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最終章 魔王編
魔王戦
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少し傷を負いつつも、約三日三晩魔王と切り結んだ。
剣技自体は拙く、力もスピードも俺の方が上、厄介なのは・・・。
「まだだ!まだ死なんぞ勇者!!」
時折織り交ぜられる魔法と、絶対負けないという執念。もう何度殺したと思ったか。
切り刻んでも復活してくるし、どうすれば終わるんだろうなこの戦いは。
飛んでくる氷の槍を住んで出躱しながら前に出る。すれ違いざま胴を横薙ぎし、確かに斬った感覚があった。
しかし切り離したはずの胴体はすぐに元に戻り、すぐさまこちらに向かって魔法を放つ。
岩の礫を全て剣で弾く。魔王は終始こちらを睨んでいる。
「なぁ。なんでそこまで必死なんだ?お前に勝ち目がないのは当の昔にわかっているだろう?」
「強がりはよすんだな!我は不死身。お前は人。長引けば長引くほど我の勝ちが近づく。それに実際、お前は血だらけじゃないか!」
「ん?こんなのかすり傷だろ。勇者には一つだけスキルって言う特殊な力があるんだよ」
「それがどうした!」
「俺のスキル不撓不屈は精神力に応じた肉体を作る様なスキルだ」
「だからなんだというのだ!!」
「つまり・・・」
息を吐く。今はベストコンディションの時の体だと思い込む。
傷の痛みも、疲労もない。オールおkだ。
「貴様・・・」
「どうした?」
「堂々めぐりというわけか」
魔王は初めて疲れた顔を見せる。不死身とは言っても、すでに百回は殺している。魔王の攻撃は俺に届かない。
この戦いは最初から精神の削り合いだった。
「別にお前がまだまだやるって言うなら、気が済むまで付き合うさ。だが、俺が見た魔王って言うのはなんていうか・・・欲の塊だった。思うがままに殺し、喰らい、愉悦に浸る。そういう存在だった。それに比べて・・・
お前は何を守ろうとしている」
「っ!」
「何百年斬り合っても俺は構わない。戦うのは嫌いじゃないしな。俺が負けることはないし、俺がここで楽しく戦っている間は、向こうの世界は平和なままだしな。お前が何かを守りたくて戦っているのは何となくわかる。でも俺も俺の守りたいもののために戦う」
大剣を正眼に構える。俺の言葉はここまでだ。向こうがまだまだ戦うならば、俺はそれに応えるだけだ。
「ふっ・・・我は魔王ではない」
「は?」
魔王ではない?あんな偉そうにふんぞり返って最上階の椅子に座っていたのに?
「我は一度も自らを魔王と名乗った覚えはない」
「え・・・そうだっけ?」
「我は百八四天王の集合体。魔王様最後の盾である」
「集合体・・・?つまり魔王は別にいると・・・」
どうりて死体を残さず消えるわけだ。最終的に合体するわけか。そりゃまぁまぁ強いわけだ。
「せっかく勇者の俺が一人で残ってるのに、二人で襲い掛かってこねぇんだな・・・ってお前。なんか煙みたいなのでてねぇか?」
「ふむ・・・騙し騙し戦ってはいたが・・・流石に限界か。我は不死身などではない。命のストックがあっただけ。それが尽きれば消える存在よ」
男から黒い煙が立ち上がり、手などの末端から少しずつ消えていく。
「おいおい!!せめてあと一年くらい戦おうぜ!不完全燃焼だっての!って魔王と戦えばいいのか」
「死にゆく我に戦えとはとんだ加虐趣味だな勇者よ。魔王様に戦う力はない。全ての力は我らを生むときに使い果たしてしまわれた」
「なんだよそれ。じゃあ後は力の残ってない魔王を倒して終わりか・・・」
「お前に果たしてそれが出来るか・・・負けた我が言うのもおかしいが・・・勇者よ。魔王様を頼んだ」
そんな捨て台詞を吐いて、男は消えた。カラーンとあいつの持っていた黒い剣が落ちる。
