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第7話 王国の悪事
しおりを挟むパタパタと天井の隅から黒いちっちゃなものが飛んでくる。
これから寝ようとしている時になんの用なのか。
ベッドの上までくるとぽんっと人化した。
使い魔のコウモリだ。
やや小柄の女の子。
「アディッサこんな時間になんだ?」
「こんな時間ってもうお昼よ。」
ベッドの上でぴょんぴょん跳ねている。
おかげで僕の頭も枕の上を跳ね回るので気分が悪い。
「王国の奴らが魔族を攫って奴隷にしているのは知っているでしょう。」
「ああ、だがとりあえずぴょんぴょん跳ねるのをやめろ。脳みそが揺さぶられて何も考えられん。」
アディッサが飛び跳ねるのをやめてくれたので、とりあえずベッドに起き上がると今度は膝の上に乗って来る。
おまえは子供か?
「で、今度は帝国が魔族領の鉱山に手を出しているわ。」
「魔王はどうした。」
「魔族は強いけれど数が少ないわ。いろんな問題に対応出来ないみたいよ。」
「国家間の問題は勇者にやって欲しいんだけどな。まさか王家にのせられて魔王を倒すとか思ってないだろうな?」
「大丈夫、勇者にも情報は与えているから。」
アディッサはぴょんと飛び上がると人化を解いてコウモリの姿になり、ひらひらと飛んでいる。
「勇者にそれとなくけしかけておいてよ。」
「わかった。」
そう言って窓から出ていった。
入れ違いにテトが入ってくる。
鼻をひくひくさせて
「コウモリが来てたのね。」
と不愉快そうに言う。
「テトだけか?」
「チェリは王宮に、ツッピは帝国に潜っているわ。わたしはご主人様の見張り。」
「見張りってなんだ?」
テトはあっと言って口を押さえる。
「口が滑っちゃった、ご主人様に変な女が寄りつかないようにってこと。」
心配ない。全然モテない。よりつくのはネズミやコウモリなどの動物か虫ぐらいなもんだ。
「コウモリでも女は女。」
そんなもんか。
なんだ、あいつら兵士じゃないか。
王国は兵士に掠奪と人さらいをさせているのか。
魔族領の村に100人程の兵士が入り込んで住民を捕らえたり、家に火を点けたりしている。
女性の叫び声、子供の泣き声、男の怒声が聞こえる。
僕は村のすぐそばを歩いている。
隠蔽魔法を使っているので誰も僕に気がつくことはない。
今は人化を解いているテトが胸のポケットに入っている。
白いのでハンカチーフみたいだ。
「どこの兵士なんだ?」
「王家ミルグラス直属の兵士よ。王国に攻め込もうとしている魔族を討伐すると言う名目になっているわ。」
ここで僕が王国の兵士を駆逐しても王国は魔族の反撃にあったとか言ってさらに兵士を送り込んでくるんだろうな。
だからと言って放置出来ないし。
まあ、いいか。
やっちまってから勇者に始末を押し付けよう。
そう決めた途端に大量のネズミ達が兵士達を覆い尽くす。
小さいので1匹1匹殺すことは出来ないし、魔法を無効化しているのでまとめて駆逐したりといった防御も出来ない。
兵士達は少しずつだが大量のネズミに身をかじり取られ弱って行く。
その内ネズミ達は眼窩や口、空いた腹の穴から潜り込んで内側からかじっていく。
うえーっ。
血見ちゃった。
めまいがする。
ぞっとする人々の悲鳴。
絶望と狂気。
悪意。
グローヴズ城の寝室に転移した僕は震えていた。
何度も同じ光景をみているのに全然慣れない。
「ヘタレのペトロ。そんなにこわいなら見に行かなければいいのに。城に居てもなんだって出来るんだから。」
そう言ってテトがポケットから出て人化する。
震えている僕にくっついている。
たぶん慰めているつもりなんだろう。
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