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第九話_ビオラ、お宅訪問する
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骨を残してイグアナの肉を食べ終えたES-077はゲフゥっと血生臭い息を吐いた。そこへビオラがやって来る。
「はい、お水」
「お! 気が利くな。 うむ、妾の臣下にしてやろうではないか」
「え~、やだよ~」
「なっ! じゃ、じゃあその…… えっと、さっき言ってた、お、お友達というのは……?」
「え? うん。お友達ならいいよ」
パァッと嬉しそうな表情をしたES-077はビオラから水を受け取り、「ありがとう!」と言ってゴキュゴキュと喉を鳴らして飲み干した。
「で、何でこんなこところで地獄蟻さんが一人、お腹減らしてたの?」
「う、うむ。 実は二か月ほど前に妾は実家の巣を追い出さ…… じゃない、独立してだな。この地にやって来たのはいいものの食料を食べつくしてしまったのだ。獲物が掛かるように罠も仕掛けていたのだが一向に獲物が掛からんでな」
―― ……なんか似たような境遇の人っぽい。
妙な親近感を覚えたビオラだった。
「そうなんですか。 ところでES-077さんのお家はどちらなんですか?」
「む。 妾の城か? 妾の城はここから北の岩場にあるぞ」
「ほうほう。あっちの大きな岩場かぁ。 ねぇ、ナナちゃん、お家遊びに行っていい?」
「な、ナナちゃんだと!?」
突然変わった呼び名にES-077は驚いて目を丸くして驚いた。
「だって、呼びにくいし。 これから何度も会うんだし呼びやすいほうがいいじゃん。お友達だからいいでしょ?」
ビオラにそう言われるとES-077はポッと頬を赤らめスッと視線を逸らす。
「ま、まぁ、よ、呼び方などで妾の品位が損なわれるわけでもない。 か、勝手に呼ぶがよい」
―― ナナちゃん、チョロイな。
「お、お前、な、名前はなんだっけ? さっき聞いたが…… その、ごめんなさい」
「あ、うん。 ビオラです」
「そ、そうか! ビ、ビオラちゃ―― い、いやビオラよ。妾の城に招待するのはいいが、その前にお代わりはあるか? 妾はまだまだ食べれるぞ。 あと、この食べカスの骨はどうしたらいい? ゴミ箱ってありますか?」
尊大な態度の割に意外と気を遣う礼儀正しいES-077である。
「お代わりかぁ…… えっとゴミ箱はないから―― あっ!」
何かを思いついたビオラはES-077の手を取ると「ナナちゃん、こっちこっち」と引っ張っていく。手を取られてES-077はちょっと嬉しそうであった。
ビオラがES-077を連れて行ったのは巣から見て岩場の裏側である。そこには数日前にビオラが捨てたイグアナの半身が干からびて転がっていた。
「どう?」
「捨ててあったものを食べろ、と?」
そう言いながら干からびたイグアナを拾い上げるES-077。
「……う~ん、腐ってはいないか。干物だと思えば、まぁ」
ちょっと不満げなES-077はイグアナの干物にかぶりつく。すると「うむっ!」と驚いた顔で声を出した。
「意外とイケるな。 味が凝縮されている感じだ」
「そっか、よかったよかった。 ちょっと待ってね、今コンポスト作るから」
「コンポスト? なんだそれは?」
「生ごみとか廃棄物を入れて肥料を作るやつだよ。 わたしたち妖精蜂が採取した花粉と有機物を混ぜて魔力をちょっと注ぐと、数日すると魔力たっぷりの肥料ができるのよ」
「ほうほう。ならば食べカスはそこに捨てればいいのだな?」
「そういうこと。 すぐ出来るから。まずは材料をっと――」
そう言うとビオラは口の中に指を突っ込む。
「オロロロロロロロロロロロロロロロロロロッ!!」
「……お、おい、何やってる? だ、大丈夫か??!」
突然クリーム状の何かを吐き出したビオラを見てES-077はドン引きである。
「ふぅ…… 大丈夫よ、妖精蜂はこうやってクリームを分泌するの。固まると丈夫な蜜蝋になるのよ。 板の上でやらなかったからちょっと砂混じりになっちゃうけどコンポストだし問題なしね」
「ぶ、分泌っていうのかソレ。 まぁ、べ、便利だな」
「めっちゃお腹減るけどね」
そう言いながらもビオラはコネコネとクリームをコンポストの形に整えていく。
「よし、できた! ナナちゃん、ここに骨入れておいて」
「お、おう。 あ、ごちそうさまでした」
ES-077は骨をポイっとコンポストの中に投げ入れた。
「じゃあ、ナナちゃんのお家、案内してよ」
「うむ、よかろう。 妾の城の壮麗さに恐れおののくがよい!」
ビオラが案内されたのは北の岩場に空いている小さな穴の前であった。
「ここ?」
「うむ。 どうだ? 入り口の穴の形には結構こだわってみたのだ。中に入っていく傾斜角とかな!」
「……うん、良い感じだと思う」
よく分からなかったので適当に褒めたビオラの言葉を真に受けたES-077は「ふふんっ、であろう!」と腰に手を当てて得意げである。
「この先にお部屋が広がってるの?」
「うむ、だが普段使いしている寝室は手前の小さな小部屋だ。 奥のほうは工事中で散らかってるし、それに案内するには妾の、その…… 心の準備がだな…… と、突然のお友達だし…… ごにょごにょ……」
―― 心の準備……??
