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第65話 ゴレンフロ
しおりを挟む「何かめぼしいものはありましたか?」
この国の王アレインがそこらの兄ちゃんと変わらない気さくさで話し掛けてくる。
だいたいこの王はようやく街っぽくなったばかりの集落をウロウロしている。
この人別にやる事何もないんだけど。
この国に出入りする人間は非常に少ない。
って言うか私とこの王様ぐらいしか人間がいない。
私も鑑定のスキルを武器に商人をしているからわかってしまうけど、普通わかっていたらこんなところにはいられない。
遺跡から発掘されたものを倉庫から運んできているのは、ふつうに女の子してるけどレベル80のアラウネだし、一緒にいる子もレベル77のグリフォンだ。
アレイン王の後をちょこちょこついて歩いている小さな子供も魔獣っていうか魔鳥 ロック鳥の雛が人化している。レベルは200とぶっ飛んでいる。
この国はこのアレインって王様以外はみんな魔獣、それもSクラス以上の高レベルの、それがみんな人化して暮らしている。
何故かみんな女の子で少しだけ魔獣の特徴を残した姿をしている。
そしてどちらかというとおっとりしている。
そのせいで激強、恐怖の魔獣という感じがない。
むしろアレイン王のハーレムか?
と思ってしまうがアレイン王のこの子達の扱いは学校の生徒みたいな感じだ。
「ゴレンフロさん、いつもすみませんね。こんな辺境まで来ていただいて。」
アレイン王は遺跡から掘り出された遺物を載せた台車を押すツノやら羽などが生えた女の子を従えてやって来る。
ここの遺跡からは超古代文化の遺物が掘り出される、って言うか洞窟のあちこちに転がっているそうだ。
今となっては何に使われていたのか、何で出来ているのかさっぱりわからない物が多い。
王様やストレイフ伯爵はわかっているようだが。
それでも物好きと言うかそれなりにコレクターがいていい値段で売れるのだ。
ただこの辺境では貨幣などで払っても使い様がないのでいろいろな生活必需品や嗜好品、食料を持ち込んで交換する。
それでもここから持ち出した遺物の値段の方が高いので一部は金貨で受け取ってもらっている。
コージ・ストレイフ伯爵やハンネス子爵、そしてダクマルガ男爵がこことの取り引きを私に任せてくれている。
おかげでゴレンフロ商会は王国でも有数の商会になる事ができた。
それまでも魔道具や浮動機の扱いやストレイフ伯爵が集めた素材の扱いを任せてもらっている。
「おっちゃんまたチョコレート持ってきてね。」
びっくりするほどの美人さんがニコニコして声をかけてくれるが鑑定で見るとレベル98のケルベロスだ。
本当ならもう死んでる。
でも、ケルベロスがチョコレート食べて大丈夫だろうか?
わんこにテオブロミンは良くないんだけど。
少し離れた場所でドタバタ暴れている魔獣がいる。
「ああ、住民希望の魔獣が来たみたいです。」
見るとレベル89のトロールが何かガウガウ言っている。
アレイン王はとことこと近づいていく。
まあ王もレベルは99あるので平気なんだろう。
トロールもそれなりのレベルなので相手の強さを感じるせいか無駄に戦いを挑んだりしない。
王に向かって何か訴えている。
王がインベントリから金貨を出してトロールの前に掲げると金貨といっしょにトロールが光る。
トロールの巨体がみるみる小さくなって幼い女児になってしまう。
王はさらにインベントリから衣服などを出してトロールに渡すとトロールだった小さい子はなんだかわんこみたいに王にまとわりつく。
口の周りをチョコレートでベトベトにして上機嫌に笑っている。
王がトロールを抱き上げて口の周りを拭いている。
ヒナがトロールとキャアキャア笑い合っている。
魔獣も見た目が違うだけで全然受ける印象が違う。
こんな姿で話しができたら騎士団や冒険者がわざわざ探し出して討伐することなんてないだろう。
ああ、これがこの王の力なのか。
だいたいジョブが王様っておかしいでしょう?
この辺境でこれだけの魔獣に囲まれていれば誰も侵略なんか出来ない。
遺跡の方からエイベルとアイゼイヤが走って来る。
「王様ー。ねえ王様。またコージのところに連れて行ってよ。ねえ、いいでしょう?」
多分この子達「王様」って言うのはただの呼び名かあだ名みたいなものだと思っているんだろうな。
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