頼んだ。そう言ったアイツの目には慈しみと優しさがはらんでいたような気がした。
「なんだよ・・・好き勝手言って消えやがって・・・」
落ちていた黒い剣を拾う。細身の刀の様な剣だ。最初に見た時の様な禍々しさはない。漆黒の美しい剣だった。
「ひとまず・・・魔王城に戻るか・・・」
まだ魔王が生きているらしいので、それを倒さないと俺の旅は終わらない。
今さっきまで戦っていたあいつの為に少しだけ黙祷し、魔王城の方向に駆けていくことにした。
再び魔王城に戻り、最上階に進む。きっと魔王ならば、最上階でふんぞり返っているに違いない。
最上階になんなくたどり着き、大きな扉を開く。
「きたかーゆうしゃかいよー」
そんな棒読みにのセリフに迎えられる。小さな子供の様な高い声だった。
「お前が・・・魔王なのか?」
「いかにもーわたしがまおうであーる」
椅子にふんぞり返って座っている幼女。褐色の肌に黒い髪。黒い瞳の双眸が、こちらを見据える。
真っ黒なワンピースを着ており、どう見ても魔王といういで立ちではなかった。
小さい。小学校低学年くらいの容姿だ。可愛らしい容姿だが、仮にも魔王。油断はしてはいけない。
背中から大剣を抜き、正眼に構える。何も見落とすことのないようにじっと魔王を見る。
魔王と自称する彼女は、椅子から立ち上がり、拙い足取りでこちらに歩いて来る。
そして俺の目の前まで来ると・・・。
ひざを折り、祈るように手のひらを合わせて首を垂れる。
「なんのつもりだ・・・」
「ん?るどーにきいてないのー?ならわたしからちゃんというね!」
彼女は涙にぬれた目をこちらに向け、言葉を紡ぐ。
俺にとっては呪いのような言葉を・・・。
「わたしのまけです。どうぞこのくびあなたにさしあげましょう。おめでとうございます。あなたはこれでせかいをすくったえいゆうです」
そう言って彼女は俺が斬りやすいように首を差し出したのだった。
「お前は・・・死んでもいいのか?」
「ん?いやにきまってるよ。でもそういうものなんだからしかたないよ。まおうはあくで、ゆうしゃはぜん。そういうものなんだよね。るどーがいってたの。るどーがまけて、ゆうしゃがきたら、わたしはしぬ。ちゃんとかくごはきめてたの!だからただしいことのためにわたしはしぬの。それがわたしのやくめ」
ギリギリと歯を食いしばる。なんて悪趣味な・・・。
柄を握る拳から血が流れる。
剣を振り上げる。目は見開く、彼女の死を心に刻み付けるために。
振り下ろす。魔王を殺し、世界を救うために・・・。
ガァン!と大剣が地面を打つ。
「出来る訳ねぇだだろうがぁぁぁぁぁぁ!!糞神のボケぇぇぇ!!」
叫ぶ。くそったれの神に向かって。
俺にはできなかった。間違いなくこの子は魔王なのだろう。勇者としての勘が告げている。
こいつを殺せと、俺の心が叫んでいる。
「ころさないの?」
「殺さない」
俺を見上げて首をかしげる魔王。
「なんで?ころさないと、かいはえいゆーになれないよ」
「別に英雄なんてなりたくはねぇよ」
弱気を挫いて得る名声に、何の意味があるんだよ。
「わたしはどうしたらいいの?るどーもみんなもいなくなっちゃった」
「お前の力で作ったんだろ?もう一回出せばいいじゃねえか」
「むりだよ。わたしはもうちからをつかいはたしちゃったの」
「どういうことだ?魔王ってのは無尽蔵に力を使えるんじゃねぇのか?」
あのクッソ強かった魔王は正に力の塊だった。今戦えばなんとか勝てるとは思うが、持久戦になることは確実だろう。
「わかんない。わたしはさみしかったから、おともだちをつくったの。いっぱいいっぱいつくったら、いつのまにか、ちからがなくなってたの」
そうか。俺たちが戦って殺してきたのは、この子のお友達で・・・そりゃぁ戦闘能力なんてないわな・・・。妙にデフォルメされていたのもこの子に合わせてか・・・。
そもそもハルちゃんが勇者として選ばれた時点で・・・予見できたか・・・。
