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第5話 勇者
しおりを挟む「召喚されて来た事になっているけど俺はただゲームにログインしただけだぞ。」
勇者ユウトはそう言う。
この世界はこいつがやっているゲーム「ロストヒストリーワールドDXⅡ」だって訳か。
道理で見た事ある様な景色やステータス表示のグラフィックだと思った。
ゲームのストーリーなら僕がこいつに魔法を教える事になっているんだが、ゲームで見たペトロニウスはじじいだったけどな。
勇者はズルいぐらいにMPがでかい。
ステータスに表示しきれないぐらいある。
HPもそうだしスキルもなんでもかんでも目一杯ある。
魔法を教えると言ってもストーリー上そういうエピソードをつけとこうって感じのもんだな。
面倒だからまとめて発現させてやろう。
関わるのはそこまでだな。
主人公と絡んでもいい事は無さそうだし。
補習とか言って放課後にひとりだけ残らせて魔法の本当のことを教えてやる。
それは短い言葉だ。
勇者ユウトは一瞬目を見開いてそのあとにやりと笑い「なんだ、そう言う事か。」と言う。
「まあ他人に言ってもいいけど理解されないかもしれないね。」
「補習は終わり。後は自由にゲームを楽しめばいい。」
勇者に教えた魔法と学校で教える魔法は見た目や効果は似ているけど全然違う。
学校ではこの世界の理論やシステムに基づいた魔術を教える。
僕が使う魔法、勇者に教えたのはこの世界の理論や科学、物理を超えた魔法なんだ。
ネズミ達の情報だとあいつかなりのレベルアップ狂でまだストーリー的には序盤なのに同じダンジョンに何百回も行ったりしているらしい。
あいつにとっては僕はNPCの一つに過ぎない。
雑事はさっさと済ませておいた方がいい。
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