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いたずら妖精の森
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イヤザザ地区、森の深くにエルフの住む小さな村があった。
村の周りには結界が張り巡らされており普通の人間では見えないようになっているので到底辿り着けない。
ただ稀に道に迷った旅人がたどり着くことがある。
エルフはそんな稀に来る客人をもてなし、人間界の品物と交換する。そして記憶を消して帰す、という事をしていた。
旅人にとっては品物が2、3品無くなっているだけで何があったのか見当も付かないだろう。
何百年もそのような生活をしているうちにこの森は「いたずら妖精の森」と呼ばれるようになった。
男女の性と言うのか、エルフの中には旅人と恋に落ちる者もいた。元来ハーフエルフは災いを呼ぶと禁じられていたのだが。恋とは時にエルフを盲目にする。全く居なかった訳ではなく、何百年に一人はハーフエルフが生まれていた。
そう、それが僕、エルヒム。
産まれてからずっと監視が付いてる。僕が一体何をするというのか。かと言って生活を制限されている訳では無い。他のエルフと同じように扱われている。やっぱり虐めはあるけどね。エルフは容姿的には淡麗。でもハーフエルフは人間の血が混ざってるだけに淡麗とは少し違う。エルフしか見たことが無ければその違いは歴然だ。
「エルヒム!また盗賊が出たって!」
「またか!ハヤノは近づくなよ、危ない」
「危なくなんて無いもんねー、人間の盗賊なんて楽勝楽勝!エルヒムは私が守ってあげるからね」
「ちょっと待てって!」
ハヤノはこのエルフ村の高等魔法学校の同級生。この村には魔法学校しかない。エルフは魔法が使えて当たり前だからだ。
ハヤノはお転婆で自分がこうだと思ったら人の忠告なんて全然聞かない。
もう一人女の子がハヤノを追いかける。
「ハヤノ待ってよー」
「ヒュメ遅い!早く早く」
最近この森に盗賊が出る。エルフのせいにして追い剥ぎをしているのだ。衣装を見てよ。酷いもんだろ。人間はほとんどエルフを見てないから姿格好が分からないみたいで、すっごく変な格好をしてエルフを名乗っている。
初めはエルフ村もほおっておいたのだが、イヤザザ地区でエルフの悪い噂が流れるようになり、そうもいかなくなった。
ダッタン国から部隊が編成され、エルフ狩りが始まったのだ。
「ハヤノやっちゃえー!」
ヒュメの声援に張り切る。ハヤノは土魔法の詠唱を始めた。
「いでよゴーレム!」
盗賊はゴーレムに驚き目を丸くしその場にペタンと座り込んだ。自分の想像を超えたものを見た時ほど人間とは無力である。
ゴーレムは盗賊を縛り上げ土に還っていった。
「よっしゃ!一番乗り!」
ハアハアと息を切らせエルヒムが追いつく。
「遅いよエルヒム。私のゴーレムが倒しちゃったよ」
「お前はいいよな、魔法使えて」
ハヤノは戸惑う「あ、ごめん…」
言ったの本人が戸惑う。「いや、いいよ、大丈夫」
ハーフエルフの中でも魔法が使えるものはいる。人間とエルフの血、どちらが濃いかで決まる。
エルヒムの場合は人間の方が濃かったようだ。
おかげで高等魔法学校では落ちこぼれ。そんな僕でも仲良くしてくれるのハヤノとヒュメだった。
「何か取れるものは…っと」ハヤノは盗賊の装備を品定めする。
盗賊を一番に捕まえたものは盗賊の身ぐるみを剥いで良いしきたりになっていた。そして記憶を消して放り出す。
「これ、なんだろ」ヒュメはアルミでできた楕円形の缶を手に取る。
「どれ、貸して」とエルヒムはクルクルとその缶の上下左右を見る。
「これは穀物を炊くハンゴウという物だね。鍋にもなるし…ヒュメは使わないか」
「そうね、受験が迫ってるから家から出ないしね。エルヒムはよく森に入ってるよね。何してるの?」
少し考える
「うーん。練習…」
「魔法の?」
「いや、魔法は使えないから森にこもって魔法道具と体術の練習してるんだ」
「ふーん、偉いね」
「自然の中にいると色んな力が借りれるからね。魔法を使えなくても自然のエーテルの流れは分かるから」
「なんかわかる気がする。でも虫出ない?」
「出るよ…いっぱいね」
「ひいいいいいいいい!むり!」
エルヒムが盛大に笑うとハヤノはごっそりと盗賊の装備品を持ってきた。
「大収穫!さっ、帰るよ。エルヒムもいる物があったら持ってっていいよ」
「おう、ありがとう」
ハヤノはポケットから瓶を取り出すと盗賊にかけた。
