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オマケ
夫とお出かけ
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ジェイが劇を観に行こうと誘ってくれた。
結婚してからも、ジェイは時々こうして二人きりのデートに誘ってくれる。昼間は彼が忙しいので、大抵は夜の回に。
昼間と違って、夜の観劇は社交目当てに来る人も多い。余裕を持って劇場に着いて、開演までロビーで過ごすのだ。
必然的に、ドレスコードもそれ用のものになる。もちろん化粧もそれに合わせる。
こんな時、つくづくマリーがいてくれてよかったと思う。マリーの手にかかれば、普通顔の私も夫の隣に立っても遜色のない女に変われるから。
後は気合いと仕草だ。
仕草といえば、嫁いでからジェイにお願いしてマナーの先生を雇ってもらった。ジェイが教わったのと同じ先生を。
だって前々から、ジェイの動きは綺麗だと思っていたから。ジェイは「厳しいぞ」と顔をしかめていたけれど。
そして来てくれた人は、年配の、けれどとても所作の美しい女性だった。
初めて会った時に「ジェイと対になれるような、美しい動きをマスターしたいんです」と伝えたら「よい心意気です」と満足そうに頷かれた。
「心がけ」じゃなくて「心意気」という言葉選びに、お父様と通じるものを感じたのは内緒だ。
ともかく、どうやらそれで気に入られたらしく、先生の心情的にはとても優しく教えてくれたらしい。
…私の主観ではめちゃくちゃスパルタだったけど…。
そんな訳で、仕草には結構自信がある。なにせあの先生の仕込みだ。
因みにそのマナーの先生とは、今でも時々会ってお茶をしたりしている。厳しく動きをチェックされながら…。
…うん、フォローアップは大事。
特に動作なんて注意してくれる人がいないことだから。
それに先生は昔のジェイのことを話してくれるので、それを聞くのもとても楽しみなのだ。
ジェイは少し嫌がるけれど。
ええと…。
そんな訳で、仕事モードで他の人と話すジェイの隣で微笑んでいるのが、今日の私のお仕事だ。
時々「お綺麗な奥様ですね」とお世辞を挟んでくれるのに笑って返しながら、心の中でマリーと先生にお礼を言う。
そんな気の張る社交も、開演を知らせるベルが鳴れば終わる。
ボックス席だし、そもそも劇の最中に話しかけるような無粋な人はいない。それが許されるのは、劇場が火事か自宅が火事かくらいの時だ。
だから、ゆったりとした気分で劇を楽しむ。
時々、ジェイはどんな顔で劇を観ているのか気になってこっそり視線をやると、何故かバッチリ目が合ってしまう。
「どうした?」というように微笑まれて、慌てて「なんでもありません」と首を横に振る。「劇よりあなたのことが気になりました」なんて言えない。
折角連れてきてもらっているのだし、劇もちゃんと面白いのだから。
それにしても、ジェイは相変わらず勘がいい。私がジェイの方を見ると、いつもこちらを見ている。
おかげで、彼が誰かと話している時くらいしか、彼のことをこっそり観察できない。
劇が終わると、そのまま馬車に乗って帰る。
終わってからもロビーで交流する人は多いけれど、私はそこまで社交が好きではないし、ジェイも別にいたがらない。それにできれば子どもたちにおやすみのキスをしたい。
だから劇の感想は、馬車の中で語り合う。
綺麗に舗装された道のおかげで、あまり揺れないから馬車の中も快適だ。
結婚前と変ったことといえば、感想を語り合う場所と、隣同士で寄り添って座って、手を繋ぎながら話す、ということくらいだろうか。
こんな風に、結婚してからも彼と仲よくしていられるのがとても嬉しい。
結婚してからも、ジェイは時々こうして二人きりのデートに誘ってくれる。昼間は彼が忙しいので、大抵は夜の回に。
昼間と違って、夜の観劇は社交目当てに来る人も多い。余裕を持って劇場に着いて、開演までロビーで過ごすのだ。
必然的に、ドレスコードもそれ用のものになる。もちろん化粧もそれに合わせる。
こんな時、つくづくマリーがいてくれてよかったと思う。マリーの手にかかれば、普通顔の私も夫の隣に立っても遜色のない女に変われるから。
後は気合いと仕草だ。
仕草といえば、嫁いでからジェイにお願いしてマナーの先生を雇ってもらった。ジェイが教わったのと同じ先生を。
だって前々から、ジェイの動きは綺麗だと思っていたから。ジェイは「厳しいぞ」と顔をしかめていたけれど。
そして来てくれた人は、年配の、けれどとても所作の美しい女性だった。
初めて会った時に「ジェイと対になれるような、美しい動きをマスターしたいんです」と伝えたら「よい心意気です」と満足そうに頷かれた。
「心がけ」じゃなくて「心意気」という言葉選びに、お父様と通じるものを感じたのは内緒だ。
ともかく、どうやらそれで気に入られたらしく、先生の心情的にはとても優しく教えてくれたらしい。
…私の主観ではめちゃくちゃスパルタだったけど…。
そんな訳で、仕草には結構自信がある。なにせあの先生の仕込みだ。
因みにそのマナーの先生とは、今でも時々会ってお茶をしたりしている。厳しく動きをチェックされながら…。
…うん、フォローアップは大事。
特に動作なんて注意してくれる人がいないことだから。
それに先生は昔のジェイのことを話してくれるので、それを聞くのもとても楽しみなのだ。
ジェイは少し嫌がるけれど。
ええと…。
そんな訳で、仕事モードで他の人と話すジェイの隣で微笑んでいるのが、今日の私のお仕事だ。
時々「お綺麗な奥様ですね」とお世辞を挟んでくれるのに笑って返しながら、心の中でマリーと先生にお礼を言う。
そんな気の張る社交も、開演を知らせるベルが鳴れば終わる。
ボックス席だし、そもそも劇の最中に話しかけるような無粋な人はいない。それが許されるのは、劇場が火事か自宅が火事かくらいの時だ。
だから、ゆったりとした気分で劇を楽しむ。
時々、ジェイはどんな顔で劇を観ているのか気になってこっそり視線をやると、何故かバッチリ目が合ってしまう。
「どうした?」というように微笑まれて、慌てて「なんでもありません」と首を横に振る。「劇よりあなたのことが気になりました」なんて言えない。
折角連れてきてもらっているのだし、劇もちゃんと面白いのだから。
それにしても、ジェイは相変わらず勘がいい。私がジェイの方を見ると、いつもこちらを見ている。
おかげで、彼が誰かと話している時くらいしか、彼のことをこっそり観察できない。
劇が終わると、そのまま馬車に乗って帰る。
終わってからもロビーで交流する人は多いけれど、私はそこまで社交が好きではないし、ジェイも別にいたがらない。それにできれば子どもたちにおやすみのキスをしたい。
だから劇の感想は、馬車の中で語り合う。
綺麗に舗装された道のおかげで、あまり揺れないから馬車の中も快適だ。
結婚前と変ったことといえば、感想を語り合う場所と、隣同士で寄り添って座って、手を繋ぎながら話す、ということくらいだろうか。
こんな風に、結婚してからも彼と仲よくしていられるのがとても嬉しい。
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