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最終章 魔王編
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私たちが王都に帰ってから一か月後、魔物の活性化は収まりました。収まった時は国中が歓喜に包まれ、私たちは英雄として祭り上げらました。
結果から言うと今回の魔王討伐での被害はほぼゼロに収まりました。私もメリーもレイもシノも、無傷で旅を終えましたから。
しかし犠牲がなかったわけではなかったのです。
魔物の活性化が収まってもうすぐ一年。
カイ様は未だに姿を見せていません・・・。
約束通り魔物の鎮静化から一か月後、カイ様を迎えにメリー、レイ、シノ、そして扉を開けるための勇者であるハルと共に扉の元へ向かいました。
しかし・・・私たちがかつて何度も通った魔大陸への門が消えていたのです。
あの門は魔大陸から生物が消えた段階で消えると言われています。軍を引き上げるときに、最後の一人が出た瞬間に門は毎回消える。そう言い伝えられてますし、実際前回も同じように、ボロボロのカイ様が門から出た瞬間に門は消えたらしいです。
私は焦りました。世界をくまなく探すための旅に出ようと話もしました。
だけど、お母様達は止めました。ただ一言、カイ様を信じろとだけ言って・・・。
カイ様を信じて一年。そろそろ限界です。
メリーやレイ、シノと共にカイ様を探しに行こうと話し合いました。着々と準備をすすめ、4人そろってとうとう旅に出る時が来ました。
しかし・・・出発当日、屋敷から出るところで、お母様に掴まってしまった。
「エル。それにみなさん。何処へ行くのでしょうか?」
軽い笑みを浮かべ、門扉の前に立つお母様。
「カイ様を探しに行きます。そこをどいてくださいお母様」
「駄目ですよエル。待つと決めたなら待たないと」
「待ちましたっ!!一年もっ!!帰ってこないじゃないですかっ!もしカイ様が大けがをしてどこかに連れ去られたりしていたら・・・」
「でもエル。カイ様にマーキングの魔法をつけていたでしょう?」
「っ!」
「それで居場所がすでに分かっているなら迎えに行けばいいでしょう。どうですか?わかりますか?」
「・・・わかりません」
「ならばどうするのです。探すとは言っても、この大陸中を探すとなると数十年はかかりますよ?それでも探すのですか?」
「・・・」
「わかります。居ても立ってもいられないのでしょう。気持ちはわかります。しかし、私たちにはできることは二つしかありません」
「二つ・・・」
「一つ。カイ様の帰りを待つ事、信じて待つだけなのはつらい事です。私はきっとカイ様の帰るべき場所になれたはず、ならばそれを信じて待つだけ
二つ。カイ様の事は忘れて、好きなように生きなさいエル。辛いなら、耐えられないなら忘れたほうが楽でしょう」
「忘れるなんてありえませんっ!なぜです!なぜお母様はそこまで・・・信じられるのですか・・・私だって信じたいですよ・・・でも・・・
カイ様はもしかしたらもう・・・」
「エル。少しお話を聞きませんか?よければみなさんも」
そう言ってお母様は私の手を取った。
「え?ちょっと?お母様?私たちは・・・って力つよ!?」
ずるずるとお母様に引きずられ、屋敷の中に戻される。
私の哀れな姿を、一緒に旅に出ようとしていた彼女たちは苦笑いしながら見る。そして彼女たちもお母様につられてついて来る。
無理やり椅子に座らせられる。テーブルにはクッキーと紅茶が用意されており、目の前にはリュウコ様とリーディア様とニャル様、そしてメイ様が座っていた。
「何を焦ってんだよエル。お前らしくない」
「逆にリュウコ様はどうしてそんなに落ち着いているのですか・・・心配じゃないんですか?」
「あいつは殺しても死なねぇからな・・・まぁまぁ、そう睨むなっての」
