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第14話●天使降臨
しおりを挟むここはコージのお店猫舌屋、そしてストレイフ邸のダイニング。
何故か当たり前の様にアレインとヒナが朝食を食べている。
「この玉子、美味しいね王様。」
「ヒナ、お前鳥だろ。玉子食べていいんか?」
「問題無し。こっちのベーコンも美味しい。」
異端審議官のヨルマとカメリーニそして審議官長のエトタテヤまでいる。
あの古代遺物(ガラクタ)と引き換えに転移陣と浮動機ををもらった。
おかげで毎日のようにストレイフ邸の美味しいごはんが食べられるようになった。
エイベルやアイゼイヤにも好評だ。
「あんな辺境の山ん中でこんな美味しいもの食べられないしね。」
ヒナがうんうんとうなずく。
希少鉱物や古代遺物をお土産にもって来ているし、許してもらおう。
古代遺物についてはダクマルガ男爵と商人のゴレンフロさんが販路をつけてくれた。
何に使うのかはわからないけど珍しいってだけで価値があるらしい。
アルミニウムはこの世界では精錬する技術がないし、ボーキサイトが存在しない。
魔力の伝導率が良くて軽い。
その上薄く伸ばせるので魔法回路を積層化するのに使い勝手がいいという事で人気がある。
店員仕様のゴーレムが2体いるけどあんなゴーレム売っているのかな?
何体か欲しいな。
見え方が同じ様な年頃のせいかAIゴーレムのマヨネとヒナが一緒に話しをしている。
マヨネには身体的な成長はないし、ヒナは悠久を生きるので時間の概念が薄い。
これを同じ様なって言っていいのかどうか?
まあ、同じ様にちびっこいからいいか。
「神はどのくらいこの世界に干渉出来るのだろうか。」
「神の定める禁忌の影響は...。」
「魔力と言う概念があって電気と言う概念が...。」
「5次元構造の魔法回路なら...。」
なんか見た目と全然違う話しをしているぞこの子ら。
こわ。
朝食タイムも終わってそろそろ猫舌屋のオープン時間。
店員ゴーレムのトラとハチが扉の鍵を開ける。
と、魔獣国のでこぼこコンビ、アイゼイヤとエイベルが飛び込んでくる。
「たーいへん、大変。王様ー。王様いる?」
「エイベルたいへんって何?」
「アイゼイヤ今はやめて、ややこしいから」
「ややこしい?ややこしいって。」
転送陣は工房の裏なのに、この二人どこから来たんだ?
「なんかかわいいものが出てこないかなって掘り返していた古代遺跡の横穴が突然バーンてなってブワーって、それでピカーって光って。みんなびっくりした。」
アイゼイヤが息を切らしながら話す。
エイベルが横でうなずいているので持っている情報にそんなに違いがないのだろう。
「で、みんなは大丈夫なのか?」
だいたい賢い魔獣は彼我の強さを推し量ることが出来るから危ないものには近づかないもんだ。
アレインが帰ると言うとコージとマヨネとチャオの三人もついて来る事になった。
工房の裏に設置された転移陣にのって魔獣国に帰る。
山腹に光の固まりがあって、その周りに人化した魔獣達が集まっている。
なんかアイドルのライブみたいになっているのはどういう事?
近づいて見ると洞窟の前に大きな岩がステージの様に横たわって、その上に光で出来た人の様なものが沢山いて歌い踊っている。
アイドルグループみたいだ。
鑑定すると踊っているのはケルビムでレベルは500。
とんでもないもんが踊っている。
おそらく勇者ぐらいしか太刀打ち出来ないんじゃないか?
やがて歌が終わるとセンターのケルビムが何か話し始める。
初めは翻訳機がシンクロ出来ていないのか何言ってんのかわからなかったけど徐々に言葉になって来た。
「あんた達ーっ。何やってくれてんのー。セラフィムちゃんの寝室に穴開けちゃってどーすんのー。セラフィムちゃん激オコよー。」
「さっきの歌と踊りはなんだったんだろう?話しと全然結びつかないんだけど。」
とコージのお姉さんの様なケットシーがつぶやく。
頭の中に多分あのケルビムの声が響く。
「アレは挨拶代わりよ。アンコールする?」
「聞こえてるんだ。びっくり。」
と、超強力な黒いエネルギーの固まりがコージに向けて飛んでくる。
ケルビム達が光の矢の様になって迎撃するが当たらない。
ダメだ早すぎる、こりゃコージは死んだ。
AIゴーレムのマヨネがコージを守るためにエネルギーの固まりに飛びついて行く。
「マヨネ、ダメー。」
コージが叫ぶ。
マヨネと衝突した黒いエネルギーの固まりが弾かれるように空高く跳ね上がる。
マヨネの手足がバラバラになる。
コージが悲鳴をあげてマヨネにかけよる。
コージの周囲にミサイルや榴弾砲、レールガン、レーザーなどインベントリから出されたありったけの武器が並べられる。
「何を騒いでおる。」
さらに輝度の高い光の人らしきものが現れる。
コージがギリっと歯を食いしばって鋭い目で見る。
どうやらコージはその輝度の高い光の人を敵だと思った様だ。
空からレーザーが雨の様に振ってくる。
その輝度の高い光の人には効かないようだ。
コージはさらに強力な武器を使おうとしている。
「やめんか、この大陸が吹き飛んでしまうぞ。」
「それに汝の敵はわしではない。アレじゃ、あの黒いやつじゃ。」
コージは、その言葉に急に脱力した様になる。
「マヨネがー。」
コージがバラバラになったマヨネをかき抱いてベーベー泣き始めた。
「あー。それか。それはもう自己修復機能を発動して直りかけとるが?まあちょっと早めてやるから武器をしまえ。」
光る人が指差すとマヨネが時間を巻き戻す様に直ってしまった。
コージは一層わーわー泣いていてマヨネが困った様にコージの頭を撫でている。
チャオもかけよって来て二人を抱きしめる。
コージは伯爵とか言ってもまだまだ子供だしな。
「あー、セラフィム様。あのデビルすばしこいです。なんでこっち側に出て来たんでしょう?」
いつの間に戻ったのか、ケルビムが言う。
「私達に惹かれて出て来たんでしょう。すぐに片付きますよ。」
ケルビム達とセラフィムが見上げる空をその黒い固まりが不規則な軌道で飛び回る。
すると地平線から金色に光るものが飛んできて見る見る黒い固まりに近づいたと思うと黒い固まりがパンっとはじけた。
「終わったようじゃな。」
セラフィムがつぶやく。
その金色に輝くものがぐんぐん近づいてくる。
バハムートに乗ったユウトだ。
なんだかPAC3パトリオットみたいだった。
ユウトはコージのそばに来て頭に手を置く。
「大丈夫じゃ、わしらのマヨネはそんなにやわじゃないぞ。」
なんか幼児に慰められる少年と言うのも変な感じ。
「勇者よ、早かったのう。」
セラフィムが旧知のようにユウトに話しかける。
「うーんと、誰?」
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