無課金で魔王になったので静かに暮らします

カレス

文字の大きさ
4 / 37

第4話 そういえばパーティーを組んだこともありました

しおりを挟む
ふとアキオはルビアと最後に戦った時の事を思い出した。
最後に彼女と戦ったのは今から半年前…  ギルドで募集した最強冒険者達と討伐パーティーを組んで挑んだ時のことだった。

ソロでは絶対にルビアには勝てないと考えたアキオは思い切って大量の資金を投入し、ギルドでルビア討伐の手助けをしてくれる冒険者を募集することにした。
応募した中から更に高レベルプレーヤーの冒険者を選り抜き TAKIDAN 史上最強パーティーを結成する腹積りだ。

ちなみにTAKIDAN では冒険者レベルは最高の S > A > B > C > 初心者の D の序列に分けられている。
今回の報酬額は Sランク冒険者の成功報酬(高難易度クエスト)の数倍は高く設定したが、相手がルビアだった事が災いし選り抜くのが困まるほどの応募数はなかった。

「いやこれでいいんだ。これでも応募してくる奴は何かしら自分に自信があるんだろう」

パーティーメンバーの上限数は五人なので、アキオは自分を除く四人のメンバーを応募の中から吟味の上で選んだ。
当たり前であるが全員Sランクの強者(つわもの)冒険者ばかりだ。

選抜されたメンバーは以下の通り。
青年剣士デュラン、巨漢の盾役モルベス、少年天才魔導士クロノス、ハーフエルフの女性回復士エテルナ。

後日、アキオはこの選抜メンバーをギルドの中庭へと呼び出した。

「俺のことはアキって呼んでくれ。君たちの様な膨大な経験値や飛び抜けた技量はない代わりにこれで支援したい」

アキオは収納用空間ストレージから何やら五つの物体を取り出して中庭に並べるとそれを見た全員がどよめいた。

「おいおい、これはまさか?」

「あぁ、これ全部カタストロフ級兵装だ。皆にそれぞれ1個ずつ預けるよ」

アキオは TAKIDAN で最強パワーを誇る超UR武具(かなりの入手困難で伝説に近い存在)を更に課金で限界まで強化した「カタストロフ級兵装」と呼ばれる各種武具をパーティーのメンバーへと配布した。
実際のところ、自分の所有するカタストロフ級兵装と相性が良い冒険者を選ぶのが目的でもあったのだ。

剣士デュランには「元素対消滅剣」、盾役モルベスには「地獄のファランクス」、魔導士クロノスには「開闢の書 全巻」、回復士エテルナには「エデンの不死泉」、そして依頼主であるアキオ自身には「ビックバンアロー」というそれぞれ名前からしてヤバそうなカタストロフ級兵装が実装された。

「いくら何でもこんなヤベェやつを皆んなで装備したら戦闘開始10秒でオーバーキルじゃないか?」

Sランクの中でも最強を誇るデュランが呆れ気味に言うほど、そのカタストロフ級兵装はヤバいものであった。

無理やり例えるなら、石ころを投げてくる相手に、劣化ウラン弾をぶち込むくらいの差があった。

そう、アキオはこれをやりたかったのだ。この考えられない様な圧倒的な戦力差で… 
惜しまずに金を注ぎ込んで得られたカタストロフ級兵装で、今まで誰も全然歯が立たなかった魔王ルビアを一瞬で葬り去るということを。
もしそれが実現できたら、それはなんという美しい光景、快感なのであろうか!!

自分で稼いだお金を注ぎ込めば注ぎ込んだだけ、 TAKIDAN は応えてくれる。
それを実証するためにもこの馬鹿げた圧倒的戦力で魔王ルビアを一瞬で葬り去らなければならないのだ。

「あと悪いがルビアへの最後のトドメは俺にさせてほしい、その代わりに討伐完了後にカタストロフ級兵装は、そのままみんなに譲渡するよ」

「え、まじかよ! やっぱ俺らアキさんに付いてくわ!」

剣士も含め、メンバー全員が狂喜した。
特に盾役の巨漢モルベスはあまりのサプライズに「地獄のファランクス」に頭をぶつけて夢かどうかを見極めようとした。
が、ぶつけた瞬間にHPが0となってゲームオーバー(ログアウト)してしまったのだ。

ま、そのくらい TAKIDAN でこのカタストロフ級兵装は超強力な存在である。
それは今までの装備が自転車レベルとしたら、いきなり高級スポーツカーに乗り換えるほどの差があり、使いこなしにもコツが必要にはなるものの、この依頼に集まった冒険者達の技能なら充分に使いこなせるとアキオは踏んでいた。
アキオもカタストロフ級兵装を使えるには使えたが、ハイエンドプレーヤーの様な「効率的な応用と使いこなし」は無理だ。
言ってみればアキオにできるのは単純にカタストロフ級兵装の稼働スイッチをただ入れるだけだった。(まぁそれだけでも凄い威力を発揮するが)

しかし彼らの様な冒険者であれば膨大な経験値と気の遠くなるような鍛錬によって、ただでさえやばいカタストロフ級兵装の性能を更に120%以上は引き出してくれるだろう。

相手はルビアだ。万が一は許されない。だから徹底的にこうやって過剰なほどの準備をするのだ。
しかも討伐成功時にプラスアルファのサプライズ報酬があれば、メンバーのモチベも更にアップ、自分だってそれを見ていてたいへん気分が良い!
一石二鳥である。

とにかく対ルビア戦に向けて単純にパワーを向上していくだけじゃなく、自分も含めてメンバー全員のやる気をマックスにさせることが一番重要なのだ。
それが戦う相手に対してスペック面、精神面両方で隙を見せず確実に勝利を掴めることに繋がってくる。

それからしばらくの間、このパーティーで高難易度の討伐を演習代わりに何度か行い、更なる錬成と同時にルビア戦に必要な申請ポイントも貯めていった。

短い期間ではあったがお互いの信頼度も驚くほど向上し、もう何年も前から続いているかの様な理想的パーティーとして着実な仕上がりを見せてきた。

本来はルビアを倒すためだけに結成したパーティーだったが、一緒に戦ったり喜んだり大騒ぎして打ち解けていくうちに冒険そのものが楽しく感じられるようになっていった。
アキオはそれがちょっと嬉しくもあり、ルビア戦に入る前から今までに味わった事がないような高揚感に自分が満ち溢れてくるのを感じていた。

そのルビア戦当日までは。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...