「エル。カイの昔話興味ないかしら?世間には語られていない話よ」
「っ!」
「これは誰も救われない。ただただつまらないお話」
そう言ってリーディア様は、まるで子供に聞かせるかのように、優しい声で昔話を語り始めた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
荒れた大地が延々と続く大地。補給部隊が毎日補給に戻る。それを補助をしていたのがカイだった。
200名もの軍を動かすために補給は欠かせない。門を開けられるのは勇者しかいない。
カイはそんな毎日に辟易していた。
「なんだカイ!疲れた顔しやがって!」
そうカイに声をかけるのは、大きなガタイに、顔の半分を髭で覆った男性。守備隊の隊長である。
「そりゃあ疲れるさ・・・せっかく魔王って言う強敵がいんのによー仕事は雑用だぜ?しかも扉を開けるだけの簡単なお仕事だ」
「はっはっは!!それだって重要な仕事だろ。お前が動かなければ俺らは飢え死にだからな!」
「分かってるけどよ・・・」
「これは我が世界の為の戦いだ。貴様は黙ってみているがいい」
黒いフードを深く被った、右手に包帯をグルグル巻きにした細身の男が後ろから声をかけてくる。
「えー!俺も戦いてーよ!」
「ふっ貴様の出番などない。我の究極魔法で一撃で沈めてやろう」
「厨二やろうめ・・・いや?こっちの世界ではあながちそうでもないのか?」
「くっ!早く魔王を倒せと封印されし右腕が疼く・・!」
「前言撤回。この厨二野郎が!お前の右手にはなんもないだろうが!」
「楽しそうな話をしているようだね?」
ピシッと軍服を着こなし、髪の毛はオールバック、ちょび髭を少し撫でながら歩いてくる男。
「げぇ・・・指揮官殿・・・おい逃げんなよ・・・俺を置いて」
一瞬でカイの周りの人が消える。
「補給係が気にくわないのかね?勇者殿」
「いえ!そんなことはありません!!」
「ふむ。ならばいいが。また懇々と理由を説明しないといけない所だったよ」
「勘弁してください・・・」
「おーい!カイ!暇ならちょっと模擬戦やろうぜ!」
額に鉢巻を巻いた男がカイに声をかける。
「やるやる!というわけで失礼します!司令官殿!!」
「おいちょっと待ちたまえ!・・・まったくあの勇者殿は・・・」
「カイ!模擬戦やんのか!俺も混ぜろ!!」
「リュウコとやったら周りに被害が出るからダメだ」
「な・・・なら私と・・・」
「なんで魔法職のリディと模擬戦するんだよ」
「はいはい。怪我だけはしないようにしてくださいね。大変なのは私たちなんですから・・・」
いつもの光景だった。カイの周りにはたくさんの人がいて、みんな笑いあっている。
本来殺伐とするはずのこの旅が、不謹慎ながら楽しい旅となってしまっていた。
魔王を討伐した後も、きっとこんなに騒がしく、楽しい毎日になるんだと、私は思っていた。
私は結局、魔王という存在を軽く見ていたのだろう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とうとう廃墟のような城が見え、全員が隊列を組む。
普段はふざけていても、国から選ばれた精鋭の軍隊だ。全員が臨戦態勢に入る。
盾職が70人、遊撃30人、遠距離魔法60人、回復、支援が40人で構成された軍。軍隊としての練度はもちろん、個々の技量ももちろん高い。
全員が歩幅を合わせ、前に進む。
廃墟の全貌が見える。そして廃墟の前に佇む一つの生物。
灰色に見えるそれは、二足で立つ人のような容姿をしていた。髪も眉もなく、こちらを見て不気味に笑っていた。
「総員構え!前衛が押さえたら総攻撃!」
よく通る声で、隊列の中心から檄を飛ばす司令官。
油断はなかった。目を離すわけもない。優秀な兵士たちに、優秀な指揮官。万が一に負けるということはなかったはずだった。
ただ・・・魔王が規格外だっただけである。
最初の一撃で盾を構えていた男の上半身が吹き飛んだ。