モジモジし始めたES-077。どうしたんだろうと思うビオラだったが、とりあえずそのことは置いておいて気になったことを質問する。
「そ、そっか。 ところでさ、巣の入り口の前が結構荒れてるけど?」
ES-077の巣の入り口前には食べカスの骨が散乱し、数カ所にネズミ捕りのような罠が設置されていた。他には穴を掘ったときにできた砂岩が小山を幾つか作っていた。
「うむ。 骨は実家を出てきたときに持ってきた食料の食べカスだな。捨てる場所がなかったからその辺にポイだ」
「わたしのトコではちゃんとゴミ箱探したのに……」
―― 自分の部屋は片づけられないタイプかな? 人のこと言えないけど。
「ねぇ、ナナちゃん。 コンポスト作っておこうか?」
「おっ! それは助かる。片づけてくれるのか?!」
「それは自分でやりなさい」
さっそく、ビオラはその場でオロロしてコンポストを作り始めた。
「ふぅ。 じゃあまた今度、花粉を入れに来るね。中身の肥料はもらっていいよね?」
「まぁ良いだろう。 妾には肥料は必要ないからな」
ES-077の了承を得たビオラは「でさ、」と話題を変える。
「この罠っぽいものは何なの?」
「ん? 罠だが?」
「いやさ、罠におびき寄せるエサとか無いじゃん? どうやって獲物捕まえるつもり?」
「……エサ、だと?」
「うん、エサ」
「…………っ!!」
ES-077は心底驚いた表情でビオラに振り返る。
「うっかりしてたっ!!」
―― うすうす気が付いてたけど、ナナちゃんってポンコツっぽい。
――――――――――
巣の周辺イメージ図です。
「はい、お水」
「お! 気が利くな。 うむ、妾の臣下にしてやろうではないか」
「え~、やだよ~」
「なっ! じゃ、じゃあその…… えっと、さっき言ってた、お、お友達というのは……?」
「え? うん。お友達ならいいよ」
パァッと嬉しそうな表情をしたES-077はビオラから水を受け取り、「ありがとう!」と言ってゴキュゴキュと喉を鳴らして飲み干した。
「で、何でこんなこところで地獄蟻さんが一人、お腹減らしてたの?」
「う、うむ。 実は二か月ほど前に妾は実家の巣を追い出さ…… じゃない、独立してだな。この地にやって来たのはいいものの食料を食べつくしてしまったのだ。獲物が掛かるように罠も仕掛けていたのだが一向に獲物が掛からんでな」
―― ……なんか似たような境遇の人っぽい。
妙な親近感を覚えたビオラだった。
「そうなんですか。 ところでES-077さんのお家はどちらなんですか?」
「む。 妾の城か? 妾の城はここから北の岩場にあるぞ」
「ほうほう。あっちの大きな岩場かぁ。 ねぇ、ナナちゃん、お家遊びに行っていい?」
「な、ナナちゃんだと!?」
突然変わった呼び名にES-077は驚いて目を丸くして驚いた。
「だって、呼びにくいし。 これから何度も会うんだし呼びやすいほうがいいじゃん。お友達だからいいでしょ?」
ビオラにそう言われるとES-077はポッと頬を赤らめスッと視線を逸らす。
「ま、まぁ、よ、呼び方などで妾の品位が損なわれるわけでもない。 か、勝手に呼ぶがよい」
―― ナナちゃん、チョロイな。
「お、お前、な、名前はなんだっけ? さっき聞いたが…… その、ごめんなさい」
「あ、うん。 ビオラです」
「そ、そうか! ビ、ビオラちゃ―― い、いやビオラよ。妾の城に招待するのはいいが、その前にお代わりはあるか? 妾はまだまだ食べれるぞ。 あと、この食べカスの骨はどうしたらいい? ゴミ箱ってありますか?」
尊大な態度の割に意外と気を遣う礼儀正しいES-077である。
「お代わりかぁ…… えっとゴミ箱はないから―― あっ!」
何かを思いついたビオラはES-077の手を取ると「ナナちゃん、こっちこっち」と引っ張っていく。手を取られてES-077はちょっと嬉しそうであった。
ビオラがES-077を連れて行ったのは巣から見て岩場の裏側である。そこには数日前にビオラが捨てたイグアナの半身が干からびて転がっていた。
「どう?」
「捨ててあったものを食べろ、と?」
そう言いながら干からびたイグアナを拾い上げるES-077。
「……う~ん、腐ってはいないか。干物だと思えば、まぁ」
