闇の魔法師は暗躍する

yahimoti

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第19話 デマルクス・セペ団

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「こらー。風呂で人化するなー。」

「きゃーはは、ペトロのちっこいの硬くなったー。変態。」

完全にチェリ達におちょくられている。

しかも耐性が全然効いてない。

元がよわよわなのでマックスにしてもたいして変わらないのか。

クソー。

舐めてんなら襲ってやるー。

がおー。

とたんにネズミに戻って走り回る。

「ペトロ怒った。かわいい。きゃーはは。」

こいつらずるい。

あきらめて湯船に浸かると、3匹は戻って来て身を寄せてくる。

あーっ、まあ、いいか。

朝目覚めると相変わらずなんだけど、今日は街に出てみる。

ネズミ達の調べではデマルクス・セペ団の拠点が近所にあるらしい。

久しぶりに日中に街を歩く。

明るい。

当たり前のようだけど建物に光が当たりガラス窓が反射して眩しい。

建築物や人の影がくっきりと地に映える。

少し暖かい。

街には人がたくさんいる。

いろんな種類のいろんな職業の人たち。

ゲームの中のNPCじゃなくて、それぞれの人生の主役として生きている人たち。

商工会議所?

ここでは商業ギルドか?

レンガ作りの建築物、拠点はこの建物の一室らしい。

ギルドの受付の横の階段を登って廊下の奥の扉を開く。

30人程の男女が説明を聞いている。

相変わらず続く人さらい、身代金を要求する訳ではないので失踪との区別もつかない。

ただ忽然と家族の誰かが消え、失われてしまう。

どうやら邪神召喚の生贄として拐われているらしいと噂がたっている。

ギェダ・グズムンドソン教団という集団の噂も。

だけど、どうすれば被害を避けられるのか?

いなくなった家族は帰って来るのか?

まずは防ぐ事。

1人で外出しない事。

または1人で置いておかないこと。

働いている者もいるので、子供達を集めて面倒を見る。

そして教団の拠点を見つけて子供達を取り戻すこと。

見まわしたところ王国の暗部の者や冒険者が混ざっている。

デマルクスという青年がリーダーのようだ。

恋人を儀式の生贄にされたらしい。

集団で打ち合わせの様なものが始まった所で僕は部屋を出る。

2人程後をつけてくる。

建物を出てしばらく大通りを歩きついてくるのを確認する。

細い路地に逸れたところで前後に挟まれる。

専門家だね。

魅了をかけ支配下に置く。

デマルクス・セペ団との連絡と誘導に使うのだ。

後はネズミ達の情報を順次教えて使い回すのだ。

収穫があったので上機嫌で城に帰る。

うふふ。なんだかワクワクしちゃうね。

通りかかったお姉さんに気持ち悪がられた。
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