『勇者が召喚されるのは、ランダムではない。神様が見繕い、魔王に見合った勇者を召喚する』
そのことはわかってたはずだ。だが・・・俺にとっての魔王とはアイツの事で・・・俺の仲間を好き勝手に虐殺したあいつこそ魔王で・・・。
「どうしたの?」
「いや・・・その・・・悪かったな。お前の友達を殺しちまって・・・」
「なんであやまるの?」
「そりゃあ・・・」
「わたしたちはそういうそんざいなの。ころしてよろこばれるそんざい。かいがあやまるひつようなんてないの」
そう淡々という彼女の目に、涙が流れる。自分の涙に戸惑い、ワンピースの胸元で目を拭う。
「あれ?おかしいな。なんでなみだがでるの?」
「死にたくないんじゃねえか・・・」
「ちがうの!ちゃんとわかってたの。かくごもちゃんとして・・・ううっ・・・」
「大丈夫だ。殺さねぇよ・・・殺せるわけがない・・・」
あいつはこのことを言っていたのか・・・。確かにこれは・・・俺には相性が悪すぎる敵だな・・・。
「ころさない・・・の?」
「おう。しかしどうするか・・・」
門を通れれば魔大陸から出て匿える。もし出れなければ・・・この魔大陸で過ごす?
そもそもここに食料はあるのか?湖はあったから水はあるとは思うが・・・。
考え事をしていると、魔王が突然俺の腰に抱き着いて来る。
「ううっ・・うわああぁぁぁぁん。わだじ・・・じななくても・・・いいの?」
「もちろんだろ。俺と一緒にお前が生きていける方法を探そう」
「ありがどぉぉ・・・」
よしよしと魔王の頭を撫でつつ、彼女が落ち着くまで待つ事にした。
今後の事も考えながら・・・。
剣技自体は拙く、力もスピードも俺の方が上、厄介なのは・・・。
「まだだ!まだ死なんぞ勇者!!」
時折織り交ぜられる魔法と、絶対負けないという執念。もう何度殺したと思ったか。
切り刻んでも復活してくるし、どうすれば終わるんだろうなこの戦いは。
飛んでくる氷の槍を住んで出躱しながら前に出る。すれ違いざま胴を横薙ぎし、確かに斬った感覚があった。
しかし切り離したはずの胴体はすぐに元に戻り、すぐさまこちらに向かって魔法を放つ。
岩の礫を全て剣で弾く。魔王は終始こちらを睨んでいる。
「なぁ。なんでそこまで必死なんだ?お前に勝ち目がないのは当の昔にわかっているだろう?」
「強がりはよすんだな!我は不死身。お前は人。長引けば長引くほど我の勝ちが近づく。それに実際、お前は血だらけじゃないか!」
「ん?こんなのかすり傷だろ。勇者には一つだけスキルって言う特殊な力があるんだよ」
「それがどうした!」
「俺のスキル不撓不屈は精神力に応じた肉体を作る様なスキルだ」
「だからなんだというのだ!!」
「つまり・・・」
息を吐く。今はベストコンディションの時の体だと思い込む。
傷の痛みも、疲労もない。オールおkだ。
「貴様・・・」
「どうした?」
「堂々めぐりというわけか」
魔王は初めて疲れた顔を見せる。不死身とは言っても、すでに百回は殺している。魔王の攻撃は俺に届かない。
この戦いは最初から精神の削り合いだった。
「別にお前がまだまだやるって言うなら、気が済むまで付き合うさ。だが、俺が見た魔王って言うのはなんていうか・・・欲の塊だった。思うがままに殺し、喰らい、愉悦に浸る。そういう存在だった。それに比べて・・・
お前は何を守ろうとしている」
「っ!」
「何百年斬り合っても俺は構わない。戦うのは嫌いじゃないしな。俺が負けることはないし、俺がここで楽しく戦っている間は、向こうの世界は平和なままだしな。お前が何かを守りたくて戦っているのは何となくわかる。でも俺も俺の守りたいもののために戦う」
大剣を正眼に構える。俺の言葉はここまでだ。向こうがまだまだ戦うならば、俺はそれに応えるだけだ。
「ふっ・・・我は魔王ではない」
「は?」
魔王ではない?あんな偉そうにふんぞり返って最上階の椅子に座っていたのに?
