悪役令嬢は二度婚約を破棄される

くきの助

文字の大きさ
42 / 50

母帰城 ールシアーノー

しおりを挟む
「悪かった。お前だけがストレスの元凶のような言い方をして。」
今目の前でアレクが頭を下げている。

執務室で仕事をしているとアレクが入って来て、母上が今日帰ってくると先触れがあったと報告受けた。
その後唐突に頭を下げられて今である。

眉間にシワがよっているだろう俺を無視して話は進む。
「いや、一番悪いのはお前だ。でもエリザベス嬢のストレスはお前だけじゃなかった。ジェンティルダ城そのものだ。」
何が言いたい?
「結論を言ってくれないか。」
眉間のシワを濃くさせながら俺が言う。

「冷静に聞いてくれよ。」
と前置きをする。
「ルカとアメリア様周辺の使用人以外はエリザベス嬢を無視していた。」
ガタン!
思わず立ち上がった。
「もちろんそこに専属侍女のマリーも含まれる。しかしマリーは嫌気がさして最近ではエリザベス嬢と話しているようだがそのせいでマリーが孤立している。セバスチャンに確認を取ったら確かにここ数日メイドたちの雰囲気がおかしいらしい。」
「何でそうなるんだ!」
「仕事をきっちりすればセーフと思っているらしい。」
絶句してしまう。
「怒鳴る城主。謝るだけの側近。完璧な仕事をするが無視する使用人。どこにも逃げ場がないから外に居場所を求めて孤児院訪問したんだろう。そこでも俺たちがついて来てあの騒動。もう孤児院にも行けないと思っただろうね。思えばあの頃から食事を残しがちの報告を受けてる。足を痛めたからかと思っていたが。」
そこまで言うと黙り込む。
俺はさっきとは違う意味で絶句してしまった。
執務室が静まり返る。

「アメリア様にはエリザベス嬢が倒れた事は報告がいってる。橋の件は話がついているし視察を切り上げて帰ってくるんだろう。俺たちも覚悟を決めよう。」
暗い声でアレクは言うと自分の執務机に向かった。

コンコンコン!
ノックが鳴り響く。
思わず身構えるもセバスチャンだった。
「アメリア様が戻っていらっしゃいました。一時間後にこちらの執務室に来られるそうです。そしてこれがダルタールの報告書だそうで、アメリア様がいらっしゃらない間の城の様子もまとめて報告できるようにしておけとの伝言です。」

また俺たちは黙り込むと、執務室は重い静寂に包まれた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】君を迎えに行く

とっくり
恋愛
 顔だけは完璧、中身はちょっぴり残念な侯爵子息カインと、 ふんわり掴みどころのない伯爵令嬢サナ。  幼い頃に婚約したふたりは、静かに関係を深めていくはずだった。 けれど、すれ違いと策略により、婚約は解消されてしまう。 その別れが、恋に鈍いカインを少しずつ変えていく。 やがて彼は気づく。 あの笑顔の奥に、サナが隠していた“本当の想い”に――。 これは、不器用なふたりが、 遠回りの先で見つけた“本当の気持ち”を迎えに行く物語

婚約破棄した相手が付き纏ってきます。

沙耶
恋愛
「どうして分かってくれないのですか…」 最近婚約者に恋人がいるとよくない噂がたっており、気をつけてほしいと注意したガーネット。しかし婚約者のアベールは 「友人と仲良くするのが何が悪い! いちいち口うるさいお前とはやっていけない!婚約破棄だ!」 「わかりました」 「え…」 スッと婚約破棄の書類を出してきたガーネット。 アベールは自分が言った手前断れる雰囲気ではなくサインしてしまった。 勢いでガーネットと婚約破棄してしまったアベール。 本当は、愛していたのに…

奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました

水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。 それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。 しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。 王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。 でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。 ◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。 ◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。 ◇レジーナブックスより書籍発売中です! 本当にありがとうございます!

【完結】婚約破棄された令嬢の毒はいかがでしょうか

まさかの
恋愛
皇太子の未来の王妃だったカナリアは突如として、父親の罪によって婚約破棄をされてしまった。 己の命が助かる方法は、友好国の悪評のある第二王子と婚約すること。 カナリアはその提案をのんだが、最初の夜会で毒を盛られてしまった。 誰も味方がいない状況で心がすり減っていくが、婚約者のシリウスだけは他の者たちとは違った。 ある時、シリウスの悪評の原因に気付いたカナリアの手でシリウスは穏やかな性格を取り戻したのだった。 シリウスはカナリアへ愛を囁き、カナリアもまた少しずつ彼の愛を受け入れていく。 そんな時に、義姉のヒルダがカナリアへ多くの嫌がらせを行い、女の戦いが始まる。 嫁いできただけの女と甘く見ている者たちに分からせよう。 カナリア・ノートメアシュトラーセがどんな女かを──。 小説家になろう、エブリスタ、アルファポリス、カクヨムで投稿しています。

【完結】彼を幸せにする十の方法

玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。 フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。 婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。 しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。 婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。 婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。

「反省してます」と言いましたが、あれは嘘ですわ。

小鳥遊つくし
恋愛
「反省してます」と言いましたが、あれは嘘ですわ──。 聖女の転倒、貴族の断罪劇、涙を強いる舞台の中で、 完璧な“悪役令嬢”はただ微笑んだ。 「わたくしに、どのような罪がございますの?」 謝罪の言葉に魔力が宿る国で、 彼女は“嘘の反省”を語り、赦され、そして問いかける。 ――その赦し、本当に必要でしたの? 他者の期待を演じ続けた令嬢が、 “反省しない人生”を選んだとき、 世界の常識は音を立てて崩れ始める。 これは、誰にも赦されないことを恐れなかったひとりの令嬢が、 言葉と嘘で未来を変えた物語。 その仮面の奥にあった“本当の自由”が、あなたの胸にも香り立ちますように。

【完結】愛してるなんて言うから

空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」  婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。  婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。 ――なんだそれ。ふざけてんのか。  わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。 第1部が恋物語。 第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ! ※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。  苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。

婚約破棄されました。

まるねこ
恋愛
私、ルナ・ブラウン。歳は本日14歳となったところですわ。家族は父ラスク・ブラウン公爵と母オリヴィエ、そして3つ上の兄、アーロの4人家族。 本日、私の14歳の誕生日のお祝いと、婚約者のお披露目会を兼ねたパーティーの場でそれは起こりました。 ド定番的な婚約破棄からの恋愛物です。 習作なので短めの話となります。 恋愛大賞に応募してみました。内容は変わっていませんが、少し文を整えています。 ふんわり設定で気軽に読んでいただければ幸いです。 Copyright©︎2020-まるねこ

処理中です...