「っ!?」
まったく見えなかった。どうしてさっきまで向こうにいたこいつがここにいて、一人やられているのか。
「押さえろ!!」
守備隊の隊長が叫ぶ。ハッとなった周りの盾持ちは、即座に敵を盾で抑えにかかる。
抑えにかかった兵士は、バクンッ!という音と共に、盾や鎧ごと嚙みちぎられ、上半身が消え、足だけが血を噴き出して倒れる。
「タリ・・・ナイ・・・モットクワセロ」
「畳かけろ!!遊撃、遠距離共に攻撃開始!!」
魔王が兵士に近づくたびに、兵士は血を噴き上げてあっけなく死に、それを喰って、魔王は力を増していく。
「魔法を解けメイ!!俺がいく!!」
即座に駆けだそうとするカイを、メイは麻痺の魔法を使って動けなくしていた。
「駄目です勇者様!あなた様が死ねばそれで終わりです!」
「目の前で仲間が死んでるのに!黙ってみてろって言うのか!!」
「あなたの死は、この世界の死なのです!自重してください!!」
前線は血みどろになっていた。四肢が飛び散り、血は赤く染まり、辺りには鉄臭いにおいが漂っていた。
「臆するな!!この戦いは俺たちの世界がかかっている!!」
「行くぞおぉぉぉ!!」
「俺たちに構わずバンバン攻撃当てろ!!」
縦横無尽に動き回る魔王をとらえきれない。力の差がありすぎて、まるで赤子を蹂躙する大人のように・・・。
齧られ、捥がれ、裂かれ、斬られ、刺され、潰され、絞られ、締められ、殴られ、人だったものがどんどん肉塊になっていく。
昨日まではあんなに楽しそうに話していた人も、夢を語っていた人も、故郷に家族を残してきた人も、愛する人を置いてきた人もすでに言葉を話すことのない物となり果てていた。
「転移魔法を使えるものは!」
メイが声をあげる。
「すでに・・・ぐあっ!!」
メイの声に答えた人も、一瞬で吹き飛んでいく。それを追うようにかけていき、魔王はその人を食らう。
「勇者様。お逃げ下さい。そして伝えてください。世界の全戦力をもって立ち向かえと」
「断る」
カイはメイが魔法を解いた瞬間に立ち上がり、敵を見据える。
最初に見た時は2メートルそこらだった体躯が、今や3メートルほどになり、ガタイもデカくなっていた。
守護隊長を半分に切り裂き、すでに満身創痍だったリュウコとリーディア、ニャルに迫っていた。
「ツリードーム!!ガイヤシールド!!」
リーディアが魔王を紡ぐ。樹木で出来たドーム型の壁が3人を覆い、その上を岩の壁が覆う。
しかし頑強なはずの壁は、まるで薄い硝子でも割るように簡単に割られてしまう。
「ウラアアアア!!」
リュウコの渾身の拳は、片手で止められ、小枝でも折るかのように、リュウコの腕を引きちぎる。
「ぐっあ・・・・チッ!!」
腕をもがれた肩からおびただしい血が噴き出る。
リーディアもすでに魔力切れで、生命力を削って魔法を使い、目は既に使い物にならず、瞑った眼からは血が流れ出ている。ニャルは元々戦闘職ではない為か、すでに気を失って、それを守るようにリーディアが立ち塞がっていた。
気持ちの悪い笑みを浮かべ、魔王は彼女達に手を伸ばす―――。
しかし、その手が彼女たちに届くことはなかった。
「ふざけんなああああああああああああああ!!!」
そう叫びながら、魔王に体当たりをしたのは・・・カイだった。
すでに周りに生きている者はおらず、周りには人だったものの残骸が散らばっていた。
「勇者様!!」
「カイ!だめだ!てめえは一回退け!!時間なら俺たちが――――」
「ふざけんな!!!」
魔王を見据えながらカイは叫んだ。
「俺だってな!!この世界の為に戦いてぇんだよ!!」
カイは叫ぶ。恐怖に振るえる体に活を入れる様に。
「俺の死に場所は俺が決める!!勝手に俺を生かそうとするんじゃねぇ!!」
大剣を握る。震えていた手が止まる。
「ただ・・・負けたら世界ごと俺と一緒に死んでくれ」
涙を堪え、何とか作り出した笑顔で、カイは一瞬だけリュウコたちの方を見る。