「我は一度も自らを魔王と名乗った覚えはない」
「え・・・そうだっけ?」
「我は百八四天王の集合体。魔王様最後の盾である」
「集合体・・・?つまり魔王は別にいると・・・」
どうりて死体を残さず消えるわけだ。最終的に合体するわけか。そりゃまぁまぁ強いわけだ。
「せっかく勇者の俺が一人で残ってるのに、二人で襲い掛かってこねぇんだな・・・ってお前。なんか煙みたいなのでてねぇか?」
「ふむ・・・騙し騙し戦ってはいたが・・・流石に限界か。我は不死身などではない。命のストックがあっただけ。それが尽きれば消える存在よ」
男から黒い煙が立ち上がり、手などの末端から少しずつ消えていく。
「おいおい!!せめてあと一年くらい戦おうぜ!不完全燃焼だっての!って魔王と戦えばいいのか」
「死にゆく我に戦えとはとんだ加虐趣味だな勇者よ。魔王様に戦う力はない。全ての力は我らを生むときに使い果たしてしまわれた」
「なんだよそれ。じゃあ後は力の残ってない魔王を倒して終わりか・・・」
「お前に果たしてそれが出来るか・・・負けた我が言うのもおかしいが・・・勇者よ。魔王様を頼んだ」
そんな捨て台詞を吐いて、男は消えた。カラーンとあいつの持っていた黒い剣が落ちる。
頼んだ。そう言ったアイツの目には慈しみと優しさがはらんでいたような気がした。
「なんだよ・・・好き勝手言って消えやがって・・・」
落ちていた黒い剣を拾う。細身の刀の様な剣だ。最初に見た時の様な禍々しさはない。漆黒の美しい剣だった。
「ひとまず・・・魔王城に戻るか・・・」
まだ魔王が生きているらしいので、それを倒さないと俺の旅は終わらない。
今さっきまで戦っていたあいつの為に少しだけ黙祷し、魔王城の方向に駆けていくことにした。
再び魔王城に戻り、最上階に進む。きっと魔王ならば、最上階でふんぞり返っているに違いない。
最上階になんなくたどり着き、大きな扉を開く。
「きたかーゆうしゃかいよー」
そんな棒読みにのセリフに迎えられる。小さな子供の様な高い声だった。
「お前が・・・魔王なのか?」
「いかにもーわたしがまおうであーる」
椅子にふんぞり返って座っている幼女。褐色の肌に黒い髪。黒い瞳の双眸が、こちらを見据える。
真っ黒なワンピースを着ており、どう見ても魔王といういで立ちではなかった。
小さい。小学校低学年くらいの容姿だ。可愛らしい容姿だが、仮にも魔王。油断はしてはいけない。
背中から大剣を抜き、正眼に構える。何も見落とすことのないようにじっと魔王を見る。
魔王と自称する彼女は、椅子から立ち上がり、拙い足取りでこちらに歩いて来る。
そして俺の目の前まで来ると・・・。
ひざを折り、祈るように手のひらを合わせて首を垂れる。
「なんのつもりだ・・・」
「ん?るどーにきいてないのー?ならわたしからちゃんというね!」
彼女は涙にぬれた目をこちらに向け、言葉を紡ぐ。
俺にとっては呪いのような言葉を・・・。
「わたしのまけです。どうぞこのくびあなたにさしあげましょう。おめでとうございます。あなたはこれでせかいをすくったえいゆうです」
そう言って彼女は俺が斬りやすいように首を差し出したのだった。
「お前は・・・死んでもいいのか?」
「ん?いやにきまってるよ。でもそういうものなんだからしかたないよ。まおうはあくで、ゆうしゃはぜん。そういうものなんだよね。るどーがいってたの。るどーがまけて、ゆうしゃがきたら、わたしはしぬ。ちゃんとかくごはきめてたの!だからただしいことのためにわたしはしぬの。それがわたしのやくめ」
