僕らを残したこの世界で笑う

Ran

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プロローグ 偽りの仮面

0. 過去の不条理

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さっきまでの世界が嘘みたいに一瞬で、なんの合図もなく唐突に消えていく。

 目の前に広がるのは赤。赤。赤。赤。赤。

 1発の銃声の後にただ、あの人の赤い血が私の頬をかすめ、私の服を赤黒く染め、目の前の地面に広がってゆく。

 私はただ ただそこに突っ立って固まることしか出来なかった。
 するとあの人が叫ぶ。致命傷を負いながらも私を助けようと必死に叫ぶ。私はその声にハッとなり、全力で走り出す。ただがむしゃらに一心不乱に走りだす。

 自分が殺されるかもしれない恐怖と目の前で起こった惨劇の恐怖で頭が回らない。ほぼ無意識に走ってるといつの間にか路地から人通りの多い商店街に入っていた。

 色んな人にぶつかって、何度も足がもつれ転倒し、擦り傷を作りながらもそんなのお構い無しに一心不乱に走る。止まったら殺される…! 殺される…!

 恐怖で後ろを振り返ることは出来なかった。もうアイツがすぐそこまで追いついていたら?
 そんな事を考えたら、怖くて怖くて後ろなんて向けなかった。

  ──もうどこぐらい走ったのかわからない。息がきれ、喉が乾き、全身がもう走れない! と悲鳴をあげている。そこでまた路地に入る。
 するとそこに───…



『ジリリリリリリリリリリ!』

 耳をつんざくような目覚ましの音で目が覚める。
 彼女は、手探りで目覚ましを見つけ止めながらため息をつき、またか… と思う。
 最近、この夢ばかり見る。あの人を亡くした時の人生の中で最も辛い記憶───…。

「…学校の用意しなきゃ…。」

 彼女はそう言って準備を始める。
 今彼女は高校2年生。普通の学校生活を送っている、普通の女子高生。だが、通っている目的は普通ではない。
 ある人の情報収集。それが彼女の学校に通う目的だ。

 この5年間、ずっとあの人のために生きてきた。あの人を殺した奴らに復讐をするために───。
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