「フハハハハ!!オマエハウマソウダナ。ユウシャヨ」
「ぶっ殺す―――」
カイと魔王はお互いに目にも止まらぬ速さで突っ込む。
膂力も、速度も魔王が圧倒的に上だった。技術なんて言う小手先の技では到底埋められない差。
魔王はまるでもてあそぶように、カイを嬲り続けた。
四肢を貫かれ、腹をえぐられ、地面に叩きつけられては踏みつぶされる。
全身血まみれで、内臓も骨もボロボロ、常人ならとっくに死んでいるだろう。
しかしカイは立ち上がる。何度も何度も何度も何度も何度も何度も。
足は既に骨は折れている。それでも立つ。
灰が空気を取り込まない。それでも立つ。
腕の骨も折れ剣も持てない。それでも剣を持つ。
指の感覚なんてすでにない。それでも剣を握る。
攻撃するだけの力なんてない。それでも殺す。
守る術もない。それでも殺す。
すでに肉体は死につつある。それでも殺す。
勝てる未来が見えない。それでも殺す。
俺の心が折れない限り、あいつを殺す。
どれだけ痛めつけようと、目の光が消えない。殺意は衰えることがない。
カイと魔王の戦闘が始まって数時間。流石に魔王が飽きてきたのか、ゆっくりとカイに近づいて行く。
カイの力のない大剣の振り下ろしを軽く弾き、大剣はあさっての方に飛んでいく。
カイの首を掴み、持ち上げ、ニヤリと笑みを浮かべる魔王。
そしてその口を大きく広げ、カイを喰おうと――――。
「ぐ・・・う”ぉぉぉぉ!!」
その瞬間にカイは貫き手を魔王の胸辺りに突き刺す。
刺さるはずのない貫き手、力なんてないはずのその攻撃は、確実に魔王の胸の中に刺さっていき・・・。
魔王の体内にある魔石を掴む。
「ナ・・ニ・・・!」
魔王はすぐさまカイを投げ飛ばそうとするが、どこから出しているのか、カイの力が強く、一向に離れる気配がしない。
「ヤメロ・・・やめろよカイ!それを取られたら俺は死んでしまうだろうが!」
魔王が守護隊長の声でしゃべる。
「我を殺すのかカイ!!」
厨二野郎の声でしゃべる。
「お前は私たちの死を背負えるのかね?」
指揮官の声でしゃべる。
「おいおいおいおい!俺を殺さねぇで―――」
「う”る”ぜぇ!!!!」
潰れた喉で、血反吐を吐きながらカイは叫ぶ。そして魔王の胸から魔石を引きちぎる。
「グアアアアアァァァ!!コンナザコニ・・・・」
断末魔をあげ、魔王は倒れる。そしてサラサラと砂が風に飛んでいくように、粒子となって消えて行った。
カイは力尽き倒れる。真っ赤に染まった魔石を手に・・・。
「勇者様!!」
メイは即座に駆けだし、カイの治療を開始する。背中に背負っていた医療道具を全て引っ張り出し、あわただしく動き出す。
「カイはやっぱりすごいわね」
「起きたのかリディ。体は大丈夫そうか?」
「なんとか死なない程度にはね。あなたこそ大丈夫なの?」
「ん?俺は頑丈だからな。腕が一本飛んだくらいじゃ死なねぇよ」
「・・・カイはしなねぇよな?」
「メイに聞いてみないと分からないでしょ?まあもし体が生きていても・・・」
「まあ酷い戦いだったしな・・・」
辺りはどこもかしこも血が飛び散り、血生臭い匂いが漂う。
「立てるかリディ?」
「もちろんよ。カイが目を覚ます前に・・・ここから立ち去らないとね・・・ニャルそろそろ起きなさい」
「ん・・・あれ?生きてる・・・?」
メイに治療してもらったとは言え、満身創痍の体を引きずって歩き、治療されているカイの元へ向かう。
「メイ。ひとまずここから離れよう。もしカイが目を覚ましたら・・・こんな所に居たら狂っちまうぞ」
「ええ・・・なんとか最低限の処置は出来ました。リュウコとリディ、ニャルは散らばっている物資を集めて来てください。私は勇者様を担いでここから少し離れます」
「分かった」
魔大陸から帰るのに歩けば一年ほどかかるが、中継ポイントまで行ければ物資も転移魔法も使える。