ギリギリと歯を食いしばる。なんて悪趣味な・・・。
柄を握る拳から血が流れる。
剣を振り上げる。目は見開く、彼女の死を心に刻み付けるために。
振り下ろす。魔王を殺し、世界を救うために・・・。
ガァン!と大剣が地面を打つ。
「出来る訳ねぇだだろうがぁぁぁぁぁぁ!!糞神のボケぇぇぇ!!」
叫ぶ。くそったれの神に向かって。
俺にはできなかった。間違いなくこの子は魔王なのだろう。勇者としての勘が告げている。
こいつを殺せと、俺の心が叫んでいる。
「ころさないの?」
「殺さない」
俺を見上げて首をかしげる魔王。
「なんで?ころさないと、かいはえいゆーになれないよ」
「別に英雄なんてなりたくはねぇよ」
弱気を挫いて得る名声に、何の意味があるんだよ。
「わたしはどうしたらいいの?るどーもみんなもいなくなっちゃった」
「お前の力で作ったんだろ?もう一回出せばいいじゃねえか」
「むりだよ。わたしはもうちからをつかいはたしちゃったの」
「どういうことだ?魔王ってのは無尽蔵に力を使えるんじゃねぇのか?」
あのクッソ強かった魔王は正に力の塊だった。今戦えばなんとか勝てるとは思うが、持久戦になることは確実だろう。
「わかんない。わたしはさみしかったから、おともだちをつくったの。いっぱいいっぱいつくったら、いつのまにか、ちからがなくなってたの」
そうか。俺たちが戦って殺してきたのは、この子のお友達で・・・そりゃぁ戦闘能力なんてないわな・・・。妙にデフォルメされていたのもこの子に合わせてか・・・。
そもそもハルちゃんが勇者として選ばれた時点で・・・予見できたか・・・。
『勇者が召喚されるのは、ランダムではない。神様が見繕い、魔王に見合った勇者を召喚する』
そのことはわかってたはずだ。だが・・・俺にとっての魔王とはアイツの事で・・・俺の仲間を好き勝手に虐殺したあいつこそ魔王で・・・。
「どうしたの?」
「いや・・・その・・・悪かったな。お前の友達を殺しちまって・・・」
「なんであやまるの?」
「そりゃあ・・・」
「わたしたちはそういうそんざいなの。ころしてよろこばれるそんざい。かいがあやまるひつようなんてないの」
そう淡々という彼女の目に、涙が流れる。自分の涙に戸惑い、ワンピースの胸元で目を拭う。
「あれ?おかしいな。なんでなみだがでるの?」
「死にたくないんじゃねえか・・・」
「ちがうの!ちゃんとわかってたの。かくごもちゃんとして・・・ううっ・・・」
「大丈夫だ。殺さねぇよ・・・殺せるわけがない・・・」
あいつはこのことを言っていたのか・・・。確かにこれは・・・俺には相性が悪すぎる敵だな・・・。
「ころさない・・・の?」
「おう。しかしどうするか・・・」
門を通れれば魔大陸から出て匿える。もし出れなければ・・・この魔大陸で過ごす?
そもそもここに食料はあるのか?湖はあったから水はあるとは思うが・・・。
考え事をしていると、魔王が突然俺の腰に抱き着いて来る。
「ううっ・・うわああぁぁぁぁん。わだじ・・・じななくても・・・いいの?」
「もちろんだろ。俺と一緒にお前が生きていける方法を探そう」
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