完)まあ!これが噂の婚約破棄ですのね！

それぞれのその後

その後、リリアンは皇国へと移り、この国にはない大学というところで勉学に交友にと励んでいます。
先の件の影響か恋愛には消極的ですが、皇国では独身を貫く女性も少なくないので問題はないでしょう。
『皇女殿下の懐刀』なんて噂もチラホラ出ているようですから、結婚しなくてもきっと将来に不安はないはずです。

リリアンの実家は、皇国の外交官が睨みをきかせているため取り潰しや領地の接収などもなく、今まで通りに暮らしているようです。


王子は『ボンクラ』や『フシ穴』などの非公式の称号を得た代わりに、王位継承権を剥奪されました。
まぁ、ハニートラップで楽々国家転覆できちゃいそうな王様なんて需要がありませんから仕方ないですね。
今は監視つきで細々と暮らしています。


皇女殿下は、窮地にある人間を救って恩を売ったりしつつ、着実に手駒を増やしています。まだ学生なのに『女帝』という称号で半ば公然と呼ばれているのには笑ってしまいます。
ちなみに帝国は弱肉強食の文化が脈々と息づいているため、皇帝は皇女の台頭を面白がっているようです。


ああ、メアリさん？メアリさんは…
ちょっと王族なんて大物狙いすぎたせいで危険人物として牢屋に入れられていたのですが、国の諜報機関のトップがその度胸と行動力に目をつけて引き抜きました。
一番の下っ端から這い上がって、今では既に中堅どころです。
「どんな汚い手でも躊躇なく使う」と、諜報部内でも一目置かれているようです。
…ヤバいですね、彼女。


ちなみに護衛のラークは、可愛い彼女と結婚して新婚真っ最中です。けれど皇女殿下にこき使われすぎてほとんど家に帰れず、浮気を疑われているようです。
機密で話せないことが多いのが災いして、奥さんのご機嫌をとるのに必死なようです。
せっかく登場人物随一のリア充なのに可哀想ですよねざまあみろー！