最短の中継ポイントまで約一週間はかかる。それに・・・カイをちゃんと治療するためには薬が足りない。
その為に物資は回収しておかなければならない。死んでいった彼らを弔ってやりたいと思っていたが。それは後発隊に任せることにした。
結果から言うと今回の魔王討伐での被害はほぼゼロに収まりました。私もメリーもレイもシノも、無傷で旅を終えましたから。
しかし犠牲がなかったわけではなかったのです。
魔物の活性化が収まってもうすぐ一年。
カイ様は未だに姿を見せていません・・・。
約束通り魔物の鎮静化から一か月後、カイ様を迎えにメリー、レイ、シノ、そして扉を開けるための勇者であるハルと共に扉の元へ向かいました。
しかし・・・私たちがかつて何度も通った魔大陸への門が消えていたのです。
あの門は魔大陸から生物が消えた段階で消えると言われています。軍を引き上げるときに、最後の一人が出た瞬間に門は毎回消える。そう言い伝えられてますし、実際前回も同じように、ボロボロのカイ様が門から出た瞬間に門は消えたらしいです。
私は焦りました。世界をくまなく探すための旅に出ようと話もしました。
だけど、お母様達は止めました。ただ一言、カイ様を信じろとだけ言って・・・。
カイ様を信じて一年。そろそろ限界です。
メリーやレイ、シノと共にカイ様を探しに行こうと話し合いました。着々と準備をすすめ、4人そろってとうとう旅に出る時が来ました。
しかし・・・出発当日、屋敷から出るところで、お母様に掴まってしまった。
「エル。それにみなさん。何処へ行くのでしょうか?」
軽い笑みを浮かべ、門扉の前に立つお母様。
「カイ様を探しに行きます。そこをどいてくださいお母様」
「駄目ですよエル。待つと決めたなら待たないと」
「待ちましたっ!!一年もっ!!帰ってこないじゃないですかっ!もしカイ様が大けがをしてどこかに連れ去られたりしていたら・・・」
「でもエル。カイ様にマーキングの魔法をつけていたでしょう?」
「っ!」
「それで居場所がすでに分かっているなら迎えに行けばいいでしょう。どうですか?わかりますか?」
「・・・わかりません」
「ならばどうするのです。探すとは言っても、この大陸中を探すとなると数十年はかかりますよ?それでも探すのですか?」
「・・・」
「わかります。居ても立ってもいられないのでしょう。気持ちはわかります。しかし、私たちにはできることは二つしかありません」
「二つ・・・」
「一つ。カイ様の帰りを待つ事、信じて待つだけなのはつらい事です。私はきっとカイ様の帰るべき場所になれたはず、ならばそれを信じて待つだけ
二つ。カイ様の事は忘れて、好きなように生きなさいエル。辛いなら、耐えられないなら忘れたほうが楽でしょう」
「忘れるなんてありえませんっ!なぜです!なぜお母様はそこまで・・・信じられるのですか・・・私だって信じたいですよ・・・でも・・・
カイ様はもしかしたらもう・・・」
「エル。少しお話を聞きませんか?よければみなさんも」
そう言ってお母様は私の手を取った。
「え?ちょっと?お母様?私たちは・・・って力つよ!?」
ずるずるとお母様に引きずられ、屋敷の中に戻される。
私の哀れな姿を、一緒に旅に出ようとしていた彼女たちは苦笑いしながら見る。そして彼女たちもお母様につられてついて来る。
無理やり椅子に座らせられる。テーブルにはクッキーと紅茶が用意されており、目の前にはリュウコ様とリーディア様とニャル様、そしてメイ様が座っていた。
「何を焦ってんだよエル。お前らしくない」
「逆にリュウコ様はどうしてそんなに落ち着いているのですか・・・心配じゃないんですか?」
「あいつは殺しても死なねぇからな・・・まぁまぁ、そう睨むなっての」
「エル。カイの昔話興味ないかしら?世間には語られていない話よ」
「っ!」
「これは誰も救われない。ただただつまらないお話」
