどあなたのキャラが着ている衣装、センス最悪で目が潰れそう。 はぁぁ… それでよく生きてこれたわね?(微笑)」
こんなもんではない、金を落としてくれるプレーヤーに対して言っちゃいけない悪魔の様な台詞が延々と続くのだ。
綺麗な顔立ちからはまるで想像がつかない煽り台詞の連発攻撃に、一体どれだけのプレーヤーが心を折られて引退していったのだろうか。
もしろん彼女は攻撃や防御のスペックも非常に高かったが、口の悪さもそれ以上にハイスペックであった。
あまりにも酷いので、ゲーム内掲示板で運営に意見したこともあるのだが…
「あ、そういうキャラなんです、仕様ですから。えっと、ごめんなさい」
の一行の回答だけで終わった。
キャラの性格付けで特定層を狙おうとしたのか、あるいは台詞を考えたやつの頭がおかしいだけなのか分からないけど、マジでやめた方がいいと思うぞこの仕様は。
しかし、その様に俺たちを見下していたラスボス魔王ルビアはここに召喚され、無言で何もできずに俺のゲーム内ホームにいるのだ。
そうだ!今は俺が召喚したマスターその人であり、ついに魔王ルビアは俺の配下となったのだ!!
自分の尻に冷たい炭酸飲料が染み込んだ瞬間、アキオは我に返った。
急いで尻と床を拭いてから、まずはこの異常事態を運営に報告するかどうかを考えた。
バグの第一発見者は運営からの褒賞(高レアリティのキャラクターや武器のプレゼント等)を得ることができた。
元々バグ発生の多い TAKIDAN ではバグの発見に力をいれる(あるいはバグ発見専門の)プレーヤーも多い。
しかしキャラクターも武器も、課金し続けて限界まで強化し揃えていたアキオは褒賞に全く興味がない。
「それよりもこのバグを報告したら、せっかく召喚できた魔王ルビアも無かった事にされて回収されちまうんだよな…」
「それなら… よし、決めた! 決めたぞ! 滅多に起きないこの異常現象をとことん楽しもう!」
アキオはそう決断すると、何より先にルビアのステータスを確認しようと思い立った。
ゲームでは、魔王ルビアならびに大魔王のステータスは非公開となっており、今まで誰も確認することができなかったのだ。
しかし、召喚してルビアが自分の持ち駒になったのなら、今まで謎だった彼女のステータスもこの目で確認できる可能性がある。
今までどうやっても全く歯がたたなかった怪物魔王ルビアのステータスがついに明らかになるかもしれないのだ!
彼はもう「ワクワク」が止まらなかった。
しかし、心なしが画面の中からこちらを見つめているルビアの表情はとっても迷惑そうに見えた。
アキオはルビアと一瞬目があった様な気がして妙に気まずくなってしまったが、すぐに頭を左右に振って思い直した。
「いやいや… こいつには今まですごく苦しめられてきたんだ」
脳裏には彼女と戦って惨敗し続けた時々の記憶が苦々しく鮮明に思い出されていた。
特に魔王ルビアが自分へ言い放った数々の台詞は忘れない。
「はぁ… そんな程度なのね。 はぁぁ… ホントくだらない虫ケラ… ぺっ‼︎」
「全然話にならないし。 はぁ… もうゲーム引退してちゃんと働いたら?」
「はぁ… すっごく無駄な時間だった… あなたより乾いたナメクジと戦った方がマシ」
「どうでもいいけどあなたのキャラが着ている衣装、センス最悪で目が潰れそう。 はぁぁ… それでよく生きてこれたわね?(微笑)」
こんなもんではない、金を落としてくれるプレーヤーに対して言っちゃいけない悪魔の様な台詞が延々と続くのだ。
綺麗な顔立ちからはまるで想像がつかない煽り台詞の連発攻撃に、一体どれだけのプレーヤーが心を折られて引退していったのだろうか。
もしろん彼女は攻撃や防御のスペックも非常に高かったが、口の悪さもそれ以上にハイスペックであった。
あまりにも酷いので、ゲーム内掲示板で運営に意見したこともあるのだが…
「あ、そういうキャラなんです、仕様ですから。えっと、ごめんなさい」
の一行の回答だけで終わった。
キャラの性格付けで特定層を狙おうとしたのか、あるいは台詞を考えたやつの頭がおかしいだけなのか分からないけど、マジでやめた方がいいと思うぞこの仕様は。
しかし、その様に俺たちを見下していたラスボス魔王ルビアはここに召喚され、無言で何もできずに俺のゲーム内ホームにいるのだ。
そうだ!今は俺が召喚したマスターその人であり、ついに魔王ルビアは俺の配下となったのだ!!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる