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いつもの朝
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チュンチュンと鳥が囀る。
いい天気だった。陽の光が部屋を照らす。
「あ!やべ!遅刻だぁ!」エルヒムは飛び起きポンを咥え飛び出した。
ドン!
誰かにぶつかった。
「ごめんなさい!急いでて…ってヒュメもか!」
「だって受験も終わって気が抜けちゃったの!エルヒム何してるの早く行かないと!」
「おっとそうだった!」
「でーあるからして、マンドレイクは…」先生は睡眠魔法を唱えてる。そうに違いない。
ほんと授業は退屈だった。
今思い返しても夢だったんじゃないかと思うくらい現実味のない出来事だった。
「あっ、忘れてた!」授業中にふと叫んでしまった。
先生が振り向く。
「昨日も言ったろ?明日テストだって。もう忘れたのかねエルヒムくん!」
「いや、あの、その…」
「少しは魔法の勉強くらいしたらどうかね」
クラスから笑いが起こった。
秋も迫り、校舎の屋上の風が少し冷たかった。
扉がガチャっと開いた。ハヤノだ。
「ヒュメから聞いたよエルヒム、なに?用事って」
「おお、ハヤノ来たか。その…あれだ…あの時の…」
「何よあの時って」
「ほら、お前に何がわかるって言い過ぎた事があったろ…」
「あーそんなこともあったね」
「…………ごめん!そんなつもりじゃなかった!ほんとにごめん!」
ハヤノはうつむく。
「ハヤノ?」
ハヤノの肩が揺れプッっと吹いて笑った。
「そんなこと気にしてたの?そんなこと忘れてたよ」
「だってその後言えないまま村を出ちゃったからさ」
「それを言うなら私も。エルヒムを傷付けることを言っちゃった。ごめんなさい」
「ん?なんの話しだ?」
「えーー!覚えてないの!?信じられない!私もずっと……」
二人で大笑いした。
秋口の夜の森は結構冷える。昼は暖かくても夜になると息が白くなった。
エルヒムは薪を集め火打石で火花を飛ばす。
「うおおおおぉ!着かねー!下手くそか!俺も修行が足りんなー」
突如。「そんなの魔法で現実化すればいいじゃん」
「うお!ファノか!びっくりした!いきなり後ろから声かけるなよ」
「ごめんてー」
エルヒムは口を尖らす「あの力はもう無いの!」
「はぁ?なんで!もったいない!」
エルヒムはマグネシウムの棒を取り出し、削って火をつけた。
「あんな力があるから変なことに巻き込まれるんだよ。普通の生活が。こういう野営がしたいの。俺は今までの落ちこぼれでいいの」
「それで虐められてたんでしょ?ほんとにいいの?てか、どこにやったのよ」
「渡した」
「誰に!」
「んーーー。わからん!」
「何でわかんないのよ!」ファノはエルヒムの首元を掴んで揺らした。
「ぐるじい…ぐるじいって」
「あ、ごめん、つい」
「俺の力は思ったことを現実化する力だろ。だから次の人に渡すって願えばそうなる」襟を正した。
「都合のいい力ね」
「都合のいいなんて言うなよな。次なる人がこの力を使って色んなことをいい方向に持っていってくれればそれでいい。それがいつになるかも分からないけど、必要な時になればそうなるさ。ところで大会はどうなったんだ?」
「戻った時には終わってて、次のエントリーしたんだけど何も言わずに棄権したから永久追放だって」
ファノは寒いのか膝を抱えた。
「ふーん。冷たいね、世の中ってよ」
エルヒムは薪をくべる。
ファノが立ち上がった。
「……さて、寒いから私は帰るよ」
「おう、気をつけてな。まあファノなら襲われても相手が可哀想だ」エルヒムは笑った。
「失礼な!エルヒム嫌い!」
「ごめんごめんて!ほんとに気をつけてな」
「うん、エルヒムも風邪引かないようにね」
「おう、じゃあな」
少し間があり、ファノはくるっと後ろを向いた。そして右手を上げ森に消えていった。
風が正面から吹いて煙が目に入る。
「あいつ、何しに来たんだ?」
今日の授業はいつになく疲れた。ふぁあと欠伸をし、エルヒムは毛布に包まった。
「明日も晴れますように」
おわり
いい天気だった。陽の光が部屋を照らす。
「あ!やべ!遅刻だぁ!」エルヒムは飛び起きポンを咥え飛び出した。
ドン!