そう言ってリーディア様は、まるで子供に聞かせるかのように、優しい声で昔話を語り始めた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
荒れた大地が延々と続く大地。補給部隊が毎日補給に戻る。それを補助をしていたのがカイだった。
200名もの軍を動かすために補給は欠かせない。門を開けられるのは勇者しかいない。
カイはそんな毎日に辟易していた。
「なんだカイ!疲れた顔しやがって!」
そうカイに声をかけるのは、大きなガタイに、顔の半分を髭で覆った男性。守備隊の隊長である。
「そりゃあ疲れるさ・・・せっかく魔王って言う強敵がいんのによー仕事は雑用だぜ?しかも扉を開けるだけの簡単なお仕事だ」
「はっはっは!!それだって重要な仕事だろ。お前が動かなければ俺らは飢え死にだからな!」
「分かってるけどよ・・・」
「これは我が世界の為の戦いだ。貴様は黙ってみているがいい」
黒いフードを深く被った、右手に包帯をグルグル巻きにした細身の男が後ろから声をかけてくる。
「えー!俺も戦いてーよ!」
「ふっ貴様の出番などない。我の究極魔法で一撃で沈めてやろう」
「厨二やろうめ・・・いや?こっちの世界ではあながちそうでもないのか?」
「くっ!早く魔王を倒せと封印されし右腕が疼く・・!」
「前言撤回。この厨二野郎が!お前の右手にはなんもないだろうが!」
「楽しそうな話をしているようだね?」
ピシッと軍服を着こなし、髪の毛はオールバック、ちょび髭を少し撫でながら歩いてくる男。
「げぇ・・・指揮官殿・・・おい逃げんなよ・・・俺を置いて」
一瞬でカイの周りの人が消える。
「補給係が気にくわないのかね?勇者殿」
「いえ!そんなことはありません!!」
「ふむ。ならばいいが。また懇々と理由を説明しないといけない所だったよ」
「勘弁してください・・・」
「おーい!カイ!暇ならちょっと模擬戦やろうぜ!」
額に鉢巻を巻いた男がカイに声をかける。
「やるやる!というわけで失礼します!司令官殿!!」
「おいちょっと待ちたまえ!・・・まったくあの勇者殿は・・・」
「カイ!模擬戦やんのか!俺も混ぜろ!!」
「リュウコとやったら周りに被害が出るからダメだ」
「な・・・なら私と・・・」
「なんで魔法職のリディと模擬戦するんだよ」
「はいはい。怪我だけはしないようにしてくださいね。大変なのは私たちなんですから・・・」
いつもの光景だった。カイの周りにはたくさんの人がいて、みんな笑いあっている。
本来殺伐とするはずのこの旅が、不謹慎ながら楽しい旅となってしまっていた。
魔王を討伐した後も、きっとこんなに騒がしく、楽しい毎日になるんだと、私は思っていた。
私は結局、魔王という存在を軽く見ていたのだろう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とうとう廃墟のような城が見え、全員が隊列を組む。
普段はふざけていても、国から選ばれた精鋭の軍隊だ。全員が臨戦態勢に入る。
盾職が70人、遊撃30人、遠距離魔法60人、回復、支援が40人で構成された軍。軍隊としての練度はもちろん、個々の技量ももちろん高い。
全員が歩幅を合わせ、前に進む。
廃墟の全貌が見える。そして廃墟の前に佇む一つの生物。
灰色に見えるそれは、二足で立つ人のような容姿をしていた。髪も眉もなく、こちらを見て不気味に笑っていた。
「総員構え!前衛が押さえたら総攻撃!」
よく通る声で、隊列の中心から檄を飛ばす司令官。
油断はなかった。目を離すわけもない。優秀な兵士たちに、優秀な指揮官。万が一に負けるということはなかったはずだった。
ただ・・・魔王が規格外だっただけである。
最初の一撃で盾を構えていた男の上半身が吹き飛んだ。
「っ!?」
まったく見えなかった。どうしてさっきまで向こうにいたこいつがここにいて、一人やられているのか。
「押さえろ!!」