ちょっと不満げなES-077はイグアナの干物にかぶりつく。すると「うむっ!」と驚いた顔で声を出した。
「意外とイケるな。 味が凝縮されている感じだ」
「そっか、よかったよかった。 ちょっと待ってね、今コンポスト作るから」
「コンポスト? なんだそれは?」
「生ごみとか廃棄物を入れて肥料を作るやつだよ。 わたしたち妖精蜂が採取した花粉と有機物を混ぜて魔力をちょっと注ぐと、数日すると魔力たっぷりの肥料ができるのよ」
「ほうほう。ならば食べカスはそこに捨てればいいのだな?」
「そういうこと。 すぐ出来るから。まずは材料をっと――」
そう言うとビオラは口の中に指を突っ込む。
「オロロロロロロロロロロロロロロロロロロッ!!」
「……お、おい、何やってる? だ、大丈夫か??!」
突然クリーム状の何かを吐き出したビオラを見てES-077はドン引きである。
「ふぅ…… 大丈夫よ、妖精蜂はこうやってクリームを分泌するの。固まると丈夫な蜜蝋になるのよ。 板の上でやらなかったからちょっと砂混じりになっちゃうけどコンポストだし問題なしね」
「ぶ、分泌っていうのかソレ。 まぁ、べ、便利だな」
「めっちゃお腹減るけどね」
そう言いながらもビオラはコネコネとクリームをコンポストの形に整えていく。
「よし、できた! ナナちゃん、ここに骨入れておいて」
「お、おう。 あ、ごちそうさまでした」
ES-077は骨をポイっとコンポストの中に投げ入れた。
「じゃあ、ナナちゃんのお家、案内してよ」
「うむ、よかろう。 妾の城の壮麗さに恐れおののくがよい!」
ビオラが案内されたのは北の岩場に空いている小さな穴の前であった。
「ここ?」
「うむ。 どうだ? 入り口の穴の形には結構こだわってみたのだ。中に入っていく傾斜角とかな!」
「……うん、良い感じだと思う」
よく分からなかったので適当に褒めたビオラの言葉を真に受けたES-077は「ふふんっ、であろう!」と腰に手を当てて得意げである。
「この先にお部屋が広がってるの?」
「うむ、だが普段使いしている寝室は手前の小さな小部屋だ。 奥のほうは工事中で散らかってるし、それに案内するには妾の、その…… 心の準備がだな…… と、突然のお友達だし…… ごにょごにょ……」
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モジモジし始めたES-077。どうしたんだろうと思うビオラだったが、とりあえずそのことは置いておいて気になったことを質問する。
「そ、そっか。 ところでさ、巣の入り口の前が結構荒れてるけど?」
ES-077の巣の入り口前には食べカスの骨が散乱し、数カ所にネズミ捕りのような罠が設置されていた。他には穴を掘ったときにできた砂岩が小山を幾つか作っていた。
「うむ。 骨は実家を出てきたときに持ってきた食料の食べカスだな。捨てる場所がなかったからその辺にポイだ」
「わたしのトコではちゃんとゴミ箱探したのに……」
―― 自分の部屋は片づけられないタイプかな? 人のこと言えないけど。
「ねぇ、ナナちゃん。 コンポスト作っておこうか?」
「おっ! それは助かる。片づけてくれるのか?!」
「それは自分でやりなさい」
さっそく、ビオラはその場でオロロしてコンポストを作り始めた。
「ふぅ。 じゃあまた今度、花粉を入れに来るね。中身の肥料はもらっていいよね?」
「まぁ良いだろう。 妾には肥料は必要ないからな」
ES-077の了承を得たビオラは「でさ、」と話題を変える。
「この罠っぽいものは何なの?」
「ん? 罠だが?」
「いやさ、罠におびき寄せるエサとか無いじゃん? どうやって獲物捕まえるつもり?」
「……エサ、だと?」
「うん、エサ」
「…………っ!!」
ES-077は心底驚いた表情でビオラに振り返る。
「うっかりしてたっ!!」
―― うすうす気が付いてたけど、ナナちゃんってポンコツっぽい。
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巣の周辺イメージ図です。
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