誰かにぶつかった。
「ごめんなさい!急いでて…ってヒュメもか!」
「だって受験も終わって気が抜けちゃったの!エルヒム何してるの早く行かないと!」
「おっとそうだった!」
「でーあるからして、マンドレイクは…」先生は睡眠魔法を唱えてる。そうに違いない。
ほんと授業は退屈だった。
今思い返しても夢だったんじゃないかと思うくらい現実味のない出来事だった。
「あっ、忘れてた!」授業中にふと叫んでしまった。
先生が振り向く。
「昨日も言ったろ?明日テストだって。もう忘れたのかねエルヒムくん!」
「いや、あの、その…」
「少しは魔法の勉強くらいしたらどうかね」
クラスから笑いが起こった。
秋も迫り、校舎の屋上の風が少し冷たかった。
扉がガチャっと開いた。ハヤノだ。
「ヒュメから聞いたよエルヒム、なに?用事って」
「おお、ハヤノ来たか。その…あれだ…あの時の…」
「何よあの時って」
「ほら、お前に何がわかるって言い過ぎた事があったろ…」
「あーそんなこともあったね」
「…………ごめん!そんなつもりじゃなかった!ほんとにごめん!」
ハヤノはうつむく。
「ハヤノ?」
ハヤノの肩が揺れプッっと吹いて笑った。
「そんなこと気にしてたの?そんなこと忘れてたよ」
「だってその後言えないまま村を出ちゃったからさ」
「それを言うなら私も。エルヒムを傷付けることを言っちゃった。ごめんなさい」
「ん?なんの話しだ?」
「えーー!覚えてないの!?信じられない!私もずっと……」
二人で大笑いした。
秋口の夜の森は結構冷える。昼は暖かくても夜になると息が白くなった。
エルヒムは薪を集め火打石で火花を飛ばす。
「うおおおおぉ!着かねー!下手くそか!俺も修行が足りんなー」
突如。「そんなの魔法で現実化すればいいじゃん」
「うお!ファノか!びっくりした!いきなり後ろから声かけるなよ」
「ごめんてー」
エルヒムは口を尖らす「あの力はもう無いの!」
「はぁ?なんで!もったいない!」
エルヒムはマグネシウムの棒を取り出し、削って火をつけた。
「あんな力があるから変なことに巻き込まれるんだよ。普通の生活が。こういう野営がしたいの。俺は今までの落ちこぼれでいいの」
「それで虐められてたんでしょ?ほんとにいいの?てか、どこにやったのよ」
「渡した」
「誰に!」
「んーーー。わからん!」
「何でわかんないのよ!」ファノはエルヒムの首元を掴んで揺らした。
「ぐるじい…ぐるじいって」
「あ、ごめん、つい」
「俺の力は思ったことを現実化する力だろ。だから次の人に渡すって願えばそうなる」襟を正した。
「都合のいい力ね」
「都合のいいなんて言うなよな。次なる人がこの力を使って色んなことをいい方向に持っていってくれればそれでいい。それがいつになるかも分からないけど、必要な時になればそうなるさ。ところで大会はどうなったんだ?」
「戻った時には終わってて、次のエントリーしたんだけど何も言わずに棄権したから永久追放だって」
ファノは寒いのか膝を抱えた。
「ふーん。冷たいね、世の中ってよ」
エルヒムは薪をくべる。
ファノが立ち上がった。
「……さて、寒いから私は帰るよ」
「おう、気をつけてな。まあファノなら襲われても相手が可哀想だ」エルヒムは笑った。
「失礼な!エルヒム嫌い!」
「ごめんごめんて!ほんとに気をつけてな」
「うん、エルヒムも風邪引かないようにね」
「おう、じゃあな」
少し間があり、ファノはくるっと後ろを向いた。そして右手を上げ森に消えていった。
風が正面から吹いて煙が目に入る。
「あいつ、何しに来たんだ?」
今日の授業はいつになく疲れた。ふぁあと欠伸をし、エルヒムは毛布に包まった。
「明日も晴れますように」
おわり
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