守備隊の隊長が叫ぶ。ハッとなった周りの盾持ちは、即座に敵を盾で抑えにかかる。
抑えにかかった兵士は、バクンッ!という音と共に、盾や鎧ごと嚙みちぎられ、上半身が消え、足だけが血を噴き出して倒れる。
「タリ・・・ナイ・・・モットクワセロ」
「畳かけろ!!遊撃、遠距離共に攻撃開始!!」
魔王が兵士に近づくたびに、兵士は血を噴き上げてあっけなく死に、それを喰って、魔王は力を増していく。
「魔法を解けメイ!!俺がいく!!」
即座に駆けだそうとするカイを、メイは麻痺の魔法を使って動けなくしていた。
「駄目です勇者様!あなた様が死ねばそれで終わりです!」
「目の前で仲間が死んでるのに!黙ってみてろって言うのか!!」
「あなたの死は、この世界の死なのです!自重してください!!」
前線は血みどろになっていた。四肢が飛び散り、血は赤く染まり、辺りには鉄臭いにおいが漂っていた。
「臆するな!!この戦いは俺たちの世界がかかっている!!」
「行くぞおぉぉぉ!!」
「俺たちに構わずバンバン攻撃当てろ!!」
縦横無尽に動き回る魔王をとらえきれない。力の差がありすぎて、まるで赤子を蹂躙する大人のように・・・。
齧られ、捥がれ、裂かれ、斬られ、刺され、潰され、絞られ、締められ、殴られ、人だったものがどんどん肉塊になっていく。
昨日まではあんなに楽しそうに話していた人も、夢を語っていた人も、故郷に家族を残してきた人も、愛する人を置いてきた人もすでに言葉を話すことのない物となり果てていた。
「転移魔法を使えるものは!」
メイが声をあげる。
「すでに・・・ぐあっ!!」
メイの声に答えた人も、一瞬で吹き飛んでいく。それを追うようにかけていき、魔王はその人を食らう。
「勇者様。お逃げ下さい。そして伝えてください。世界の全戦力をもって立ち向かえと」
「断る」
カイはメイが魔法を解いた瞬間に立ち上がり、敵を見据える。
最初に見た時は2メートルそこらだった体躯が、今や3メートルほどになり、ガタイもデカくなっていた。
守護隊長を半分に切り裂き、すでに満身創痍だったリュウコとリーディア、ニャルに迫っていた。
「ツリードーム!!ガイヤシールド!!」
リーディアが魔王を紡ぐ。樹木で出来たドーム型の壁が3人を覆い、その上を岩の壁が覆う。
しかし頑強なはずの壁は、まるで薄い硝子でも割るように簡単に割られてしまう。
「ウラアアアア!!」
リュウコの渾身の拳は、片手で止められ、小枝でも折るかのように、リュウコの腕を引きちぎる。
「ぐっあ・・・・チッ!!」
腕をもがれた肩からおびただしい血が噴き出る。
リーディアもすでに魔力切れで、生命力を削って魔法を使い、目は既に使い物にならず、瞑った眼からは血が流れ出ている。ニャルは元々戦闘職ではない為か、すでに気を失って、それを守るようにリーディアが立ち塞がっていた。
気持ちの悪い笑みを浮かべ、魔王は彼女達に手を伸ばす―――。
しかし、その手が彼女たちに届くことはなかった。
「ふざけんなああああああああああああああ!!!」
そう叫びながら、魔王に体当たりをしたのは・・・カイだった。
すでに周りに生きている者はおらず、周りには人だったものの残骸が散らばっていた。
「勇者様!!」
「カイ!だめだ!てめえは一回退け!!時間なら俺たちが――――」
「ふざけんな!!!」
魔王を見据えながらカイは叫んだ。
「俺だってな!!この世界の為に戦いてぇんだよ!!」
カイは叫ぶ。恐怖に振るえる体に活を入れる様に。
「俺の死に場所は俺が決める!!勝手に俺を生かそうとするんじゃねぇ!!」
大剣を握る。震えていた手が止まる。
「ただ・・・負けたら世界ごと俺と一緒に死んでくれ」
涙を堪え、何とか作り出した笑顔で、カイは一瞬だけリュウコたちの方を見る。
「フハハハハ!!オマエハウマソウダナ。ユウシャヨ」
「ぶっ殺す―――」
カイと魔王はお互いに目にも止まらぬ速さで突っ込む。
