異世界異話 天使降臨

yahimoti

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第1話 天使降臨1

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その日は分厚い雲が空を覆い、久しぶりに雨が降るのではないかと思われた。

この地域では年間を通して雨は滅多に降らない。

ただ、大陸の中央に広がる大森林に降る雨が大河となって流れているおかげでこの地でも水に困ることはない。

それならば大森林の近くに都市を作ればよさそうなものだが、大森林には魔物や魔獣の類いが多く生息している。

間に広がる大荒野が大森林からの魔物や魔獣が押し寄せるのを緩和している。

もちろん大荒野にも魔物や魔獣はいるのだが大森林の比ではない。

ここセントアウスはフォロリア聖教国の首都にあたり通称聖都と呼ばれる。

このドルツリア大陸の信仰の主流はヤルマル・ホルクネッラ教だがフォロリア聖教国ではソッペ・カヤ神教を国教としている。

エイエルカは雨が降るのを疎んで教会への道を急いでいた。

エイエルカは15歳でまだ神学校に通う3等聖女の資格を取ったばかりの聖女見習いだ。

知り合いがダンジョンで怪我をしたと言うので休日にもかかわらずその治療のために聖都の外れの知り合いの家に行った帰りだ。

この世界では魔法によって治療が出来たりポーションと呼ばれる万能薬があるため医学は発展していない。

病気や怪我の殆どは聖属性魔法かポーションと言う魔法薬で治すことができる。

3等聖女のエイエルカでも通常の怪我ならば癒すことができる。

「平民の足が折れたぐらいでなんで私が行かなきゃなんないのよ。3等聖女のあんたに丁度いいじゃないの。さっさと行きなさい。」

エイエルカは今日は休日だったのだが教会の先輩聖女に仕事を押し付けられてしまったのだ。

「今日は一日部屋で本を読みながらゴロゴロしていたかったのに。」

エイエルカはぶつぶつと口の中で文句を言いながら住み込みの部屋がある教会へと歩いていた。










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