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第32話 魔獣狩り2
しおりを挟むこいつって意外とすばしこい。
トカゲと言うよりもヤモリに近いかも。
でかいのに壁面を登ったり、岩場をジャンプしたりいい動きをする。
虫を駆除してくれるから益獣なんじゃないかな?
「バカー。そいつは虫だけじゃなくて家畜も人も見境無く動くものならなんでも襲って食べちゃうのよ。さっさと片付けなさい。」
ユリアはなんでオレが考えていることがわかるんだろうな。
ふん、あの世界から来た子供の考えそうな事じゃないの。
かわいそうとか考えてんじゃないわよ。
別に地竜が悪い奴ってわけじゃないんだけど闘う力のない人間には恐怖でしかないんだから。
人里に出て来ちゃったら駆除するしかないのよ。
「先に尻尾を切り落としてから頭を落として止めをささないと栄養たっぷりの尻尾をドロップしないのよ。」
ユリアって本当に食べることについてはよく知ってんなー。
さすが竜って名前がついているだけあって結構経験値が入ってくる。
ウツミはレベルが28になった。
一人前の冒険者や騎士でもレベル15ぐらいだから6歳ぐらいの子供としてはバカみたいに強くなってしまった。
これってチートじゃないかな?
地竜がドロップアイテムを残して光の粒になって消えてしまうと鉱山を囲むようにして観戦していたドワーフ達から「うおーっ。」と地響きのような大歓声が上がる。
スタンディングオベーションだ。
ユリアが飛びついて来て頬ずりする。
「よくやったー、美味しい部位がいっぱい取れたぞー。」
やめてー。
口の周りのよだれをなすりつけないで~。
「よーし。みんなー、バーベキュー大会だー。用意しろー。」
ユリアが腕を突き上げて叫ぶ。
もう本当に闘技場って言うか劇場っていうのかライブみたいなノリになっているよ。
さらに大歓声が上がって観衆が波のように押し寄せてくる。
なんかこわー。
露店の店主達やギルドの職員など総出でたくさんのコンロや焼き網が用意され、ドロップした肉が捌かれて焼かれる。
今は少し離れたところにある長椅子に座ったミュツスの膝の上にのせられている。
ミュツスからすれば小さな子供だからね。
ユリアは満足そうにウツミの頭をグリグリと撫でてくるし、横からテルファお嬢様がたこ焼きみたいなものを食べさせようとして差し出してくる。
ペットとかお人形じゃないんだけれどな。
焼き上がった肉を持ってギルド長がウツミ達に近づいてくる。
ギルド長はドワーフの女性だ。
小柄だけど立派なお姉さんって感じ。
「いい感じに盛り上がりましたね。イベントクエストとしては大成功でした。ドワーフ一同大満足です。」
殆どユリアのおかげなんだけどね。勇者の孫ってすごいね。
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