膂力も、速度も魔王が圧倒的に上だった。技術なんて言う小手先の技では到底埋められない差。
魔王はまるでもてあそぶように、カイを嬲り続けた。
四肢を貫かれ、腹をえぐられ、地面に叩きつけられては踏みつぶされる。
全身血まみれで、内臓も骨もボロボロ、常人ならとっくに死んでいるだろう。
しかしカイは立ち上がる。何度も何度も何度も何度も何度も何度も。
足は既に骨は折れている。それでも立つ。
灰が空気を取り込まない。それでも立つ。
腕の骨も折れ剣も持てない。それでも剣を持つ。
指の感覚なんてすでにない。それでも剣を握る。
攻撃するだけの力なんてない。それでも殺す。
守る術もない。それでも殺す。
すでに肉体は死につつある。それでも殺す。
勝てる未来が見えない。それでも殺す。
俺の心が折れない限り、あいつを殺す。
どれだけ痛めつけようと、目の光が消えない。殺意は衰えることがない。
カイと魔王の戦闘が始まって数時間。流石に魔王が飽きてきたのか、ゆっくりとカイに近づいて行く。
カイの力のない大剣の振り下ろしを軽く弾き、大剣はあさっての方に飛んでいく。
カイの首を掴み、持ち上げ、ニヤリと笑みを浮かべる魔王。
そしてその口を大きく広げ、カイを喰おうと――――。
「ぐ・・・う”ぉぉぉぉ!!」
その瞬間にカイは貫き手を魔王の胸辺りに突き刺す。
刺さるはずのない貫き手、力なんてないはずのその攻撃は、確実に魔王の胸の中に刺さっていき・・・。
魔王の体内にある魔石を掴む。
「ナ・・ニ・・・!」
魔王はすぐさまカイを投げ飛ばそうとするが、どこから出しているのか、カイの力が強く、一向に離れる気配がしない。
「ヤメロ・・・やめろよカイ!それを取られたら俺は死んでしまうだろうが!」
魔王が守護隊長の声でしゃべる。
「我を殺すのかカイ!!」
厨二野郎の声でしゃべる。
「お前は私たちの死を背負えるのかね?」
指揮官の声でしゃべる。
「おいおいおいおい!俺を殺さねぇで―――」
「う”る”ぜぇ!!!!」
潰れた喉で、血反吐を吐きながらカイは叫ぶ。そして魔王の胸から魔石を引きちぎる。
「グアアアアアァァァ!!コンナザコニ・・・・」
断末魔をあげ、魔王は倒れる。そしてサラサラと砂が風に飛んでいくように、粒子となって消えて行った。
カイは力尽き倒れる。真っ赤に染まった魔石を手に・・・。
「勇者様!!」
メイは即座に駆けだし、カイの治療を開始する。背中に背負っていた医療道具を全て引っ張り出し、あわただしく動き出す。
「カイはやっぱりすごいわね」
「起きたのかリディ。体は大丈夫そうか?」
「なんとか死なない程度にはね。あなたこそ大丈夫なの?」
「ん?俺は頑丈だからな。腕が一本飛んだくらいじゃ死なねぇよ」
「・・・カイはしなねぇよな?」
「メイに聞いてみないと分からないでしょ?まあもし体が生きていても・・・」
「まあ酷い戦いだったしな・・・」
辺りはどこもかしこも血が飛び散り、血生臭い匂いが漂う。
「立てるかリディ?」
「もちろんよ。カイが目を覚ます前に・・・ここから立ち去らないとね・・・ニャルそろそろ起きなさい」
「ん・・・あれ?生きてる・・・?」
メイに治療してもらったとは言え、満身創痍の体を引きずって歩き、治療されているカイの元へ向かう。
「メイ。ひとまずここから離れよう。もしカイが目を覚ましたら・・・こんな所に居たら狂っちまうぞ」
「ええ・・・なんとか最低限の処置は出来ました。リュウコとリディ、ニャルは散らばっている物資を集めて来てください。私は勇者様を担いでここから少し離れます」
「分かった」
魔大陸から帰るのに歩けば一年ほどかかるが、中継ポイントまで行ければ物資も転移魔法も使える。
最短の中継ポイントまで約一週間はかかる。それに・・・カイをちゃんと治療するためには薬が足りない。
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