異世界異話 天使降臨

yahimoti

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第5話 教会

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実際の所アダルム神父には、この天から降って来た天使らしき子供?多分子供、をどう扱っていいのかさっぱりわからない。

本当に天使なのかどうかもわからないが本当に天使だったら、この地上では最上級に敬わらなければならない対象だし。

よりによって自分が在籍する教会の前に落ちてくるなんて、面倒くさい事満点だ。

シスターのエイエルカは「天使様ー。」などと言って懸命に祈りを捧げているけど当の天使様は完全に上の空でキョロキョロと周りを見回している。

他のシスターに呼ばれたのかやっと出て来たレグレスタ司教を見てアダルム神父はこれで面倒な事は司教がかぶってくれると内心ほっとした。

ボクが自分がどこにいるのかと周囲を見回している間に教会らしき建物からわらわらと出て来た修道服を着た人達に囲まれてしまった。

その内なんだか教会でも偉い立場らしい人が出てきて「ようこそ」とか言っている。

別に招待されてやって来たわけでもないんだけど、一応種族は天使族みたいなのでその偉い人レグレスタ司教について教会に入った。

教会には広いエントランスがありドーム型の天井の中央には太陽を模した球体があり、そこから放射状に屋根の構造となる桟を生かして陽光を表現している。
周囲を取り巻く壁にはステンドグラスがあり、多分この世界の聖人達の偉功を讃える物語を表しているのだろう。
外の光を通して鮮やかに光っている。

既にエントランスの中にはたくさんの人が入っている。

正面は多分礼拝堂なのだろう中央には女神像らしいものが立っている。

この大陸で祀られている神はヤルマル・ホルクネッラ教もソッペ・カヤ神教も同じ、一神教なので神に名はない。
神はただ神と呼ばれる。

そうは言いながら女神像はたくさんあって色々と名前がついていてそれぞれ異なる加護や祝福があるらしい。
教義とやっている事が一致しないのは宗教ではよくある事。
まあ解釈の違いだったり、教会経営上の都合もあるんだろう。

教会は分かれているけれど教義が異なるとか開祖の違いなのかもしれない。
ソッペ・カヤ神教の方がやや厳格で異教徒には排他的な所がある。

とはいえ若干教会の力が落ちている昨今、かつてのような独善的な所はなく、かなり厳格さも緩和されている。

降臨された時と変わらず天使様は何かに戸惑っているのか周囲をキョロキョロと見回している。

レグレスタ司教はその教義から神の遣わせた御使に干渉する事は許されないと考えているのでただ天使様が言葉を発するのを待つというスタンスを変えずにいる。

天使様が急に伸びをして大きく翼を広げると視界が真っ白になる程の光が発せられた。

少しして光が収まりその翼は細かい光の粒となって消えていった。
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