「これでよし、っと。目が覚めたら全て忘れてる」
三人は村に帰っていった。
村の周りには結界が張り巡らされており普通の人間では見えないようになっているので到底辿り着けない。
ただ稀に道に迷った旅人がたどり着くことがある。
エルフはそんな稀に来る客人をもてなし、人間界の品物と交換する。そして記憶を消して帰す、という事をしていた。
旅人にとっては品物が2、3品無くなっているだけで何があったのか見当も付かないだろう。
何百年もそのような生活をしているうちにこの森は「いたずら妖精の森」と呼ばれるようになった。
男女の性と言うのか、エルフの中には旅人と恋に落ちる者もいた。元来ハーフエルフは災いを呼ぶと禁じられていたのだが。恋とは時にエルフを盲目にする。全く居なかった訳ではなく、何百年に一人はハーフエルフが生まれていた。
そう、それが僕、エルヒム。
産まれてからずっと監視が付いてる。僕が一体何をするというのか。かと言って生活を制限されている訳では無い。他のエルフと同じように扱われている。やっぱり虐めはあるけどね。エルフは容姿的には淡麗。でもハーフエルフは人間の血が混ざってるだけに淡麗とは少し違う。エルフしか見たことが無ければその違いは歴然だ。
「エルヒム!また盗賊が出たって!」
「またか!ハヤノは近づくなよ、危ない」
「危なくなんて無いもんねー、人間の盗賊なんて楽勝楽勝!エルヒムは私が守ってあげるからね」
「ちょっと待てって!」
ハヤノはこのエルフ村の高等魔法学校の同級生。この村には魔法学校しかない。エルフは魔法が使えて当たり前だからだ。
ハヤノはお転婆で自分がこうだと思ったら人の忠告なんて全然聞かない。
もう一人女の子がハヤノを追いかける。
「ハヤノ待ってよー」
「ヒュメ遅い!早く早く」
最近この森に盗賊が出る。エルフのせいにして追い剥ぎをしているのだ。衣装を見てよ。酷いもんだろ。人間はほとんどエルフを見てないから姿格好が分からないみたいで、すっごく変な格好をしてエルフを名乗っている。
初めはエルフ村もほおっておいたのだが、イヤザザ地区でエルフの悪い噂が流れるようになり、そうもいかなくなった。
ダッタン国から部隊が編成され、エルフ狩りが始まったのだ。
「ハヤノやっちゃえー!」
ヒュメの声援に張り切る。ハヤノは土魔法の詠唱を始めた。
「いでよゴーレム!」
盗賊はゴーレムに驚き目を丸くしその場にペタンと座り込んだ。自分の想像を超えたものを見た時ほど人間とは無力である。
ゴーレムは盗賊を縛り上げ土に還っていった。
「よっしゃ!一番乗り!」
ハアハアと息を切らせエルヒムが追いつく。
「遅いよエルヒム。私のゴーレムが倒しちゃったよ」
「お前はいいよな、魔法使えて」
ハヤノは戸惑う「あ、ごめん…」
言ったの本人が戸惑う。「いや、いいよ、大丈夫」
ハーフエルフの中でも魔法が使えるものはいる。人間とエルフの血、どちらが濃いかで決まる。
エルヒムの場合は人間の方が濃かったようだ。
おかげで高等魔法学校では落ちこぼれ。そんな僕でも仲良くしてくれるのハヤノとヒュメだった。
「何か取れるものは…っと」ハヤノは盗賊の装備を品定めする。
盗賊を一番に捕まえたものは盗賊の身ぐるみを剥いで良いしきたりになっていた。そして記憶を消して放り出す。
「これ、なんだろ」ヒュメはアルミでできた楕円形の缶を手に取る。
「どれ、貸して」とエルヒムはクルクルとその缶の上下左右を見る。
「これは穀物を炊くハンゴウという物だね。鍋にもなるし…ヒュメは使わないか」
「そうね、受験が迫ってるから家から出ないしね。エルヒムはよく森に入ってるよね。何してるの?」
少し考える
「うーん。練習…」
「魔法の?」
「いや、魔法は使えないから森にこもって魔法道具と体術の練習してるんだ」
「ふーん、偉いね」
「自然の中にいると色んな力が借りれるからね。魔法を使えなくても自然のエーテルの流れは分かるから」
「なんかわかる気がする。でも虫出ない?」
「出るよ…いっぱいね」
「ひいいいいいいいい!むり!」
エルヒムが盛大に笑うとハヤノはごっそりと盗賊の装備品を持ってきた。
「大収穫!さっ、帰るよ。エルヒムもいる物があったら持ってっていいよ」
「おう、ありがとう」
ハヤノはポケットから瓶を取り出すと盗賊にかけた。
「これでよし、っと。目が覚めたら全て忘れてる」
三人は村に帰っていった。
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